766 :
辻っ子のお豆さん:
ほっぺにチュッてした。
(知ってる、シンデレラは王子様のキスで目を覚ますんだよ)
(あれ、白雪姫だったっけ)
(まぁいいや、梨華ちゃんも目を覚ませ)
唇に伝わる頬の感触は、涙で濡れていてしょっぱかった。
瓦礫を支える体もそろそろ言う事を聞かなくなってきたみたい。
ごめんね梨華ちゃん、結局君を助けられなかった。
でも最期に一緒にいれて良かっ・・
吉澤の瞳から零れ落ちた涙が、梨華の胸元にかけられたペンダントの上に落ちる。
すると、二人の持つペンダント同士が反応し合い輝きを増した。
【ペンダントは運命の二人に奇跡を起こす。】
膨れ上がった光の輝きが、二人を瓦礫の上に跳ね上げる。
突然の出来事に私は何が起こったのかわからず、頭が真っ白になった。
そんな真っ白の頭の中に、その声は入って来たんだ。
「よっすぃ〜。」
その声はまぎれもなく梨華ちゃんの口から発せられている。
767 :
辻っ子のお豆さん:02/01/29 23:55 ID:I8M75oBG
照らされた光の中で二人は見詰め合っていた。
「私がわかるの、梨華ちゃん?」
「わかんない、わかんないけど、なぜか急に頭に浮かんで来たの。」
「お願い、もう一度言ってくれる。」
「え、うん・・よっすぃー。」
私は嬉しくって、彼女を思いっきり抱きしめた。
名前だけだけど梨華ちゃんが私の事を思い出してくれた。それが最高に嬉しかった。
「コラーそこのカップル!こんな時にイチャつくなー!」
矢口さんの怒声で私は慌てて手を放した。うわー皆に見られてしまった。
「よっすぃーぶじれよかったのれす!」
ののは気にせず笑っているが、ごっちんはちょっと呆れてるみたい、ごめん。
「世界の終わりが近づいているって時に、お前等は何やってんだ!ほら来い!」
私は矢口さんに引っ張られて戦線に復帰した。
「もう覚悟は決めた。なつみを倒すしか方法はない!」
「どうやって、私のハマミエも何も通じないのよ?」
ごっちんの問いに誰も答えることができなかった。なっちを倒す方法がない。
「あのれすね〜ののは〜」
もぞもぞと辻が何か言おうとした声は、入り口から現れた者の大声に掻き消された。
「姉ちゃん!!」
768 :
辻っ子のお豆さん:02/01/29 23:56 ID:I8M75oBG
肩で息をしたユウキがそこにいた。そしてその後ろには・・
「よっすぃー!ののー!」
「亜依ちゃんマン参上!」
私達の名を呼ぶ愛と変なポーズを決めたあいぼんが立っていた。
吉澤達がピース村を旅立った後、二人の前に意外な人物が姿を見せた。
愛もよく知っていて、そこにいるはずのない人物。
「どうしてここにいるんですか、後藤さん?」
旅立っていったはずの後藤の姿を見て高橋は驚いた。
様子がおかしいと、加護もベットから体を起こしてその人物を見た。
「ちがうで愛ちゃん。こいつはユウキや!ひさぶりやな〜。」
「え、後藤さんじゃないの?そういえば髪が短くなってる様な・・」
「やっぱり姉ちゃんここにいたんですね、気配を感じた通りだった。今どこに?」
ユウキは姉の真希の気配を追って、ピース村へと辿り着いたのだった。
「後藤さんなら、またハロプロ城へと旅立ってしまいましたけど。」
それを聞いたユウキはきびすを返して、走り出した。
「おーい、ちょい待てや。せっかくやからうちも連れてけー!」
「ま、待ってよ、じゃあ私も行く!」
こうして3人は一路ハロプロへと向かうことになった。
この二人が究極魔法の二人とユウキが知るのは、ずいぶん後になってからであった。
769 :
辻っ子のお豆さん:02/01/29 23:56 ID:I8M75oBG
私とののは、愛とあいぼんとの再会に賑わった。
そして生き別れになっていた姉弟ごっちんとユウキも再会を果たした。
「あんた、もしかしてユウキ・・生きていたの。」
「うん、ソニンて人に拾われて、なんとか。」
「だからのん気にしゃべってる場合じゃないって言ってんだろ、お前等〜!」
矢口さんのきついお叱りに私達は現実に戻された。
「状況は大体わかってます。この二人を連れてきて正解でした。」
するとユウキが愛と亜依を指して語り出した。
「あれを破壊するには究極魔法【愛のビッグバンド】しかありません。」
二人のアイが念じる事で発動する究極魔法、だがその威力は国一つを一瞬で消す程。
「無理だよ。こんな所で使ったらこの国がなくなっちゃうよ!」
「仕方ないですよ吉澤さん、このまま魔界の門が開けば世界全部が滅んでしまう。
被害がこの国だけで済むならそうするべきです。他に打つ手はないんです。」
確かにユウキの言う事は正論だ。でも・・そんなのって。
私が悩んでいるとののが耳打ちした。(あれやってもいいれすか)私は決断した。
1. 究極魔法【愛のビッグバンド】を使う
2. 使わない。私達が死んじゃったら国も世界も関係ない。
3. あの禁呪の封印を解く