今日は、朝からイヤなよかんがして、いつもより早くイイラさんに会いたくて、
しゅうごうじかんの30分も前にがくやに行った。
そしたら、イイラさんが1人ソファにすわってパラパラとざっしをめくってました。
「あれ?辻、今日は早いね〜」
いつもみたいにイイラさんはののに笑ってくれるけど、その顔は少しかなしそう…
いったい、どうしたんれすか?
「…大丈夫だよ、辻」
イイラさんがつぶやきます。
「なにがれすか?」
「大丈夫」
いみが分かんないのれす……
でも、ののは、イイラさんがだいじょうぶじゃなさそうなのは分かるんれす
その時、バタンと扉が開く音がした。
207 :
−−:02/02/11 09:48 ID:L9VvalbL
「王女―、もうギリギリですわ」
平家さんっ!??
ちがうっ、このあいだのうちゅうじんだっ!!
ギリギリって?
ギリギリってどういうことれすか?
イイラさんの方を見ると、イイラさんはすこしだけほほえんでくれた。
「分かってるよ、ヘケー、でも、ちょっとだけ辻と二人きりにさせて」
「ちょっとだけ?」
「うん」
「分かりました、ほな、屋上でお待ちしています」
ヘケーさん(って言うんれすね)は、それだけ言うとさっきみたいにとびらを開けて出ていった。
208 :
−−:02/02/11 09:50 ID:L9VvalbL
ののは、なみだがポロポロこぼれてしゃべれないから
あたまでイイラさんに話しかけました。
イイラさんは、いつもとぎゃくにこえを出してしゃべってくれます。
…イイラさん、帰っちゃうんれすか?
「うん、そうだよ」
イヤれす、ののはイイラさん帰っちゃったらイヤれすっ!!
「……辻」
らって、らって…
「カオは、消えるワケじゃないよ」
…え?
「明日から、また辻の飯田さんが戻ってくる」
……
「だから、辻は大丈夫だよ」
ふわっとイイラさんがののをだきしめてくれました。
そのうではあったかくて、のののこころの中まであったかくなりました。
だから、ののは――
「見送ってくれる?」
……へいっ
ってこたえるしかないのれす。
209 :
−−:02/02/11 22:10 ID:nUHpxflk
2人が屋上に行くと、辻がこのあいだ見たUFOとさっきのヘケーと、
変わった形のベッドらしきものに眠っている本物の飯田の姿があった。。
「それじゃ、カオもう行くね」
「……」
イイラさんのかおがなみだでぼやけてよく見えません。
イイラさんが、ののにせなかを向けてヘケーさんの方へあるいていきます。
「王女、その少女にこの薬を――」
ヘケーさんが、へんなおかしみたいなのをイイラさんにわたすのが見えました。
でも、イイラさんはくびをふってそれをおくじょうからなげすてました。
…もったいないのれす
「王女っ!?」
「辻には、こんなのいらないよ。こんなことしなくても誰にも言わない」
「規則です」
「こっちは、王女命令っ!!」
イイラさんは、きっぱりとヘケーさんに言って、またののの方にもどってきてくれました。
ヘケーさんは、大きくためいきをついています。
210 :
−−:02/02/11 22:12 ID:nUHpxflk
「ねぇ、辻、カオね〜、圭織に教えてもらった言葉が一つあるの」
そう言いながら、イイラさんはののにめせんをあわせてくれるように
しゃがんでくれます。
「きっとこういう時に使う言葉だよね」
イイラさんがいいらさんにおしえてもらったことば?
なんれすか?
それから、ゆっくりとイイダは辻の瞳を見つめながら言いました。
「――ねぇ、笑って」
イイラさんが、大まじめにそんなことを言ったのでののはわらってしまいました。
イイラさんも、のののかおを見て嬉しそうにニッコリとわらってくれます。
それは、やっぱりイイラさんとのおわかれがホントのことだって、
ののに分からせるものだったけど、イイラさんのためにも
ののはこのままわらってみおくろうと思いました。
211 :
−−:02/02/11 22:13 ID:nUHpxflk
「それじゃーね、辻」
「へいっ、さよなられす」
イイラさんは、UFOのひかりにつつまれていきます。
「……イイラさんっ、また会えますよねーっ!」
「会えるよ、絶対!!」
イイラさんが、そうこたえるとどうじにUFOは消えました。
「約束れすよ、イイラさん…」
辻は、1人、星空を見上げるのだった。