サウンドノベル4「ハッピーエンド」真実の章

このエントリーをはてなブックマークに追加
310辻っ子のお豆さん
私は梨華ちゃんの所へ行く!
吉澤はペンダントを握り締め決意を固める。
翌日の早朝、村の入り口には二人の娘が立っていた。
「どしたの急に、村に残るんじゃなかったの?」
「気が変わったの、行かなきゃいけない事情ができたから。」
「相手は魔族、死ぬかもしれないよ。」
「それでも・・行く。」
「もうあいつは一国の王だ、国中いや世界中を敵に回す事になる。それでも?」
「行く。」
吉澤の意志の固さに、後藤はこれ以上の制止は意味がないと悟った。
二人が村の外へ歩み出そうとすると、後ろから一人の少女の声がした。
「よっすぃー!どこへ行くの?」
振り返るとそこには、息を切らせた幼なじみ高橋愛が立っていた。
「愛・・」
「昨日どこへも行かないって言ったよね。ずっと一緒にいてくれるって!」
私はごっちんに少し待っててと合図を送り、愛の元へ歩み寄った。
そして私はそっと彼女の肩を抱いた。
「私ずっと愛の事が好きだったよ。」
いつまでも届く事のないと思っていた告白、それは最後の告白。
311辻っ子のお豆さん:02/01/18 16:25 ID:Dh0Zniah
愛は恥ずかしそうに顔を伏せ、下を向いたまま応じてくれた。
「だったら、ずっと一緒に・・」
知らず知らずに涙が出て来て、それ以上は言葉にならなかった。
「ごめん、でも私は・・」
「もういい、行って!早く!」
自分がいくら止めても、吉澤の決意を止める事はできない。
ずっと一緒に生まれ育ってきた愛には、それが痛いほど分かっていた。
もう目の前に映る吉澤ひとみはあの頃の吉澤ひとみじゃない。
こんな小っぽけな村に閉じ込めておいていい人じゃない。
そして今自分が彼女にしてあげられる一番の事は・・
「がんばれ・・よっすぃー。」
高橋愛は涙をこらえ、最高の笑顔を旅立つ幼なじみに送った。
吉澤はすぐに振り返って何も言わず歩き出した。
愛のそんな顔をこれ以上見ていたら、決意が揺るぎそうだったからだ。
後藤も何も言わず、そんな吉澤の横に並んで歩き出した。
これが私の二度目の旅立ち。
最初の旅立ちは村の皆に見送られての旅立ち。
今回はその時その場にいなかった幼なじみ一人に見送られての旅立ち。
本当のプロローグが今ようやく終りを告げた。
312辻っ子のお豆さん:02/01/18 16:25 ID:Dh0Zniah
高橋愛は見送りの後、辻と加護にもこの事を伝えようと辻宅へと向かった。
ところが辻の部屋では、病み上がりの加護がベットに横になって
ポッキーを咥えているだけであった。
「あれ、ののちゃんは?」
「ふぇー、昨日から見てへんで。」
加護はごろんと寝返りをうって答えた。
「まさか・・」
高橋は何か思い付いたかの様に急いで部屋を出ようとした。
だが、すぐに止まる。
部屋の前にいるはずのない人物が立ち塞がっていたからだ。
「なんで、ここにいるの?」
それは高橋もよく知っている人物であった。
「どしたん、お客さんかぁ?」
高橋の様子がおかしいので加護もゆっくりと体を起こして、入り口を見た。
その人物は、高橋と加護を見て微かに微笑んだ。

朝食の準備ができたと家の者が部屋に呼びに来た時には
もうそこに誰の姿もなかった。
ただ食べかけのポッキーの箱だけが無造作に転がっていた。
313辻っ子のお豆さん:02/01/18 16:26 ID:Dh0Zniah
吉澤と後藤が村を出てしばらくすると、道の脇に生える大木から声がした。
「おそいよー。まちくたりれたのれす。」
声のした方を見ると、大木の影に辻希美が座り込んでいた。
「のの!あんたこんな所で何してるの?」
「ろうせこんなことらろうとおもって、きのうからマチブセてたのれす。」
辻は二人の前にピョンと飛び出して叫んだ。
「ののを置いてくなんて、そうはいかないれすよ!」
「あのね、すっごい危ないんだよ。今までとは訳が違うんだよ。」
だがののは言っても聞かなそうだ。私はごっちんを見た。
「話聞かない所は誰かさんそっくりだね。」
それって私のこと?やれやれ、仕方ないか。
私達はののを加え、三人で一路ハロプロ王城へと足を進めた。
超駆け足で進んだので、昼過ぎにはモーコーの町へと到着した。

1. 急いでいるから、立ち寄っている暇はない。
2. 飯だけ食べてすぐ出発しよう。
3. 情報屋小川真琴を尋ねる。