小説『OLやぐたん 其の弐?』

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40L.O.D
サングラスをかけた市井は辺りを見回す。
まだ来てないっぽい。
よくよく思い出せば
実は、2人ともまだ家にも泊まった事がない。
辻が意識してなかったので大丈夫なのかと思うが
市井の方が少しドキドキしていた。
「さーやりん」
目深に帽子をかぶった少女。
サラサラの長い髪が肩口にかかってる。
「おはよ」
「おはよっ」
「もうちょっとで改札だから、急ぐか」
「うん」
あらかじめ買っておいた切符を
辻に渡し、改札をくぐる。
ホームにはまだ列車はないし
あまり人はいない。
「辻、保田さんにカメラ借りてきましたー」
「おぉー、デジカメ、、、、
 おっ!ビデオじゃん!!
 うちも欲しいなぁーー」
「はーい、さやりん」
一通り、使い方を覚えてきたらしく
録画を始める辻。
「お菓子は?」
「買ってないよぉ」
「んじゃ、売店見てこよ」
手をつなぐ。
辻のふにふにした手。
(握力、腕力は強いが)
「お茶にすっかなぁー」
「んーじゃ、コーラ」
「お菓子、どれにする?」
「んとぉー」
たくさん並ぶお菓子。
腕を組んで悩む姿もかわいらしい。
市井はニコニコしながらその様子を眺めてる。
41L.O.D:01/12/28 23:57 ID:pT+1Y9vH
「ポッキーでしょぉ」
「ポッキーか」
「うん、ポッキー」
「あははは」
「はははは」
なんでか分からないけど笑ってしまう。
これが辻希美の魅力。
他人を明るい気持ちにさせてくれる。
辻を好きになった頃の自分は
実はデビューに向けて
曲がうまく作れなくて
思い悩んでた頃だった。
まだ事務所にも話してなくて
1人で悩んでたのだ。
そんな時に娘。のライブに誘われて
見に行って、終わってから
挨拶に行って
後藤の頭を撫でてあげてると
とととっとやってきて、
市井さーんって掴まってきて
ふにゃふにゃって笑ってる辻を見た時
それだけで歌う事って楽しい事なんだって思わされ
その笑顔が頭に焼き付いて離れなくなった。
やってきた列車の中に乗り込み、席を探す。
人の少なそうな所を選んで座る。
「のの、窓側がいい?」
「うん」
お茶やお菓子、ビデオを窓の脇に置いて
発車の時間を待つ。
人はなかなか増えない。
42L.O.D:01/12/28 23:59 ID:pT+1Y9vH
各駅停車のちょっとボロっちい列車。
なんかその雰囲気を
昔おばあちゃんの家に遊びに行くのに
乗っていたのを思い出して
市井はこの列車を選んだ。
アナウンスがあって、ゆっくりと走り出す。
2人はしばらく黙ったまま
窓の外を見てる。
辻が市井を見て
市井がそれに気付いて
辻を見ようとすると
視線を反らして
そんなやりとりがしばらく続いて
思わず市井は辻のほっぺたをつまむ。
「んむっ」
「えいっえいっ!」
「んぅーーー」
「はははっ」
年の差なんて関係なかった。
一緒にいると楽しくて
安心できて
それがよかった。
だけど、その中で
優しく撫でられるとドキドキして
見つめられると頬が赤くなって
自分はこの人が好きなんだと思う瞬間が
これまでデートした間にも
何度かあったりして
どんどん好きになっていた。
見つめ合うのが恥ずかしくて
辻はポッキーを手にする。
43L.O.D:01/12/29 00:00 ID:u2XbIgws
「ポッキー」
「うん」
「さやりん、やってみてー」
「え?」
「録るからー」
「なに、あのポッキーのCMみたいなやつ?」
「そうそう」
「ちょっと待てよぉーーー」
そう言って、思い悩む市井の姿も録画。
大切な旅の思い出。
「よし、行こう!」
「よーい、3、2、1!」
ファインダーから覗く市井の顔は
妙に大人びて見えた。
それは、辻が娘。に入りたての時の
輝いてる市井にそっくりだった。
芸能界に復帰する事になってから
どんどん光り輝くように見える。
やっぱりどこかで芸能界、
みんなに歌を届けるために
歌う事を望んでいたし
大好きだからだろう。
辻はその源が自分であるとは
思いもしないだろうが。
向かい合って、少し澄ました顔の市井。
俯いた表情から顔を上げてきて
両手でそっと持ったポッキーを口元に当てながら
「君と僕の味・・・・・・」
軽く唇でポッキーをはさんで
うっとりと閉じられた目。
そのまま、近付いてくる。
辻はただそれを撮る事しかできない。
「あはは、どうだった?」
「えと、、、あのぉ、、、」
「お?」
「ドキドキした、、、」
顔を真っ赤にして
ドギマギした様子の辻を見て
自分も照れる。
頭の中は辻の事でいっぱいだった。
そんな調子でかっこつけたら
ロマンチスト市井、あんな風になってしまいました。
「ほらっ!のの、コーラでも飲みなよ」
「さやりんもお茶いる?」
「う、うん」
海が見えてくる。
今日の宿は近い。
44L.O.D:01/12/29 00:13 ID:u2XbIgws
『おそらく本日の更新終了』
えー、そんなわけで旅行です。
アルマーニ濱口さんのカキコを見て
We are・・・見直したけど
俺自身、身体震えた(笑)
45レク:01/12/29 01:47 ID:RGfUK5cr
俺がレイクさん・・・・・ありえないっす(w
俺とレイクさんは蟻と神なみにレベル違います。
もちろんレイクさんが神です。
46トロピカ〜ル名無して〜る:01/12/29 01:47 ID:ZbZ8TFj1
いや〜甘甘ですなぁ(w なにげになちまりも入ってきてるし…
これからの展開が読めないんだが温泉で事件が起こったりするのかな?
47L.O.D:01/12/29 03:24 ID:jYNkT0IU
えーっと、前の作品にあったような悲劇もないまま
甘甘でイベントが続いていきます(笑)
俺の頭の中の青地図ではそぅとぅ甘いです。
48アルマーニ濱口 ◆2ggkL5EU :01/12/29 07:52 ID:eT0PMZ5p
>>45
あ、そーすか失礼しました、でも蟻だなんて、、、
>>47
甘甘もあっりすわ
で保全下げ
49L.O.D:01/12/29 17:36 ID:KMifnvOL
海沿いの街の
丘と言うか
ちょっとした山の中腹に作られた宿。
木造の建物は古臭さより
厳かさを携えている。
古くは皇族の療養所として
時を経て、同じく木造の離れを数軒増やし
高級宿となったのだが
湯は昔も今も変わらず
湧き溢れていた。
市井は奮発して、離れを借りた。
本棟からも、隣の離れからも遠く
誰の目にも触れず
ゆっくり出来そうだ。
周りはうっそうとした森だが
窓からは海が見えた。
「わぁっ」
「どうよ、のの?」
「すごいっ、すごいっ!」
嬉しそうな辻を見て、よくやったと自分で誉める。
「お風呂もな、ついてるんだ」
檜作りの内湯。
木のほのかな香りが漂う。
もう一枚、戸を開けると
露天風呂。
こちらは岩作りの湯。
窓の横の位置に当たり
ここからも、海が見えるようだ。
しばらく市井は窓の外を見てて
フッと振り返ると
おまんじゅうを頬張る辻がいた。
「のの、、、、」
「ふぁい?」
「おいしい?」
「おいひいふぇふよ」
「とりあえず、それ食べたら
 お風呂入る?」
「うん」
50L.O.D:01/12/29 17:38 ID:KMifnvOL
「じゃ、市井は先に失礼しよっかな」
バスタオルやら浴衣を棚から取り出し
部屋の隅で服を脱ぎ始める。
ほっそりとした身体。
少し女らしさが出てきた。
辻の視線に気付いて
ちょっと赤くなって
市井は言う。
「エッチィ」
バスタオルで前を隠しながら
風呂へ向かう。
「・・・・・・」
もぐもぐと動かす口。
辻の頭の中で加護の言葉を思い出してた。
『だって、ののには市井さんもおるやん』
『あー』
『市井さんとは別な子に裸見られるんやで』
『えーだってさぁー、あいぼんだよぉ』
今、この状況になって初めて気付いたが
加護の言葉はものすごく大事な事だったような気がする。
一緒にお風呂に入るって事がこんなに
ドキドキするものだと思わなかった。
それだけ恥ずかしくて
恋人にしてみれば
大切な行為なんだと思う。
「お茶でも飲もう」
おまんじゅうの甘いあんこが
口の中に残ってて
それを取り除きたかったというよりかは
お茶を飲んで、落ち着きたかった。
頭の奥で散らつく市井の裸。
51L.O.D:01/12/29 17:39 ID:KMifnvOL
「・・・・・・」
両手で湯呑みを持って
少しずつフゥフゥしながら、飲む。
そういえば、2人で寝泊まりするのは
初めてだったような気がする。
しかも、こんな人から分からないような場所。
ある一点に意識が向く。
夜の事。
市井は自分を求めてくるだろうか。
中澤と矢口の壮絶エロトークで
耳年増になっている辻にしてみれば
今夜、そんな事になってしまうとなれば
それはパニックである。
「あ、、、あぅ、、、、」
「つじー?」
「あぃ、、、?」
「お風呂、来いよーー
 気持ちいいぞぉーー」
「・・・・・・」
ズボンを脱ぐ。
溜息を付く。
「やせとけばよかった」
こういうのを俗に後の祭というが
ここまで来ては仕方がない。
潔く脱ぐ。
脱いだものはまとめる。
娘。に入って、服の畳み方を覚えた。
後藤は料理、洗濯、なんでもござれだが
なんといってもあの性格なので
洋服は脱ぎ散らかしである。
こないだも飯田に怒られていた。
大概は吉澤が見つけて
畳んでおいてあげるパターン。
姿とは反面、物事がきちっとしてる。
勢いで全部脱いだ。
さぁ、あとは風呂へ行くだけだ。
ドアノブを掴む。
この向うには彼女がいる。
52L.O.D:01/12/29 17:40 ID:KMifnvOL
ガチャッという音。
そーっと覗いてみると
市井はダラーーーーっとして
湯の感触を味わってた。
「さーやりん?」
「なんかちょっち恥ずかしいな」
「・・・・・・うん」
「よし、市井が身体を洗ってあげよぅ」
辻の手を掴み、引き寄せ
自分は立ち膝で辻を座らせる。
鏡はなくて、シャンプーなどは
市井が持ってきてた。
それを聞くと、こう答える。
「あー、あれはね、持ってかえる」
「へ?」
「旅の思い出」
「あははは」
「なっちとか持ってかえるしょ?」
「うん、すごい」
「圭織が言ってたけど、東京に出てきた時は
 もっともっとかっぺだったらしいからなぁ」
「いも」
「いもっ」
「いもっ娘。」
「明日香もいもって呼んでたなぁ」
そんな話を絶えまなくしながら
市井の指は丁寧に辻の髪を洗う。
濡れた髪の毛が頬についてるのを取ってやる。
まるで本物の美容師さんみたいで気持ちいい。
「流すよ」
「うん」
シャワーから出るお湯は少し温い。
緊張も一緒に流れていった。
身体洗い用のタオルにボディシャンプーをつけて
背中からこすってやる。
顔とかに比べ、肉付きは薄く
それよりかは筋肉質っぽい。
(バレーやってたからかな?)
なんて市井は1人思いながら
次は腕を洗う。
53L.O.D:01/12/29 17:41 ID:KMifnvOL
「はい、腕あげて」
「うん、、、」
恥ずかしそうに腕をあげる辻。
お姉ちゃんとお風呂に入らなくなって、長い事になる。
こうやって身体を洗ってもらうのもひさしぶりだ。
市井の洗い方はまるでこの泡のように
フワッとやわらかい。
あっというまに腕が白い泡に包まれる。
「こっち、、、向く?」
ためらいがちに吐き出された言葉。
「えー」
「市井が後ろからしてもいいんだけど・・・」
なんかそれもエロっぽいなと
2人とも想像中。
しかし、向かいあってするのもそれはそれで・・・・・・
「あーっと、前は自分でするっ」
「そ、そうだな、それがいいや」
「でも、さやりんの背中はののが洗う!」
「お、頼んだ」
辻が急いで身体の前を洗う。
湯舟に戻った市井は
前を洗うかどうかためらった時の
自分の想像をまた思い出していた。

身体が密着した状態の2人
市井がしゃべるごとに辻の耳元に息がかかる。
「ほら、、、足、、開いて」
「や、、、、、」
「洗えないよ」
「恥ずかしい、、、、」
「洗わないと、、、ばい菌入るよ」
仕方無しにおずおずと足を開く辻。

(なーに考えてるんだっ!?)
54L.O.D:01/12/29 17:41 ID:KMifnvOL
「さやりん、来てぇ」
洗い終わったらしき辻がタオル片手に笑ってる。
「ぶっ!」
辻が立ってると、湯舟の中の市井の
目線の高さと同じところに股が・・・・・・
「?」
(薄っ!中2ってあんなに薄かったっけ!?
 後藤が濃かっただけなのか!!?)
1人、動揺する市井の様子がおかしいので
小首をかしげてる辻希美さんの頭の中は
さやりんの背中を流してあげる事しかない。
「ほらぁ、さやりぃん」
「お、おぅ」
震える心を抑え、椅子に座る。
グッと力が入ったのが分かる。
忘れていた。
辻希美の怪力を・・・・・・
「うわぁあっ!」
「あれ?」
「の、、、、のの、、、、、」
たった一擦りで背中を真っ赤にした市井は耐え忍びながら
出せるだけの声でつぶやく。
「優しくでいいから」
「あー、はい、、、」
露天風呂への扉から入る秋晴れの太陽の光が
日没が近付いてきてるのを知らせる。
ゆったりとした時間。
好きな人とこうして戯れる瞬間。
たまらなく幸せに思える。