529 :
辻っ子のお豆さん:
なっちとやる前に私には越えなければいけない人がいる。師匠、市井紗耶香。
吉澤、市井、どちらからともなく自然に二人は向かい合っていた。
「いつかこんな日が来るかもって思っていた。ひとみちゃん、貴方が私の前に立つ日が。」
「敵と知っていながら、どうして私を鍛える真似なんかしたのですか?」
それが聞きたかった。彼女の真意は一体?
「別に理由なんてない、ただの退屈しのぎよ。」
本当にそうなのだろうか、まるで・・いや余計な考えはいらない。
「私は貴方のおかげで強くなれました。そしてその力であなたを倒します。」
吉澤ひとみのとった構えはプッチ。師である市井直伝の必殺奥義である。
「10年早い。」
市井紗耶香の構えも吉澤と全く同じ、元祖プッチ。
言い換えればそれは、吉澤のプッチ対市井のプッチの激突。
「行きます。」
「プッチが選ぶのは私かお前か、はっきりさせよう。」
吉澤の拳と市井の槍が同時に光りを発する。
「恋にKO!」
「ちょこラブ!」
師弟対決、始まる。
530 :
辻っ子のお豆さん:02/01/24 00:55 ID:FSrYKqUE
保田圭と顔を合わせたのは松浦亜弥であった。
「ひさしぶりね、亜弥。」
「あっれ〜保田さんじゃないですか〜、そっち側についたんですか〜?」
「別にそういう訳でもないけど、あんたこそどうしたのよ?」
「亜弥は〜なっちさんといる方がおもしろいかな〜って思ったんです。」
「変わってないわね、あんたはあの頃のまま・・」
二人の出会いは、圭がこの城に忍び込んだ夜だった。
ペンダントを盗み逃走しようと入った部屋に、無邪気に微笑むお姫様がいた。
『おもしろそ〜、亜弥も連れてって下さいな。』
彼女は逃走経路を用意して、そのままいっしょに着いてきた。
それから、二人で計画を立てて大陸中を駆け回った。
勇者なっちのつるぎを盗み出すなんて、とんでもないことまでやってのけた。
結果としてそれが二人の明暗を分けることになった。
「あの日ダンサイで、なっちさんに出会えておもしろい事いっぱい教わったの。」
「だからあいつの側についたって訳?」
「うんそう、保田さんもこっち側に来たらどうですか、歓迎しますよ。」
「断るわ。悪いけど私、誰かの下につくのって嫌なの。」
「残念無念、じゃあ殺しちゃってよいのかな〜♪」
松浦の小さな体から、凄まじい量の気が吹き荒れた。
531 :
辻っ子のお豆さん :02/01/24 00:56 ID:FSrYKqUE
吉澤は市井と、保田は松浦と、そしてなっちの前に立ちはだかる少女は・・
「どきな辻、そいつは私の獲物だ。」
だが後藤の言葉にもその少女は耳を貸そうとしない。
「たとえ後藤さんれも、これらけは譲れないのれす!」
辻希美は安部なつみの前を離れようとしない。
「あいつはあいぼんのかたきれす。ののはれったいにゆるせないのれす!」
「辻・・」
「勇者のなを汚すわるものは勇者のののらたおさなきゃいけねーのれす!」
後藤はずっと辻をただの大食いチビと思っていた。
だが今その目に映る彼女の後ろ姿はまるで、まるで本物の勇者の様。
「決まった?なっちは別に二人まとめてでも構わないべさ。」
「うるは〜い!おまえなんかののひとりれ十分なのれす!」
「のの?ああ、前に勇者ごっこしていた子供がいたな、忘れていたべ。」
魔王なっちは完全に目の前で吠える小さな娘をなめきっていた。
「勇者ごっこはお前れす!ほんろうの勇者はこまっれいる人を助けるのれす!
ほんろうの勇者はわるいやつをやっつけるのれす!お前らねーのれす!」
「どっちが本当の勇者にふさわしいか試すべか?まあ結果は見えてるけど・・」
辻vs安倍、歴史を変える二人の勇者が、今ここに激突す!
532 :
辻っ子のお豆さん:02/01/24 00:57 ID:FSrYKqUE
福田明日香の手にはあの剣が握られていた。
保田等によって盗まれ、松浦と一緒に戻って来た勇者なっちの剣が。
「これはね、元々私の武器だったの、闇の末裔である私の・・」
その剣に後藤真希の持つ聖剣ハマミエが反応を示す。
「そう、光の聖剣ハマミエに対を成す闇の魔剣ギンナンよ。」
高らかに語る福田に対し、後藤は興味なさげに髪をかき分ける。
「誰だか知んないけど、あんたの出る幕はないんだよね〜。」
「後藤真希、お前は調子に乗り過ぎた、ここで死ね。」
明日香と後藤、交わることのない二つの星が今ここに交差する。
4つの戦いが幕を開けた。
この中で最初に決着が着いた勝負は?
1.吉澤vs市井
2.保田vs松浦
3.辻vs安倍
4.後藤vs福田