ごまよし高橋小川小説

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――私は空を飛んでいた。
ごっちんと仲良くタケコプターを付けて…ごっちん?いや、愛ちゃんだ…やっぱりごっちんかな?
まあどっちでもいいや。2人して前の青ダヌキ(みたいなの)についていく。
「あれがバードピアだよ」
と、ソレは言った。
あれ?バードピアってこんな方法でいけたっけ?なんて思っていると後ろから声がした。
「行くな!」
そうだ、三途の川を渡ったら生きては帰れない。当然死だ状態でも帰れないけど…。それは死後の世界
話か。
「ごっちん行っちゃ駄目だよ!」
私は先に行こうとしていた彼女に声を掛けた。
「来て!」
「駄目だって!」
「おお、来て!」
「いったら死んじゃうよ!」
「おお、来てったら!!」
「…なんかごっちん言葉使い変じゃない?」
「おお、来てったらよしこ!」
バチン!と頬をたたかれた。
「なにすんの〜ごっちんが来てって行ったのに…」
「おお、来てったら!」
――私はごっちんに肩を揺すられ目が覚めた。
「おお、来て(オオ キテ)起きてったら、よっすぃー!」
「なるほどね」
「何言ってるの?着いたよ」
「もう?」
「よしこったら何の夢見てたの?」
「え?」
「なんか、駄目とか、死んじゃうとか…」
「べっつに…」
「エッチな夢みてたの〜?」
全く見当違いのごっちんを無視してタクシーを降りた。料金は乗る前にマネージャーが多めに渡して
あるのだ。芸能人を乗せたとペラペラ喋らないようにするためにもなるので。
「う〜ん疲れた…」
私はグッと伸びをした。中途半端に寝てしまったため、体が痛い。しかもあの変な夢だ。
なんだってドラえもんだったんだろう。「翼の勇者たち」だったけ。今度テレビでやるらしいけど、
1度映画館で見ているやつだ。「サトラレ」と一緒に見たんだったかな…。
「――でいい?」
何となく回想にふけっていたが、ごっちんの声でわれに返った。
「え?何?ごっちん」
「聞いてなかったの?どっちがいーい?」
「何が?」
「もーよっすぃーホントに人の話聞いてなかったでしょ〜?」
と、ふくれっ面……かわいい。
「めんご、めんご」
…………………………
「よしこ…ソレとっっっくに死語だよ」
「…だよね」
「だからね、お腹へったでしょ?コンビニで何か買ってくる?それともごとーがオムレツ作ろうか?」
こんな時間に…太るよと思ったけど、口に出すのはやめておいた。
「そ〜だな〜ごっちんの手料理食べたいな」
すると、満面の笑みを浮かべて
「よっすぃーの為だもん!すんっっっっごくおいしいの作るからね!」
と、私の手を引き、手を引き……て、手に胸が…じゃなくて!手を引かれて、玄関に入った。