ここでやれ

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54石川と加護2
観覧車が途中まで上ったときだった。
地上ではこんなやり取りがなされていた。

「ちょ、ちょっと梨華ちゃんどこ行くん?」
梨華ちゃんは黙ったまま、観覧車の制御室に向かった。
「観覧車、止める気なん?やめといた方が
 ええって。二人の時間伸ばすだけやで。」
その声が聞こえていないのか、梨華ちゃんは
そのまま中へ入った。
ドカ。…その音と共に倒れる係員。
観覧車は止まった。

「アカン。梨華ちゃん、キレてもうた。」
あいぼんが頭を抱えて、次に見たとき
梨華ちゃんは観覧車の柱をよじ登っていた。
「梨華ちゃん、パンツ見えるでー。戻ってきー。」
何を言ってももう無駄だった。
55キレた:02/01/22 00:45 ID:9MidaMqe
ゴンゴンゴン。
僕が音をしたほうを見たときだった。
ガッシャーン。
なんと梨華ちゃんが窓から入ってきたのだった。
「うふふふ。ののぉ、二分たったわよぉ。」
「り、…梨華ちゃん。」
「ここからは、私の番だからねぇ。」
そう言うと梨華ちゃんは僕に腕をからめた。
「さっきから、あなたがあいぼんやののと
 イチャついてるのを見て、胸が苦しくなっっちゃった。
 一瞬、恋かなって思ったけど、今分かったの。
 昔の『僕』がモテてるのがムカついてただけなのよ。」
「梨華ちゃん、何いってるんれすか?」
ののちゃんは涙目になっていた。
「それにしても、退屈ねこの絶叫マシン…。」
そう言うと、すっくと立ちあがった。
梨華ちゃんは壁に手を当てると、
全身を使って観覧車を揺さぶりだした。
「ちょ、ちょっと梨華ちゃん何するの。」
「梨華ちゃん、やめるのれすー。」
「うふふ。これっくらいじゃなきゃね。」

「り、梨華ちゃん。やっばぁ、なんとかせな。」
地上のあいぼんは、観覧車を動かした。
一周して戻ってきた僕らは腰が立たなくなっていた。
一人を除いて。
「じゃ。次はお化け屋敷に行こっか。」
梨華ちゃんは僕を見て微笑んだ。