ごまよし高橋小川小説

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待ってるよ!

吉澤
「さ、入って」
私は玄関のドアを開け、彼女を通した。
「ただいま〜」なんて(何故?)言いながら入るごっちんの後に続き、鍵をしめる。
「なんか飲み物持ってくから、部屋で待ってて」
「あ〜いよ〜」
 紅茶でいいかな?
Tパックを2つ取りだし、自分のと、来客用のカップを取り出しそれをそれぞれに入れる。
 ……何してんだろ?
ごっちんを、自分の部屋で1人にしてしまったことに気がついた。
 ――変なことしてなきゃ良いけど…
私は変な想像を振り払い、カップとお菓子を盆にのせ、部屋に向かった。
「お待たせ――何してんの?」
「んぁ〜?」
彼女は、こともあろう私のタンスを引っかき回していやがった(!)
「いや〜さ〜。ごとーとお揃いのいくつあるかな〜って。これでしょ…これも…このオーバーオールと…」
「お願いだから引っかき回さないで!――紅茶ここ置くよ」
「ありがとー。あ!これ格好いい!」
と、私のお気に入りの黒のパーカーなどを引っぱり出している。