157 :
3連休:
今日から3連休か…
まぁ、特別な予定があるわけでもない。
モーニング娘。にはお休みもヘッタクレもないんだろうなぁ。
僕はパソコンの電源を入れた。…と
ピポピポピポーン。
いつものチャイムの音だ!もしかして…。僕は玄関へ急いだ。
「ちゃーおー。ほら、ぼやぼやしてないで支度、支度。」
いつもながら唐突だ。梨華ちゃんって。
「支度って、何の支度なの?」
「お泊りよ。お・と・ま・り。」
「へぇ!?」
「やっほー。」「おぃーす。」「こんちわー。」
ごっちんになっちに、やぐっつぁんまで。
「ほら、急いで、急いで。」
僕はわけも分からず電車に揺られていた。
「今日は何なの?」
「せっかくお休みが取れたんだけど、よっすぃーが
急に都合悪くなっちゃって。その代わりにね…。」
「僕がってコト?で、どこに向かってるの?」
「あれぇ、言ってなかったけ。温泉だよ。」
ごっちん、今なんて。…温泉?
「じゃあ、もしかしてコレが…。」
「ウン。『そうだ!We'reタキュウ部恐怖の卓球温泉地獄(ハ・ヒ・ホ)』」
158 :
早くも:02/02/09 19:39 ID:CELCOj7J
「着いたー!」
やぐっつぁんが歓声を上げる。立派な旅館だ。
確かに1人分キャンセル料取られるのは痛そうだなぁ。
僕が呼ばれたのもうなづける。
「石川ぁ。お前なかなかやるんじゃないのって。」
「うん。なっちもこんな旅館、初めてだよぉ。」
「えへへへ。穴場なんですよぉ。」
梨華ちゃんは照れながらも、自慢気に言った。
僕達は部屋に通された。落ち着いた感じの和室だ。
…そう言えば、よっすぃーの代わりなんだから
僕も同じ部屋に泊まるんだよな。…ゴクッ。
「あ。今なんかやらしい顔したっしょ。」
なっち…、鋭いな。
「当然、寝るときはしきり立てるからね。」
当たり前だよな。ハハ。
「あ。ごっつぁん。まだ3時だってば。
寝るのは、早すぎるって。」
「ん…、なっち?でもゴトー電車で疲れちゃって。」
オイオイ、電車の中で爆睡してたのは誰ですか。
「ほら、とにかくみんな着替えよ。ね。」
梨華ちゃんの声に、みんなカバンを開けだした。…あ。
「あ…。こぉのヘンタイ!」
パァァン。やぐっつぁんからの平手打ちを顔面に頂いた。
ヘンタイって、そっちが勝手に着替えだしたんじゃ…。
痛ってぇ。でも、チラッと何か見えたような…。
「おまたせぇ。」
「あれ。みんなその格好…。」
4人ともジャージ姿で部屋から出てきた。
「よぉーし、やるぞー。」
やぐっつぁんは肩に手をそえて右腕をぶんぶん回した。
「梨華ちゃん、コンディションはどうだった。」
なっちが聞く。
「さっき見てきたんですけど、
なかなか綺麗に手入れされてましたよ。」
「あの…。梨華ちゃん…。」
「あれ?もしかしてジャージ忘れちゃったの?
しょうがないなぁ。じゃあ審判やってね。」
いまいち状況がつかめないまま、
僕が連れられていった先にあったのは…卓球台。
「じゃあ、チーム分けじゃんけんね。」
「さーいしょーはグー…」
「ちょっと待って。こういうのって普通
温泉入ってから、浴衣でやんない?」
「そんなんしたら、汗かいちゃうでしょ!!」
4人は口をそろえた。…汗?
ごっちんは足を広げると腰を落とし、
肩をいれて太腿の内転筋群を伸ばしだした。
見ると、みんなめいめいにストレッチしてる…。
160 :
卓球:02/02/09 19:41 ID:CELCOj7J
じゃんけんをしたあと
ごっちんとなっち、梨華ちゃんとやぐっつぁん
に分かれて、台の両側に立った。
「じゃあ、始めよっか。審判君もちゃんと見といてね。」
やぐっつぁんがそう言うとみんなラケットを取り出した。
…マイラケット。
「行くよ。でや。」
カカカカカッカカッカ…ビシィッ。
「ごめぇん。今の取れたのにぃ。」
「いいよ。なっちの立ち位置も微妙だったし。」
「やったね。まりっぺぇ。」
「コラ、石川。調子にのんな。」
な、何だ…今の。ものすごいラリーの後に
梨華ちゃんのスマッシュが決まった。
「ほら、審判。カウントは?次行くよ。」
カカカッカッカ…
これが卓球?すさまじすぎる。
「じゃあ、次アレ出しちゃおっかなぁ。」
梨華ちゃんはダンスのときのように
クネッと腰を曲げて突き出した。
「あ、アレ出るよ。」
161 :
必殺技:02/02/09 19:42 ID:CELCOj7J
「ひっさぁつ、海老サーブ!」
高らかにそう叫ぶと、梨華ちゃんは後ろに飛び跳ねた。
「エビッ。」
そう言ってピン球にラケットをミートさせる。
カッ、シュパア。
ものすごい勢いでドライブ回転がかけられている。
球はググンと速度を増した。
「よ、と。」
ごっちんが鮮やかに返す。
「おい、石川。ジャマだよ。」
やぐっつぁんが返し損ねた。
「梨華ちゃんの海老サーブ、もう慣れちゃった。」
「くっそぉ、矢口さんお願いします。」
「しょうがない。おいらもマトリックスサーブを出すか。」
そう言うと、やぐっつぁんは手を回しながら
上体を後ろに反らせた。卓球台の下に消えるやぐっつぁん。
そのままピン球を打つ。
カッカッ。
「あー。今の反則だよ、矢口ぃ。球見えなかったもん。」
「いいじゃん。公式戦じゃないんだし。」
「じゃあ、なっちも鳳凰サーブ出すよぉ。」
「いいよ。ご自由にぃ。」
「待って、ゴトーの新サーブ見て。行くよ。…ハマミエ!」
そう言うと、右手を下から上へ引き上げる。
すごいシュート回転だ。ってみんな楽しそうだね。
162 :
結果:02/02/09 19:43 ID:CELCOj7J
「絶対、今の入ってないって。」
「入ったよ。なっち達の勝ちだもんなー。」「ねー。」
「えー。だって、今こう来たでしょ、でぇ…。」
勝負事では絶対引かないんだよな…梨華ちゃん。
「もういいよ、石川。矢口達の負けだよ。
それより次シングルスやろうよ。」
まだやるんすか…。コレが卓球温泉地獄。
「あー。楽しかったぁ。やっぱごっちん強いね。」
「へへへ。でも汗ビショになっちゃったよ。」
「いぇーい。温泉行こーぜ、温泉。」
「そうだね。着替えとって来よ。あれ?梨華ちゃんは?」
「あ、私はもう持ってきたから。」
そう言って、梨華ちゃんと僕はその場に残った。
「あー、のど渇いた。ジュース買ってくるね。」
スリッパに履き替えた梨華ちゃんは、パタパタと駆けていった。
びっくりしたなぁ。みんなあんなに卓球が上手いなんて。
僕はその場の長いすに腰掛けた。
「ただいまー。よっと。」
梨華ちゃんは僕の隣に座った。僕は横目で梨華ちゃんを見る。
さっきまで卓球をしていたため、梨華ちゃんの顔は
少し上気している。汗ばんだ肌に張り付いてる髪の毛。
ジュースの缶にくっつけた唇。
やけにセクシーに見えるんだよなぁ。
163 :
ジュース:02/02/09 19:44 ID:CELCOj7J
「ん?飲む?」
僕の視線に気がついたのか、梨華ちゃんはこちらを向いた。
さらに顔を近づける梨華ちゃん。
ジュースを飲むってコトはあれだよな。
この唇と間接キスするって、…この唇と。
「ええっと…。あ、うーん。」
僕は頭をポリポリかいた。
「ふふふっ。」
「え?」
梨華ちゃんは急に笑った。
「えへへ。一緒にいるとよくデジャヴ感じるの。
今の台詞とか、頭ポリポリっていうのとか。
でも当たり前なんだよね。前世で一度経験してるんだから。」
「梨華ちゃん…。」
そうだったよな。最近ちょっと忘れてたけど。
「はい。残りはあげる。」
梨華ちゃんは僕にジュースを渡した。
僕は何だか照れ臭くって一気に飲み干した。
………アレ?
「…梨華ちゃん、なんか盛った?」
「えっへへ。女の子がお風呂はいってる間は
寝ててもらわないとね。ただ、ちょっと量は多いケド。
じゃあね。ふんふふん。どんな温泉かなぁ。」
「あれ?梨華ちゃん、あの人は?」
「何か、疲れたからしばらく寝るって。」
梨華ちゃん…。そうだったよな。最近ちょっと忘れてたけど。
164 :
温泉:02/02/09 19:45 ID:CELCOj7J
ううぅ。気持ち悪い。何かぐるぐるする。
とりあえず吐かなきゃ。
あー。悪酔いしたときより気持ち悪い。
でも、まだ死ねない。もしかしたら混浴かも…
僕は必死の思いで脱衣所まで来た。
ガッデム。混浴じゃないのか。
ひとまず僕は服を脱いで風呂場に入った。
ううぅ。こんな状態でお風呂に入っていいのかな。
「ちょっと石川ってば、太ったんじゃないのって。」
「失礼ですよ。ふっくらしただけです。」
「でも梨華ちゃん、胸大きいよねぇ。」
「ゴトーの胸もいい形ですよぉ。ほら。」
「わぁ。そんなん出してたら、さわっちゃうよ。」
いいんです。温泉さいこー。
あう。でもダメだ、気持ち悪い。オイ、しっかりしろ。
僕は顔を何度も壁に叩きつけた。…もういい、あがろう。
「うわっ、ちょっと鼻血出てるよ。」
「もしかして覗いてたんじゃないでしょうね。」
「ねっ、ゴトーの体どうだった?ナイスバディでしょ。」
僕は大の字で床に倒れたまま、何とか意識を保っていた。