ここでやれ

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94寒い冬ね
「おー、寒い寒い。」
ガチャガチャ、ガチャン。
やっぱり冬真っ只中。外はやたら寒い。

「ふうぅ。あったけー。」
部屋に入るとすぐにコタツにもぐりこむ。
…あれ、つけっぱなしにしちゃってたんだ。
コタツの電源は入ってるし、暖房もポカポカの
温風を吐き出している。
「…楽しかったよなぁ。」
遊園地へ行ってから、もう数日経つ。
あれ以来、娘。の誰とも会ってない。
当たり前だよなぁ…。みんな忙しいハズだ。
ていうか、あんなに話せただけでも軌跡なんだよな。
思い出してる僕の顔は、
きっとだらしないくらいニヤケてただろう。
95しばらくして:02/01/31 17:32 ID:Zyj5POKi
…ん。何だ?
僕は押入れの辺りに何かあるのに気づいた。
よぉく目を凝らす。
押入れの隙間から、…細い筒?がのぞいている。

カッ!
「のわぁああ。」
細い矢がコタツに刺さって揺れる。
「うぅん、やっぱり吹き矢って難しいな…。
 もうちょっと練習しないと。」
よいしょ、と縮こまった体を伸ばしながら
押入れから出てきたのは、やっぱり『彼女』だった。
「よっ、と。ちゃーおー。」
「り、梨華ちゃん!どうして!?」
「え?どうしてって、体も治ったし
 少しでも早く命を狙わなきゃなぁって。」
「ははは…。」
僕は力なく笑ったが、内心すごく喜んでいた。
梨華ちゃん、もう来ないかと思っていた。
「それにしても、ずっと押入れにいたの?」
「えへへ…、狭かった。」
そう言って梨華ちゃんは笑顔で近づいてくる。そして
フッ!
「おわっ!」
「うーん、こんなに近くても当たらないなんて。
 吹き矢って、使えないかも。」
いつもながら、再会を喜んでばかりもいられないみたいだ。
96得意料理:02/01/31 17:34 ID:Zyj5POKi
梨華ちゃんは吹き矢を横に片付けると、
コタツに入ってきた。
「どう?ずっと元気だった?」
「うん。ありがと。僕は元気。」
「そう…。ざーんねん。不治の病とかない?」
…まったく。
「梨華ちゃんのほうはどうだったの?」
「もう。保田さん本気で殴るんだもん。
 2、3日はろくに動けなかったよぅ。」
梨華ちゃんは苦笑いした。
「あ、そうそう。ご飯まだだよねぇ。
 作ったの。今、温めるね。」
梨華ちゃんは立ち上がると、いそいそと台所へ向かった。
まさか、また焼きソバ?それとも包丁?
…とりあえず、心構えは必要だよな。
おいで、ピヨ助。
「静かにしておくんだぞ。」
僕はピヨ助を上着のポケットに入れた。
台所からは梨華ちゃんの鼻歌が聞こえる。
「ふふふーん。こぶしあーげてゴーゴーゴーゴー…」
97書くよ:02/01/31 17:37 ID:Zyj5POKi
100が長文なのも寂しいので、だれか100getして下さい。
今日の夜にでも見て、100いってたら続き上げます。
あと、漏れのIDちょっとポッキーだ(w
98名無し募集中。。。:02/01/31 17:52 ID:0apV/7jt
100
99名無し募集中。。。:02/01/31 17:55 ID:0apV/7jt
100
100名無し募集中。。。:02/01/31 17:56 ID:0apV/7jt
100!!
101 :02/01/31 18:04 ID:5PmMxtSB
やっぱそこのパートは石川ですか
102書くよ:02/01/31 18:16 ID:Zyj5POKi
>>98-100ありがと(w
>>101漏れはそう思った。
103できた:02/01/31 18:18 ID:Zyj5POKi
台所から、歌と一緒に何か甘い匂いが漂ってきた。
「ふふん。ラブ。勇気があるなーらー…よしっ、と。
 できたよー。」
梨華ちゃんはおわんを二つ持ってきた。
一つを僕に差し出す。
「これって…。」
「そう。白玉ぜんざい。」
おいしそうに、梨華ちゃんが食べ始めた。
「大丈夫よぉ。ホラ、毒なんて入ってないし。」
僕は、勇気を出して口をつけた。
「どう?おいしい?」
「うん。おいしい。」
おいしいけど…これって、夕飯なの?

「ふぅ。お腹いっぱいだ。」
何だかんだで、4杯も食べてしまった。
「おいしかったでしょ。」「うん。」
僕はお腹をポンと叩いた。
おもむろに梨華ちゃんが立ち上がる。
「あ。いいよ。食器は僕が後で洗っとくから。」
しかし、梨華ちゃんは台所でなく
僕の後ろに歩いてきた。そして…両膝で立つと、
後ろから僕に体をピッタリくっつけた。
「り、梨華ちゃん?」
104ピッタリしたい:02/01/31 18:19 ID:Zyj5POKi
背中にたちまちに広がる梨華ちゃんの温もり。
以前、腕を組んだときの比ではなかった。
柔らかな感触を全身に感じる。
梨華ちゃんは、さらに僕の首に腕を廻す。

「ちょ、ちょっと、梨華ちゃん…」
梨華ちゃんの優しい香りに、僕は言葉を遮られた。
梨華ちゃん…一体何考えてるんだろう。
夢のような感触に、頭がポーっとする。
頭がポーっと、頭がポーっと、……意識がボーっと
て、首締められてるじゃん!
「やったぁ。今回こそはイッた!」
梨華ちゃんはハシャギ声を上げた。
うぐう。僕は必死でポケットを探った。
あれ。いない。…目を動かすと、
ピヨ助はいつの間にか部屋の隅で餌をついばんでいた。
…怨むぞ、ピヨ助ぇ。

すうっと意識が遠のきかけた、その時だった。
ピンポーン。ガチャ。
「こんにちはー。梨華ちゃんいますかー。」
天の助けだった。
105再び:02/01/31 18:20 ID:Zyj5POKi
アパートでそんなに広くもない部屋。
台所と部屋を仕切るドアは開けっぴろげ。
つまり、玄関にいる彼女と僕達は一発で目が合うわけで。

「よっすぃー。」
「梨華ちゃん…。」
「ゲホッ、ゲホッ。」
梨華ちゃんの腕から解放された僕の頭に
ようやく血が通い、肺には酸素が満たされた。
よっすぃーは、ゆっくりと歩み寄って来た。
「梨華ちゃん…。二人ってそんな関係だったの?」
「ちょ、ちょっとぉ。やだなぁ、よっすぃー。
 また、誤解してるみたいだよぉ。」
「でも、二人でムギューッて抱き合って…。」
「だから誤解だってばぁ。」
梨華ちゃんはツンツンと僕の足をつついた。
フォローしろってコトぉ?
そんな簡単に思いつくわけないじゃん。
僕は梨華ちゃんをツンツンとつつき返した。
応答がない。……はぁ、仕方ないな。
「ちょっと首寝違えちゃって、直してもらってたんだ。」
「ガオレンジャーごっこしてたの。」
げ。二人は同時に弁解してしまった。
「はぁ!?」
よっすぃーの反応はもっともな物だった。
106ガオアクセス:02/01/31 18:21 ID:Zyj5POKi
「え、どういうこと?」
「だからぁ、ねぇ…。」
梨華ちゃんは僕と目を合わせる。
二人とも顔が引きつっている。
「寝違えちゃった…」
「…ガオレッドの首を治すガオピンク。」
梨華ちゃんは自分の顔を指差す。
二人は恐る恐るよっすぃーの顔を見た。

「か…、かっけー!敵は寝違えオルグなんだぁ。
 でも梨華ちゃん、ピンクはいないよ!」
お、なんか食いつきがいい?
「そ、そう。ガオごっこしてたの。うわー。やられた。」
「ちょっと待って。最初からやろうよ。
 私、ガオシルバーがいい!」
よっすぃーは嬉々として話に乗ってきた。
た、助かったぁ。
僕達は胸をなでおろした。

ただ、それから小一時間ガオごっこするなんて
僕達には想像もつかなかったんだけど…。