サウンドノベル4「ハッピーエンド」真実の章

このエントリーをはてなブックマークに追加
72辻っ子のお豆さん
「そうだね、ののも一緒に行こう。」
「アーイ。」
インスピの街に愛を残し、私とののとごっちんは船で北の孤島を目指した。
船内で一泊し、翌日の朝起きると海原に目的の島が見えた。
島の中央に細長い塔が雲の上まで伸びている。
「あれが天空へと続く塔だね。ごっちん。」
「そうよ、今は大陸を追われた魔物達の住み処と化しているけどね。」
「モンスターいっぱいいるんれすか?」
「言ったでしょ、腕に覚えがなければ来るなと。」
「ののはモンスターなんかに負けないれすよ、後藤さん。」
私達は島に上陸し、真っ直ぐに塔を目指した。
塔に入ると、早速モンスターの群れが襲いかかってきた。
「足を引っ張る様なら置いていくからね。」
ごっちんは自慢の日本刀で次々と魔物を一刀両断してゆく。
その姿に思わず見とれてしまった。たった一人で戦い抜いてきただけの事はある。
桁外れに強い。これだけの数を相手にして傷ひとつ受けていない。
「こりゃ、負けてらんないや。」
私も気を引き締め、彼女の後を付いて行った。
73辻っ子のお豆さん:02/01/12 00:26 ID:j2NORUKK
どれくらい登っただろう、戦闘の連続で数えている暇もなかった。
「後藤さん、ちょうじょうはまだれすか?」
「あと半分くらいかな。」
「えー!まだ半分!」
想像以上にきつい所だった。敵のレベルも上に行く程どんどん上がっている。
本当に私達は天空の城まで辿り着けるのだろうか?
「よっすぃー、お外がきれいなのれす。」
ののが窓の外を眺めていた。私も隣に立ってその雄大な景色を一望した。
外下に広がる海が夕日で紅く染まっていた。
梨華ちゃんもこの夕焼けを見ているのかなぁ・・?
ふいに私は、離れ離れになった仲間の事を思い出した。

「よっすぃーも、この夕焼けを見ているかしら?」
ハロプロ城のテラスに、華やかなドレスを纏った美しい娘がいた。
「どうしたべさ?梨華姫。」
後ろから彼女に声を掛けたのは彼女の婚約者、安倍なつみ。
「あ、なっち様、何でもないです。ちょっと友達の事を考えていて・・」
「三日後の私達の結婚式にその友達も招待すればいい。きっと祝ってくれるべ。」
「はい・・そうですよね。」
74辻っ子のお豆さん:02/01/12 00:27 ID:j2NORUKK
ハロプロ国の姫と、新しき王となる英雄の結婚に国中が湧き上っていた。
帝国を滅ぼし戦争を終らせた勇者なっちの人気は、民衆にとって絶対的な物である。
「支持率100%に近い。たいしたもんだよ。」
「そう、だな。」
王宮の渡り廊下で石黒と飯田もその話題を交わしていた。
「つんく王が死に、一時はどうなることかと案じたがこれで一安心だ。」
騎士団長の石黒も他の皆と同様に、好感をもって勇者なっちをみていた。
だが宮廷魔導師である飯田はなぜか顔色が冴えない。
「お前どうしたんだ、あの日からおかしいぞ。」
あの日とは、つんくが暗殺されたあの日の事である。
「いや、何でも、ない。気に、するな。」
それだけ言うと、飯田は石黒に背を向けて自室へと歩き出す。
あの日からずっと、飯田の中にある疑問が浮かび上がっていたのだ。
その疑問とはずばり、つんく王を殺害した人物のことである。
あの日、城への侵入者は福田と暗黒竜しかいなかった。
彼女は魔法による障壁を城全体に巡らせていたので、それを確信できた。
これらの条件から推測すると、暗殺できた人物は一人しかいないのだ。
「だが、あいつは・・そんな、はずは、ない。私は、どうすれば・・」
最悪の真実が飯田を苦悩させていた。
75辻っ子のお豆さん:02/01/12 00:28 ID:j2NORUKK
太陽が沈み、深い闇が世界を包む。
残された希望、3つの星はひたすらに塔を駆け上っていた。
「二人とも大丈夫?いよいよ次が最上階よ。」
「フゥー、やっと着いたか。」
「おなかすいたのれす。」
だが最上階で三人を待ち受けていたものが、そんな安堵の気持ちを吹き飛ばした。
「嘘でしょ、どうしてこいつが!?」
漆黒に染まった邪悪な怪物が私達の前に立ちはだかっていた。
「ごっちん、こいつはもしかして・・」
「なっちの仕業か、抜け目のない奴だ。」
暗黒竜。伝説で語られるあの怪物が目の前に。
こんな疲れきった所でこんな化け物に出くわすなんて最悪だ。
と思っていたらののが暗黒竜を見て場違いな感想を述べた。

1. 「かっけーのれす。」
2. 「こわくて、おしっこちびったのれす。」
3. 「うまそうなのれす。」