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29名無しさん
あのぅ・・・サウンドノベルスレみたいなノリで書きたいんだけど
スキルがなくてまったく自信がない。寒い。
廃スレみたいだし、ここに吐き出してみる。

ジャンルは格闘ものです。
格闘集団モーニング娘に入った紺野の奮闘を描くものです。
30名無しさん:02/01/11 03:32 ID:vc/oC8jC
メンバー紹介

 小川真琴
 ファイトスタイル ストロング
 得意技 延髄斬り

 高橋愛
 ファイトスタイル ルチャ
 得意技 空中殺法

 新垣里沙
 ファイトスタイル ヒール
 得意技 新垣ラヴラヴボンバー

 辻希美
 ファイトスタイル パワー
 得意技 ののスプラッシュ

 加護亜依
 ファイトスタイル テクニック
 得意技 あいぼんタックル

 吉澤ひとみ
 ファイトスタイル シュート
 得意技 フロントチョーク

 石川梨華
 ファイトスタイル 塩
 得意技 スーパーモンキーフリップ
 
31名無しさん:02/01/11 03:33 ID:vc/oC8jC
 保田圭
 ファイトスタイル スープレックス
 得意技 ブレンバスター

 矢口真里
 ファイトスタイル ファイター
 得意技 ムーンサルトブレンバスター

 飯田圭織
 ファイトスタイル サブミッション
 得意技 ヒールホールド

 安倍なつみ
 ファイトスタイル 超オーソドックス
 得意技 パワーボム

 後藤真希
 ファイトスタイル カウンター・プレッシャー
 得意技 打首獄門

 紺野あさ美
 ファイトスタイル カラテ
 得意技 かかと落とし
 
32名無しさん:02/01/11 03:33 ID:vc/oC8jC
プロローグ

 私が格闘集団・モーニング娘に入って4ヶ月。
 ついに正式なデビューの日が迫ってきた。
 1月4日。
 それが私が大舞台のリングに立つ、始めの日だ。
 途中、ヒザのケガもあってデビューが危ぶまれたけど
 無事にその日を向かえられそうだ。
 でも・・・
 私、勝てる自信がないよ。
 大勢の前でリングに立つ。それすらも緊張して出来ない気がする。
 想像をするだけで夜も眠れなかった。
 「緊張? 別にしてないよ。というか、逆に楽しみで眠れないんだけど」
 同期で入った新垣里沙ちゃん。
 全然緊張してないなんて、楽しみなんてすごいよ。
 「私も楽しみだなぁ〜」
 同じく同期の小川真琴ちゃん。
 真琴ちゃんも楽しみだなんて・・・信じられないよ。
 「うん、4日が楽しみだぁ」
 なまりながらも、高橋愛ちゃんも言った。
 みんなすごいよ。
 私は緊張しっぱなし・・・練習にも身が入らなくてコーチの夏先生にも怒られっぱなし。
 大丈夫かな・・・こんなんで。
 
33名無しさん:02/01/11 03:36 ID:HL7qGYmW
 そして、その日はやってきた。

 「よーし、会長から話しがあるからみんな集まって」
 元モーニング娘で、現在選手兼トレーナーの中澤さんが集合を掛ける。
 「さて、と・・・」
 リングの端に座っていたつんく会長がゆっくりと腰を上げた。
 「今日はひさぶりのデカイ興行。そんで、お待ちかねの5期メンバーのデビューの日や」
 つんく会長の声に、道場内にも緊張が走る。
 「まぁ、デビュー戦は緊張して当然やろうけども、悔いの残らんよう頑張ってや。
  そして、他の連中も決して気を抜かんようにな」
 「はい!!」

 会長の話しが終わり、私はイスに座ってカチコチになっていた。
 ついにこの日が来たんだよ。
 私、もうすぐリングに上がるんだよ。
 ・・・はぁ・・・だめだ・・・
 無理だよ・・・
 「・・・紺野・・・」
 逃げたいよ・・・
 「紺野?」
 「え?」
 「さっきから声掛けてるんだけど」
 「あ、あ・・・」
 見上げると、私に声を掛けていたのは・・・
 「ご、ご、ご、後藤さん!!」
34名無しさん:02/01/11 03:37 ID:HL7qGYmW
 後藤真希。
 モーニング娘、いや、このハロプロ道場、いや、日本中を見ても最強のトップファイター。
 デビューから2年、一度も負けを許していない。
 心臓をもぎ取られても決して倒れない強靭なスタミナ。
 そしてなんといっても、縛られたら終わりという究極の武器「死神の鎖鎌」。
 どのような体勢からでも相手の動きを拘束し、必殺の打首獄門で一気に勝負を決める。
 普通に考えれば卑怯極まりない反則殺法なんだけど、あまりの凄さと強さでみんな納得してしまった。
 あのヒクソンも「ゴトーとだけはやりたくない」と対戦を拒否し続けてるらしい。

 そんな後藤さんが、私なんかに声を掛けてくるなんて!
 正直、今まで一度も話したことなんかない。
 どう考えても雲の上の存在だし、それどころかそのまた上の宇宙のお星様みたいな存在。
 なのになのに・・・
 「んあー、だいぶ緊張してるねー」
 「は、は、はいっ!!」
 なんだか返事してしまう私。
 「固いよ? もっとリラックスして」
 「リラ・・・リラックスです・・・ね・・??」
 ガタガタブルブル……
 「なんか、もうすぐ警察に捕まっちゃうみたいな感じだよ?」
 「は、は、はぁ・・・」
 「まぁ頑張ってよ。期待してるからさ」
 「え?」
 今なんと?
 ・・・
 後藤さんはその言葉を残して行ってしまった。
 ・・・
 期待している・・・
 私なんかを??
 「よーし、そろそろ会場に行くぞー」
 中澤さんの声。
 「どうしたのあさ美。行くよ?」
 「う、うん・・・」
 里沙ちゃんに促され、私は立ちあがった。
 はぁ・・・
 
35名無しさん:02/01/11 03:37 ID:HL7qGYmW
 「で・・でかいよ・・・」
 会場のあまりの大きさに、私はガクガクと震えていた。
 「まぁ、満員なら6万は入るからね」
 「ろ、ろ、ろ、ロクマン!!??」
 私はただでさえギョロっとした目を、さらに見開いた。
 「えー、すごーい。いきなりこんな所で試合できるんですね私達ー」
 里沙ちゃんは呑気に楽しそうに言う。
 「うん・・・すごいね・・・」
 真琴ちゃんは期待に瞳を輝かせていた。
 「はぁ・・・こりゃーキツイなー」
 愛ちゃんはさすがに緊張しているらしく、なまりが強くなる。
 「さ! お前達!! 感慨に深けるのは後にしてさっさとリング作りな!」
 そうでした。前座の私達はリング作りのお手伝いなのです。
 中澤さんにお尻を叩かれ、私達は働く。

 開場の時間。
 お客さんが入り始めたのか、ざわざわと声が聞こえてくる。
 「もうそろそろだー。紺野は第一試合だから、準備始めなー」
 「え? 私が第一試合なんですかぁ!?」
 「なんやお前! 知らなかったんか!!」
 「はい・・・」
 「はぁー、不安やわ・・・」
 中澤さんは頭を抱えた。ごめんなさい。
 「ええか? 第一試合はな、いわゆる”つかみ”や。ここで盛り上げるか盛り上げないかで
  大会が成功するかしないか、大きく違ってくる。責任重大やで〜」
 そんな・・・また、プレッシャーをかけないでください。
 「なんや? なんか言いたいことあるんか」
 「いえ・・・」
36名無しさん:02/01/11 03:37 ID:HL7qGYmW
 ドクン・・・
 ドクン・・・

 無理だよ・・・無理だよ・・・

 『さぁー、正直客の入りは悪く超満員ではありませんが、それでも沢山の人が集まりました!
  この大舞台で今日はお楽しみの、最強の格闘集団モーニング娘の新人デビュー戦が行われます!!』
 ウオオオオオォォォォォーーーーー!!!

 「そろそろ出番だね・・・」
 加護さんが控え室の前でうなだれでる私に声を掛けてきた。
 「はい・・・」
 加護さんもおっきな会場で緊張しているのか、顔が泣いてるように見える。
 「がんばってね・・・」
 「はい・・・」
 それだけ言うと加護さんは行ってしまった。
 ・・・
 どうしよう・・・
 もう、すぐだよ・・・

 暗転。

 ワアアアアァァァァァァーーーー!!!!

 
37名無しさん:02/01/11 03:38 ID:zWXCm8dY
 私……私……やっぱり


 「赤点地獄!!! 紺野あさ美入場!!」


 ウオオォォォォオオオォォォーーーー!!!

 「さ! 紺野! 行きな!!」
 中澤さんが私の背中を押す。
 「ごめんなさい・・・」
 「紺野!?」
 「私・・・行けません・・・」
 「な・・・」
 「リングに立てません!!」
 「なにいうてんのー!! ここまで来て逃げんのか!? 今まで練習してきたのはなんなの!?」
 「だって・・・だって・・・」
 私の目に涙が溢れてきた。
 「おどおどすなー!! いくじなしがぁー!!」
 「きゃっ!!」

 ワアアアァァァァァーーーーー!!!!

 中澤さんに投げ飛ばされ、花道に飛び出してしまった。
 そ、そんな・・・

 宇宙のように広く感じるこの空間。
 凄まじい歓声がワァンワァンと響いている。

 やだ・・・やだよ・・・

 私は仕方なく一歩一歩リングに近づいていく。
 遠いな・・・
38名無しさん:02/01/11 03:38 ID:zWXCm8dY
 『さぁー、新人の紺野あさ美ー非常にゆっくりとした足取りで入場してきます!!
  なんだか怯えているようにも見えますが大丈夫でしょうか!!』

 「んなー!もう!! 見てられんわ!! さっと入場せいや!!」
 「な、中澤さん!!」

 ワハハハハハハ!!!

 『うおーっと!! なんとこれは中澤裕子でしょうか!?
  トレーナーの中澤に連れられて入場! これはかなり情けない!!
  会場早くも爆笑の渦だぁぁぁ』

 「は、は、恥かしい・・・」
 「お前が悪いんや」
 中澤さんに引っ張られて私はリングの中に入った。

 ワァァァァァァァーーーー!!!

 『さあー新人の紺野あさ美! 対戦相手はあの金八先生の生徒、上戸彩です!
  かなりの素質を持った相手! はたしてどう対抗するか!!』

 「ええか紺野! はっきり言って相手はお前なんかよりはるかに……って、お前聞いとんのかい!」
 ガクガクブルブル……
 「だめだこりゃ・・・緊張して聞こえてない・・・」
 「・・・」
 「つんく会長・・・」
 「・・・」
39名無しさん:02/01/11 03:39 ID:zWXCm8dY
 もう何がなんだかわからなかった。
 リングアナのコールも聞こえない。

 わけのわからないうちにゴングが鳴った。

 『あーっと、上戸フライング気味に一気にいったー!!』
 中澤「は、速い!!」
 ズドドドドドドドド・・・
 『凄まじい速さでパンチとキックが入るー!!』
 中澤「あかん・・・こりゃ格が違いすぎる・・・」
 つんく「・・・」
 『あーっ!! ジャンピングハイキックーーー!!! 早くもKOなのかぁー!!
  これで決まっては何がモーニング娘だ!! ということになってしまうぞー!!』

 「立てー!! 立つんやー!! お前の空手を見せてやれー!!」
 誰かの声が聞こえる・・・
 でも、誰だったか思いだせない・・・

 つんく「・・・ふぅ・・・」カチッ
 隣りの客「あんた、ここ禁煙だよ」
 つんく「あっ・・・すんません」
 『カウントが入っています!! このエセ格闘ルール!!
  いつもよくわからないうちにカウントが入ってヒンシュクものなんですがー!!
  ともかく無情にもカウントが入っていくーーーーー!!! Ah−っ!!』
 
40名無しさん:02/01/11 03:39 ID:zWXCm8dY
 カンカンカン。

 ・・・・・・
 ・・・・
 ・・

 静寂。

 そして。


 ブウウウゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥーーーーー!!!

 情けなき者に与えられる怒りの声。
 ブーイング。

 彼女はデビュー戦にしてその洗礼を浴びていた。


 「わ・・・私・・・」
 「・・・」
 気がつくと私はリングの下に倒れていて、中澤さんが悲しそうな顔をして、私から顔を背けていた。
 「私・・・負けたんですね?」
 「・・・・・・ああ」
41名無しさん:02/01/11 03:40 ID:QlL3IDSw

 『弱すぎる!! 弱すぎるぞ紺野あさ美!!
  誉れ高き格闘集団モーニング娘のメンバーがこんなことでいいのか!!
  たとえ新人とはいえ許されないぞ!!』

 「!!」
 許され・・・ない・・・??
 「黙れぇぇぇぇぇぇ!!!!」
 「!」
 中澤さんが実況の人に向かって叫んだ。
 実況の人はきょとんとしている。
 「あんたに・・・何がわかるんや・・・紺野の・・・何が・・・わかるんや・・・」
 「中澤さん・・・」
 「ヒザ怪我したりしたけどなぁ!! それでもこの子は一生懸命っ・・・!!」
 私は中澤さんを押さえた。
 「中澤さん・・・いいんですよ」
 「紺野・・・」
 「私・・・負けたんですから」
 「・・・お前・・・」
 「そやな・・・」
 「つんく会長!?」
 「ま、それより次の試合や・・・新人の試合はまだ3つ残ってる」
 「そう・・・ですね」
 「紺野・・・」
 「はい・・」
 「ここで試合見てろや・・・他のメンバーの闘いっぷり、しっかりと見ておけ」
 「はい」
42名無しさん:02/01/11 03:41 ID:QlL3IDSw
 次は里沙ちゃんの出番だ。
 里沙ちゃんの表情は本当にリラックスしていて楽しそうだ。
 「ファィッ!!」
 カーン!!
 終始里沙ちゃんのペースで試合は進んだ。
 一発やられても、へへと笑って強烈に一発返していく。
 何もできなかった私とは大違いだ・・・

 『さぁー新垣! 自分のペースを守っている!! あっーとこれはなんだ!!?
  相手の片足と首を抱えこんでーーー!?』
 オォオォオォオォオオオーーーー!!!
 新垣「ラヴラヴーーー!!!」
 ドーーーーーン!!!
 「ワン! ツゥ! スリィ!!」
 カンカンカン!!
 『は・・入った・・・最後はキドクラッチのような体勢になりましたが・・・
  すさまじい電光石火・・・何があったのかわかりませんでしたぁぁぁぁ!!!』

 「新垣の奴・・・いつの間にあんな大技を・・・」
 「すごい・・・」
 中澤さんも驚いていた。
 だって、道場であんな技見せたことないもん。
 きっと秘密で練習してたんだ・・・すごいよ・・・
 「へへ・・・」
 里沙ちゃんが笑顔でリングを下りてくる。
 「すごいやないか!! びっくりしたで!」
 「あはは・・・」
 里沙ちゃんが見事デビュー戦を飾った。
 「・・・おめでとう」
 私は言った。
 「う、うん・・・ありがとう」
 里沙ちゃんは私と目を合わすと、すぐに逸らして行ってしまった。

 愛ちゃんは身の軽さを生かして、相手を翻弄。
 「いまやーーーー!!」
 相手の肩に乗った愛ちゃんがクルリと後ろに回転する。
 「ワン! ツゥ! スリィ!!」
 カンカンカン!!
 見事に相手を丸め込んだ。
43名無しさん:02/01/11 03:41 ID:QlL3IDSw
 「おめでとう・・・」
 愛ちゃんも勝った・・・
 「うん・・・ほんと、よかっただ」
 ・・・

 「であーっ!!」
 真琴ちゃんは得意の猪木顔で相手を攻め立てる。
 猪木さんは真琴ちゃんのこと知らないだろうけど
 まさしく猪木イズムを伝承している気がする。

 『卍かーっ!? そこまで猪木をコピーするか!! もはや春一番を凌駕していく勢いだ!!
  あーっ! しかし体勢が崩れた! グラウンド卍になりました!!』
 カンカンカン!!!

 体勢が崩れたものの相手はギブアップした。

 「よかったね・・・」
 「うん!」
 新人は私以外はみんな勝ってしまった・・・
 いや、勝ってしまっただなんて・・・!
 喜んであげなきゃ・・・!
 くやしくなんか・・・ないよ
 「先輩の試合も見ていけ」
 「はい」
44名無しさん:02/01/11 03:42 ID:QlL3IDSw
 新人の試合が終わった後は、いよいよ先輩さん方の試合。

 はーいはーいはーい♪はいからさんがとおっるー♪

 『こんな塩女のためにこのテーマ曲は勿体ない!! お前は健介の100倍はしょっぱい!!
  今日も我々に地獄を見せてくれるのか石川梨華ー!!』

 実況の人に散々に言われてたけど、石川さんはさすがに強かった。
 ほとんど相手は何もできなかった感じ。
 でも、真琴ちゃんの後に猪木風の試合をされたので少し退屈だったけど。

 次は辻さん加護さんのタッグマッチ。
 二人ともかなり追いこまれていたけど・・・

 『ピンチ! さぁーここで辻がラリアットかー!!??』
 オオオオォォォォォーーーー!!
 『しかし、そう見せかけておいての見えない角度からのあいぼんタックルー!!』
 「ワン! ツゥ! スリィ!!」

 大逆転。
 加護さんはこういうテクニックに長けているのだ。
 仲良しの辻さんと組めばその技はさらにパワーアップ。
 「楽勝だったのれす」
 ポンとお腹を叩く辻さん。

 吉澤さんの試合はまさにスピーディ。

 『吉澤裏拳ーーー!! しかしかわされるー!!』
 相手「遅いんだよ!!」
 吉澤「・・・」
 ガチッ
 オオオオオオオーーー!!!
45名無しさん:02/01/11 03:42 ID:AIH+aMn/
 『あーーーー!! 吉澤、裏拳を避けて下がった相手の頭を一瞬でとらえたーー!!』
 ドサッ。
 「け・・・KO−−−−!」
 一瞬の殺人技。フロントチョークで一瞬で相手はマットに沈んだ。

 『安倍なつみの入場ーーーー!! 欠陥品の初期型プレステ2が投げ込まれております!!』
 飯田さんと安倍さんは、一番キャリアが長いだけあって安定した試合運びを展開した。

 ドォォォォォォォン
 『ブレンバスタァァァァァ!!!』
 「す・・・すごい・・・」
 保田さんのブレンバスターはすさまじい重みがあった。
 ただのブレンバスターのはずなのに、なんでこうも他の人と違うのだろう?

 ウオオオォォォォォォーーーー!!!!
 『ムーンサルトッ!! ブレンバスター!!!』
 信じられない。
 矢口さんの一回転しての雪崩式ブレンバスター。ムーンサルトブレンバスター。
 体が小さいから出来るのだろうか。
 「死ねっ! 死ねっ! 死ねーーーーー!!」
 そして死ねコールでカウント3。
 とにかく、保田さんも矢口さんもすごい。
46名無しさん:02/01/11 03:43 ID:AIH+aMn/
 ・・・

 観客は固唾を呑んで待っていた。
 一人の英雄の登場を。

 「死神降臨!! 後藤真希・・・入場!!」

 ウオオオオオォォォォォォォォォ
 ごーとーお!! ごーとーお!!

 うねるような観客の声援。
 今までは全然違う。
 私は圧倒された。

 『さぁー対戦相手は、落ちぶれ広末涼子!! それはお互いに言えることじゃねぇのかという
  突っ込みを感じつつ試合開始!!』
 相手が腕を振り回しながら、キ〇ガイのように後藤さんに突っ込む。
 かなりヒールのようだ。
 ガシッ
 オオオオオオオオオオーッ!!
 出た。
 後藤さんの「鎖」が。
 一瞬で相手の体をくるむ。
 ズリズリズリ・・・
 そして、リング中を引きずり回す。
 後藤「・・・」
 天高くジャンプ。相手もそれに引っ張られる。
 ゴオオオオォォォォッ
 急降下。
 後藤さんは「鎌」を手にする。
 相手「がはぁっ」
 首をかっきる。
47名無しさん:02/01/11 03:43 ID:AIH+aMn/
 ワアアァァァァァァァァァァ

 決まった。
 まさに秒殺。
 強すぎて観客は大声が上がらないのか
 思ったほどの大歓声ではなかった。

 でもすごい。
 英雄というものはこうも違うのか。

 ・・・
 ・・・

 結局負けたのは私だけだった。
 とぼとぼと控室へ戻る。
 「まぁ、しゃーないって」
 中澤さんが言った。
 「相手がちょっと強すぎた。今のお前じゃ適わなかっただけのこと」
 「・・・でも・・・」
 「落ち込むな! これからはどんどん試合あるんや。落ち込んでる暇なんてないって」
 「・・・」
 同期の三人の姿が目に映った。
 私と違い勝った彼女達。
 その表情は達成感で笑顔に満ちている。
 ・・・
 やっぱりくやしいよ・・・
48名無しさん:02/01/11 03:44 ID:AIH+aMn/
 「中澤さん・・・わたし・・・」
 「なんや?」
 「やっぱり・・・私、やめます!!」
 「なに?」
 その言葉に同期のみんな。他の娘達も集まってくる。
 「娘、やめます!!」
 「なにいうてんの?」
 中澤さんは私が冗談でも言ってると思ってるのか、本気にしていないようだ。
 冗談じゃない。本当に私はもうやめるんだ。
 「どうしちゃったの? 一回負けたくらいでやめちゃうの?」
 矢口さんが言った。
 「うるさい!!」
 私は怒鳴りつけた。
 「う・・うるさいって・・・!!」
 「まぁまぁ」
 飯田さんがなだめた。
 「なに、すねてんの?」
 拗ねてるんじゃないよ。
 「わがまま言ってるようにしか聞こえないよ?」
 わがままじゃ・・・ないよ。
 「なんだかわかんないうちに試合が始まって、なんだかわかんないうちに負けて・・・
  それでブーイングで・・・もう嫌です」
 「ブーイングくらいで・・・私なんかいっつも死ねーって言われてるよ」
 「矢口さんは平気かもしれませんけど・・・」
 「それって何が言いたいわけ?」
 「だからやめなって!」
 私に詰め寄ろうとする矢口さんを飯田さんと保田さんが止めてる。
 「私、邪魔者なんです」
 「はぁ?」
 「だって、私赤点じゃないですか。補欠じゃないですか」
 「あのなぁ。会長は確かにそう言ってたけど・・・」
 「大体、13人ってキリが悪いんですよ」
 「人数は関係ないだろ!」
 「それにケガして、迷惑かけたし」
 「そんなのすんだことや・・・」
 「とにかく邪魔なんです。グズでのろまでどうしようもありません。落ちこぼれなんです」
 ・・・
 「あのねぇ、紺野ー」
 安倍さんが話し始めた。
 「紺野はたくさんの中から選ばれた立派なモーニング娘の一員なわけ。
  もし紺野がここでやめちゃったら、娘に入りたくても入れなかった人達の気持ちはどうなるわけ?」
49名無しさん:02/01/11 03:45 ID:zn+sV/KW
 ・・・
 「別にその人達のためにやってるわけじゃないですから」

 バチン!!

 「ごっつぁん!!」
 「後藤!!」
 ・・・
 そんな・・・
 「・・・」
 後藤さんが私をぶった・・・?
 「・・・がっかりした」
 後藤さんはそう言うと去っていった。

 後藤さんは何故あんなことを?
 わからない・・・
 私はどうしたら・・・

 「まぁ、時間は十分にあるよ。やめるのは勝手だけど、もう少しじっくり考えたら?」

 中澤さんにはあの後そう言われた。
 私はやめるべきなのだろうか?

1 やめる
2 やめない