ここでやれ

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1 
好きに使え
2名無し募集中。。。:02/01/05 12:39 ID:owBZqLQS
え?…2?お、俺が2だって?こ、この俺が2をゲットだって???
…やったー!!やった!2ゲットだよ〜!


      , -―- 、
    ////| | | | h.
   /////亅| | | | | | h.
  /////亅|亅|亅| |亅|.
  ( .| |/ (●.     (●.|)
  | | ||  ~"  ∪ ~゛ |   / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
  | | ||ゝ   ー―  /|  < あまり似てないけど後藤だよ〜
  | || | |/ゝ .__ /|.||   \_____________
  | | |ノ    ̄ ||~\||.|
3 :02/01/05 12:39 ID:xlszW1jp
3
4ねぇ、名乗って:02/01/05 12:42 ID:1O13zOKw
ブランキーjetシティの綺麗な首飾りのギターコードを教えてください。
5無名です ◆9ahjr0Bs :02/01/05 12:42 ID:syxcwryc
名無し募集中。。。
6ねぇ、名乗って:02/01/05 12:43 ID:pfUrRimv
新スレおめでとうございます!
7ねぇ、名乗って:02/01/05 21:55 ID:UBMQuUZY
>>1
厨房のアフォスレにバカカキコのことですか?
オレもひざびさにゲンナリ。奴らは年上をからかって勝手に優越感に浸ってますな。
サカキバラ聖斗予備軍です。
8書くよ:02/01/08 15:18 ID:DtO8LZSz
誰も使わないなら、短編小説書くぞ。
タイトル「来世のあの娘。とどっきんこ(w」
92000年秋:02/01/08 15:20 ID:DtO8LZSz
通りを歩いていた僕は、ふと足を止めた。
電気屋のテレビから賑やかしい音楽が流れている。
「…乙女…パスタに感動…?」
テレビの中で4人の女の子が踊っている。
「かわいいなぁ…」
そのときだった。不意に、黒い影が僕の横を通過した。
スッ…。ガッシャーン!!!
「な、何だ?」
すぐ足元を見ると、電気屋のライトが粉々に砕け散っていた。
「…アブねー。もう少しで死んでたな。」

これが、僕が初めてタンポポそしてモーニング娘。に興味を持った瞬間であり、
のちのち彼女と出会うこととなる原因であった。
102002年早春:02/01/08 15:21 ID:DtO8LZSz
「あーあ、年末年始なんの計画も無く終わったな。
 いい加減、一人も慣れたかもな。」
暇を持て余してる僕は、ビデオに手を伸ばした。
「デヴィの自転車にするかな…。」
ピンポーン。
と、チャイムが鳴った。
「はーい。…NHKの集金かな。」
どうせ紅白とPJしか見ないんだ払わなくても構わないでしょ。
ピポピポピポーン。
けたたましくチャイムが鳴る。
「はいはい、今行きますよー。」
ガチャッ
僕はすぐには目の前の光景を受け入れられなかった。

「どーもー。チャーミー石川の、孤独なあなたとどっきんこでーす。」
そこに立っていたのはホームビデオを構える
あの石川梨華だったのだ!
11ねぇ、名乗って:02/01/08 15:21 ID:j5G8yXcJ
12番組?:02/01/08 15:21 ID:DtO8LZSz
石川さんはたったか家の中に入っていくと、コタツの前にちょこんと座った。
「あー。いけませんねー。コンビニ弁当ですか。栄養が偏りますよー。」
「あ、あのー。」
石川さんは僕の事など気にもとめず、ビデオで撮影する。
「あ、あのちょっと。何なんですか、コレ!」
すると石川さんは僕にハガキを渡した。
そこには僕の字でハッキリと番組に応募する旨が書いてあった。
おかしい。書いた覚えなんて、まったく無いのに。
「はい。そこで、ジャジャーン!野菜たっぷり焼きソバー。」
「はい、アーンしてください。」
そういうと石川さんは、焼きソバを僕の目の前に突き出した。
その瞬間、僕の頭からすべての疑問は吹き飛んでいた。
そりゃそうだ。石川さんにアーンしてもらえるなら死んでもいい。
大きく口を開けると、石川さんは皿の上の焼きソバを全部口に押し込んだ。
「それでは、ちゃーおー。」
そう言うと、石川さんは小走りに僕の家を出て行ってしまった。
「むぐぐ…。せめて、サインでも…。」

もったいなかったけど、石川さんが帰ったあと
僕は焼きソバを全部、吐いてしまった。
トイレの匂い…と言えば分かってもらえるだろう。
13早い再会:02/01/08 15:22 ID:DtO8LZSz
ガチャガチャ…ガチャン
翌朝、僕はドアの開く音で目が覚めた。
目を開けると彼女が僕の方を見下ろしていた。
「い、石川さんっ?」
僕は驚いた。
が、それ以上に驚いていたのは石川さんの方だった。
「し、死んでない!?薬はかなり入れたはずよ。」
その顔はまさにホイ泥棒されたときと同じだった。

僕はまだ起きてない頭をフル回転させた。
「え、あの、どうしてここに…。」
「あ、いや。…ホラ、焼きソバの皿を忘れちゃって。」
「いや、どうやって入ってきたんですか?」
「えへっ、鍵、開いてましたよ。」
そう言って、ぶりっこポーズをとった瞬間、石川さんの袖口から
ポトリと鍵が落ちた。
「合い鍵ぃー!?」
合い鍵はいつも、ドアの前のサボテンの鉢の中に
埋めてあって、僕以外に知る人はいないはずなのに。
「えっとー、そのー。…いい理由が思い浮かばない。」
そう言うと、石川さんは台所へ行ってしまった。
「へ?」
台所から戻ってきた石川さんの手には、
ヌラリと光る包丁がしっかりと握られていた。
「こうなったら、実力行使!私のために死んでください。」
そう言うといきなり僕のほうに突進してきた。
14タカハタさん。:02/01/08 15:23 ID:rnwE1lri
#########かごあい
15アゲアラシ:02/01/08 15:23 ID:Qe73obV/
なつかし画像あげ
16刺客!?:02/01/08 15:29 ID:DtO8LZSz
「ちょ、ちょっとタンマ!」
「やー。とー。たー!」
相手は女の子とはいえ刃物を持っている。
僕はじりじりと窓際に追い込まれた。
「ちょっと、何のいわれがあってこんなことをするんですか?」
「あなたがいると私が困るんですっ!!」
石川さんは両手を振りかざした。
ヤバイ!とっさに僕は腕で体をかばった。
……しかし、いつまでたっても次の一太刀は振り下ろされなかった。
僕は恐る恐る薄目を開けた。
石川さんはこわばったまま動かない。
「ピヨピヨピヨ。」
「ピヨ助!」
石川さんの視線の先にはピヨ助がいる。ベランダで飼っているひよこだ。

あっという間に形勢は逆転した。僕はピヨ助を両手で掴むと石川さんに突きつけた。
「ちょ、いや、やめてください。」
石川さんは包丁を放り投げて逃げようとしたが、
今度は僕が石川さんを部屋の隅に追い込んだ。
「あのー、何で僕が狙われなきゃならないんですか?」
「言います。言いますから。近づけないで、お願い。」
石川さんはもうメロメロになってしまっていた。
17コタツ:02/01/08 15:30 ID:DtO8LZSz
「あのですね…」
石川さんと僕は向き合ってコタツに入っている。
無論、僕の手の中ではピヨ助がモゾモゾ動いている。
「驚かないでくださいよ。私の前世はあなたなんです。」
「え?」
「だからぁ、あなたが死んで、私になったんです。」
「いや。僕はまだ生きてるんですけど。」
「そうなんですよねぇ。」
はあっ。とため息をついて石川さんは続けた。
「あなたは去年死ぬはずだったんです。電気屋さんのライトが
 頭にぶつかって。そして私が生まれるはずだったんです。」
「え、でも、僕がいる時代に、僕の来世がいて…?」
僕は、何だか頭が混乱しそうだった。
18説明口調:02/01/08 15:31 ID:DtO8LZSz
「輪廻は時代を選ばないんです。ただ、とっても近い輪廻だったんで
 あなたの記憶は丸っきり残ってたんです。」
「それで、鍵の場所やハガキの文字も…。
 でもなんで、それで僕が死ななきゃ…?」
「あなたがあの時死ななかったから、あなたの魂はそろそろ
 別の輪廻対象を探してるんです。で、私の体にも変調が出てきてるんです!」
―うーん、なんだかなぁ。
「で、その変調って?」
「例えば、あなただった頃の記憶が薄れたり…。
 だからお願い死んで下さい!!!」
石川さんがふところからスタンガンを出すより先に
僕のピヨ助が石川さんの顔に向かって飛んだ。

「きゃああ!」
「もう、何で死んでくれないんですかー。
 あなたが死なないから、私、私…。声まで変になったきたんですよー!!!」
「そんな、ムチャクチャなー!」

それから、僕の命を狙う石川さんとのおかしな生活が始まったんです。
モーニング娘。の他のメンバーまで巻き込むこととなるなんて
この時、誰も思いもつかなかった。           つづかない
19アゲアラシ:02/01/08 15:33 ID:Qe73obV/
おわるの?
20モーオタ。:02/01/08 15:34 ID:JVP5tF6L
のんのんのあいこらありますか??
21名無し天使:02/01/08 15:38 ID:5zOsTon2
藤子F不二雄の漫画でそんなのあったね>輪廻は時代を選ばない
22アゲアラシ:02/01/08 15:39 ID:Qe73obV/
たくさん持ってます
23ラウンジャー葱:02/01/10 21:39 ID:yyYLeTl5

〇     o

                   。                        o
                   〇〇

             〇        o   o
              oo    。。 〇                     o
                        
24ラウンジャー葱:02/01/10 22:02 ID:yyYLeTl5
     。         o
       。
                                               。

 o   〇  。                           〇

   〇
     〇
           〇
                                o     o
     〇

   〇〇            〇
                    〇   。
              〇    。               
25ラウンジャー葱:02/01/11 20:26 ID:D6fvTt9G
     ___
    /     \     ________
   /   ∧ ∧ \  /
  |     ・ ・   | < 氏ねよおめーら
  |     )●(  |  \________
  \     ー   ノ
    \____/
26ねえ名乗って:02/01/14 11:34 ID:GHwlVD1C
おもしろそうだから、
「来世のあの娘。とどっきんこ(w」 保全中
27書くよ:02/01/15 02:14 ID:njAxW0ZF
>>26サンクース
もうちょこっと書かせてもらうYO!
28増員:02/01/15 02:17 ID:njAxW0ZF
ピンポーン。
チャイムが鳴る。
ピポピポピポーン。
…はぁ、すぐに誰だか分かる。
どうしよっかな…。出たら、また面倒なコトになりそうだ。
でも石川さんに会えるんだ。出ないわけがない。
「はいはーい、ちょっと待ってください。」
そう言って立ち上がったときだった。
ガチャガチャガチャ…。ガチャン!
ドアは勝手に開いてしまった。
…そうだった。合い鍵を持ってかれたんだった。

「なんだ。いるじゃないですか。…えへっ。来ちゃった。」
やっぱ、か、可愛い。当たり前だ。天下の石川梨華だもんな。
僕はかなりの間、石川さんに見とれていた。
気がしたのだが、ほんの一瞬だったらしい。
すぐ次の言葉で我に返ったからだ。
「どーもー。こんにちわー。」
そう、玄関にはもう一人立っていた。
「よっす…、吉澤さん!?」
石川さんに続き入ってきたのは、誰あろう吉澤ひとみだった。
「あ、よっすぃーでいいっすよ。」
ともすると、僕は馬鹿みたいな顔をしていたかもしれない。
29真っ赤な:02/01/15 02:20 ID:njAxW0ZF
「石川さん、これって…。」
「なに、梨華ちゃん、石川さんて呼ばれてんだ?」
「う、うん。」
「梨華ちゃんは、梨華ちゃんの方が自然だよ。」
テレビで見ていたように、よっすぃーは
なんと言うか…、積極的な感じだ。
「…じゃあ、梨華って呼んでください。」
なんか、どんどんヘンな関係になってく気がする。

「あの、で。梨華ちゃん…。なんで、よっすぃーがうちに?」
「いやぁ。私がピヨ助見たいって言ったんですよ。」
「よっすぃーにこないだのコト言ったら、
 どうしてもって…。」
こないだのコトって。…あんなことよっすぃーに言ったのか?
「おおっ。かっけー!ホントにベランダに住んでるぅ。」
よっすぃーは窓際で歓声を上げている。

「でも、優しいんですね。」
「え?」
「逃げ出した縁日のひよこに囲まれて困ってる
 梨華ちゃんを助けてあげて、その上
 その中で怪我してたピヨ助も拾ってあげるなんて。」
「ええ?」
梨華ちゃんはニッコリこちらに微笑んだ。
「この間は、ありがとうございました。」
梨華ちゃんって、やっぱりとんでもない娘。だ…。
30散歩:02/01/17 01:26 ID:+PFM9YJb
「ほらほら、見てよ梨華ちゃん。
 ピヨ助、私の手の上歩くんだよー!」
「うん。かわいいね。」
多少顔は引きつってはいるものの、
梨華ちゃんはよっすぃーに笑顔を見せた。
…なんかいいなぁ。こういうの。
僕はふと思いつき、よっすぃーの横にかがむと
人差し指にピヨ助を乗せた。
「見ててよ、いい?」
クイと手首を返すと、ピヨ助はクルンと宙返りをした。
「すーげー。ピヨ助ぇー!」
「ホント。すごーい。」
よかった。二人とも喜んでくれたようだ。
よっすぃーなんて、かっけーを連発している。

「そうだ、よっすぃー。ピヨ助とお散歩行ったら?」
いきなり梨華ちゃんがそう提案した。
「ええっ。いいんですか?」
僕の顔を覗き込むように見るよっすぃー。僕は即答した。
「うん。もちろん。」
「まぁじでー!?やったー!行くぞっ、ピヨ助。」
よっすぃーは嬉々として玄関へ走った。
「行ってきまーす!ピヨ助、ミミズ食べるかなぁ。」
31二人:02/01/17 01:27 ID:+PFM9YJb
ガチャン。
ドアが閉まると、徐ろに梨華ちゃんが口を開いた。
「やっと、…二人きりになれたね。」
「え?ええ?」
梨華ちゃんはコタツの横に正座してうつむいている。
僕が呆然と立っていると、梨華ちゃんは黙りこくったまま
綺麗にラッピングされた包みをコタツの上に置いた。
…何かを伺うように、梨華ちゃんは顔を上げる。
その場の空気にたまらなくなって、ついに僕が話しかけた。
「あのっ。コーヒーでもいれるよ。」
「待って!」
梨華ちゃんは遮った。包みを解くと中からは重そうなビンが出てきた。
茶褐色のビンには、コルクのような栓がしてある。

キュポン。
快い音と共に栓が開いた。
梨華ちゃんはニコリと笑って…そして
思いっきりビンを振った。
バシャァ。
中の液体が僕の服を濡らした。
「ま、まさか…梨華ちゃん?」
「そう。…強酸。」
うれしそうに梨華ちゃんは微笑んでいた。
「何か…、前より惨忍じゃない?」
「だって、なかなか近づかせてくれないし。だからまずは弱らせて…。」
ハハッ…僕も笑うしかなかった。
32液体プレイ:02/01/17 01:28 ID:+PFM9YJb
とはいえ、まずいよな。
酸で体がすぐに融けるわけではないが、
このままだと服が体に張り付いて大火傷か…。
僕はすぐに上着を脱ぎ捨てた。
「きゃっ。」
梨華ちゃんは少し顔を赤らめたが、
目はしっかりこちらに向いていた。
まぁ、彼女の話が本当なら、前世の自分の裸だからな。
「梨華ちゃんやる気満々だね。」
僕は、梨華ちゃんがビンを取り出した鞄の中に
もう一つ別の包みを見つけていたのだ。
形からしてナイフっぽい。
「うん。梨華がんばる。」
いたずらっぽく微笑んで、ビンをチャポチャポ揺らした。
絶体絶命だった。とっさに服を脱いだけど
よく考えれば、酸を直に浴びるわけにはいかない。

「おおさぶー。梨華ちゃんマフラー貸してー。」
張り詰めた空気を破ったのは、玄関からの素っ頓狂な声だった。
33勝負の行方:02/01/17 01:29 ID:+PFM9YJb
よっすぃーは、しばらく状況がつかめていないようだった。
が、はっとして叫んだ。
「ちょっとぉー!梨華ちゃんに何してんのよー!」
「え?」
「よ、よっすぃー?」
梨華ちゃんもぼくもキョトンとしていると
よっすぃーは、真っ直ぐ僕のほうに歩いてきた。
「こーの、変態!!」
よっすぃーはピヨ助を床に置き
しっかりグーを握ると、僕の顔を遠慮なく殴った。
グシャァ。
その場に崩れ落ちる僕。ていうか、よっすぃー…強い。
「帰ろ。梨華ちゃん」
「ちょ、ちょっと待って、よ…よっすぃー。」
梨華ちゃんを半ば引きずるように、よっすぃーは部屋を出て行った。

これって、助かったんだろうか…。
頬をさすりながら僕は、本気で鍵を変えることを考えていた。
                                   つづくかも
34名無し募集中。。。:02/01/18 16:41 ID:LWh5uIgl
続けて
35書くよ:02/01/18 18:34 ID:Aq5Lq+qp
>>34サンクース
正直、誰も読んでないかと思った。
36お誘い:02/01/18 18:35 ID:Aq5Lq+qp
昨日はいつもと少し違ったアプローチがあった。
「明日、デートしましょ。
 …じゃあ場所はモナーランドでいいですか?」

その電話に僕は完全に舞い上がっていた。
梨華ちゃんとデート…。
今までに何回か会ったけれど、デートといえば意味が違う。
すっかり、命を狙われていることも忘れてしまっていた。
そして、もう一つ忘れていたこと…
待ち合わせ時間の変更だ。
早すぎると思うんだけどな。梨華ちゃん。
モナーランドのゲートの前にいる僕。僕の周りには人っ子一人いない。
大きなからくり時計は6時を指していた。…朝の。

「ゴメンなさ―い。準備に手間取っちゃって。」
小走りにかけながら、梨華ちゃんが現れた。
変装のためか、帽子を深めにかぶり黒ぶちの眼鏡をかけている。
淡いピンクのパーカーに、オレンジのボックスプリーツのスカート。
抜群にかわいい。
それにしてもまだ6時半か…。
「これからどうしよっか?どっか行く?」
「いやっ。」
「でも開園は8時だよ。」
「待ってるの。」
…まぁ、いいか。ずっと梨華ちゃんと話していられるし。
37待ち:02/01/18 18:36 ID:Aq5Lq+qp
「何かほっぺた汚れてるよ。」
梨華ちゃんの顔には、油汚れがスジになっていた。
「あ。ありがとう。」
梨華ちゃんは、僕が差し出したハンカチで無邪気に顔を拭く。
でも、ホントにこの娘。の前世が僕なんだろうか。
やっぱりそんなこと簡単に受け入れられるわけない。

「ねえ、僕の記憶、どれくらいあるのかな?」
梨華ちゃんはしばらく黙っていたが、口を開いた。
「最近は、けっこう飛んじゃったかな。
 生まれてから徐々にこの体にも慣れて、いろんな経験もして
 けど、記憶は丸々あって、癖とか筆跡、歌い方、
 とにかくやっぱり『僕』だった。」
歌い方っても…。まぁ、カラオケは嫌いじゃないけど。
「でも、あなたが死ぬはずだった日から
 『僕』の記憶はどんどん薄れて『私』になっていって…。」
「……。」
「分かる?自分の記憶が消えてくの。すごく、…怖いの。」
梨華ちゃんは一瞬切なそうな顔を見せた。
そして、そのあと不敵に笑った。
「行こ。ホラ、門が開いたよ。」
38モナーコースター:02/01/18 18:37 ID:Aq5Lq+qp
平日でしかもまだ朝早い。
少しさびれた遊園地は、貸し切りと言ってよかった。
だけど、梨華ちゃんは一直線にコースターを目指した。
「ホラァ。早く。一番に乗るんだから。」
梨華ちゃんは僕の手を取ると、グイグイ引っ張っていった。
よっぽど好きなんだなぁ。ジェットコースター。
僕は梨華ちゃんの手の感触をかみしめていた。

「よしっ。一番乗り!
 後ろが一番、無重力感じるんだよ。」
そう言うと僕を一番後ろの席に押し込み、
梨華ちゃんは僕の隣に座った。
やたらはしゃいでいる梨華ちゃんは、子供っぽくって可愛い。
数人が僕たちの前に乗る。そして発車のベル。
プルルルルルル…。
そこで初めて、僕は異変に気づいた。

僕の安全バー、グラグラだっ!!
「準備に手間取っちゃって。」
隣を見ると梨華ちゃんが小さくピースをしていた。
ガタンッ。小さなゆれも大きく感じる。
無情にも、コースターは動き始めた。
39書くよ:02/01/19 02:15 ID:YBgWXIdh
ドンタコス食おうとしたら、買ったのがドリトスだった。
とりあえず、石川誕生日age
40絶叫マシン:02/01/19 02:16 ID:YBgWXIdh
ガタン、ガタン、ガタン、ガタタタタタ…
やばい。もう最初の傾斜を上りだした。
「ちょ、誰か。誰か助けてー!」
力いっぱい叫んでいるが、誰一人振り向きもしない。
そうか、このための後ろの席か…。
「この瞬間が一番ドキドキするのよねー。」
梨華ちゃんはのんきにそう言った。
覚悟を決めた僕は、グラグラのバーを握って空を仰いでいた。
ガタン。
一瞬、コースターの動きが止まる。
そしてシートは前から徐々に、僕の視界から下へ消えていった。
ヒュウッ。と風をきる音が聞こえて
僕の手はバーごと跳ね上げられていた。
四肢をビンと踏ん張り、浮きそうになる体を必死におさえつけた。
「わーーーー!マジで、マジで。た、たす…」
僕の声は、他の人の悲鳴に混じって誰も気づかない。
無理だ。これを最後まで乗り切れるわけがない。

すぐさま今度は、体に重力がかかる。
押し付けられる体を持ち上げるわけにもいかず
四肢の緊張を解いたため、逆に振り落とされる恐怖を感じる。
体幹は緊張し、どっと汗が噴き出すのが分かる。
そして目の前の光景を見たとき、本当に死を覚悟した。
大きなループがそこにそびえ立っていたのだ。
ベルトなしの宙返り。ギネスものだ。
41負担増、幸福増:02/01/19 02:17 ID:YBgWXIdh
「もう一回、乗る?」
僕はガクガクいう体を何とかシートから運び出すと
力なく首を横に振った。
それを確かめると、梨華ちゃんは係員に駆け寄った。
「すみません。何だか、あの席壊れてるみたいなんですけど。」
僕は、一層の脱力感を感じた。

「案外だらしないんだからー。
 私なら12回は乗れますよー。」
梨華ちゃんは僕の2、3歩前を後ろ向きに歩く。
僕はといえば、手をひざにあて、まだ歩くのでいっぱいだ。
「どうしましょうか。次、何乗ります?」
そう言いながら僕を笑顔で見つめる。
最っ高にかわいいんだけどなー。
僕は、ハアァとため息をつくと、やっとの思いで背筋を伸ばした。
少し広がった視界に、向こうから歩いてくる二つの影が見えた。
「あ。梨華ちゃん、前、前。」
ドサァッ。
案の定、後ろ向きの梨華ちゃんは二つの影にぶつかった。

「あいたたた、すみませんー。」
「ほんま、ちゃんと前見て歩いて欲しいわー。」
「いてて。まぁ、私たちもよそ見してたんれすけどねー。」
…聞き覚えのある声が耳に入ってきた。
42Wデート:02/01/19 02:18 ID:YBgWXIdh
「ちょっとぉ。あいぼんにののじゃないの。」
「あー、そういう自分も梨華ちゃんやんー。」
「二人とも、学校はどうしたの?」
「たまには休まんとあかんなぁって。」
「梨華ちゃんこそ、お仕事はどうしたんれすか?」
「私は今日はオフなの。」
壮絶なトークが繰り広げられるのを、
僕は呆然と見ていた。それにしても華やかだ。

「あ。」
そうこうしていると、僕とあいぼんの目が合った。
「ねぇねぇ、梨華ちゃん。」
あいぼんは、梨華ちゃんの袖を引っ張りながらこちらを見る。
「もしかして梨華ちゃん、デートぉ?」
辻ちゃんの声に、とっさに梨華ちゃんは答えた。
「違うって、この人は従兄弟なの、イートーコ!」
ええ?僕の立場ってすぐに変わってしまう。
「どうも、従兄弟です。」
僕は頭をかきながら答えた。

「それより二人とも、学校休むのはいいけど
 ちゃんと変装しなきゃ。」
確かに、二人はニットの帽子にスカジャン、
デニムのハーフパンツのおそろいの姿で、
よく見ればすぐに分かってしまう。
もうっ。つぶやきながら、梨華ちゃんは鞄から何やら取り出した。
43名無し募集中:02/01/19 03:06 ID:GyRcvVX0
続きまだ?
44名無し保全中。。。:02/01/20 00:22 ID:tZWRU0ly
マイペースでどうぞ>作者
45カトケン:02/01/21 01:55 ID:K7Lw9oVT
「もう。二人ともしょうがないんだから。」
梨華ちゃんは二人に眼鏡を渡す。
「なんじゃあ?こりゃあ。」
「これってもしかして、鼻メガネー!?」
そう、眼鏡には鼻と、ご丁寧にチョビヒゲまでついていたのだ。
とりあえず、二人は鼻メガネをかけてみる。
「ヒゲだね…。」
「うん。ヒゲだぁ…。」
辻ちゃんとあいぼんは、お互いの顔を見合わせる。
「こんなんかけれるかー!」
一瞬の間の後、辻ちゃんはメガネを投げ返した。
ウド顔やってる辻ちゃんにも羞恥心はあるようで。

「困ったなぁ…。あとはアフロぐらいしかないよぅ。」
梨華ちゃんは、本当に困り顔で鞄を探っている。
僕はそんなに天然じゃないんだけど。
本当に僕の来世なのかな、僕はプと吹きだしてしまった。
46レンタル:02/01/21 01:56 ID:K7Lw9oVT
「ところで梨華ちゃん。このお兄さんて
 イトコさんなんれすよね。」
唐突に辻ちゃんが切り出した。
「デートじゃないんなら、ちょっとお借りしていいれすか?」
「え?」
その言葉に、その場のみんなが驚いた。
「らって、いっつもモーニングの中でしか遊ばないし…。」
梨華ちゃんの顔からは、明らかに困惑の色が見てとれた。
「え。…でも…。」
「ハイ!うちも!!」
梨華ちゃんの言葉を遮るように、あいぼんが手を挙げた。
梨華ちゃんはますます困った顔をしたが、
ふうっ、とため息をつくと答えた。
「しょうがないわねぇ。じゃあ30分ずつよ。」
「わーい。やったのれす。」「えへへ…。」

「じゃあどっちが先か、じゃんけんしよか?」
「じゃーんけーん、ぴょん!」
結果はあいぼんがチョキで辻ちゃんがパーだった。
「あ、あの…。」
「じゃあ、私とののは向こうで遊んでるから。」
結局、僕の意見が聞かれることはなかった。
47方言:02/01/21 01:56 ID:K7Lw9oVT
「よろしくお願いします。」
あいぼんは僕に向かってペコリとおじぎした。
「あ、こちらこそ。じゃあ…。どこ行こっか?」
「えっとぉ。…ココでいいです。」
「え?ココ?」「はいぃ。」
いつの間にか、あいぼんは標準語になっていた。
「ココって…何もないよ?」
「いいんです。30分経つのを待ちます。」
どうもわけが分からない。すると僕の顔を察して
あいぼんは聞いてきた。
「お兄さんは梨華ちゃんのイトコじゃないですよね?」
「うん。……って、え?」
「ののがお兄さんを借りたいって言った時ぃ、
 梨華ちゃんの顔見てました。彼氏をとられたくないって顔。」
違うんだけどなぁ。多分、僕を殺す機会が減るからだと。
「ののはきっとお兄さんのコト、一目惚れしたんです。」
「ええっ!?」
「でぇ、梨華ちゃんはお兄さんをののに渡したくなさそうだしぃ
 私が手挙げたら、子供の気まぐれって思ってくれるかなって。」
「えええっ!?」
「だから、30分待ちます。」
4830分:02/01/21 02:41 ID:K7Lw9oVT
なんだって。辻ちゃんが僕を好きで、
それを助けるためにあいぼんが手を挙げたってコト?
「でも…。」
「えぇぇ。気にしないでください。」
あいぼんは笑って、顔の前で手を振った。
「そうだとしても、もったないよ。時間。
 ね、あいぼん。…でいいかな?」
「あ、はいぃ。あいぼんで。」
「30分あるからには楽しも。どこがいい?」
あいぼんはうつむいたあと、照れ臭そうに答えた。
「…じゃあ。…コーヒーカップ。」
僕らはコーヒーカップに向かって歩き出した。

「手ぇ、つなぐ?」「あ、はい。」
ハハハッ。
「え、何がおかしいんですか?」
「だってあいぼん、鼻メガネかけるの?」
あいぼんはいそいそとさっきの眼鏡をかけている。
「いやぁ、梨華ちゃんの言うことも一理あるかなぁっ…て。」
「でも鼻メガネぇ?」
「えへへへへ。」
周りから見るとカップルっぽく見えてるのかな。
49選手交代:02/01/21 02:42 ID:K7Lw9oVT
「楽しかったね。」
「そうですね。…あ、もうこんな時間。」
あいぼんはトテトテと前に駆けてくと
クルッと振り返った。
「お兄さんって優しいんですね。歩くときも
 ずっと、人ごみから加護を守る位置に立ってくれてたし。」
微笑んで、首をコクッと傾けると
「うちまで、お兄さんのコト好きになってしまいそうや。」
そう言って、跳ねるようにまた向こうを向き走り出した。

「ほら、ののー。あんたの番やでー。」
「おおっ。そうだった。」
振り返った辻ちゃんは
あいぼんと入れ替わりにこっちに走ってきた。
「お兄さーん。」
鼻にソフトクリームをつけて満面の笑みだ。
「じゃ、行きましょー。」
50鼻先:02/01/21 23:34 ID:K7Lw9oVT
「じゃあ、どうする?…辻ちゃん。」
「希美って呼んでくらさい。」
「の…のちゃん。どこ行こうか?」
「えーー。」
ののちゃんは少し膨れると答えた。
「しょうがないれすね…。じゃあ、観覧車ー!」
ののちゃんは僕の手を掴むと歩き出した。
何かプニュプニュしてるな。ののちゃんの手って。
それで、とっても温かい。
「行こ。梨華ちゃん。コーヒーカップ乗ろ。」
「う…うん。」
後ろから梨華ちゃんとあいぼんの声が聞こえてきた。

「ところで、ののちゃん。鼻についてるよ。」
僕は、鼻を指差した。
ののちゃんは鼻を触ると、手についたソフトクリームを見る。
そして少し考えた後、ののちゃんは笑顔で顔を突き出した。
「なめてくらさい。」
ええっ。僕は答えに詰まった。
「のののこと嫌いれすか?」
ののちゃんは少し目を潤ませている。
き、嫌いっていうか。無理でしょ。
51観覧車:02/01/21 23:35 ID:K7Lw9oVT
「じゃあ。目つぶって。」
「は、はい。」
ののちゃんはきゅっと目を閉じた。
「はいはい。観覧車行くよ。」
僕はののちゃんの鼻をつまむとそのまま引っ張っていった。
「あー。ずるいー。」
「知らない。知らない。」
ふー。いくら年が離れているとはいえ
あいぼんもののちゃんも抜群に可愛い。
お兄さんぶっても、気を抜くとすぐに振り回されてしまいそうだ。

「わーい。観覧車ぁ。」
ののちゃんは、よっぽど観覧車が好きらしい。
「ほら、あいぼんと梨華ちゃんがあんなに小さいよ。」
「うん。そうだね。」
降りるまでの5分ほどずっとはしゃぎっぱなしだった。

「じゃあ、次何乗ろっか?」
「観覧車ー!」
「え、またぁ?」
「うん。ずっと観覧車ね。」
52密室:02/01/21 23:36 ID:K7Lw9oVT
もうだいぶ時間もなくなってきたけど、
まだ僕たちは観覧車に乗っていた。
「ねぇ。お兄さん、そっち座ってもいいれすか?」
ののちゃんは照れながらそう言った。
「傾くから駄目ぇ。」
「もういいのれすっ!」
ののちゃんはぷくうっと頬を膨らませると、
そっぽを向いてしまった。
僕は、頬づえをついてそんなののちゃんをじっと見ていた。
すると、ののちゃんはゆっくり顔をこちらに向け
上目使いに言った。
「き、キスしていいれすか?」
「ほげ!?」
「いいれすか?」
ののちゃんはうっとりとした顔をしている。
さっきからずっと見ていて分かったんだが、
どうやらののちゃんは『恋』をしてみたいようだった。
「…。じゃあ、…ほっぺたにね。」
僕は、受け入れることにした。まんざらでもないし。
53石川と加護:02/01/21 23:37 ID:K7Lw9oVT
「なぁ、梨華ちゃん。もうそろそろちゃう?」
「うん。そうね。行こっか、あいぼん。」
二人はコーヒーカップを後にした。

「そっれにしても、ええ天気やなー。…あ!」
「あ?」
梨華ちゃんはあいぼんの目線の先を見た。
「いやいや、ちゃうねん。ええ天気と違って…
 そ、そうや。ほら可愛いやん、モナーちゃん。」
必死に取り繕ったが、遅かった。
「あ。」
梨華ちゃんはしっかり見てしまっていた。
僕にののちゃんがキスしているところを…。

ガシューン。
観覧車が地上についた。すかさずののちゃんが言う。
「ねぇ。も1回乗ろ。」
僕が答えようとしたときだった。
「ののぉ。もう時間じゃないのぉ。」
梨華ちゃんがこっちへやって来た。
「違うもん。まだあと二分あるもん。」
「でも、二分じゃココまで戻って来れないでしょお。」
なんか梨華ちゃん、いつも迫力が違う。
「のの。素直に聞いといたほうがええと思うで。」
「いーだ。」
あいぼんの忠告も聞かずに、ののちゃんは僕を観覧車に引っ張った。
54石川と加護2:02/01/22 00:44 ID:9MidaMqe
観覧車が途中まで上ったときだった。
地上ではこんなやり取りがなされていた。

「ちょ、ちょっと梨華ちゃんどこ行くん?」
梨華ちゃんは黙ったまま、観覧車の制御室に向かった。
「観覧車、止める気なん?やめといた方が
 ええって。二人の時間伸ばすだけやで。」
その声が聞こえていないのか、梨華ちゃんは
そのまま中へ入った。
ドカ。…その音と共に倒れる係員。
観覧車は止まった。

「アカン。梨華ちゃん、キレてもうた。」
あいぼんが頭を抱えて、次に見たとき
梨華ちゃんは観覧車の柱をよじ登っていた。
「梨華ちゃん、パンツ見えるでー。戻ってきー。」
何を言ってももう無駄だった。
55キレた:02/01/22 00:45 ID:9MidaMqe
ゴンゴンゴン。
僕が音をしたほうを見たときだった。
ガッシャーン。
なんと梨華ちゃんが窓から入ってきたのだった。
「うふふふ。ののぉ、二分たったわよぉ。」
「り、…梨華ちゃん。」
「ここからは、私の番だからねぇ。」
そう言うと梨華ちゃんは僕に腕をからめた。
「さっきから、あなたがあいぼんやののと
 イチャついてるのを見て、胸が苦しくなっっちゃった。
 一瞬、恋かなって思ったけど、今分かったの。
 昔の『僕』がモテてるのがムカついてただけなのよ。」
「梨華ちゃん、何いってるんれすか?」
ののちゃんは涙目になっていた。
「それにしても、退屈ねこの絶叫マシン…。」
そう言うと、すっくと立ちあがった。
梨華ちゃんは壁に手を当てると、
全身を使って観覧車を揺さぶりだした。
「ちょ、ちょっと梨華ちゃん何するの。」
「梨華ちゃん、やめるのれすー。」
「うふふ。これっくらいじゃなきゃね。」

「り、梨華ちゃん。やっばぁ、なんとかせな。」
地上のあいぼんは、観覧車を動かした。
一周して戻ってきた僕らは腰が立たなくなっていた。
一人を除いて。
「じゃ。次はお化け屋敷に行こっか。」
梨華ちゃんは僕を見て微笑んだ。
56書くよ:02/01/22 00:50 ID:9MidaMqe
ちょっとだけでも読んでくれてる人皆さんありがとう。
次回の更新は金曜くらいになりそうです。
あと、遅すぎるけどヤグオメ。
57名無し募集中。。。:02/01/22 04:20 ID:zRhb4B1t
俺は毎日チェックしてる
楽しみにしてるからね
58書くよ:02/01/23 11:30 ID:aG+xvrq3
>>57マジデ、ウレスィ・・
自ら保全。
59たまよですうっひょ:02/01/23 12:43 ID:Ka/zfwLD
おもしれ!おもしれ!おもろ!
60たまよですうっひょ :02/01/23 13:02 ID:Ka/zfwLD
全部読みました。うますぎですこのやろう
61名無し募集中。。。:02/01/24 01:24 ID:eAGIachK
はじめて見た。意外に良いね。
621月24日:02/01/24 01:37 ID:6eeaKPeS
どうやらこのレスを建てた>1は
http://tv.2ch.net/test/read.cgi/ainotane/1010310713/
の>1もよう。
タイトル名省いたから趣旨が逸らされてやんの。みんな、ここにいってわらってくれ。
63名無し募集してないのれす。。。:02/01/24 01:46 ID:DsbCK0lO
おもしろかたよ
金曜期待してるよ
64名無し募集中。。。:02/01/24 01:53 ID:BiLoZSKS
おもろいでー
65書くよ:02/01/24 18:20 ID:U0CmBnEe
>>59>>60>>61>>63>>64サンクース
こんなにレスもらってうれし泣きしそうだ…
金曜日のほうが忙しそうになったので、早めに更新するYO!
66罠?:02/01/24 18:21 ID:U0CmBnEe
それにしても、すごい1日だよなぁ。
さっきまで、あのあいぼんとののちゃんと
一緒に遊んでたんだよな。
しかも僕のことを悪くは思ってないようだったし。
そして今、横にいるのは石川梨華ちゃん!
僕はブルブルッと身震いした。
…幸せ過ぎるー。
さっき僕を好きと勘違いしたって言ってたけど
『僕』の記憶ってそれ程薄れたんだろうか。

考えていると、梨華ちゃんは僕を見ながら言った。
「ホラホラ、こっちー。」
おどろおどろしいお化けの看板の下で、手招きしている。

「作り物だって分かってても…」
僕が口を開くと、梨華ちゃんが続けた。
「入るときはちょっと緊張しちゃうよねー。」
二人とも、顔を見合わせてにやりとした。
当たり前かもしれないが、僕と梨華ちゃんの意見は
かなりの部分で一致する。
「じゃあ、行こっか。」
ただ、今日はいつも以上に緊張している。
何せ中は真っ暗。罠に入っていくようなものだもんな。
67作り物の:02/01/24 18:22 ID:U0CmBnEe
すうぅと生暖かい風が頬の辺りを通り過ぎる。
次の角を曲がったら、今は背中に感じる入り口の光も
見えなくなってしまうんだろうな。

歩みを進めていくと向こうに、ほの赤い光が見える。
その中で、不気味に廃屋の模型が建っている。
「いよいよっぽいね。」
僕が言うと、梨華ちゃんはコクンと頷いた。
廃屋の前をそろりそろりと通る。瞬間!
ガタガタガタガタ!!
廃屋の中から、いかにもという着物の女が現れた。
「のわー。」「キャッ。」
僕は、つい出てしまった悲鳴を何とか誤魔化そうと
わざとそのあとのリアクションを大げさにとった。
「わー、わ、わー。びっくりしたっと。」
駄目なんだよなぁ、ホントに。こういうのだけは。
でも、それは梨華ちゃんも同じらしく
いつの間にか僕たちは腕を組んでいた。
68暗闇の中で:02/01/24 18:22 ID:U0CmBnEe
ラッキー!!
下手をすれば僕は小躍りしていただろう。
右腕にじんわりとと伝わる梨華ちゃんの体温。
服が当たっているだけだろうけど
考えてしまう梨華ちゃんの胸の…
いや、違う違う。断じて違う。
うれしいのは、こうして二人がぴったり
くっついているために、容易には梨華ちゃんが
攻撃してこられないということなのだ。
何か落下物にしろ、薬品にしろ
梨華ちゃんが巻き添えを食うことになるからな。

そんな僕の考えなどお構いなしに
梨華ちゃんははしゃいでいる。
「ホラホラ見てみて。やっぱここだぁ。
 ホラ、ね。センサー。」
ブシューーーーー。
梨華ちゃんが足を前後に動かすたびに、
床から白いガスが勢いよく噴射される。
「へぇー。そんなとこにあったんだ。」
「うん。すごいでしょ。」
僕らはさらに奥を目指していった。
そのときだった。
69本物の?:02/01/24 18:29 ID:U0CmBnEe
「きゃーーーーーーー。」
後ろからものすごい勢いで悲鳴があがった。
僕らはすぐさま後ろを振り返る。
さっきの床からガスが噴出している。
二人ともそこを凝視して動かなかった。
ガスが晴れる。そこにいたのは…

そこには…誰もいない!?
「確かに…ねぇ。」
「うん。聞こえたよぉ。」
「も、もしかして…。」
「本物の…オバ、オバ…」
「待って。ちゃんと確かめようよ。」
僕が隣を見るとすでに梨華ちゃんはいなかった。
通路の先を全速力で走ってる梨華ちゃんの後ろ姿。
「ちょ、ちょっと待ってよー!お、おーい!」

少し走って、わりと拓けたところに出た。
ぐるりを柵に囲まれた場所。
どうやら柵の向こうにいるのは落ち武者のようだ。
それにしても、梨華ちゃんどこまで行ったんだろ。
70足、速い:02/01/24 18:33 ID:U0CmBnEe
「はぁっ、はぁっ。よかった。ここにいたんだ。」
「梨華ちゃん!」
通路の先から、息を切らせながら梨華ちゃんが戻ってきた。
「危なく通り過ぎるところだったぁ。」
「え、何って?」
「ううん、何でもない。それより知ってる?」
梨華ちゃんは胸に手を当て息を整えた。
「ふー。あのね。昔、ここって戦場だったの。
 それで、多くの人が亡くなったんだって。」
「ちょ、ちょっと待ってよ。」
さっきの今で、そんな話ぃ!?
「男の人も。それに…女の人も。」
それって、さっきの幽霊のこと…?
「その人達の怨念のせいで、この中にある模造刀のうち…」
梨華ちゃんは柵の向こうに体を伸ばした。
「一本だけが、本物なんだってぇ。えへ。」
梨華ちゃんはいつもみたいに笑うと、
濡れたように光る刀をスラッと抜いた。
「へ?」
梨華ちゃんは中段に構えた。切っ先はもちろん僕を向いてる。
71 :02/01/24 19:14 ID:5pHFp4WA
突然来るな
7200:02/01/25 02:56 ID:nicIEhfN
「デヴィの自転車にするかな…。」<(w
73名無し募集中。。。:02/01/26 02:57 ID:we3nvdOb
保全
74書くよ:02/01/26 03:21 ID:SL/uT+hX
皆さんありがとう。週末は、ヤパーリ忙しかったYO!
とりあえず、更新。
75Bプロ:02/01/26 03:22 ID:SL/uT+hX
「え?あれ?」
僕が困惑している内に、最初の一太刀が来る。
ヒュウッ。思いっきり空を切る音。
振り下ろされたかと思った刀は喉もとで止まり、
さらに突きが放たれる。
「おわっ。」
とっさに飛び退く僕。すんでのところで刃は引いた。

間合いを取りつつ、梨華ちゃんを見る。
中段の構えが崩れていない。…しかも隙がない。
「真剣って、竹刀より短いんだったねぇ。
 練習しとけばよかった。」
ま、まさか…。
確かに僕は少し剣道をたしなんだことがある。
でも、これは明らかに高段者の構えだ。
「えへへへ。生まれ変わってからもずっと
 練習してたの。」
「でも、プロフィールにはそんなこと…。」
「Bプロって言うんですか。
 今度、フジリコにでも出てみよっかな。」
そう言うと、右足を引いて両手を掲げた。
え、上段の構えも取れるの!?まずい。
まったく間合いが分からなくなってしまった。
76真剣勝負:02/01/26 03:23 ID:SL/uT+hX
梨華ちゃんは上段のままじりじりと迫ってくる。
以前、包丁で襲われたことがあったけど
あの時は包丁の取っ手が短くて分からなかった。
真剣の柄を握るその手は明らかに熟達したものだ。
気づくと僕のすぐ後ろに柵が来ていた。
…どうする。ピヨ助もいないぞ。
「えへ。大丈夫。死んでも、すぐ私になるんだもん。」

梨華ちゃんの刀がユラリと動いた。
来る!
しょうがない。いちかばちか白刃取りだ。
僕は構えた。
ビュン。刀は一直線に頭に落ちてくる。
…今だ!

パッチーン!!!
思いっきり空を叩く僕の両手。
全然タイミング違うし…。
僕はその場に倒れこんだ…。
77救世主:02/01/26 03:24 ID:SL/uT+hX
死んだんだ…。
そう思った僕の耳に、梨華ちゃんの声が飛び込んできた。
「や、保田さん。」
保田さん?…そう。僕と梨華ちゃんの間には
あの保田圭が立っていた。
「痴話げんかにしちゃあ、
 穏やかじゃないないわね。石川ぁ。」
刀は僕の横の柵を切り落としていた。

「な、何で…。」
驚く僕に保田さんは答えた。
「最近、石川が妙だからつけてみたのよ。
 案の定、男とデートかと思ったら、何か様子が変じゃない。
 だから、そのまま尾行したってわけ。」
「じゃあもしかして、さっきの声も…。」
「そう。本物のオバケじゃなくてオバ…ちゃんってね。」
保田さんはフッと笑う。
「メンバーが罪を犯すところ、
 見たくないんだけどな…。な、石川。」
「止めないでください、保田さん!
 これは一種の自殺なんです!!」
まあ、間違ってはないかもしれないけど…。
…それじゃあ何も伝わらないと思う。
78名無し募集中。。。:02/01/26 04:50 ID:we3nvdOb
...オイオイ
79名無し募集中。。。:02/01/26 16:23 ID:r1gB9i8C
題名は決めてないんですか?
80名無し募集中。。。 :02/01/26 16:32 ID:jZLskJXQ
タイトル「来世のあの娘。とどっきんこ(w」
81書くよ:02/01/27 01:45 ID:sqa8/EV+
>>78お気に召さない?とりあえず更新。
82ダンスするのだ:02/01/27 01:45 ID:sqa8/EV+
「なんかややこしい事情がありそうね。
 そこのあんた、終わったら聞かせなさいよ。」
ちらりと僕を見たあと、保田さんは梨華ちゃんの方を向いた。
「やるしかなさそうね。」
梨華ちゃんも剣先を保田さんに移す。
「ちょ、危ないですよ。保田さん!彼女は…」
「分かってるわよ。それより圭ちゃんって呼んで。
 『さん』付けだと、年齢感じちゃうから。」
…二人はじりじりと間を詰める。

それは一瞬の出来事だった。
刀が圭ちゃんの頭を捕らえる直前、
圭ちゃんは後ろに跳ね退いた。僕のとき同様
すぐさま放たれた突きを左手でいなし、右拳を握る。
拳にすばやく反応した梨華ちゃんは身を引く。
そのまま引き面を狙う梨華ちゃん。
圭ちゃんはさらに上体をひねり、斬撃をかわした。
まさに、一瞬。
まるでダンスでも踊るかのようだった。
83秘密:02/01/27 01:46 ID:sqa8/EV+
「…さすが、サイボーグだけあるわ。保田さん。」
え、圭ちゃんがサイボーグ!?
「石川ぁ。あんたデタラメ言うんじゃないわよ。
 私は人間ですぅ。サイボーグは柴田だけで十分よ。」
で、でも圭ちゃんのさっきの動き、尋常じゃない。

いつの間にか梨華ちゃんは、刀をわきに構えていた。
そして、一歩踏み込むと刀は横一文字に軌道を描いた。
圭ちゃんは、体を後ろにそらしてよける。
やっぱり普通じゃない。
「圭ちゃん。何か…習ってるの?」
「フフフ…。夏先生のおかげね。」
それを受けて梨華ちゃんがつぶやく。
「やっぱり…。保田圭サイボーグ化計画に夏先生が
 一枚かんでたっていう噂は…」
「え、本当!?」
「だからやめぃてば、石川。そこのあんたもイチイチ反応しないの。
 夏先生の過酷なダンスレッスンのお陰で、目と動きが良くなった。
 ってだけの話よ。」
やっぱり、僕を助けたのは圭ちゃんだったんだ。
それにしても梨華ちゃん、何でヘンな嘘を…。
梨華ちゃんは僕を見ると笑った。
「保田さんがサイボーグだって聞いたまま
 あなたが死んじゃって、で、生まれ変わって、
 モーニングに入るまで信じてたら
 ちょっと笑えるかなって思いついたんだけどな。」
す、すごいコト考えてるな。梨華ちゃん…。
84決着:02/01/27 01:47 ID:sqa8/EV+
「ホント、わけ分かんない会話ね。
 どういうことよ。そこのあんた…
 って、もう逃げた!?」
「え?」
梨華ちゃんがこちらを振り向いた瞬間、
圭ちゃんのパンチが梨華ちゃんの腹部にめり込んだ。
…カラーン。
真剣が梨華ちゃんの手から離れる。
どうやら気絶したようだった。

保田さんは梨華ちゃんを背負うと、言った。
「とりあえず、出ましょうか。」
出口までの道のり、保田さんは何度か
オバケに驚いていた。

「さぁ、事情を説明してもらいましょうか。」
保田さんは僕の目を覗き込んだ。
最近また少し伸びてきた髪にくりくりっと
パーマをあてている保田さん。
改めて日の光の下で見ると綺麗だ。
それに、吸い込まれそうな大きな目をみていると
どんな嘘も見抜かれてしまいそうだった。
85告白:02/01/28 01:13 ID:cHwTmkVF
パラソルの下で向き合う僕と圭ちゃん。
梨華ちゃんはベンチで寝ている。
「実は…。」
僕は、喉元まで出かかっている言葉を抑えた。
僕自身が信じきれないような話を、一体誰が信じる。
「どうしたの?実は…何?」
いや、問題はそこじゃない。もし僕が話したら
圭ちゃんはあらゆる手を使って、
梨華ちゃんが僕の所へ来るのを阻止するだろう。
「じ、実は…。」
僕だって死にたかないけど、梨華ちゃんがヘンに思われて
娘。内でギクシャクするのも…。
「何?」
「実は…、実は、僕の前を蜂が飛んでて
 それを追い払おうと、たまたまそこにあった刀で…」
「全くつじつまが合わないわね。私にも切りかかったのよ。」
ええい。こうなったらヤケだ。
「蜂が圭ちゃんの方にまで飛んでって…。
 あれ、見えなかった?でっかいスズメバチ。」
「死ぬとか、自殺とかなんか言ってたじゃない。」
「…蜂を放置するのは、自殺行為だから止めないでって。」
あー、もうムチャクチャだ。
86説得:02/01/28 01:14 ID:cHwTmkVF
「あくまで、言わないわけね。
 私と石川の仲でも、秘密にしなければならないわけ?」
「だから、…は、蜂が…。」
ふぅぅっ。っと圭ちゃんはため息をついた。
「いいわ。今のところは信じてあげる。」
「け、圭ちゃん。……ゴメンなさい。」
「謝っちゃダメよ。あなたは蜂が飛んできた
 って決めたんでしょう。貫かなきゃ。」
圭ちゃんは顔の緊張を緩めた。
「なんかホントに大変な事情がありそうね。
 まぁ、時が来たら焼肉を食べに行ったついでにでも
 石川の方から話してくれるでしょ。
 それより、あなたの身は大丈夫なの?」
「あ、うん。今度からは蜂には気をつけるし、
 ハエ叩きに叩かれるコトもないように努力する。」
圭ちゃんは、フフッと笑った。
「それにしても、石川にそっくりね…。」「え?」
「前に、吉澤と石川が遊んでたとき、
 石川に裸で飛びついたってのはあなたでしょ。」
「いやっ、あれは」
「石川が吉澤に説明してたわよ。あなたの服に蜂が入って
 追い払ってたんだって…。ホントは何があったのかねぇ。」
圭ちゃんは楽しそうに笑った。
87お目覚め:02/01/28 01:15 ID:cHwTmkVF
「圭ちゃん。これだけは言えると思うけど、
 梨華ちゃん、圭ちゃんを切る気は…。」
「分かってる。覇気に満ちてたけど、
 顔はなんだか迷ってたみたいだったもんね。」
僕らはベンチで寝ている梨華ちゃんを見る。

「う、ううん…。」
どうやら気がついたようだった。
「ごめんね、石川ぁ。痛かったぁ?
 私ってそそっかしいから、あんたが蜂を
 追い払ってたなんて気づかなかったのよ。」
「や、保田さん…。痛っ。」
起き上がろうとして、梨華ちゃんはお腹を押さえた。
「ホンッとごめん。ちょっと大丈夫?」
保田さんにもたれかかりながら、梨華ちゃんは僕を見た。
僕はただうなずいて見せた。
「これじゃあ、今日はもう遊べないわね。ホラッ。」
圭ちゃんは背中を差し出した。梨華ちゃんがおぶさる。
「じゃあ、今度また遊びましょっか。またね。」
そう言うと圭ちゃんは歩き出した。

「ああっ、オバちゃんだ。」
「あれ?梨華ちゃんどうしたん?」
「あ、辻ぃ、加護ぉ。あんたら学校はぁ。」
僕は帰っていく皆を遠くから見送った。
88書くよ:02/01/28 01:19 ID:cHwTmkVF
とりあえず遊園地編終了。やっすぅにバラすのも考えたけど、
結局、秘密にしました。
続き書いてもいいですか?ちなみに木曜更新予定です。

89名無し募集中。。。:02/01/28 02:04 ID:qblCq8Fp
続けなさい
90sage:02/01/29 01:34 ID:6q12rVKF
続きますように。。。
91書くよ:02/01/30 01:08 ID:yyeWnhfd
ありがと。ひとまず、みずからしなやかに保全。
92名無し募集中。。。:02/01/30 15:48 ID:0ctivvjU
明日か…
93名無し募集中。。。:02/01/31 04:16 ID:vyk26MGP
待つか
94寒い冬ね:02/01/31 17:31 ID:Zyj5POKi
「おー、寒い寒い。」
ガチャガチャ、ガチャン。
やっぱり冬真っ只中。外はやたら寒い。

「ふうぅ。あったけー。」
部屋に入るとすぐにコタツにもぐりこむ。
…あれ、つけっぱなしにしちゃってたんだ。
コタツの電源は入ってるし、暖房もポカポカの
温風を吐き出している。
「…楽しかったよなぁ。」
遊園地へ行ってから、もう数日経つ。
あれ以来、娘。の誰とも会ってない。
当たり前だよなぁ…。みんな忙しいハズだ。
ていうか、あんなに話せただけでも軌跡なんだよな。
思い出してる僕の顔は、
きっとだらしないくらいニヤケてただろう。
95しばらくして:02/01/31 17:32 ID:Zyj5POKi
…ん。何だ?
僕は押入れの辺りに何かあるのに気づいた。
よぉく目を凝らす。
押入れの隙間から、…細い筒?がのぞいている。

カッ!
「のわぁああ。」
細い矢がコタツに刺さって揺れる。
「うぅん、やっぱり吹き矢って難しいな…。
 もうちょっと練習しないと。」
よいしょ、と縮こまった体を伸ばしながら
押入れから出てきたのは、やっぱり『彼女』だった。
「よっ、と。ちゃーおー。」
「り、梨華ちゃん!どうして!?」
「え?どうしてって、体も治ったし
 少しでも早く命を狙わなきゃなぁって。」
「ははは…。」
僕は力なく笑ったが、内心すごく喜んでいた。
梨華ちゃん、もう来ないかと思っていた。
「それにしても、ずっと押入れにいたの?」
「えへへ…、狭かった。」
そう言って梨華ちゃんは笑顔で近づいてくる。そして
フッ!
「おわっ!」
「うーん、こんなに近くても当たらないなんて。
 吹き矢って、使えないかも。」
いつもながら、再会を喜んでばかりもいられないみたいだ。
96得意料理:02/01/31 17:34 ID:Zyj5POKi
梨華ちゃんは吹き矢を横に片付けると、
コタツに入ってきた。
「どう?ずっと元気だった?」
「うん。ありがと。僕は元気。」
「そう…。ざーんねん。不治の病とかない?」
…まったく。
「梨華ちゃんのほうはどうだったの?」
「もう。保田さん本気で殴るんだもん。
 2、3日はろくに動けなかったよぅ。」
梨華ちゃんは苦笑いした。
「あ、そうそう。ご飯まだだよねぇ。
 作ったの。今、温めるね。」
梨華ちゃんは立ち上がると、いそいそと台所へ向かった。
まさか、また焼きソバ?それとも包丁?
…とりあえず、心構えは必要だよな。
おいで、ピヨ助。
「静かにしておくんだぞ。」
僕はピヨ助を上着のポケットに入れた。
台所からは梨華ちゃんの鼻歌が聞こえる。
「ふふふーん。こぶしあーげてゴーゴーゴーゴー…」
97書くよ:02/01/31 17:37 ID:Zyj5POKi
100が長文なのも寂しいので、だれか100getして下さい。
今日の夜にでも見て、100いってたら続き上げます。
あと、漏れのIDちょっとポッキーだ(w
98名無し募集中。。。:02/01/31 17:52 ID:0apV/7jt
100
99名無し募集中。。。:02/01/31 17:55 ID:0apV/7jt
100
100名無し募集中。。。:02/01/31 17:56 ID:0apV/7jt
100!!
101 :02/01/31 18:04 ID:5PmMxtSB
やっぱそこのパートは石川ですか
102書くよ:02/01/31 18:16 ID:Zyj5POKi
>>98-100ありがと(w
>>101漏れはそう思った。
103できた:02/01/31 18:18 ID:Zyj5POKi
台所から、歌と一緒に何か甘い匂いが漂ってきた。
「ふふん。ラブ。勇気があるなーらー…よしっ、と。
 できたよー。」
梨華ちゃんはおわんを二つ持ってきた。
一つを僕に差し出す。
「これって…。」
「そう。白玉ぜんざい。」
おいしそうに、梨華ちゃんが食べ始めた。
「大丈夫よぉ。ホラ、毒なんて入ってないし。」
僕は、勇気を出して口をつけた。
「どう?おいしい?」
「うん。おいしい。」
おいしいけど…これって、夕飯なの?

「ふぅ。お腹いっぱいだ。」
何だかんだで、4杯も食べてしまった。
「おいしかったでしょ。」「うん。」
僕はお腹をポンと叩いた。
おもむろに梨華ちゃんが立ち上がる。
「あ。いいよ。食器は僕が後で洗っとくから。」
しかし、梨華ちゃんは台所でなく
僕の後ろに歩いてきた。そして…両膝で立つと、
後ろから僕に体をピッタリくっつけた。
「り、梨華ちゃん?」
104ピッタリしたい:02/01/31 18:19 ID:Zyj5POKi
背中にたちまちに広がる梨華ちゃんの温もり。
以前、腕を組んだときの比ではなかった。
柔らかな感触を全身に感じる。
梨華ちゃんは、さらに僕の首に腕を廻す。

「ちょ、ちょっと、梨華ちゃん…」
梨華ちゃんの優しい香りに、僕は言葉を遮られた。
梨華ちゃん…一体何考えてるんだろう。
夢のような感触に、頭がポーっとする。
頭がポーっと、頭がポーっと、……意識がボーっと
て、首締められてるじゃん!
「やったぁ。今回こそはイッた!」
梨華ちゃんはハシャギ声を上げた。
うぐう。僕は必死でポケットを探った。
あれ。いない。…目を動かすと、
ピヨ助はいつの間にか部屋の隅で餌をついばんでいた。
…怨むぞ、ピヨ助ぇ。

すうっと意識が遠のきかけた、その時だった。
ピンポーン。ガチャ。
「こんにちはー。梨華ちゃんいますかー。」
天の助けだった。
105再び:02/01/31 18:20 ID:Zyj5POKi
アパートでそんなに広くもない部屋。
台所と部屋を仕切るドアは開けっぴろげ。
つまり、玄関にいる彼女と僕達は一発で目が合うわけで。

「よっすぃー。」
「梨華ちゃん…。」
「ゲホッ、ゲホッ。」
梨華ちゃんの腕から解放された僕の頭に
ようやく血が通い、肺には酸素が満たされた。
よっすぃーは、ゆっくりと歩み寄って来た。
「梨華ちゃん…。二人ってそんな関係だったの?」
「ちょ、ちょっとぉ。やだなぁ、よっすぃー。
 また、誤解してるみたいだよぉ。」
「でも、二人でムギューッて抱き合って…。」
「だから誤解だってばぁ。」
梨華ちゃんはツンツンと僕の足をつついた。
フォローしろってコトぉ?
そんな簡単に思いつくわけないじゃん。
僕は梨華ちゃんをツンツンとつつき返した。
応答がない。……はぁ、仕方ないな。
「ちょっと首寝違えちゃって、直してもらってたんだ。」
「ガオレンジャーごっこしてたの。」
げ。二人は同時に弁解してしまった。
「はぁ!?」
よっすぃーの反応はもっともな物だった。
106ガオアクセス:02/01/31 18:21 ID:Zyj5POKi
「え、どういうこと?」
「だからぁ、ねぇ…。」
梨華ちゃんは僕と目を合わせる。
二人とも顔が引きつっている。
「寝違えちゃった…」
「…ガオレッドの首を治すガオピンク。」
梨華ちゃんは自分の顔を指差す。
二人は恐る恐るよっすぃーの顔を見た。

「か…、かっけー!敵は寝違えオルグなんだぁ。
 でも梨華ちゃん、ピンクはいないよ!」
お、なんか食いつきがいい?
「そ、そう。ガオごっこしてたの。うわー。やられた。」
「ちょっと待って。最初からやろうよ。
 私、ガオシルバーがいい!」
よっすぃーは嬉々として話に乗ってきた。
た、助かったぁ。
僕達は胸をなでおろした。

ただ、それから小一時間ガオごっこするなんて
僕達には想像もつかなかったんだけど…。
107書くよ:02/01/31 18:25 ID:Zyj5POKi
見てくれてる人ありがとう。今週末は忙しすぎるので、更新できない。
ネタを練って、月曜日にでも書きます。
108 :02/01/31 18:30 ID:5PmMxtSB
モーコー…
吹き矢萌え!
まっていますよ
109ねえ名乗って:02/02/01 01:32 ID:5ZK+EuiH
なんか、スレタイトルがぴったしってかんじ
110名無し募集中。。。:02/02/02 00:41 ID:TFUYClnc
ここで殺れ か?
111名無し募集中。。。:02/02/03 01:15 ID:q4oPz9cs
保全
112書くよ:02/02/03 23:58 ID:IWf2moh5
今年は北北西か。急げ。まだ間に合うか、太巻き。
明日の今ごろまでに更新予定。
113名無し募集中。。。:02/02/04 02:52 ID:zQSMUA+4
やっちゃえ まずやっちゃえ
114名無し募集中。。。:02/02/04 17:38 ID:y+vaveft
やれよ早く
115書くよ:02/02/04 23:36 ID:xj3qIHQ0
更新遅くて本気でスマソ。泣くほど忙しかったんだってば。
これからしばらく暇。がんがるんで許してください。
116書くよ:02/02/04 23:37 ID:xj3qIHQ0
「ところでよっすぃー、今日は何しに来たの?」
僕はやっとのことで切り出すことができた。
「あ、思い出した。ねぇ、梨華ちゃん。
 アノ計画忘れてない?ごっつぁんが
 明日の予定のこと電話してって。」
「え…、計画?…って、『そうだ!We're タキュウ部
 恐怖の卓球温泉地獄(ハ・ヒ・ホ)』のこと?」
「もう、やっぱりぃ。それは延期になったでしょぉ。」

卓球?地獄?どんな計画だ…。ソレ。
「あ!AKBDのことかぁ。ゴメン、忘れてたぁ。」
「ほらぁ、まだ何も買ってないでしょ。」
AKBD?…そういうことか。
それにしても、おかしなネーミングばっかりだな。
前のは「孤独なあなたとどっきんこ」だったっけ。
「…よかったら、一緒に来てくれませんか?」
よっすぃーは僕に尋ねてきた。
「喜んで!」
こんな一大イベント逃すわけにはいかない。
「じゃあ、明日、駅前にコレかぶって来てね。
 目印になるように。」
そう言って梨華ちゃんが渡してくれたのは
いつぞやのアフロのカツラだった…。
117その翌日:02/02/04 23:38 ID:xj3qIHQ0
まだ朝は早いが、駅は人で溢れ返ってる。
「よっと。一番乗りぃ。…当たり前かぁ。
 僕が目印だもんな。」
とは言え、こんな所でアフロはかぶれないよなぁ。
はぁあああああ。どうしよっかなぁ。

「あのー。すみません、待ち合わせですよね。」
顔を上げるとロングへアの恐ろしく可愛い女の子が
僕をのぞいてた。
「ごっちん!……あ、ゴメン。」
ごっちんは人差し指を唇にあてシーのポーズをとっている。
よかった。誰にもばれてないみたいだ。
「あ、ども。初めまして。
 …でも、なんで僕って分かったの?」
「梨華ちゃんがアフロかぶった人だって言ってた。
 でも、そんなのかぶれる人いないなと思って。
 したら、ほら、バッグからアフロが。…プフ。」
そう、僕の鞄からはモジャモジャの毛がハミ出ている。 
「ふふふふ。そっちのほうがヘンだよぉ。」
思いっきり笑いをこらえるごっちん。
「でも、目印がなきゃ、みんな分かんないし…。
 ところで、他のみんなは?」
「ふふ。…んー、もう来てはいると思うんだけどなぁ。」
言いながら、辺りを見渡すごっちん。
髪の毛が揺れて、ムチャクチャ可愛い。
118その翌日:02/02/04 23:39 ID:xj3qIHQ0
「やっぱアフロかぶります?」
「え?」
驚く僕を見て、ごっちんはカラカラと笑った。
「うそうそ。んー、どうやって探そかなぁ。
 あ、そだ。私の歌、なんか歌えますぅ?」
ごっちんは黒いキャップを深くかぶると
サングラスをかけた。
「まあ、少しは…。」
「じゃ、歌って下さい。」
「え!?今、ココでぇ?」
ごっちんはコクリとうなずき、ジーッと僕を見る。

そんなに見つめられると。…しょうがない。
「えー。んんっ。ゴホッ。…愛なんて本気で言ーてるの。」
は、恥ずかしい。声なんて出るわけないよ。
なんで歌わせるの。チラッとごっちんを見る。
えっ!?ごっちん、…踊ってる。
僕の歌に合わせて、軽快にステップを踏むごっちん。
か、かっこいい。
四肢をイッパイに広げたかと思うと、グッっと一気に身を縮める。
なんて言うか、すごく、シャープだ。
119その翌日:02/02/04 23:40 ID:xj3qIHQ0
「キースしたってダァコしたぁって
 なんか足んない、なんかたぁんない!」
いつの間にか、僕は声を張り上げていた。
…は。やばっ、目立ってる。
気が付くと僕らの周りには人だかりができていた。
僕は歌を止めた。ごっちんのダンスも止まる。
ごっちんは人ごみを見回し何かを確認すると、こちらを向いた。
「えへへ。気合入りすぎて忘れてた。じゃ、行こっか。」
「え?行くってどこへ?」
僕の言葉も聞かずに、ごっちんはズンズン人ごみを
かきわけて進んでいってしまった。

「ちょっと、今の何だったの?
 後藤真希だって、バレちゃわなかったかな。」
人ごみを抜けてしばらくして、僕は聞いた。
「んあ。大丈夫だよ。歌は君の声だったし
 ゴトーがあんなとこで踊ってるなんて誰も思わないよ。
 それより、君の歌。…すごくよかったよ。
 女の子に生まれてたらモーニング娘。だったかもね。」
その言葉に、僕は一瞬ドキッとした。
「ね。みんなもそう思うよね。」
「え?」
僕はさらに驚いた。
振り返ると、みんながそこに立っていたんだ。
120書くよ:02/02/04 23:44 ID:xj3qIHQ0
どうでもいいが、焦って名前欄間違えた。
>>116ガオに熱中>>118見つかんないし>>119注目ホントドウデモイイ
121名無し :02/02/04 23:51 ID:CoIQ2KSc
( ´ Д `)<なんか足んないなんか足んない
122全員集合:02/02/05 01:45 ID:ALU4APqp
「はぁい。ごっちん。」「なのれす。」
梨華ちゃんによっすぃー、そしてののちゃんだ。
「ずいぶん目立ってたれすねー。」
「えへへ。結構熱中しちゃって。」
「じゃあ、みんな集まったし、行こっか。」
「そだね、AKBDだもんね。」
みんな隠し事をしている子供みたいに
ニシシと笑って、僕を見た。
「まず、私のからね。」
そう言って、梨華ちゃんが手を挙げた。

梨華ちゃんを先頭に、僕達は近くの
コジャレた手芸屋さんに行った。
そっか。梨華ちゃんは手作りの何かにするんだな。
僕も何にするか考えなくっちゃ。
「うーん。どうしよう。」
梨華ちゃんは綿を手に持って、布地を選んでいる。
「ねぇ、ねぇ。14歳の女の子が好きそうな
 キャラクターって何かなぁ。」
「うーん、あいぼんだったら、やっぱり
 キティちゃんが喜ぶんじゃないかな。」
「そうだよねぇ。…って、えぇ!?
 どうしてわかったの!?」
みんな目を丸くして驚いてる。
本気で僕に秘密のつもりだったらしい。
123AKBDとは:02/02/05 01:46 ID:ALU4APqp
「どうしてって言われても。この時期だし。
 Ai Kago's Birth Dayってことでしょ。」
「なんだぁ、知ってたんだぁ。」
よっすぃーはガクゥと肩を落とした。
「知ってたんだぁって、僕もあいぼんのプレゼント買うのに
 誘ってくれたんじゃなかったの?」
「男の人がいれば、荷物が楽だねって
 言ってたんれすよ…ムゴムゴ。」
梨華ちゃんはののちゃんの口を押さえたが、遅かった。
そういうことか…。
「や、やだなー。ちゃんと知ってるって思ってたよ。
 さーてと、私は手作りキティちゃんに決ーめた。」
梨華ちゃんは慌てて、取り繕った。
みんな慌てる中、ごっちんだけがクスクス笑っていた。

それにしても、みんな何にするのかな。
手芸屋さんを後にして、再び僕達は連れ立って歩き出した。
「あ、ちょっと待った。」
僕の目に雑貨屋さんが飛び込んできたのだ。
よし、僕はアレにしよっと。
124雑貨屋さんで:02/02/05 01:48 ID:ALU4APqp
「何れすか、それ?」
「アロマ。お香だよ。」
「でも、あいぼんマッチ擦れないって言ってたよ。」
梨華ちゃんは僕にそう言った。
「大丈夫。コレを渡すわけじゃないんだ。」
そう、僕はあいぼんに本をプレゼントすることにした。
前に僕ももらったことがあるけど、本にお香の匂いを移すと
ページを繰る度にいい香りがして、幸せな気分になるんだなぁ。
「よし。決まりっと。」
僕達はお店を出た。…のはいいけど
やっぱり目立ちすぎてる!男1人に女の子4人。
ただでさえ、オーラを持ってる娘。達なのに
ぞろぞろとまとまってたら、いつバレてもおかしくない。

「ねぇ。2班に分かれない?何か目立ってるし。」
僕がそう提案した瞬間だった。
「じゃあ、私お兄さんと一緒ぉ。」
「待ちなさい、のの。」
「いーじゃん。梨華ちゃんはイトコなんだから
 いつでも会えるでしょ。」
「え、梨華ちゃんとこの人イトコ同士なの?」
そういや、よっすぃーには僕は梨華ちゃんの恩人って言ってたっけ。
「そうなの。10年くらい会ってなかったから
 助けてもらったときは気づかなかったけど、
 実はイトコだったの。」
梨華ちゃん…。
125名無し娘:02/02/05 07:13 ID:NKB/e9ey
何か凄い面白いですね。
続きが楽しみです。
126名無し娘:02/02/05 07:14 ID:NKB/e9ey
すいません。
うっかり上げちゃいました。
下げておきます。
それと安倍と矢口と飯田は出てきますか?
出来れば出して欲しいな
127結局:02/02/05 22:00 ID:ALU4APqp
「まぁまぁ。じゃんけんで決めようよ。」
ごっちんの提案で、結局、梨華ちゃんとよっすぃー
僕とごっちんとののちゃんに分かれることになった。

ののちゃんは、梨華ちゃんの姿が見えなくなるや否や
僕の手を握ってきた。
「おひさしぶりなのれす。」
「あ、うん、お久しぶり。」
手をつなぐ僕たちを見てごっちんが言った。
「なんか兄妹みたいだね。」
「もう!そんなことないれすよ。カップルれす!」
「じゃあ、こうするとどう見えるかな。」
そう言うと、ごっちんはいきなり
ののちゃんと反対側の僕の手を握った。
「ちょ、ちょっと、ごっちん。」
「えへへ。夫婦と子供、なんちって。」
「ちがうもん。その手をはなしてくらさい!」
ののちゃんは膨れっ面を見せた。
128お花:02/02/05 22:01 ID:ALU4APqp
「と、ところで、ごっちんは何にするの?」
「えっとぉ。加護も、もうそろそろ大人に
 なってもいい年だから、何か落ち着いた花かな。」
そう言うと花屋さんの看板を指差した。

「じゃあ、私、注文書を書いてくるんでぇ
 ちょっと待っててもらっていいですか?」
…落ち着いた花か。僕じゃ、思いつかないな。
僕の知ってる花ったら、チューリップとかヒマワリだもんな。
僕とののちゃんは、花屋さんの中をぐるぐると見て回った。
色とりどりにお店を埋めている花々。
綺麗だけど、やっぱ名前なんてわかんないや。
そう思っていると、ののちゃんが僕を見上げた。
「ねぇ。10回10回ゲームやりましょう。」
「え。あ、うん。いいよ。」
「いいれすか?将棋って10回言ってくらさいね。」
「あ。ソレ、知ってる。鉛筆ってやつでしょ。」
「なぁんだ。つまらないのれす。」
そういうやりとりをしていると、ごっちんが戻ってきた。
「なにしてるの?」
「10回10回ゲームだったんれすけど…。」
「じゃあ、僕が出してあげるよ。」
僕達は花屋さんを出ることにした。
12910回:02/02/05 22:02 ID:ALU4APqp
「いい?進歩って10回言ってね。
 ……じゃあ、ブラブラする○ンポってなぁんだ。」
一瞬、ギクッとののちゃんの動きが止まった。
「そ、そんな…。お兄さん、辻に何てコト言わそうと
 するんれすか…。えっとぉ、えっとぉ。」
みるみるうちに、ののちゃんの顔は真っ赤になって
とうとう、うつむいてしまった。
すっごい照れちゃったな…。答え、言おっかな。
そう思ったときだった。ごっちんが口を開いた。

「何、辻そんなことも分かんないのぉ?
 答えはねぇ、ち…」
「わ、わぁー。ちょっと、ごっちん。」
「うふふ。冗談だよ。答えはさんぽ…でしょ。」
ごっちんは楽しそうに笑っている。
はぁ。僕まで顔真っ赤になっちゃったよ。

…ごっちんって、よくクールだとか何とか言われるけど
実際見てると、ムチャクチャ明るいコなんだよなぁ。
しかも、すごくかしこい。
何かちょっと、あいぼんとも似てる感じがする。
その辺も、師弟関係ってやつなのかな。
僕がバカな考えを巡らせているうちに、金物屋さんに着いた。
130金物…:02/02/05 22:02 ID:ALU4APqp
「ののちゃんの考えてるものって…。」
「そう、コレれす。」
ののちゃんの指の先には、馬鹿でかいたこ焼き機があった。
…これだったら、1度に何個作れるだろ。
ののちゃんはレジを済ますと、たこ焼き機を抱えた。

プルルルルル…ピ。
ごっちんがケータイに出る。
「もしもし、あ、梨華ちゃん?うん。分かった。」
「…何って?」
「何か、向こうも買い物終わったらしいし、
 合流しようって。」
そっか。ナイスタイミングだな。
「じゃ、行こっか。…アレ、ののちゃん?」
ののちゃんは僕らのだいぶ後ろにいた。
「大丈夫?それ、持とっか?」
「ら、らいじょーぶれすよ。」
そう言うののちゃんは顔を赤くして、今にも倒れそうだ。
「遠慮しなくていいって。
 僕はそのために呼ばれたんでしょ。」
僕はヒョイっとたこ焼き機を持ち上げる。
…ハズだったけど、意外と重いな。…これ。
131合流:02/02/05 22:05 ID:ALU4APqp
「やっほー。こっちこっち。」
梨華ちゃんが手を振っている。目立つってば…。
「みんな、ちゃんと買えた?」
よっすぃーは聞いてきた。
「はぁ、はぁ。よっすぃーは、何買ったの?」
僕は一生懸命平静を装ったが、息は上がってた。
だって重いんだもん、たこ焼き機。
「え。私ぃ?私はバッチリよ。あいぼんも14歳だし、
 身だしなみも気になるだろうからね…。」
…メイクセットか何かかな。
「ところで、そっちの木材は何なの?」
「えっへへぇ。ひ・み・ちゅ。」
梨華ちゃんは、お得意の三人祭ポーズを決めた。
うーん。やっぱり可愛い。
「じゃ、帰ろっか。あ、コレお願いね。」
梨華ちゃんは大量の木材を指差した。
…ちょっとは遠慮して欲しいんだけどな。
「何か持とうか?」
うぅ。ごっちん、優しい…。まさかたこ焼き機を渡すわけにもいかず
僕はアロマセットを持ってもらうことにした。

ドサドサドサッ。
僕は、空き地に木材を下ろした。
「はぁっ、はぁっ。…やっと、AKBD計画終わったね。」
「なぁに言ってんの。ホントのAKBDは2月7日に始まるんだから!」
…何か不安になってきた。
132書くよ:02/02/05 22:21 ID:ALU4APqp
>>125>>126どうもです。
誰をfeatureするか決めてからネタ考えて、それに合う娘。を出してます。
基本的に全推しなんで、キャラを書きやすい4期メンまでは、
いつかは全員出そうと思ってます。出してほしい娘。がいればどうぞ。
タイトルの都合上、結局石川が持っていくことが多いけど(w
133名無し:02/02/06 02:01 ID:O99t2TyQ
(・∀・)おもしろい!!
後藤とのラブストーリーキボン
1342月6日:02/02/06 22:11 ID:ZLGPygwP
ガチャガチャ…あれ?鍵あいてる。
泥棒か、っていうより絶対梨華ちゃんだよな。
僕はドアノブを引いた。
…何かいつもよりドアが重いな。
ガチャ!僕は思いっきりドアを開けた。
ヒュン。ガスッ。

「お。当たったかなぁ。」
梨華ちゃんが小走りで出てきた。
「あのねぇ、梨華ちゃん。シャレになんないよ!
 当たったかなぁ、って宝くじじゃないんだから!
 ボウガンだよボウガン。死んじゃうよ!」
ドアの陰に隠れていたから良かったものの、
放たれた矢は、壁にザックリ刺さっている。
「残念、生きてたか。…あ、そだ。
 ハンバーグ作ってみたんだけど食べる?」
梨華ちゃんってば…。

そういや最近ずっと家にきてるよな。
僕はハンバーグをほおばりながら考えた。
…あぁ、梨華ちゃんの手作りの味ぃ。
1352月6日:02/02/06 22:12 ID:ZLGPygwP
「ね。おいしい?」
「うん。ムチャクチャおいしい。」
「やた。」
ううぅ、しやわせー。
…じゃない、僕死にかけてたんだ。
「ところで、梨華ちゃん。今日は何の用?
 最近よく僕んち来るけど、もしかして暇なの?」
梨華ちゃんは、その言葉に箸を置いた。
何か、プルプル震えてるぞ…。
「暇?ひ、ひどい。私ねぇ、私ねぇ…今日だって
 一生懸命お仕事頑張って、りんねちゃんのお誕生日も祝って、
 クタクタだったけど、あなたを殺さなきゃいけないから
 わざわざここに来て…、あのボウガンだって
 セッティングすっごい大変だったんだから!」
「ご、ごめん。ごめんね。」
…ってなんで謝ってんだろ、僕。
「うん。分かってくれたらいいの。
 あ、そうだ。今日はAKBDの予定、伝えに来たんだった。」
「え?」
「明日はお昼に迎えに来るからね。ちゃんとココにいてよ。」
梨華ちゃんが迎えにきてくれるのか…って
「ちょ、ちょっと。お昼って、明日は平日でしょ。」 
「分かった?あー、今日は疲れちゃった。じゃあね。ちゃーおー。」
…疾風のように去ってしまった。
136書くよ:02/02/06 22:16 ID:ZLGPygwP
>>133小説の流れ上、ココからマターリしたラブストーリーに持ってくのは
難しそう。スマソ。ただ、お陰で、次のネタ思いついた。サンクース。
137名無しさん:02/02/07 03:52 ID://kApWc9
出来れば矢口と安倍もうまく絡めてください。
138そして当日:02/02/07 20:53 ID:GdEMxnsE
ピポピポピポーン。
「おーい。迎えに来たよー。」
よっすぃーの声だ。ドアを開けるとあの三人がいた。
梨華ちゃん、よっすぃー、ごっちん。
…がセーラー服を着てる!?
僕は目をこすった。

「やっほー。…あれ?お昼なのに寝ぼけてる?」
梨華ちゃんは、そう僕に尋ねた。
もいちど目をこすったけど、確かに三人とも
おそろいの黒のセーラー服に白いネクタイだ…。
「何、その格好?」
「何って、決まってるじゃない、ねー。」
三人は声をそろえ、顔を見合わせた。
「それよりほらぁ、早く着替えてね。
 もたもたしてると間に合わないよ。」
「え…。着替えるって?」
「はい、コレ。」
そう言って梨華ちゃんが僕に手渡した紙袋の中には
「…ええ!?学ランッ!?」
「だめならスーツもあるよ。こっちは先生用ね。
 ほら早くぅ。どっちか選んで。」
な、何が始まろうとしてるんだ…。
139コスプレ:02/02/07 20:53 ID:GdEMxnsE
「お。意外と…。ねぇ。」
ごっちんは着替えた僕を見てニヤニヤしている。
「そうだね。意外と。フフフ。」
よっすぃーも笑う。意外と、どうなんだよう。
「用意もできたことだし、それじゃあ
 AKBD大計画スタートゥ。」
梨華ちゃんが掛け声を上げた。
…どうやら始まったみたいだな。

とは言っても、さっきからずっと歩いてるだけだ。
どこに向かってるんだろ。
「やっぱ、セーラーっていいよねぇ。」
ごっちんは二人に向かってスカートのすそを
ヒラヒラさせている。…確かにいい。
「そうだよねぇ。オバちゃんには無理だよねぇ。」
梨華ちゃんはくるくる回ってハシャぐ。
…かなりいい。
「と、ところでののちゃんはどうしたの?」
凝視しているわけにもいかず、口を開く僕。
「あぁ、辻はねぇ、お勉強。来たがってたけど
 ギムキョーイクってやつだもんね。」
よっすぃーが楽しそうに答えた。
「あ。いっけない。もう5限目始まっちゃった。急ご。」
梨華ちゃんが腕時計を見る。
5限目…。なんか見えてきた気がする。
1405限目:02/02/07 20:54 ID:GdEMxnsE
…やっぱり。
僕達はどうやら目的地に着いたようだった。
「ここってもしかして…。」
「え…。加護の中学だけど?」
あっさりと、ごっちんが答える。
「で、この格好っていうことは…。」
「そぉう。14歳になったあいぼんの元に
 次から次へと不思議なプレゼントが…。題して
 『あしなが娘。こっそりプレゼントでどっきんこ』
 略してAKBD大計画ぅ!」
…梨華ちゃん。それじゃあ、AKPDだよ。
つまり学校に乗り込んでプレゼントあげるってコト。

「じゃあ、加護の教室へレッツ・ラ・ゴー。」
「ちょっ、よっすぃー。もう行くの?」
「だぁいじょうぶだって。加護は5限目体育だもん。」
だぁああー、用意周到。ってそうじゃなくて。
あ…。梨華ちゃんもよっすぃーも、カツラで変装し気合十分だ。
でも、行くったって…。
「心の準備が…。ねぇ、ごっちん。」
「え。何?」
振り返ると、ごっちんは牛乳のビン底眼鏡をかけていた。
…こっちもやる気まんまんか。
141ファーストアタック:02/02/07 20:55 ID:GdEMxnsE
「お。ここだココ。」
僕達は順調に、あいぼんの教室の前まで来た。
本当に体育の授業中らしく、教室には誰もいない。
ええい。もうどうにでもなれだ。
「みんな、ちゃんとプレゼント持ってきた?」
僕が聞くと、三人はショルダーバッグを持ち上げた。
バッグまで学校指定品…。もう何も言うまい。
「そうねぇ。誰から行こっか?」
「んあ。じゃあゴトーから行くね。」
僕らは教室の中に入っていった。

「どうやら、ここが加護の席みたいだね。」
ごっちんはバッグを机の上に置いた。
確か、ごっちんのプレゼントは落ち着いた花だったよな。
「え…と。」
ごっちんはバッグを開けて「オメデトウ」と書かれた
カードを取り出した。
そして、次に取り出したのは簡素に包装された…キクの花。
「ちょ、ちょっと、ごっちん。その花、落ち着きすぎぃ!」
「あ、そだね。このままじゃあねぇ。」
そう言うと、ごっちんは教室の花瓶を持ってきて
キクを花瓶に挿し、机の上に置いた。
「そうじゃなくてー!」
キーンコーンカーンコーン。
…まずい。5限目が終わったみたいだ。急に辺りが騒がしくなる。
僕達は、ひとまずベランダに隠れることにした。
142ベランダ:02/02/07 20:57 ID:GdEMxnsE
あれはやばいよなぁ。
机の上にちょこんと置いてある花瓶のキク。
はぁ。僕はベランダで頭を押さえた。

「…やっぱ、体育はポートボールに限るなぁ。」
「そうだねぇ。」
あいぼん達が戻ってきたみたいだ。
ガラララ…。教室の戸が開く。
「でも、うちがゴールやとあかんわぁ。…!」
あ、花瓶に気づいた!?
あいぼんは花瓶を持ち上げる。
「えっへへ…。なんや、えらい黒いユーモアのセンス
 ある人おるみたいやなぁ。」
笑ってるけど、顔が引きつってる…。
…やっちゃったぁ。
「な、なんか失敗しちゃったみたいだね…。」
ごっちんは、ようやく苦笑いしている。
「つ、次がんばろうっか。」
ごっちんも、どこか抜けてるところあるんだね。
僕も苦笑いするしかなかった。
「でも、どうやってここから出るぅ?」
梨華ちゃんのもっともな発言。
僕達は辺りを見回した。4人の視線が収束する。
…雨どい、か。
143セカンドアタック:02/02/07 20:58 ID:GdEMxnsE
「はぁ。はぁ。梨華ちゃん、次頼むね。」
「はぁ。はぁ。おっけぇい。」
梨華ちゃんはショルダーバッグを僕達に見せた。
はぁあ。もう、一生雨どいになんかつかまんない。

梨華ちゃんが下足箱から戻ってきた。
「梨華ちゃんのプレゼントってキティちゃんだよね。
 ちゃんと置いてきた?」
「うん。でも、ぬいぐるみ最後まで完成しなかったの。」
梨華ちゃんはちょっと顔を曇らせた。
「大丈夫だよ。手作りの気持ちは伝わるよ。」
「そうだよね。…ありがとう。」
「ほら。あいぼん出て来たみたいだよ。」
あいぼんが友達と一緒に下足箱まで来た。
今度こそきっと喜ぶだろう。
なんたって手作りキティちゃんだもん。

そんな僕の期待をよそに、女の子の悲鳴が聞こえた。
「キャアッ。あ、あ、…亜依ちゃん。
 そ、そこ。下駄箱に、ね、猫の…」
「うわぁ!猫の首やん!」
あいぼんが下足箱を手で払った瞬間、
ボトリと白い猫の首が落ちた。
144だめだ:02/02/07 20:59 ID:GdEMxnsE
「ちょっと!梨華ちゃん。キティちゃんが
 なんであんなリアルな猫なんだよ!」
「だ、だってぇ。…モコモコの方が暖かいかなって。」
アレ見てキティって気づく人、一人もいないな。
「あああ、もう。…一応聞くけど、
 よっすぃーこそは大丈夫だよね…。
 身だしなみ道具だったっけ。」
「も、もちろんだよ。加護ももう大人だし
 ムダ毛のお手入れもちゃんとしないとね。ホラ。」
バッグの中には、カ、カミソリの刃ぁ!?
「ば、ばかー!みんな今から買いなおしぃ!!」

…はぁ。あいぼんきっと落ち込んでるだろうな。
こりゃ、あっちの方は失敗できないな。
僕は一人、通学路であいぼんが来るのを待っていた。
…あ、来た来た。やっぱ落ち込んでるみたいだな。
「あーいぼん。」
「おわぁ。びっくりしたぁ。…あ。あのときの。」
「お久しぶり。」
「ストーカーかと思いましたぁ。あれ、その格好。」
「いやぁ、ちょっとね。それより何か嫌なことあった?
 顔色がすぐれないみたいだけど…。」
「え。いえ。少しだけ。」
あいぼんは暗い顔をする。…はぁああ。
145下校:02/02/07 21:01 ID:GdEMxnsE
「友達でそんなことしそうな子、
 思い浮かばないんですよぉ。」
あいぼんは今日あったことを話してくれる。
「そ、そうだよ。多分、そんなことするのは
 あいぼんの知らない人…でもないけど
 なんいうか、その。…気のせいだよ、ハハ。」
あー、むちゃくちゃだ。
「ありがとございますぅ。話したらなんか気持ちが晴れました。」
うーん。こんなんでいいのかな。…あ、そうだ。
「はい。誕生日おめでとう。」
僕はあいぼんに本を手渡す。
「え?いいんですか。」
「うん。僕の読み古しで悪いんだけど、結構好きなんだ。
 クマの子ウーフ。」
「うわぁ。いい匂い。ありがとございますぅ。」
「いえいえ。じゃあ、またね。」
よし、あとは、あっちの準備だな。あいぼんを見送って
僕は、こないだ木材を置いた空き地に向かった。

「あれ?圭ちゃん。その人誰?」
「あぁ。石川のイトコよ。男の人がいた方が便利でしょ。」
「ども、初めまして。梨華ちゃんのイトコです。」
空き地には、すでにモーニング娘。のメンバーが勢ぞろいしていた。
うーん。圧巻だ。ムチャクチャ幸せだけど、縮こまっちゃう。
僕達はモーニングのお仕事が始まるまで、木材を組んだ。
146お仕事のそのあと:02/02/07 21:02 ID:GdEMxnsE
「あー。今日はさんざんやったなぁ。
 学校ではヘンなことあるし、現場ではみんな
 うちの誕生日のこと憶えてないみたいやったし。
 飯田さんなんて、今日は北方領土の日って…。」
あいぼんがお仕事を終えて出てきた。
「おーい。あいぼん。」
「あ、お兄さん。こんなところで何してるんですかぁ?」
「待ってたんだよ。ちょっと、ついてきてくれる?」
「って、そっち真っ暗じゃないですかぁ。
 …お兄さん、ホントにストーカ…」
「ちがうって。とにかく、早く早く。」
僕はあいぼんを例の空き地まで連れてきた。
マジで真っ暗だ。ここでいいんだよな。こっちが不安になってきた。

「な、何なんですか。一体ぃ?」
あいぼんは不安そうに尋ねる。
「点火!」
どこからか飯田さんの声がしたかと思うと、
まぶしい光とともに、急に視界が広がった。
シュワーーーーーッ。
僕達の組んだ木材から勢いよく花火が出る。
花火が浮かべる文字
──カゴオメデト。
147素敵な14歳:02/02/07 21:05 ID:GdEMxnsE
「はぴばーすでー、でぃあ、あいぼん。」
花火を照明にモーニング娘。全員で歌う。
「み、みんな…。」
「おめでとうな。加護。」
「あいぼん14歳おめでとう。」
「加護さんおめでとうございます。」
みんな次々にプレゼントを渡していく。
結局ごっちんはラベンダーの入浴剤。
よっすぃーはメイクセット。
梨華ちゃんは、
「ごめんね、あいぼん。体は市販のやつなの。」
「梨華ちゃんやったんかいな。…大切にするわ。」
さっきの猫の首に市販のキティちゃんの体…。
「みんな、せーの。」
飯田さんが指揮をとり、みんなで声を合わせる。
「おめでとう、あいぼん。これからも一緒に頑張ろうね。」
「…みんな。…ありがとう。」
あいぼんはそのまま下を向いてしまった。
「あれぇ、もしかして加護泣いてんのって?」
「…か、加護亜依だぞ。泣くかよ。」
あいぼんは下を向いたまま答えた。

「花火…綺麗だったね。大成功。」
「梨華ちゃん。」
いつの間にか、僕の隣には梨華ちゃんがいた。
「うん。あいぼんも喜んでくれたみたいだし。
 …だから今日ぐらい、ソレ下ろさない?」
「…それもそうかもね。」
梨華ちゃんは僕の首元から吹き矢を外した。
「明日からもまた、がんばっていきまっしょーい!!」
寒空の下、空き地には幸せな空気が充満していた。
148書くよ:02/02/07 21:08 ID:GdEMxnsE
今回割とがんがったんだけど、正直どうですか?
149名無し :02/02/07 21:19 ID:QKTTmiI/
あらーやっちゃったな
一番いやなパターン 俺はね
でも面白かったです
150(略娘。:02/02/07 21:38 ID:c9QTPgkh
>149
俺はどっちも好きだよ。
だからあなたもがんがって。
151名無し募集中。。。:02/02/07 23:59 ID:J7+VGTX7
空き地って…
ドラえもんかい
>>149-150
まー良いんじゃない?だって今日は…
152書くよ:02/02/08 01:28 ID:tIpLSVTm
>>149-151サンクース。正直なトコ聞けてヨカタ。
>>149どんなとこが嫌か詳細教えてくれるとウレスィ。
>>150ゴメンサイ。どっちも、ってのがよく。わかんないんですが。
>>151空き地…ないか。そういやドラえもんの舞台、日本のドコだ。
他にも、感想ご意見あったらお願いします。参考にしますんで。
153149:02/02/08 01:59 ID:bqcC6aco
ギャグセンスがあるだけに
ラスト大円団ぽくなっててがっくりきたわけなんだけど
好みの問題だからなんともいえないか

いつも君のそばに
http://fire7.s2.xrea.com/green/983622686.html
これもなんかそんなかんじ
154150:02/02/08 02:14 ID:LVy1OIKG
確かに感動モノよりギャグ読みたいかも
さらに壊れるチャーミー見たい

でも、あいぼんおめ〜なので全然オッケーっす
続きもがんがれ〜
155書くよ:02/02/08 21:33 ID:tIpLSVTm
>>153-154わざわざレスありがと。漏れはこういう終わり方も
好きなもんで…。今日は更新なし。明日かな?スマソ。
156 :02/02/08 21:44 ID:rpGfj4wy
あれ? 続くの?
終わりって書いてないもんな。
1573連休:02/02/09 19:37 ID:CELCOj7J
今日から3連休か…
まぁ、特別な予定があるわけでもない。
モーニング娘。にはお休みもヘッタクレもないんだろうなぁ。
僕はパソコンの電源を入れた。…と
ピポピポピポーン。
いつものチャイムの音だ!もしかして…。僕は玄関へ急いだ。

「ちゃーおー。ほら、ぼやぼやしてないで支度、支度。」
いつもながら唐突だ。梨華ちゃんって。
「支度って、何の支度なの?」
「お泊りよ。お・と・ま・り。」
「へぇ!?」
「やっほー。」「おぃーす。」「こんちわー。」
ごっちんになっちに、やぐっつぁんまで。
「ほら、急いで、急いで。」

僕はわけも分からず電車に揺られていた。
「今日は何なの?」
「せっかくお休みが取れたんだけど、よっすぃーが
 急に都合悪くなっちゃって。その代わりにね…。」
「僕がってコト?で、どこに向かってるの?」
「あれぇ、言ってなかったけ。温泉だよ。」
ごっちん、今なんて。…温泉?
「じゃあ、もしかしてコレが…。」
「ウン。『そうだ!We'reタキュウ部恐怖の卓球温泉地獄(ハ・ヒ・ホ)』」
158早くも:02/02/09 19:39 ID:CELCOj7J
「着いたー!」
やぐっつぁんが歓声を上げる。立派な旅館だ。
確かに1人分キャンセル料取られるのは痛そうだなぁ。
僕が呼ばれたのもうなづける。
「石川ぁ。お前なかなかやるんじゃないのって。」
「うん。なっちもこんな旅館、初めてだよぉ。」
「えへへへ。穴場なんですよぉ。」
梨華ちゃんは照れながらも、自慢気に言った。

僕達は部屋に通された。落ち着いた感じの和室だ。
…そう言えば、よっすぃーの代わりなんだから
僕も同じ部屋に泊まるんだよな。…ゴクッ。
「あ。今なんかやらしい顔したっしょ。」
なっち…、鋭いな。
「当然、寝るときはしきり立てるからね。」
当たり前だよな。ハハ。
「あ。ごっつぁん。まだ3時だってば。
 寝るのは、早すぎるって。」
「ん…、なっち?でもゴトー電車で疲れちゃって。」
オイオイ、電車の中で爆睡してたのは誰ですか。
「ほら、とにかくみんな着替えよ。ね。」
梨華ちゃんの声に、みんなカバンを開けだした。…あ。
「あ…。こぉのヘンタイ!」
パァァン。やぐっつぁんからの平手打ちを顔面に頂いた。
ヘンタイって、そっちが勝手に着替えだしたんじゃ…。
痛ってぇ。でも、チラッと何か見えたような…。
159ジャージーズ:02/02/09 19:39 ID:CELCOj7J
「おまたせぇ。」
「あれ。みんなその格好…。」
4人ともジャージ姿で部屋から出てきた。
「よぉーし、やるぞー。」
やぐっつぁんは肩に手をそえて右腕をぶんぶん回した。
「梨華ちゃん、コンディションはどうだった。」
なっちが聞く。
「さっき見てきたんですけど、
 なかなか綺麗に手入れされてましたよ。」
「あの…。梨華ちゃん…。」
「あれ?もしかしてジャージ忘れちゃったの?
 しょうがないなぁ。じゃあ審判やってね。」
いまいち状況がつかめないまま、
僕が連れられていった先にあったのは…卓球台。

「じゃあ、チーム分けじゃんけんね。」
「さーいしょーはグー…」
「ちょっと待って。こういうのって普通
 温泉入ってから、浴衣でやんない?」
「そんなんしたら、汗かいちゃうでしょ!!」
4人は口をそろえた。…汗?
ごっちんは足を広げると腰を落とし、
肩をいれて太腿の内転筋群を伸ばしだした。
見ると、みんなめいめいにストレッチしてる…。
160卓球:02/02/09 19:41 ID:CELCOj7J
じゃんけんをしたあと
ごっちんとなっち、梨華ちゃんとやぐっつぁん
に分かれて、台の両側に立った。

「じゃあ、始めよっか。審判君もちゃんと見といてね。」
やぐっつぁんがそう言うとみんなラケットを取り出した。
…マイラケット。
「行くよ。でや。」
カカカカカッカカッカ…ビシィッ。
「ごめぇん。今の取れたのにぃ。」
「いいよ。なっちの立ち位置も微妙だったし。」
「やったね。まりっぺぇ。」
「コラ、石川。調子にのんな。」
な、何だ…今の。ものすごいラリーの後に
梨華ちゃんのスマッシュが決まった。
「ほら、審判。カウントは?次行くよ。」
カカカッカッカ…
これが卓球?すさまじすぎる。
「じゃあ、次アレ出しちゃおっかなぁ。」
梨華ちゃんはダンスのときのように
クネッと腰を曲げて突き出した。
「あ、アレ出るよ。」
161必殺技:02/02/09 19:42 ID:CELCOj7J
「ひっさぁつ、海老サーブ!」
高らかにそう叫ぶと、梨華ちゃんは後ろに飛び跳ねた。
「エビッ。」
そう言ってピン球にラケットをミートさせる。
カッ、シュパア。
ものすごい勢いでドライブ回転がかけられている。
球はググンと速度を増した。
「よ、と。」
ごっちんが鮮やかに返す。
「おい、石川。ジャマだよ。」
やぐっつぁんが返し損ねた。
「梨華ちゃんの海老サーブ、もう慣れちゃった。」
「くっそぉ、矢口さんお願いします。」
「しょうがない。おいらもマトリックスサーブを出すか。」
そう言うと、やぐっつぁんは手を回しながら
上体を後ろに反らせた。卓球台の下に消えるやぐっつぁん。
そのままピン球を打つ。
カッカッ。
「あー。今の反則だよ、矢口ぃ。球見えなかったもん。」
「いいじゃん。公式戦じゃないんだし。」
「じゃあ、なっちも鳳凰サーブ出すよぉ。」
「いいよ。ご自由にぃ。」
「待って、ゴトーの新サーブ見て。行くよ。…ハマミエ!」
そう言うと、右手を下から上へ引き上げる。
すごいシュート回転だ。ってみんな楽しそうだね。
162結果:02/02/09 19:43 ID:CELCOj7J
「絶対、今の入ってないって。」
「入ったよ。なっち達の勝ちだもんなー。」「ねー。」
「えー。だって、今こう来たでしょ、でぇ…。」
勝負事では絶対引かないんだよな…梨華ちゃん。
「もういいよ、石川。矢口達の負けだよ。
 それより次シングルスやろうよ。」
まだやるんすか…。コレが卓球温泉地獄。

「あー。楽しかったぁ。やっぱごっちん強いね。」
「へへへ。でも汗ビショになっちゃったよ。」
「いぇーい。温泉行こーぜ、温泉。」
「そうだね。着替えとって来よ。あれ?梨華ちゃんは?」
「あ、私はもう持ってきたから。」
そう言って、梨華ちゃんと僕はその場に残った。
「あー、のど渇いた。ジュース買ってくるね。」
スリッパに履き替えた梨華ちゃんは、パタパタと駆けていった。
びっくりしたなぁ。みんなあんなに卓球が上手いなんて。
僕はその場の長いすに腰掛けた。
「ただいまー。よっと。」
梨華ちゃんは僕の隣に座った。僕は横目で梨華ちゃんを見る。
さっきまで卓球をしていたため、梨華ちゃんの顔は
少し上気している。汗ばんだ肌に張り付いてる髪の毛。
ジュースの缶にくっつけた唇。
やけにセクシーに見えるんだよなぁ。
163ジュース:02/02/09 19:44 ID:CELCOj7J
「ん?飲む?」
僕の視線に気がついたのか、梨華ちゃんはこちらを向いた。
さらに顔を近づける梨華ちゃん。
ジュースを飲むってコトはあれだよな。
この唇と間接キスするって、…この唇と。
「ええっと…。あ、うーん。」
僕は頭をポリポリかいた。
「ふふふっ。」
「え?」
梨華ちゃんは急に笑った。
「えへへ。一緒にいるとよくデジャヴ感じるの。
 今の台詞とか、頭ポリポリっていうのとか。
 でも当たり前なんだよね。前世で一度経験してるんだから。」
「梨華ちゃん…。」
そうだったよな。最近ちょっと忘れてたけど。
「はい。残りはあげる。」
梨華ちゃんは僕にジュースを渡した。
僕は何だか照れ臭くって一気に飲み干した。
………アレ?
「…梨華ちゃん、なんか盛った?」
「えっへへ。女の子がお風呂はいってる間は
 寝ててもらわないとね。ただ、ちょっと量は多いケド。
 じゃあね。ふんふふん。どんな温泉かなぁ。」

「あれ?梨華ちゃん、あの人は?」
「何か、疲れたからしばらく寝るって。」
梨華ちゃん…。そうだったよな。最近ちょっと忘れてたけど。
164温泉:02/02/09 19:45 ID:CELCOj7J
ううぅ。気持ち悪い。何かぐるぐるする。
とりあえず吐かなきゃ。
あー。悪酔いしたときより気持ち悪い。
でも、まだ死ねない。もしかしたら混浴かも…

僕は必死の思いで脱衣所まで来た。
ガッデム。混浴じゃないのか。
ひとまず僕は服を脱いで風呂場に入った。
ううぅ。こんな状態でお風呂に入っていいのかな。
「ちょっと石川ってば、太ったんじゃないのって。」
「失礼ですよ。ふっくらしただけです。」
「でも梨華ちゃん、胸大きいよねぇ。」
「ゴトーの胸もいい形ですよぉ。ほら。」
「わぁ。そんなん出してたら、さわっちゃうよ。」
いいんです。温泉さいこー。
あう。でもダメだ、気持ち悪い。オイ、しっかりしろ。
僕は顔を何度も壁に叩きつけた。…もういい、あがろう。

「うわっ、ちょっと鼻血出てるよ。」
「もしかして覗いてたんじゃないでしょうね。」
「ねっ、ゴトーの体どうだった?ナイスバディでしょ。」
僕は大の字で床に倒れたまま、何とか意識を保っていた。
165書くよ:02/02/09 19:49 ID:CELCOj7J
>>156そういや漏れ、短編って言ってたのにずいぶん長いな。
スマソ。もうちょっと書いていいですか?
ちなみに今回はリクエスト頂いたメンバーを出してみた。
166名無し娘。:02/02/10 00:23 ID:mpnTwoG8

もうちょっと言わずにじゃんじゃん書いてフ?リース?
167166:02/02/10 00:25 ID:mpnTwoG8
うわ、Operaから書いたら半角化けたよ
鬱氏
168名無し募集中。。。:02/02/10 01:09 ID:DMGF6fjJ
リクエストに答えんなよ
あんたが書いたのが読みてーの
169書くよ:02/02/10 23:56 ID:bNj72zjj
>>166-168サンクース。>>168リクってもメンバーだけだけどね(w
おかげさまで話は好きに書かせてもらってます。
誰出すか迷ってて、リクで助かるときもあったりしたり。
読んでくれてる人ホントにアリガト。とりあいず、続きです。
170浴衣の君は:02/02/10 23:58 ID:bNj72zjj
「でも、何であんなトコで倒れてたの?」
梨華ちゃんがイタズラっぽい顔で尋ねる。
「ハハ…。ちょっとのぼせちゃって。」
「へー。湯あたりしやすい体質なのかな?」
なっちが聞いてくる。
「どうだろ。ハハ…。」
ううぅ。ようやく頭がハッキリしてきた。
僕は恨めしげに梨華ちゃんを見た。
梨華ちゃんはニッコリ笑ってそれに答える。
はぁあ。梨華ちゃんの笑顔には敵わないんだよな。

部屋に帰る途中でやっと気づいた。
そういや、みんな旅館の浴衣着てるんだ。
梨華ちゃんにごっちん、格子柄の浴衣が大人っぽくて
とっても似合ってる。
なっちにやぐっつぁん、ちょっと浴衣大きいんだな。
すそを引きずっている。なんかひなまちゅりみたい、ふふ。
「あー。今、矢口のコトちっちゃいって馬鹿にしたでしょ。」
「ち、違うよ。なんか可愛いなぁって。」
「ふんだ。いいですよーだ。こんなん脱いでやるぅ!」
なっ。──シュルル、ガバァッ。
ちょ、やぐっつぁん。ダメだってこんなトコで。…見ちゃうよ?
「へへぇ。ひっかかったぁ。こんな薄い浴衣の下に
 何も着てないわけないでしょって。」
な、なぁんだ…。
171ウノ:02/02/11 00:00 ID:zbfUrbdD
「あー、でもホントに気持ちよかったね、温泉。」
ごっちんの言葉になっちが答える。
「そうだよねぇー。あれ、矢口ぃ、夕飯何時だっけ?」
「んー?6時半だよぉ。まだ時間あるね。
 そっだ、それまでウノやろーぜぃ。ウノ。」
「あー、矢口さん。私も入っていいですか?」
「いいよ。ごっちんもやるでしょ?」
やぐっつぁんはカードを配り始めた。

「んー。どうしよっかなぁ。ウノぉ…もいいけど、
 私、ちょっと町のほう行ってみる。」
「じゃあ、僕もついてくよ。もう暗くなってきてるし
 女の子を一人で歩かせるわけにもいかないしね。」
僕はごっちんに着いていくことにした。
「そうだね。じゃあ、うちらでやろっか。」
「ちょっと待って。やっぱり、私も行く。」
「だめだよ、石川ぁ。あんたが抜けたら
 二人じゃん。ウノつまんなくなるよ。」
「えぇー。でも…。」
梨華ちゃんは不服そうな顔をした。僕を狙う機会が減るもんな。
「じゃあ、行こっか。」
ごっちんがこっちを見て言った。

部屋を出ると大きな声が聞こえてきた。
「やたぁ。コレなら負けませんよぉ、矢口さん。」
…梨華ちゃんってホント、勝負事に熱いよなぁ。
172温泉街:02/02/11 00:01 ID:zbfUrbdD
「わぁ。ほら、この温泉饅頭おいしそうじゃない?」
「みんなに買っていってあげよっか。」
「ちょっと待って。まずは味見ね。」
ごっちんは両手にお饅頭を持って、交互にほおばる。
「あ、おーいしい。」
「え。まじでぇ?一口ちょうだい。」
「だーめぇ。あ、あっちにおせんべがある。」
ごっちんは浴衣にスニーカーという
アンバランスな格好でたったか駆ける。
「んー。なんかいいねぇ。こういう雰囲気。
 ほらほら、見てぇ。モンスラもあるよ。」
すごい楽しそう。ホントこういうの好きなんだろうな。
「ホントだ。こっちには大仏とかのかぶりものまであるし。
 こんなん誰が買うんだろうね。 」
「えー。ゴトー、欲しいかも。…ヘッ、クシッ。」
「あれ、ごっちん。風邪?」
「うーん。やっぱり浴衣一枚じゃ寒かったかなぁ。」
え?ごっちん、その下は…。
「も、も、もうそろそろ帰ろっか。夕飯もあるし、
 風邪引いちゃうとまずいしね。」
「うん。そうだね。」
やっばぁ、何か急に意識しちゃうよなぁ。
とりあえず、僕らは旅館に戻ることにした。
173ところで:02/02/11 00:02 ID:zbfUrbdD
何か、だんだん路地が狭くなってきてるような…。
それにどんどん明かりが暗くなってきてる。
「ごっちん…道、間違えてない?」
「そうだねぇ。とりあえず戻ろっか。」
なぁんか、嫌な予感がするんだよなぁ。
僕達はくるりと踵を返した。

「いよぅ。ちょっと、待ってくんない?」
…ほらね。僕達の背中越しに男の声が聞こえた。
「お小遣いくんないかなぁ?」
「おおっ、お兄ちゃん、女連れじゃん。」
僕はちらりと振り向いた。三人か…。
「ごっちん、走るよ。」「うん。」
とりあえず、明るいところまで逃げ切ったら何とかなる。
「せーの。」
ダッ。僕達はダッシュを決め込んだ。
僕はごっちんを先に行かせるようにして走った。
「待てや。シカトか、こらぁ!」
ズッシャア…。
僕は背中に蹴りを入れられて、思いっきり倒れた。
痛ってぇ。チクショ。
「大丈夫!?」
ごっちんは、振り返って僕を見るとキッと男達を睨んだ。
ファイティングポーズ!?
174路地裏:02/02/11 00:03 ID:zbfUrbdD
そっか、前に圭ちゃんもすごい動きしてたもんな。
ごっちんも夏先生のレッスン受けてるんだった。
…まぁ、レッスンってもダンスレッスンだけど。
に、しても…
「ごっちん。逃げて。いくら強くても、こんなゴタゴタに
 巻き込まれたって知れたら、いろいろ大変でしょ。」
「でも…。」
「何、ごちゃごちゃ言ってんの?」
男の一人が僕を抱え起こした。
「いいから。早く!」
「…うん。」
よかったぁ。ごっちんは、やっぱかしこい。
「あ、女が逃げたぞ。」
あとは、僕が逃げるだけだな。
っても、僕ってばそんな特技もないし。やっぱ演技かぁ…。
「逃げたんじゃない。俺が逃がしたんだ。」
「何ぃ!」
ひぃぇー。やっぱ怖い。
「驚くな。ぼ、俺は空手5段、剣道4段…。」
あー、ダメだ。ハッタリ効くわけない。しょうがない。
「…あ、おまわりさんだ。」
「え?」
バッ。僕は男たちが気を取られている間に手を振り解いた。
逃げるが勝ち。僕は脱兎のごとく駆けた。
175助け:02/02/11 00:05 ID:zbfUrbdD
はぁ。はぁ。あ、明かりが見えてきた。
しかも人がこっちに来る! 
「よかった。助けてください。」
──バゴン。
僕が抱きつくと、男は僕をいきなり殴った。
…お仲間さんだったのね。
あっという間に後ろにいた奴らにも追いつかれた。
後は、たこ殴られ状態だ。

痛って。はぁあ。そろそろ飽きないかなぁ。
ガッ。痛っ。誰だ今、角材使ったの。
あー。何かむかついてきた。痛いってぇぇぇ。
「らぁぁぁぁあ。」
僕は思いっきり右手の拳を突き出した。
僕のパンチは不幸にも一人の男を吹っ飛ばした。
あぁあ。これで僕は許されないんだろな。
…もうダメかもしんない。

「そこまでよ!」
場違いなくらいのアニメ声が路地裏に響いた。
見るとそこには、表通りの明かりを後ろから浴びて
小さい影と大きい影が立っていた。
176その名は:02/02/11 00:07 ID:zbfUrbdD
「正義の味方。紺ブル仮面!」
「はぁ!?な、何だ。お前ら。」
「ほらぁ、矢口さんも…。」
大きい影は小さい影を突っつく。
「ケ、ケ、ケ…ケロぱん仮面参上!」
二人は男達に近づいていった。
紛れもない。二人は梨華ちゃんとやぐっつぁんだった。
…紺と緑のブルマを顔にかぶってはいたけれど。

「これ、ムチャクチャ恥ずかしいんだからね。」
ケロぱん仮面は照れながらに言った。 
そして小さい体を活かして男の懐に入ると、男の胸倉を掴んだ。
ブワッ。豪快に円を描いて男は投げ飛ばされる。
紺ブル仮面の方は僕に近づいてきた。
「…梨華ちゃん。…どうしてここが?」
「『思い出した』ってトコかな。それと、今は紺ブル仮面よ。」
そう言うと、こちらも男の方へ向かった。

結果は火を見るより明らかだった。
梨華ちゃんがデッキブラシを持っていたのが決定的だった。
お得意の剣技で、それこそ掃除でもするかのように男を倒した。
「大丈夫だった?」「…うん。…何とか。」
「もう。4人相手って無理しすぎだって。」
「へへへ…面目ない。じゃ、帰りますか。」

「はぁ、はぁ。待ちなさい!」
表通りに向かう僕達の前に、新手が立ちはだかった。
「はぁ。…すぅぅ。ブッシュ仮面参上!」
モンスラをはいてブッシュのお面のごっちんが、肩で息をしていた。
177旅館に帰って:02/02/11 00:10 ID:zbfUrbdD
「もう。みんな、なっちがトイレいってる間に
 どこ行ってたのよぉ。……あ。ひどい怪我!」
「やっぱ、病院行ったほうがよさそうだね。」
やぐっつぁんが僕に言う。
「…そだね。何か、死んじゃうかも…。」

「って言ってた割にはよく食べるね。」
「いやぁ。打撲だけだって聞いたら元気になっちゃって。」
「ごめんね。」
ごっちんはずっとしおらしくしている。
「大丈夫だって。別にごっちんのせいじゃないし。
 ほら、体も何ともないし。おいしいよ。コレ。」
目の前には豪勢な料理がところせましと並んでる。
…それより。
「梨華ちゃん、なんで僕を助けに来たの?
 ほっといたら死んでたかも知んないのに。」
僕は小声で、梨華ちゃんに聞いた。
「あのまま死んでたら、私まで悔しい記憶を
 持って生まれてくるんだよ。そんなの嫌だもん。」
なるほどね。そういうコト。
「アリガトね。」
理由はどうであれ、助けられちゃったもんな。

「あーあ。なっちもケロぱん仮面見たかったなぁ。」
「バラしたな、石川。」
「石川じゃないですよぉ。この人が勝手に…。」
「え!?僕?違うって…イテテテ。
 ちょっと待ってよ、やぐっつぁああん。」
178就寝:02/02/11 00:11 ID:zbfUrbdD
ふう。今日は1日いろいろありすぎたな。
僕は床に就いて考えていた。
でも1日中、梨華ちゃん達と一緒だった。しやわせだよなぁ。
…で、今もこの屏風の向こうには…。
僕と4人の間には、仲居さんによって屏風が立てらた。
軽く押せば倒れそうな屏風…。
「覗いたら、殺すからね。」
さっきのやぐっつぁんの言葉が頭をよぎった。
ヘンな考えはよそう…。

でも、もし向こうから来たら…ねぇ。
僕は布団の中にザブトンを引っ張り込んで丸めた。
こっからこう持ってきて、こう。
んで、ぶちゅーっと、ぶちゅーっと。
…は、アホらし。トイレにでも行ってこよ。
僕は床を出た。

ふー。すっきりした。
僕が戻ってくると、僕の布団の横に人影が立っていた。
…これは、ひょっとすると、ひょっとするのか?
179夜這い:02/02/11 00:13 ID:zbfUrbdD
人影は僕の布団にまたがった。
…大胆だなオイ。本物はココですよー。
今、行きますからねー。
あれ?僕は足を止めた。

影は両手を大きく挙げると、布団に叩きつけた。
月明かりの中で、何度も何度も両手を叩きつける。
両手の中できらきら光るナイフ。
って、丸っきり怪談じゃん!

「あ…。」
僕と梨華ちゃんの目が合った。
梨華ちゃん、薄ら笑いを浮かべてる。
「ぎゃーーーー。」
「ん、どしたの。」
僕の声にみんな起きだした。
「あー、石川ぁ。お前、夜這いかよ。」
「おっ、梨華ちゃん、ヒューヒュー。」
「違うんですって。ちょっと寝ぼけちゃってて…。」
「言い訳はいらないって。いよっ、今夜は寝られないねぇ。」
やぐっつぁん…。その通りだよ。
今夜は眠れない…。少なくとも僕は。
180ねぇ、名乗って:02/02/11 00:18 ID:OQ7LId4W
ま、リクエストの取捨も作者の自由ってことで
181名無し:02/02/11 01:07 ID:WrGRdgOf
ごっちんのエロに期待してしまったよ…
おもろいから別にいいけど。
182名無し娘。:02/02/11 23:56 ID:1IAcVsIQ

今のチャーミーは電気屋の事故で氏んjから
娘。との記憶はないのではないかと思ったり

でもケロぱんワラタ

183名無し :02/02/11 23:58 ID:FUaYztZX
うーん…オモシロクナクナッテキタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━ !!!!!
184書くよ:02/02/12 22:12 ID:eiM3IwlZ
皆さんいつもアリガトー。何か、また来週末まで忙しい…。
>>182言っておられるのは>>176の石川さんの台詞のこと?
主人公はまだ死んでないから、今の主人公の記憶は石川さんに
受け継がれるみたい。>>177で石川さんがそんな感じのコト言ってるし。
そこのことじゃなかったらスマソ。って、補足してる漏れカコワルイ(w
更新回数減りまくると思いますが、時々見てくれるとウレスィです。
185名無し:02/02/14 15:50 ID:RviC5DNF
ブッシュ仮面見てぇ・・・。保全
186ほぜえん:02/02/14 21:06 ID:QBxR2kpe
保全
187:02/02/16 00:57 ID:MoiqVpo6
188名無し募集中。。。:02/02/17 01:58 ID:Z9ZaDAwV
保全
189hoze:02/02/17 20:57 ID:a3o6t8wt
hozen
190名無し募集中。。。:02/02/17 20:58 ID:a3o6t8wt
ミスった あげてもうた
191名無し募集中。。。:02/02/18 01:35 ID:IVB7slDM
あと1週間も保全しなきゃなんねえの?
作者は幸せモンだな
192書くよ:02/02/18 16:26 ID:zApHKAJ8
スマソ。アフォみたいに忙しくて、書けない。
バレンタインデーともう一回ぐらい書く予定だったのに…。
193いまだ三連休…スマソ:02/02/19 15:50 ID:MWhZH7xP
ふぁーあ。結局、昨日は一睡もできなかった。
今日は何すんだろう。何にしてもこんなに眠いんじゃ、
体も動かないけどね。
「あ、やぐっつぁん、おはよう。」
「おはよ。…何ボーッとしてんの。
 ホラ、早く荷造りして。ごっちんも寝ないの。」
「えー、もうちょっとだけぇ。」
見るとすでにみんな荷造りを終えている。
「…今日はどこいくの?」
「何言ってんのって。帰るの、お家に。」
「え!?もう帰っちゃうの。」
「当ったり前でしょ。うちらは忙しいんだから。」
というわけで、思い描いてた甘い夜もなく
みんなとの旅行はあっという間に終わったのだった。

「おーい。電車降りるよー。」
「だめだぁ。この人、完璧に寝てるよ。」
ん…、やぐっつぁんになっちの声がする。
「ちょっと、ごっちん手伝って。」
「え、背負うの?梨華ちゃん。」
あ、何かあったかい。心地いいなぁ。…もう一眠り。
194帰宅:02/02/19 15:51 ID:MWhZH7xP
「じゃあ、ここで下ろそっか。」
「え、こんなとこでいいの?」
「うん。ココ、この人の実家だから。」
「げー!すっごい門構えだなぁ。
 石川のイトコってお金持ちなんだ。」
「そうなんですよぉ。…これでよしっと。
 じゃあ、帰りましょっか。」
「でも、ここ道端だよぉ。」
「こんな大勢でお邪魔するのも悪いでしょ。
 きっと、お家の人が気づいてくれますよ。」
ううん。…みんな僕を家まで運んでくれたのかぁ。
ちょっと寒いけど、眠い。やっぱ昨日寝れなかったしなぁ。
ふぁーーあ。目、塞がってきちゃう。

「…兄ちゃん。起きんかい。」
「う…ん。梨華ちゃん?…アレ?」
…立派な門だなぁ。それに、怖そうなお兄さん方。
「兄ちゃん、喧嘩売りに来たんか?」
「と、とんでもない。」
僕は手を思いっきり振って否定した。
…て、いつの間にか僕の手にナイフくくってあるし!
「てめぇ、どこの組のモンじゃい!」
梨華ちゃん、ちょっとシャレになってないよ…。
195書くよ:02/02/19 15:55 ID:MWhZH7xP
多忙でクオリティ(あったのか?)の低下が免れない。
よって、勝手ながら完結させていただきます。だからって急造のストーリーじゃ
ないです。終わらせ方はずっと考えてきたんで…。では、どうぞ。
196数日後:02/02/19 15:57 ID:MWhZH7xP
ピポピポピポーン。
いつものようにチャイムが鳴る。僕は玄関に向かう。
「ちゃーおー。ちょ、ちょっと飯田さん。」
「どうもー。いつも石川がお世話になってます。」
飯田さんが割り込んできた。…今日はこのコンビか。

部屋に入ると、二人は僕の対面にコタツに入った。
飯田さんが急に話を切り出す。
「あのねぇ、石川はこう見えていい奴なんだよ。」
「ちょっと何言ってんですか、飯田さん。」
「でも石川、ちょっとネガテブだからね…こう、
 自分の気持ちに自信がないっつーか。」
「ちょっと、飯田さん。」
梨華ちゃんの制止もお構いなしに、飯田さんは続ける。
「実はね…石川って、あなたのことが…。」
「えいっ!!」
梨華ちゃんのチョップが飯田さんの首に刺さる。
ドサリ。そのまま前に突っ伏す飯田さん。
「あーあ。やっぱり飯田さんに相談したのが間違いだった。」
197真相:02/02/19 15:58 ID:MWhZH7xP
「飯田さんだったら、前世とか詳しそうだと思ったんだけど…。
 もうっ。ヘンな誤解しちゃって。」
梨華ちゃんは僕のほうに向き直った。
「ま、いっか。今日こそは死んでもらうから。」
笑顔ですっくと立ち上がる。んー、やっぱそう来るか。
梨華ちゃんは僕の前に歩いてきた。
「え。どういうこと?石川。」
梨華ちゃんの背中から声が聞こえる。
「い、飯田さん…気絶したんじゃ。」
「するわけねぇっしょ。あんたの貧弱なチョップじゃあ。」
飯田さんは、平然と首をさすっていた。

「へー。じゃあ、この人が死ななきゃ、石川が死んじゃうんだ。」
一通り話を聞いた飯田さんは、僕を指差して言った。
「いや…。私が死ぬわけじゃないと思うんです。
 ただ、別の人の魂が転生することになって、この人の記憶も
 私の記憶もなくなって、別人になっちゃうのかな…って。」
梨華ちゃん…。そっか、僕そこまで深く考えてなかったな…。
「それじゃあ死んじゃうみたいなもんだよね。
 そうだたっんだ。私、てっきり恋愛の相談かと…。」
「だから、違いますって!」
飯田さんは一人でうなずいている。
「よし、石川!私の知り合いの霊媒師に見てもらおう。」
バンッ。コタツを叩いて飯田さんが立ち上がった。
そんなわけで、僕達は霊媒師さんのところへ向かうことになった。

…ここか。何か怪しい雰囲気でてるよな。
「じゃ、私と石川で行ってくるから、あなたは待っててね。」
そのまま、二人が出てくるまで僕はじっと待っていた──。
198そして:02/02/19 16:00 ID:MWhZH7xP
早いものであれから一週間がたった。
肝心の梨華ちゃんは、…というと

「たー。今日こそ死んでもらうからね。」
相も変わらず、僕を歩道橋から突き落とそうとしている。
「だー。危ないってば、梨華ちゃん!…ふふっ。」
「何がおかしいのよ。本気なんだからねぇ。」
…梨華ちゃんは知らない。
あの後僕が、飯田さんから霊媒の診断結果を聞いたことを。

「魂ってのは、そんな簡単に出たり入ったりしないんだって。
 だから、あなたの魂は、やっぱり石川に行くんだって。
 ただ、あなたの死期が延びたから、石川、普通の人みたいに
 これから前世の記憶が消えていくだけ。」
「じゃ、じゃあ。」
「そ。前世のあなたにこれから起こることが
 思い出せなくなったり、デジャヴを感じなくなるだけだって。
 案外、普通でつまんないの。」

──でも、あれから毎日僕の命狙いに来てるんだよな、梨華ちゃん。
これってやっぱり…
「ふふっ。って危ないって、ホントに死んじゃうって。」
「やーい。やーい。それっ、それっ。…あっ。」
「梨華ちゃん!!」
梨華ちゃんが…勢い余って歩道橋から…落ちた。
199こんな最終回:02/02/19 16:03 ID:MWhZH7xP
「梨華ちゃん!」
だめだ、足がもつれて上手く走れない。
…こんなに長かったっけ、階段って。
心臓がバクバクいってるのが聞こえる。
せっかく、せっかく、これからだって思ってたのに。
──何とか、歩道橋を降りきった。
「梨華ちゃん!!」

「梨華ちゃん!!…あれ?」
「ほんまやったら、ここで死ぬはずやったんやなぁ。」
梨華ちゃん…抱き受けられている。
「な、何でここに…?」
抱いているのは…
「あたしもホンマ間抜けやったんやなぁ。」
…な、中澤さん!?
「ま。助けてしもたから、もうしばらくしたら
 あんたの記憶もうちに流れて来んようになるんやろな。」
「ん…た、助かったの?…な、中澤さん!?」
梨華ちゃんも気がついたみたいだった。 
「どうなるか分からんけど、石川を幸せにしたってな。」
って、いうことは…
「石川、あんたもしっかりしぃや、前世のわ・た・しなんやから。」
だぁーーー。そんなことって…。

                       おしまい。
200書くよ:02/02/19 16:11 ID:MWhZH7xP
最後まで、お付き合いくださいましてありがとうございます。
ま。来来世の自分がいなけりゃ、娘。もなくて石川にも出会わなくて…
あなたの隣の人ももしかしたら、なんてありがちのフレーズですが。
どうも、お粗末さまでした。終わり方に満足いかない方すんません。
更新ばっかり長くって、文も下手で小説というより、ネタって感じだったかも(w
最後にもう一度、──少しでも見てくれた人、サンクース。
201名無し募集中。。。:02/02/20 00:17 ID:rBb22kvL
ええねん ええねん ええやん 良かったやん 
202ねえ名乗って:02/02/20 00:22 ID:xQZewZIO
今更ですが、もしかして、「ここで殺れ」?
203名無し:02/02/20 02:58 ID:kYvswN8Y
ワオ!!
いい終わり方!!!!!
また書いてくださいね。
204名無しさん:02/02/21 06:41 ID:QINyamH1
続編よろしく。
205書くよ:02/02/22 16:27 ID:rhLQVQSk
皆さんどうもありがとう。
自分で読み返してみたんだが、正直おもしろいな(w
>>202途中にもそんな話出てたけど、意図してなくてこっちが感心した。
忙しくて、続きも新作も考えてません。まぁ、出せといわれたら出せるのも
あるけど多分、面白くないんで。3月下旬に暇になるから、新作でも練って
またどっかの廃スレで細々と書くかも。そのときは、どうかひとつ。
あと、このスレもったいないし、誰か小説でも書きませんか?
条件:年齢・性別・経験不問。こんな駄作の後でもいい方。
って、漏れの言うことじゃないのかも知れないが…。
206名無し:02/02/22 18:19 ID:uQWZrFL9
>>205
是非書いてください。辻の恋の行方が気になるので。それか全くの新作でも
構わないのでどうかひとつよろしく。
207名無し募集中。。。:02/02/24 02:49 ID:TqVd/GOp
ぎゃあ、終わってるし・・・。
何はともあれ作者さんおつかれさん。
また書いてね。
208勝手に 連続小説:02/02/26 18:29 ID:YMZ+COWY
氏にスレ ハケーン

狼で書いてたのを、転載。
こんなのでよかったら、お付き合い頂ける方 キボン

99 :連続小説第一回 :02/02/25 19:30
「あら、ごっちんどこ行くの?」

(つづく)

101 :勝手に 連続小説第二回 :02/02/25 21:08
>99 勝手にリレーするよ。

返事がない…
最近、後藤が冷たい。

「ねぇ、後藤 聞こえてる?」
もう一度呼びかけてみる。
……返事がない。

いつもならここで諦めるのだが、最近の後藤はちょっとおかしかった…
気になった私は再度声をかけようとして、唐突に同じ光景を思い出した…

〜ほんの、数日前〜

「はい。そのまま。はい、いいよその表情」
カメラマンがシャッターを切る。
ここはとあるリゾート地。
今ここでプッチモニのグラビア撮影が行われていた。

海が美しいとあって、当然撮影場所はその海岸。
そして、プッチモニは水着姿であった。
すでに吉沢を含んだ撮影は終っているため、今は保田と後藤の二人だけである。
「はい、もっと二人、引っ付いて」
カメラマンの要望に、
「なんか照れるね」
「そうだね、圭ちゃん」
保田と後藤は少し照れ笑いを浮かべながら、お互いに手を回して抱き合うと、
カメラ目線に笑った見せた。
二人がいい表情になると同時にカメラのシャッターが切られ、
フラッシュの光が何度も二人を照らした。
209勝手に 連続小説第二回:02/02/26 18:33 ID:YMZ+COWY
105 :勝手に 連続小説第三回 :02/02/25 21:52

その日の撮影は予定通りに終わり、宿泊先のそれぞれの部屋で
眠るまでの時間を過ごしていた。

「ごと〜ぉ、いるぅ〜」
保田が入ってきた。

「んぁ、圭ちゃん」
うとうとし始めていた後藤は、ちょっとタレていた涎をベットのシートで
拭いて、うつ伏せていた体を半分起こした。

「えへぇへぇ〜」
後藤が声をかけると、保田はふらふらと近づいてきて…
ベットの上の後藤に、いきなり抱きついた。

「ど!どうしたの。圭ちゃん」
後藤の寝ぼけていた頭が、一気に覚醒する。
後藤は組み敷かれた体をひねって、保田を見上げる…
向かい合った後藤の顔に、保田の息がかかり思わず叫んだ。

「酒くさーい。圭ちゃん、飲んでたの?」
よく見れば保田の顔は赤く、かなり飲んでいる様だ。

「へぇへぇ〜...後藤も飲む?」
「飲む? じゃないよ〜、ごとーはまだ、未成年だよ。」
「何よ、ごとー。堅いこといわないでさ、一緒に飲もうよ。」
保田は無理やり後藤に飲ませようと、手にしていたワインを後藤の口に持って
いこうとする。

「ちょっと、圭ちゃんやめて」
「いいじゃん、一緒に飲もうよ」
「イヤだって、もぉ、怒るよ」
後藤のイヤがる声が強くなる。

「わかったわよ〜」
保田が残念そうに諦める…
少しホッとした後藤は、保田の下から体を引き抜きにかかる。
っと、次の瞬間。
保田がワインをラッパ飲みすると、そのまま後藤の唇を塞いだ。

「んっ..んんっ...」
後藤の咽喉に、ワインが流し込まれてゆく…

(迷惑じゃなきゃ、つづく)

210勝手に 連続小説第三回:02/02/26 19:25 ID:YMZ+COWY
保田は舌を使い、後藤に口にワインを流し込んでゆく…

保田の唇から流し込まれるワインは思ったよりも冷たく、
静かに後藤の喉を蹂躙していった…

「ん..はっ」
保田の唇から開放された後藤は、大きく息を吸い込む。
蹂躙された喉を癒すかのように、後藤は細く息を吐き出した。

「えへぇへぇ〜、コレでごとーも飲んだね」
保田は嬉そうに言うと、組み敷いていた後藤の上から体をどけ、
ベットに仰向けになる。

保田の体から開放された後藤はベットから体を起こし、ドアに向けて
陶然とした足取りで歩みだす。

「ちょっとぉ ごとー、何処行くのよ」

返事は無い…

「ねぇ、ご・と・お ってば〜」

返事は無い…
ドアにたどり着いた後藤は、ためらい無くドアノブに手をかける。

「後藤さん。ごっちん。真希chan〜」
211勝手に 連続小説第四回:02/02/26 20:36 ID:YMZ+COWY
バタン!
呼びかける保田の声を無視して、ドアが重い音を立てて締まる。

「もぅ ごとーったら、ウブなんだから〜」
「キスしたぐらいで、怒る事ないのに〜」
後藤の部屋に、一人取り残された保田はそう嘯くと、
「帰ってくるまで、待ってるからなぁ」
と呟き、唇の感触が残る自分の唇を、愛しげに指でなぞった。

一人の時間は、ワインが保田の喉に流し込まれて行くのと同じ様に、
静々と流れて行く。
何時しか保田は、後藤のベットで深い眠りへと落ちていった…

翌朝、朝日が砂浜を焦がし始めるまで、部屋の主は帰っては来なかった…



その日の仕事も、昨日の撮影の続きだ。
保田、後藤、吉澤の三人がそれぞれ水着に着替え、写真に映し出されていく。
午前中は三人での撮影。
そして、午後からは再び一人での撮影と、二人組を作った撮影であった。

今は保田と後藤が撮影を行っているのだが、スタッフの顔が優れない。
「どうしたんです?」
一人ジュースを飲んで休んでいた吉澤が、スタッフの一人に聞いた。
「何かさ、あの二人。表情が固いんだよね…喧嘩でもしたの?」
「さあ、聞いてないですけど……」
吉澤が言葉を続ける。
「昨日、ごっちんが私の部屋に押しかけて来た時は、何にも言ってなかったですけど。」


「ん〜 このままじゃ、写真の構成を考え直さなきゃ、いかんかなぁ」
呟き立ち去ろうとするスタッフに、吉澤の疑問が飛ぶ。
「どこを、変えちゃうんですか?」
「ん? どこって、このままじゃツーショットは使えないよ」
スタッフは言葉を切ると、浜辺の二人を見る。
その視線を追う様に吉澤が二人を見ると、ギコチナイ笑顔の後藤が目に入る。
確かにソレは、アイドルが、惹いては女の子見せる笑顔からは程遠かった…

果たしてここに書いて、読まれるのかな?
ま、駄作だし。
続きを考えてないし。
逝ってもいっか。

もし、読む使徒がいたら、保全してくれるとありがたい。
更新不定期で、コソーリ マターリ 続けられると、ありがたい。
長文をウザがれなければ、なおありがたい。
213名無し募集中。。。:02/02/26 23:55 ID:+OZgHcz5
スレタイトルが「ここでやれ」だから別に悪くないと思います。
だって、最初から乗っ取りスレだし。

でも、フィニッシュはキメてください。
214「吉澤ひとみ 修学旅行放浪記」:02/02/27 12:53 ID:87FzIwhc
ずいぶん昔に、読んだ記憶がある話。
保存庫などをさ迷っても見つからなかったので、記憶を元に再構成。

結構面白かったので、紹介の意味も込めて書き込みます。

>213
フィニッシュを考え中なので、こんなネタで閑話休題。
読んで頂けてありがたい。


「吉澤ひとみ」修学旅行放浪記」

∀月α日 天気:やや曇り

修学旅行に出かけて何日くらい経ったのか、
よくわからなくなってきました。
目的地に着く様子もなく、かといって家に帰る様子もないっす。
そもそも目的地なんてあったのか…。

修学旅行って人生みたい…終わりない・NA・ない修学旅行!
あまり素晴らしくないっす……そんな気がするっす。


∀月α日 天気:やや曇り のちに ややうす曇り

班別行動で清水寺へ。
清水の舞台から女の人が飛び降りようとしていて大騒ぎでした。
女の人は「オーディション・グランプリを獲ったのはあたしや!売る気が
ないんやったら飛び降りたるでぇ」と叫んでいました。
平家さんに似ている気がしたけど、最近、見かけないので自信
がないっす。

急がば回れと言うけれど……回り道しすぎも問題ですよね。
215「吉澤ひとみ 修学旅行放浪記」:02/02/27 21:21 ID:87FzIwhc
○月β日 天気:雨

昨夜、泊まった宿は“ざしきわらし”が現われるという噂の宿。
寝ている間、誰かが胸元に何かを置いていった気がしたけど、
そのまま寝てしまいました。

明け方、目を覚ますと胸元にベーグルとゆで卵 がありました。
間違いなく加護っす、こんな事をするのはあいつしかいないっす。
……そんな気がするっす。


○月β日 天気:雨

夜、梨佳chanの声が聞きたくなって携帯から電話する。
何の脈絡もない、くだらなくて笑えない話を延々1時間も聞かされた。
かけなきゃ良かった気がするっす。

どうでもいいけど、自分からかけてきたときはすぐ切るクセに、
あたしからかけると延々お喋りするのはやめて欲しいっす。

梨佳chanは、絶対に計算してやがるっす!

○月γ日 天気:晴れ 時々 なっち

今日は奈良。
いままでの展開を読むに、加護あたりと会うのかな?
っと思っていたのに、奈良公園で見たのは、鹿と”せんべい”
を奪い合っている安部さんでした。

とりあえず、今朝入手したゆで卵とベーグルを食べさせました。
安部さん、そんなに食べると太る気がするっす。

○月γ日 天気:晴れ 時々 UFO

午後、新幹線で広島に移動するため、京都駅に。
新幹線ホームの先頭に飯田さんが立っていました。

ホームに新幹線が入ってくるたびに「銀河鉄道はマダか〜」と叫びます。
そう言えば昔、言ってたっす。
「よっすぃは、機械の体がほしくない?」って。私はいらねっす。

でも、今のままでも十分機械っぽいっす。要チェケラッチョー!!
216名無し娘ってのが。。。:02/02/27 21:43 ID:sJIyV13X
>214-215
漏れも読んだ記憶がある
妄想楽屋裏で連載してたよね

ひさぶり読んでワラータ
続きをキボ
217「吉澤ひとみ」修学旅行放浪記:02/02/28 13:13 ID:GSCqGkFq

○月γ日 天気:晴れ 時々 後藤さん

夜、今日はごっちんに電話。仕事の話を聞く。
ファンの人たちがあたしのことを忘れるんじゃないかという気がしてきて、
ちょっと不安っす。

「大丈夫だよ。イグアナだって脱皮するのに時間がかかるんだから、
よっすぃーもゆっくり修学旅行を楽しめばいいじゃん」

何が大丈夫なのか、よくわからねぇっす。そんな気がするっす。


○月А日 天気:晴れ またまた飯田さん

広島。朝起きると誰もいない。目覚まし時計が壊れてしまったみたい。
…っていうか、置いてくか 普通?

こんなことなら昨日、京都駅から飯田さんを連れてくれば良かったと思う。
「ディアーーー!!」の叫び声で目覚める朝。
目覚めた途端、瞳孔拡大状態の飯田さん。
ぢっと見つめられて、ステキな目覚め♪

いや、連れてこなくて良かった…そんな気がするっす。


○月∂日 天気: 晴れ 時々 なつみさんかな?

しょうがないのでクラスのみんなを探しに平和公園に。
公園内をさ迷っているとハトにたかられている女の子が…
って 辻じゃん。
「あめだま、たべるれすか?それとも、豆がいいっすか?」

辻の足下には、ハトと豆を取り合う安倍さん…
いくらお腹が減っていても、人としてのプライドは失いたくねっす。

安部さん。辻なんかに餌付けされねでほしいっす。

218保全:02/02/28 22:51 ID:BZguMF2e
保全
219保全:02/03/02 15:13 ID:8IOxItGB
保全
220保全:02/03/05 07:00 ID:qegNevD4
保全
221吉澤ひとみ 修学旅行放浪記:02/03/06 13:19 ID:KOXPtGvJ
○月∂日 天気: 晴れ 時々梨佳chan

午後、ようやくクラスの皆と合流できたっす。
ほっと、一息つけたっす。
ん、待つっす。この機会に東京へ帰ってしまえばよかたっす。

後悔しても始まらねっす。ここはボヨヨ〜ンで、レッツ ポジティブっす。
そう思い、バスに乗り込むなり目を見張る…

「…修学旅行、それはまさに無限に続く挑戦の旅路っ!」
ポジティブな思考は、甲高いチャミ声に破られてしまたっす。
「どもっ、はじめまして。バスガイドのチャーミー石川ですっ!」

唖然。

なにがチャーミーだよ、このバカガイドっ!
人生何が有るかわかんねっす。YO チェケラッチョウ!!


○月∂日 天気: 温泉 時々 なっち?

なぜか大分。ここは別府。あのバカガイド、何をかんがえているっす。
修学旅行で温泉に来るなんて、なんか間違ってる気がするっす!
でもでも人生。何が有るかわかんねっす。要 チェケラッチョウ

と、言いつつも”ゆで卵”を作るにはもってこいであるのもまた事実っす。
安倍さんにゆで卵を食わして以来、ゆで卵のない生活を送ってきたのでつらいっす。

旅館を抜け出し入手した生卵をざるに入れ、源泉につける。
あとで取り上げるとき、火傷をするといけないのでザルに紐をくくりつけ
ておくのも忘れないっす。

1時間後、紐を引っ張りあげるとざるの先には安倍さんがかかってたっす。
釣りをしてたわけではないのはいうまでもないっす。
せっかくの温泉卵を食べてしまった安倍さんを、再び源泉に突き落とす。
あとで拾い上げるつもりはないので、当然、紐はつけないっす。

○月Б日 天気:晴れ とか、そういう問題では無い気がするっす。

バスは別府を立ち一路、長崎へと向かう。
気のせいか、車内は少しばかり寒いみたいだ。
バスガイドの何の脈絡もない話が関係している。直感的にそう思うっす。
おまえの写真集撮影の自慢話なんて聞かされても…。

「あ、そうそう。みなさま、右手をごらんください」
そういうとガイドは自分の右手を大きく前に突き出す。
バスの右側の窓の方をのぞき込む
のぞき込んだ窓の向こう側には特に何があるわけでもない。

「そうじゃなくって、チャーミーの右手を見てください……チャオ〜!」
バカガイドの右手は、心なしか小指が立っている。

秋の気配がまた一段と深まった…そんな気がするっす。

しかし、懲りない女っす。
二度と立ち上れないようにする必要があるっす。
絶対にそうするっす!そうしなきゃいけない気がするっす!

○月Б日 天気:晴れたらいいね〜♪

長崎に到着。
クール宅急便のようなバスから逃れ、友人達と中華街へと向かう。

ぶらぶら歩いていると、中国風の民族衣装を身にまとった小さな男(?)が
路地占いをしている。
いや、近くで見ると明らかに付け髭をつけた加護っす。
こいつ、こんなところでなにやってるっすか、少し笑ってしまったっす。

「お嬢さ〜ん、笑っちゃいけましぇーん。手相を見て、あげましょう!」
言われるがままに左手をさしだしてしまったっす…
「う〜ん。おー、これは女難の相が出ていますねー」
……女難の相って、あたしは女だよ……心当たりは、まぁ、ある気がするっす…
「それにキャラが立ってないので使いづらいと出ていま……バキッ」
あたしの右ストレートは的確に加護のアゴをとらえ、加護は中華街の路上
にスローモーションで崩れ落ちていったっす。

加護…今のあんたにそんな事言われたくないっす…。
222吉澤ひとみ 修学旅行放浪記:02/03/06 19:05 ID:KOXPtGvJ
○月В日 天気 : 二人暮らし 日和

平和公園へと向かう途中、知り合いに声をかけられたっす。

「おー、吉澤やないか。ちょうどええところであったわ。
あんな、これから麻雀しょ−と思ってな、ピンフ(平和)公園ゆ〜雀荘に行きた
いんやけど、どっちにいったらええか知っとるか?」

…ピンフ公園じゃないだろ! 雀荘じゃないだろ!
何を勘違いしてるんだ、このひとは?
このままでは、目的地がカブってしまうので、とりあえず、まったく反対方向を
指さしておくっす。

「おおきになー、東京に帰ったら、矢口と美味しいもん食べにつれたったるさ
かい、楽しみにまっとれよ。」

美味しい物ってベーグルっすかね、気をひかれるっすが、矢口さんとは…ちょっと…
平和公園と、わたしの平和を守った気がするっす……多分、そんな気がするっす。



○月В日 天気 : ヤンバルクイナ来襲!

中澤さんを騙くらかしての平和公園。
なんか広島でも似たようなところに来たような気がするっす。
でもでも、そこは人生。何が有るかわかんねっす。要チェケラッチョウ!

そんでもって、長崎の平和公園といえば平和祈念像。恒久の平和を祈願して建立
された像だって事は知ってるっす。しかし…
平和祈念像の前には矢口さんが、平和とは程遠い表情で仁王立ちしてるっす。

「なによっ! 勝負しようって言うの! それならひとの顔をちゃんと見なさいよっ!
ちっちゃいからって、なめんじゃねえーよ! 殺すぞ コラァ !」
平和祈念像は決して矢口さんと目を合わせようとはしなかったっす。

矢口さん、本日の戦績 : 1戦1勝


○月В日 天気 : もはや、どうでも良い…

午後は佐世保のハウステンボスに行ったっす。
因みに住所は「佐世保市ハウステンボス町」 なんかバカにされた気がするっす。

人工の町をぶらぶらしていると、人造人間…ぢゃなくて飯田さんに出逢った。

「圭織、思うんだけどさ、なんかオランダっぽい町並みがロマンティックだよね」
「…はぁ、ロマンチックですか」
「ロマンチックじゃなくてロマンティックでしょ。」
「でもさ、お花畑とかもたくさんあって、メルヒェンな感じだよね」
「…メルヘンっすよね」
「ちがう。メルヒェンっ!」
そう言い捨てると飯田さんは、夢遊病者の様な足取りで去っていきました。

どこにどういう違いがあるのかよくわからいっす。
ひょっとしたら故障している気がするっす。


○月Д日 天気:東京に帰れるかもしれねっす。心は晴れ模様っす!

博多駅、新幹線ホーム。
東京へと向かう新幹線のホームへと、とうとうやってきたっす。

ホームには既に新幹線が止まっているっす。
この新幹線に乗り込むことさえできれば、きっと帰れるはずっす。

新幹線の乗降を待っているとツカツカと歩み寄ってくる背の高い女性。
…飯田さんっす…

「吉澤、あなたが乗るのはこれじゃないよ。銀河鉄道999に乗りなさい」
な、なにを言ってるっす、この人は?
飯田さんはあたしの腕をつかむと、大きな瞳でヂッとあたしを見つめて…
「…吉澤! あんたは機械のカラダが欲しかったんじゃないの?」

前にもこんな事が有ったきがするっす。
でも、やっぱり、いらねっす…
            …第一、そんなの修学旅行と関係ないっす。

223「吉澤ひとみ 修学旅行放浪記」:02/03/06 19:34 ID:KOXPtGvJ
○月Д日 天気:もはや、天気とかそういう問題じゃないっす!

新幹線の乗車口が開いたのを確認すると、あたしは絡みついた飯田さん
の手を振りほいたっす。
この新幹線を逃したら、もう帰れないかもしれないっす!

慌てて乗車口に駆け寄ろうとするあたしの前に、あの人が立ちふさがたっす。
…矢口さん…

「よっすぃ! ちょっと待ちなさい! あたしを倒さないと新幹線には乗れなっ…」

喋り終わるか終わらないかといううちに、
あたしの上段回し蹴りが、矢口さんのノド元に鮮やかに決まったっす!
不意に呼吸器官への一撃をくらった矢口さんはその場にへたり込んでしまったっす。

− 敵を目の前にしてのお喋りは、時間の無駄だって教えてくれたのは
   矢口さん、あなたですよ。

なにはともあれ、吉澤ひとみ、矢口さんに初勝利っ!!


○月Д日 天気:新幹線に乗り込んでホッと一息。

車内に乗り込み、ホッと一息。
もう邪魔する奴はいないはずっす。
安心したら、なんだか眠くなってきたっす。

ウトウトとしているとアニメ声の車内放送…なんか、嫌な予感がするっす。

「みなさま、はじめまして。新幹線ガイドのチャーミー石川ですっ!」

新幹線ガイドって何だよ?
あたしの心配をよそにバスガイドならぬ新幹線ガイドは喋り続ける。

「はいっ、それでは続いてぇ可愛い運転士さんを紹介しましょう。運転士の辻ちゃんです」
「運転士のつじのぞみれすっ! がんばりますっ!」
「なんで辻ちゃんが運転士かと言うと、のぞみ号だからなんだよね〜」
「はいっ。がんばりまーす!」

帰れない気がするっす。


○月Д日 天気:もう勝手にしてください。

なんだか嫌な予感が徐々に増してくるっす。車内を観回すと…

通路を挟んだ席に座った飯田さんは、「ディアーーーー」と、さっきから発声を繰り返してるっす。
車内放送ではチャーミーが、テニス部の部長時代の苦労話を語っているし…
かと思えば、たまに車内販売員の格好をした安倍さんが「全部、なっちが食べたっしょ」と
言いながら空っぽになったカートを引っ張っているっす。

気分の変えようとトイレに行くため、席をたつ…ん?
さっき倒したはずの矢口さんが凄い形相でこちらに向かってくるっす…
アレ? あたしに気付かずに行ってしまったっす。

トイレに行くと中澤さんが矢口さんに背中をサスサスされながら、洗面台に向かって
ケロケロしてるっす…

…席にかえるっす…

なんだか完全に包囲されているみたいっす。このまま無事に帰れるわけがないっす。
あたしはとりあえず寝ておこうと思い、目を閉じた。

…そういえば、ごっちんと、保田さんはどうしているんだろう?
 Zzz…
224吉澤ひとみ 修学旅行放浪記:02/03/06 19:37 ID:KOXPtGvJ
○月Д日 天気:もう勝手にしてください。

目が覚めると…自分の部屋っす。
目覚めたばかりだというのに疲れがとれてない感じがするっす。
ベッドの脇に目をやるとそこには、大きめのバッグ。

そうか、今日は修学旅行の出発日っす。
昨日はプッチの新曲のレコーディングで部屋に帰って来たのが、
たしか…2時をまわっていたっけ…そりゃ、疲れもするっす。

ぼんやりしたまま、目覚まし時計を見ると…
と ! 止まっているっす!
起きるはずだった時間をとっくに過ぎているっす。
やばひぃっ ひさぶりに学校の皆に合えるつーのに遅刻っす!

…でも、こんな事が前にもあったような気がするっす。

何とか集合時間に間に合い、先生の点呼の声を聞いていると、
不意に、保田さんの言っていた言葉を思い出した。

「吉澤、明日から修学旅行なんだよね。楽しんできなね。
 …ちょっとオカシイかも知れないけど、私、娘。って修学旅行みたいだって思っているんだ。」
「修学旅行ですか?」
「そ、修学旅行。なんかさ、これだけ女の子が集まっていると、女子校って感じがするんだよね。
  …ま、年齢幅は広いけどね。そんな風に思えない? 」
「あっ 言えてるかもしれないっす。でも、保田さん変な事ばっか、考えてるっすね。」
「吉澤…、変な事って…ま、確かに変だけど……

保田さんの話を思い出しながら、どこに向かっているのかもわからない、娘。たちの修学旅行も
いつかきっと終わる。そう思ったっす。だから、あたしは静かに祈った。
どうか、娘。達の修学旅行がもうしばらく続きますように、と。

「ほらっ、おまえ達、もうすぐ出発するぞ !」
先生のあたしたちを呼ぶ顔に、中澤さんの顔がちょっとダブって見えた。あはは、引率のお姉さんだ。
友達と顔を見合わせ、あたしは先生の待っている方へと駆けだした。

あたしたちの修学旅行はまだまだ終わらない。そんな気がするっす。

おしまい。
225保全
保全