小説『OLやぐたん 其の弐?』

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282L.O.D]
暖かい日射し。
やっぱり窓側の席はこの時期
昼寝にはもってこいである。
一見、廊下側の方がよさそうに見えるが
午後の授業ともなると
窓から差し込む温もりは
睡眠の世界へと
たやすく誘ってくれるものだ。
石川は保田と遅くまで遊んでしまい
少し眠たくて、ウトウトとしていた。
そんな中で昨夜、保田に言われた一言を思い出す
『石川はなんかあるの?、、、、夢、、、とか?』
そんなものない。
やりたい職業なんてない。
毎日、こうして学校に来て
時折ある試験はクリアして
無事に卒業する事しか考えてない。
おそらく、適当に進学するだろう。
結婚も思い付かない。
今、自分が主婦になったら
考えるだけで恐ろしい。
今日も放課後を迎える。
283L.O.D:02/01/30 22:31 ID:Ryqif+zS
テニスコートの横を抜ける。
足を止め、素振りをする同級生の影を見た。
中学の時はテニス一筋だった。
高校に上がっても続ける気だった。
へただったけど楽しかった。
だけど、部活が終わって
受験勉強をして
高校に受かって
いざとなると
面倒になってた。
走り込んだり
素振りをしたり
土まみれ、汗まみれになって
頑張るのがばからしかった。
他にする事なんてないのに
もっと高校生活を楽しもうなんて思ってた。
そこで反発するように始めたバイト。
最初は近所のコンビニ。
時折、中学の友達が来て
テニスは?なんて聞いてくる。
ウザくてやめた。
その後も何度かバイトを変えて
今はマックでバイトしてる。
仕事が楽な事はないが
保田がやさしいのでいい。
こないだ後輩が出来た。
自分よりちょっと小さくてころんとしてる
福田という子で、学年は一緒。
少し先輩だから、いいところ見せようなんてすると
反対にミスして、保田さんに怒られる。
でも、前のところよりは
少し長続きしそうな気がした。
さぁ、今日もバイト。
石川は駅に向かって、歩き出した。
284L.O.D:02/01/30 22:32 ID:Ryqif+zS
「いらっしゃいませー」
ジャージ姿の中学生。
髪を横で二つに束ねてるが
降ろしたら、そうとう長い気がする。
時折、店に来てる子だ。
「えっとぉ」
「・・・・・・」
部活の帰りなのだろうか
静汗剤の香りがする。
「ハンバーガー5個にぃ
 ポテトLのコーラL」
「お召し上がりですか?」
「ぁい」
厨房にオーダーを入れる。
待ってる間もポーッとした顔で立っている。
次々とトレイに乗せられる物の多さに
周りにいた人、店の中に居た人が
注目してた。
(これ、この子1人で食べるの?)
(たぶん、、、そうなんですよね、、、?)
そっと寄ってきた保田がつぶやく。
石川は営業スマイルに戻って
前に立った。
「お待たせしましたぁ」
会計を済ませ、彼女は窓際の席に座ると
あっという間に食い尽くした。
「・・・・・・すごっ」
それが、辻希美との出会いだった。