ここでやれ

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1573連休
今日から3連休か…
まぁ、特別な予定があるわけでもない。
モーニング娘。にはお休みもヘッタクレもないんだろうなぁ。
僕はパソコンの電源を入れた。…と
ピポピポピポーン。
いつものチャイムの音だ!もしかして…。僕は玄関へ急いだ。

「ちゃーおー。ほら、ぼやぼやしてないで支度、支度。」
いつもながら唐突だ。梨華ちゃんって。
「支度って、何の支度なの?」
「お泊りよ。お・と・ま・り。」
「へぇ!?」
「やっほー。」「おぃーす。」「こんちわー。」
ごっちんになっちに、やぐっつぁんまで。
「ほら、急いで、急いで。」

僕はわけも分からず電車に揺られていた。
「今日は何なの?」
「せっかくお休みが取れたんだけど、よっすぃーが
 急に都合悪くなっちゃって。その代わりにね…。」
「僕がってコト?で、どこに向かってるの?」
「あれぇ、言ってなかったけ。温泉だよ。」
ごっちん、今なんて。…温泉?
「じゃあ、もしかしてコレが…。」
「ウン。『そうだ!We'reタキュウ部恐怖の卓球温泉地獄(ハ・ヒ・ホ)』」
158早くも:02/02/09 19:39 ID:CELCOj7J
「着いたー!」
やぐっつぁんが歓声を上げる。立派な旅館だ。
確かに1人分キャンセル料取られるのは痛そうだなぁ。
僕が呼ばれたのもうなづける。
「石川ぁ。お前なかなかやるんじゃないのって。」
「うん。なっちもこんな旅館、初めてだよぉ。」
「えへへへ。穴場なんですよぉ。」
梨華ちゃんは照れながらも、自慢気に言った。

僕達は部屋に通された。落ち着いた感じの和室だ。
…そう言えば、よっすぃーの代わりなんだから
僕も同じ部屋に泊まるんだよな。…ゴクッ。
「あ。今なんかやらしい顔したっしょ。」
なっち…、鋭いな。
「当然、寝るときはしきり立てるからね。」
当たり前だよな。ハハ。
「あ。ごっつぁん。まだ3時だってば。
 寝るのは、早すぎるって。」
「ん…、なっち?でもゴトー電車で疲れちゃって。」
オイオイ、電車の中で爆睡してたのは誰ですか。
「ほら、とにかくみんな着替えよ。ね。」
梨華ちゃんの声に、みんなカバンを開けだした。…あ。
「あ…。こぉのヘンタイ!」
パァァン。やぐっつぁんからの平手打ちを顔面に頂いた。
ヘンタイって、そっちが勝手に着替えだしたんじゃ…。
痛ってぇ。でも、チラッと何か見えたような…。
159ジャージーズ:02/02/09 19:39 ID:CELCOj7J
「おまたせぇ。」
「あれ。みんなその格好…。」
4人ともジャージ姿で部屋から出てきた。
「よぉーし、やるぞー。」
やぐっつぁんは肩に手をそえて右腕をぶんぶん回した。
「梨華ちゃん、コンディションはどうだった。」
なっちが聞く。
「さっき見てきたんですけど、
 なかなか綺麗に手入れされてましたよ。」
「あの…。梨華ちゃん…。」
「あれ?もしかしてジャージ忘れちゃったの?
 しょうがないなぁ。じゃあ審判やってね。」
いまいち状況がつかめないまま、
僕が連れられていった先にあったのは…卓球台。

「じゃあ、チーム分けじゃんけんね。」
「さーいしょーはグー…」
「ちょっと待って。こういうのって普通
 温泉入ってから、浴衣でやんない?」
「そんなんしたら、汗かいちゃうでしょ!!」
4人は口をそろえた。…汗?
ごっちんは足を広げると腰を落とし、
肩をいれて太腿の内転筋群を伸ばしだした。
見ると、みんなめいめいにストレッチしてる…。
160卓球:02/02/09 19:41 ID:CELCOj7J
じゃんけんをしたあと
ごっちんとなっち、梨華ちゃんとやぐっつぁん
に分かれて、台の両側に立った。

「じゃあ、始めよっか。審判君もちゃんと見といてね。」
やぐっつぁんがそう言うとみんなラケットを取り出した。
…マイラケット。
「行くよ。でや。」
カカカカカッカカッカ…ビシィッ。
「ごめぇん。今の取れたのにぃ。」
「いいよ。なっちの立ち位置も微妙だったし。」
「やったね。まりっぺぇ。」
「コラ、石川。調子にのんな。」
な、何だ…今の。ものすごいラリーの後に
梨華ちゃんのスマッシュが決まった。
「ほら、審判。カウントは?次行くよ。」
カカカッカッカ…
これが卓球?すさまじすぎる。
「じゃあ、次アレ出しちゃおっかなぁ。」
梨華ちゃんはダンスのときのように
クネッと腰を曲げて突き出した。
「あ、アレ出るよ。」
161必殺技:02/02/09 19:42 ID:CELCOj7J
「ひっさぁつ、海老サーブ!」
高らかにそう叫ぶと、梨華ちゃんは後ろに飛び跳ねた。
「エビッ。」
そう言ってピン球にラケットをミートさせる。
カッ、シュパア。
ものすごい勢いでドライブ回転がかけられている。
球はググンと速度を増した。
「よ、と。」
ごっちんが鮮やかに返す。
「おい、石川。ジャマだよ。」
やぐっつぁんが返し損ねた。
「梨華ちゃんの海老サーブ、もう慣れちゃった。」
「くっそぉ、矢口さんお願いします。」
「しょうがない。おいらもマトリックスサーブを出すか。」
そう言うと、やぐっつぁんは手を回しながら
上体を後ろに反らせた。卓球台の下に消えるやぐっつぁん。
そのままピン球を打つ。
カッカッ。
「あー。今の反則だよ、矢口ぃ。球見えなかったもん。」
「いいじゃん。公式戦じゃないんだし。」
「じゃあ、なっちも鳳凰サーブ出すよぉ。」
「いいよ。ご自由にぃ。」
「待って、ゴトーの新サーブ見て。行くよ。…ハマミエ!」
そう言うと、右手を下から上へ引き上げる。
すごいシュート回転だ。ってみんな楽しそうだね。
162結果:02/02/09 19:43 ID:CELCOj7J
「絶対、今の入ってないって。」
「入ったよ。なっち達の勝ちだもんなー。」「ねー。」
「えー。だって、今こう来たでしょ、でぇ…。」
勝負事では絶対引かないんだよな…梨華ちゃん。
「もういいよ、石川。矢口達の負けだよ。
 それより次シングルスやろうよ。」
まだやるんすか…。コレが卓球温泉地獄。

「あー。楽しかったぁ。やっぱごっちん強いね。」
「へへへ。でも汗ビショになっちゃったよ。」
「いぇーい。温泉行こーぜ、温泉。」
「そうだね。着替えとって来よ。あれ?梨華ちゃんは?」
「あ、私はもう持ってきたから。」
そう言って、梨華ちゃんと僕はその場に残った。
「あー、のど渇いた。ジュース買ってくるね。」
スリッパに履き替えた梨華ちゃんは、パタパタと駆けていった。
びっくりしたなぁ。みんなあんなに卓球が上手いなんて。
僕はその場の長いすに腰掛けた。
「ただいまー。よっと。」
梨華ちゃんは僕の隣に座った。僕は横目で梨華ちゃんを見る。
さっきまで卓球をしていたため、梨華ちゃんの顔は
少し上気している。汗ばんだ肌に張り付いてる髪の毛。
ジュースの缶にくっつけた唇。
やけにセクシーに見えるんだよなぁ。
163ジュース:02/02/09 19:44 ID:CELCOj7J
「ん?飲む?」
僕の視線に気がついたのか、梨華ちゃんはこちらを向いた。
さらに顔を近づける梨華ちゃん。
ジュースを飲むってコトはあれだよな。
この唇と間接キスするって、…この唇と。
「ええっと…。あ、うーん。」
僕は頭をポリポリかいた。
「ふふふっ。」
「え?」
梨華ちゃんは急に笑った。
「えへへ。一緒にいるとよくデジャヴ感じるの。
 今の台詞とか、頭ポリポリっていうのとか。
 でも当たり前なんだよね。前世で一度経験してるんだから。」
「梨華ちゃん…。」
そうだったよな。最近ちょっと忘れてたけど。
「はい。残りはあげる。」
梨華ちゃんは僕にジュースを渡した。
僕は何だか照れ臭くって一気に飲み干した。
………アレ?
「…梨華ちゃん、なんか盛った?」
「えっへへ。女の子がお風呂はいってる間は
 寝ててもらわないとね。ただ、ちょっと量は多いケド。
 じゃあね。ふんふふん。どんな温泉かなぁ。」

「あれ?梨華ちゃん、あの人は?」
「何か、疲れたからしばらく寝るって。」
梨華ちゃん…。そうだったよな。最近ちょっと忘れてたけど。
164温泉:02/02/09 19:45 ID:CELCOj7J
ううぅ。気持ち悪い。何かぐるぐるする。
とりあえず吐かなきゃ。
あー。悪酔いしたときより気持ち悪い。
でも、まだ死ねない。もしかしたら混浴かも…

僕は必死の思いで脱衣所まで来た。
ガッデム。混浴じゃないのか。
ひとまず僕は服を脱いで風呂場に入った。
ううぅ。こんな状態でお風呂に入っていいのかな。
「ちょっと石川ってば、太ったんじゃないのって。」
「失礼ですよ。ふっくらしただけです。」
「でも梨華ちゃん、胸大きいよねぇ。」
「ゴトーの胸もいい形ですよぉ。ほら。」
「わぁ。そんなん出してたら、さわっちゃうよ。」
いいんです。温泉さいこー。
あう。でもダメだ、気持ち悪い。オイ、しっかりしろ。
僕は顔を何度も壁に叩きつけた。…もういい、あがろう。

「うわっ、ちょっと鼻血出てるよ。」
「もしかして覗いてたんじゃないでしょうね。」
「ねっ、ゴトーの体どうだった?ナイスバディでしょ。」
僕は大の字で床に倒れたまま、何とか意識を保っていた。