ほんまごめんなさいねぇ、まったりさせていただいて、、、
この後のシーンがラストまで一気に続いてるようなもんですから
出来てるとこまでうpるか、完成後にうpるか悩んですんですよねぇ、、、
500 :
:02/03/08 00:42 ID:1NEn29qO
完成後にうp=怒涛の更新再び
うひょひょーっ
501 :
・・・:02/03/09 00:52 ID:pNmIbRDS
osage
突然、フッと顔を上げると、後藤はつぶやきました。
「なんだろう、この匂い」
「あ、本当だ」
後藤に言われ、吉澤も匂いに気付きました。
甘酸っぱくそれでいて瑞々しい
ただの匂いとは思えないいい匂いでした。
2人は大きく息を吸い、吐き出しました。
「よっすぃ、アーンってして」
真っ赤で、大きな苺。
加護の小さな手が吉澤の口元に伸ばされてました。
まるでいままでそこにいたかのように
向いの席には保田と辻、加護が座っていました。
吉澤は加護の差し出した苺を食べました。
口の中にさっき嗅いだあの匂いより
もっともっと強い苺独特の甘酸っぱさを感じました。
(なんておいしいんだろう、加護、まだ持ってないのかな?)
「そんな顔して、私の食べていいわよ」
保田は優しげに笑い、吉澤にくれました。
「いいなぁ、よっすぃ」
辻は口元をベタベタにしながら、言いました。
「辻、あんたもう全部食べちゃったの?」
「うん、すっごいおいしかった」
「まったく、、、ごっちん、よっすぃからもらって」
「うんっ」
「この辺りの苺はいっぱい光を浴びてるから
そのままにしてても、良く育つし
すごいおいしいんだよ」
「ねっ!すごい海っ」
辻が窓の枠にしがみつき、声を上げました。
そこは、先ほどまでいた光の川から
あのサラサラと音を立てていた光が
ずっとずっと、皆の見えない果てまで広がって
まるで海のように見えるのでした。
「綺麗ね・・・・・・」
保田はその風景を見ながら、少し悲しげな顔をしました。
「おばちゃぁーん、泣いちゃダメー」
「泣いたら、顔見れなーい」
「な、泣かないわよっ」
後藤が3人に聞きました。
「どうして来たの?」
「電車に乗ってたらね、脱線したの」
「おばちゃんに送ってもらう途中だったんだけど・・・」
「ま、そういう事よ」
「そっかぁ」
吉澤はその会話が耳を通り抜けても
まるで、なにかアクセサリーがどこに行ったか
探している時のような
本当になにげない会話のような気がしたのです。
「こんなに綺麗なものが見れるなんて幸せね」
「ねー」
(幸せってこういう事なんだね)
5人は言葉も少なに、ただただ列車が行き過ぐ
その風景をボーッと眺めていました。
すると、確かに、心があたたかくなり
なんとも幸せな気分になってきました。
次第に辻と加護は眠ってしまい
それぞれにひじ掛けなどにもたれかかっていました。
いつの間にか、後藤と保田は吉澤が聞いていても
何をしゃべっているのか分からない言葉でしゃべり始め
吉澤もそれを聞き流していました。
(あぁ、私、1人だ)
ある日の事を思い出しました。
それは本当に何気ない事だったのです。
プッチモニに入りたての頃
ダンスレッスンの時だったはずでした。
吉澤は1人、うまく出来なくて
休むヒマも惜しんで踊ってました。
楽しげに談笑する後藤と保田を
鏡ごしに見た時に感じた
1人の世界でした。
それは時に、モ−ニング娘。で仕事をしてる時も感じました。
どこかあの輪の中に自分が参加していないようなイメージを
フッとした一瞬、感じたのです。
隣には石川や後藤もいるし
辻、加護は抱きついてくるし
保田や中澤は気にかけてくれるし
安倍や飯田も優しい視線を投げかけてくれるのです。
なのに、吉澤は1人だと感じました。
(私は今、幸せなんだろうか)
辻と加護も起きだして、4人で話してる姿が
どこかうっすらぼんやりとして
よく見えなくて、吉澤は目をこすりました。
窓の外にはっきりと、弱々しく光り続ける青い炎を見ました。
(なんて、美しいんだろう。
私の人生はあんなに輝いてるだろうか。)
吉澤はじぃっと炎を見続けました。
時折、端々に見える巨大な森から溢れ出す
強い風に吹かれ、揺らめぐも
またそれが美しく見えました。
(あぁ、、、美しい・・・・・・)
周りに座ってる者など目には入らず
ただその炎を見ていると
どうしてもそれが欲しくなってきました。
(ごっちん、私、行くよ・・・・・・
私はあの炎が欲しいんだ。
あの炎みたいに、輝いてみたいんだよ)
途端に、耳の奥に聞き慣れたメロディを耳にして
吉澤の目は列車の中に引き戻されました。
高々と聞こえるハレルヤの声。
鳴り響くホルンの音。
「もうすぐ着くみたいだね」
「な、のの、なにして遊ぼか?」
「とりあえずお腹空いたんでー」
「苺食べたじゃん」
列車の周りは真っ白なベールで覆われたように
時折、ゆらゆらと影を作りながら
過ぎていきました。
吉澤はそれを見て、どうにも悲しくなり
俯きました。
(なんで、この会話に入れないんだろう。
寂しい。誰か話しかけてよ。
ここにいるんだよ。
なんで、無視するの?)
保田が立ち上がりました。
「なー、ごっちんも一緒に行こ?」
「行こうよ」
「ん、私はもう少し向こうなんだよ」
「えぇー、ごっちんと一緒がいいよ」
「ほら、もう降りるよ」
508 :
sage:02/03/09 04:51 ID:liaVmM32
(私は?私は一緒じゃなくていいの?)
「ねーおばちゃぁん、もうちょい金払って乗っていかへん?」
「私もお別れしたくないよ」
「ダメ、あんた達はここで降りるんだから。
ほら、最後にキスしてあげて」
(最後の、、、キス?)
吉澤の頬に辻と加護が口付けました。
「あ・・・・・・」
もうそこに3人の姿はありません。
列車はゆっくりと動きだし、
吉澤が思ってるよりいっそ早く
その速度を速めました。
「行っちゃう、3人が行っちゃうっ!」
吉澤は立ち上がり、通路を走りましたが
先に見えてるドアへいつまでも辿りつけず
窓から飛び下りる事も出来ず
仕方なく後藤のいる席に戻ってきました。
彼女は眠ってました。
その首はスラッと長く
また白く艶かしく感じました。
濡れた唇も彼女という存在になり得るくらい
輝いていました。
その寝顔はとても幸せそうでした。
(ごっちん、寝るの好きだもんな幸せなんだろうな。)
吉澤は彼女の向いの席に腰掛け、考えました。
(私の幸せってなんだろう)
朝起きて、ご飯を食べて
学校に行って
仕事場に行って
楽屋に行って
おしゃべりして
歌を唄い、ダンスを踊り
たまにみんなでご飯に行って
家に帰ってきて
お風呂に入って
寝る。
なにげない日々。
自分は何が楽しくて
何が楽しくないんだろうか。
後藤が目の中に映りました。
親友。
こんなに気が合う人はいない。
笑う時も泣く時も喧嘩する時も一緒。
「ごっちん・・・・・・?」
吉澤は後藤の頬を叩きました。
すぐに胸に顔を当て
その心臓が脈を打っていない事に気付きました。
「ごっちん!?」
呼吸もありませんでした。
吉澤はただただ後藤を抱き締め
その名前を呼んで、
泣き叫ぶ事しか出来ませんでした。
次第に全てが闇に包まれて
延々と泣き止んだ頃
後藤の温もりもなくなっていて
ただ1人真っ暗やみに残されて
疲れ、倒れ込み
いつしか眠っていた吉澤が目を開きました。
そして、何もないその世界で
何もない空を見て思ったのです。
(幸せって、誰かと一緒にいれるから幸せなんだ)
ぼやけてた空が急に開け
背中に固いコンクリートの冷たさを感じました。
顔を動かすと、そこにはひっくり返ったタクシーがありました。
「あ、、、、これって」
「おい!女の子が意識戻ったぞ!!」
「救急車まだか!!」
(銀河鉄道の夜だよ、、、、あれ、、、
あの話ってどんなんだっけ・・・・・・)
吉澤は身体を起こすと、慌てて回りの人が寝かせました。
「う、動かない方がいいよ!」
「はぁ・・・・・・」
心配そうに吉澤を見る恐らくは近所の人。
「あの・・・」
「なに?なにか欲しいかい?」
「銀河鉄道の夜ってどんなお話でしたっけ?」
「宮沢賢治の?」
「はい」
「あれは、、、、」
「あれは、、あれだ。友達と2人で列車に乗ってだ」
「そう、銀河を旅に行くの。」
「でも、それは死ぬ人が乗る列車なんだよな」
「!!?」
吉澤はポケットに入っていた携帯電話を探り当て
ボタンを押すと、幸い壊れてはいなかったようで
ごっちんという文字が液晶に表示されました。
(いやだよ、そんなの・・・・・・
そう、あの後、目を覚ましたジョバンニが丘を降りると
カムパネルラが川に落ちて・・・・・・
ダメだよっ!!ごっちん!!!
かかって・・・・・・!)
呼び出し音が続く時間がヤケに長く感じる。
『・・・・・・』
「ごっちん!!」
『・・・・・・』
「ごっちん、死んでない!?」
『んぁ?』
「生きてる、、、」
『今ね、夢見たんだよねー、、、』
その声はどうにも寝起きの声。
吉澤は声が詰まり、うまく返事が出来ませんでした。
『メンバーがみんな出てきたんだけどー、、
なんか列車に乗って、すっごい綺麗なとこ旅してたの。
だけど、急に悲しくなって、泣いて目覚ましたんだ。
明日、腫れちゃうかなぁ・・・・・
そういや、なんかこんなお話なかったっけ?』
「、、、、銀河鉄道の夜だよ」
『あー、うちに本あったなぁ。
明日持っていくから、よっすぃ読もっか?』
「うん、読もう」
『じゃ、後藤寝るねー。おやすみ』
「おや、、す、、、、」
ガシャン・・・・・・
吉澤の手から転がり落ちた携帯電話。
「ちょっと!!」
「あっ!」
「スゥ・・・・・・」
小さな寝息。
彼女は穏やかな寝顔で眠ってしまっていました。
一体、、、どんな夢を見るのでしょうか。
『銀河鉄道の夜 終了記念』
はいっ、おはようございまーす、7時起きで用事あるんで
チャット行っても3時に寝ようと思い、落ちたのにも関わらず
筆がノッてしまって、2時間で6ページ書いて更新してみました。
宮沢賢治の銀河鉄道の夜です。
はっきり言って、シーンの大半は原作のまんまです。
現代的、娘。的に置き換えたりしてますけどね。
元々、よっすぃの苦悩みたいなのを前に一回やってるんですが
浮き彫りにしてみたくて、それがこの作品と結びついたんで
実験的にやってみました。
もしよければ、御感想をください。
515 :
:02/03/09 13:38 ID:T5PJkM97
ををををををーっ
終了記念ですかっ
・・・
これから読ませていただきます。
完結おめっとさん。
銀河鉄道の夜と娘。が上手く融合してて良かったんじゃないかと。
事故現場で銀河鉄道の夜のことを訊く吉澤と素直に答える近所の人にワロタ
つーかまともな感想書けなくてスンマソン(w
おいらは原作知ってるから原作を思い出して比較しながら読んだんだけども、
ぜひ原作全く知らないで読んだひとの感想訊いてみたいね。
517 :
:02/03/10 14:46 ID:4yYcdcI/
原作知らない人、いるかな。
・・・うーん
いるかも・・・
<原作知らない
ちゃんと読んだ事ない人ってきっといると思うなぁ、、、
読んでも、教科書で読んだとか。
書くにあたって、ネットで原文探したわぁ(w
俺、原作をまったく読んだことないけど、
これ読んでなんかちょっとじ〜んと来た。
後、意味不明な場面が度々あるが、それがこの作品(原作)の良さなの?
クソレススマソ
520 :
.:02/03/11 06:17 ID:7YmYQtkg
辻褄合わせでもなんでもなく、原作もあんな感じですね。
原作の評価として、星座の独自の解釈というのがあるんですけど
今回はほとんど使ってません。
522 :
旧♪:02/03/11 10:42 ID:c33cnWeF
夜空がまだ星空と呼ばれていて、
人々がそこに想いを映せ得た時代であろうからこそ
生まれた作品なのね……。
そんな自分は原作未読組。
523 :
名無し。:02/03/12 03:21 ID:NgJ0AMVz
感動しました。。
原作読んだことないのですが、ちゃんと娘。の
キャラが上手に活かされてて良かったです^^
新作期待してます。。。
525 :
sage:02/03/15 02:00 ID:XmdyadeE
sage
休養もするわな保全
527 :
旧♪:02/03/16 18:43 ID:nW8kFR2T
新作、期待保全
マターリ待とう……
529 :
:02/03/18 18:29 ID:jK9hG5uV
530 :
sage:02/03/19 22:18 ID:BSnNcTnu
sage
大スランプ〜(笑)
次の作品は、ここで短編を書く前に別スレになってしまう模様。
というか、あえて、別スレで立たせて欲しいという希望。
ここでは、過去の作品の感想でもヒソーリと語ってください。
いつか暇見て、残りのレスを消費します。
532 :
sage:02/03/21 00:55 ID:tSuVVPFJ
sage
533 :
sage:02/03/22 14:34 ID:vXYC+zVV
sage
保の字
保全
536 :
sage:02/03/26 04:37 ID:SUbPO7Gu
sage
537 :
sage:02/03/27 05:31 ID:y+VRWwY8
sage
538 :
sage:02/03/27 13:20 ID:ZqpzdzWQ
sage
539 :
sage:02/03/27 17:26 ID:Gy+TdBFr
( `.∀´)<保全よ!
このスレはもう使わないのかな?
一応ホゼ
541 :
age:02/03/28 11:29 ID:o3YVPPnz
ageといいつつsage
542 :
sage:02/03/30 08:20 ID:pnjcKmCg
sage
543 :
hage:02/04/02 22:45 ID:W560RMfh
hage
一週間以内に別スレで復活予告。
545 :
:02/04/03 12:34 ID:KJdjKblC
>>544 L.O.Dよ!どこだ!!どこにいる!!!
548 :
名無し募集中。。。: