小説『OLやぐたん 其の弐?』

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223L.O.D
夜は昼と姿を変える。
それでいて、人は逆に溢れ
怪しい雰囲気を醸し出す。
ネオンが光る。
そんな街角。
Wingsに戻ってきた2人。
明日香は足を止める。
「明日香?」
4時間以上しゃべってて
やっと明日香って呼んでもらうのに成功したわけだが
市井が振り返る。
明日香の目に映るのは
ドラムマニアの前で一心不乱になってる
彩の姿。
「彩さん、なにしてるの・・・・・・?」
ちょうどステージの合間で
こっちを見た彩の額からは汗が流れ
心地よさそうな顔をしてた。
「ハマっちゃってさぁ、結構おもしろいんだよねぇ」
彩の隣に立ってる女の人は市井と知り合いらしく
馴れ馴れしく、頭を撫でてきた。
「彩の知り合いなん?」
「福田です」
市井がつけくわえるように説明する。
明日香はその横顔を見てた。
人見知りの激しい彼女が浮かべた表情は柔らかい。
「明日香。高校の時の友達なんだ」
「そか、よろしゅーな。うち、裕子。
 彩とはここで会って、仲良くなったんや」
おそらく勤めてる風の彼女は
またわしゃわしゃと頭を撫でると
手を振った。
224L.O.D:02/01/17 22:56 ID:dgnSJn6n
市井が店の奥へ行くのについていく。
「あの人、どういう人?」
「OLさんで、彼氏募集中。
 三度の飯よりお酒が大好き。
 で、なんか私、好かれた。」
「紗耶香が?」
「最初、男と間違われててさー」
「ははははっ、胸ないもんね」
「るせーやい」
椅子に座って、しゃべりながら
市井の描く絵を見てる。
すごく楽しい、というわけでもないし
あのライブハウスの興奮もない。
けど、このゆったりとした感じは悪くない。
「さーーーーーやかーーーーーーーー」
「来た来た」
ノートを閉じて、視線を向けた先には
金髪のちっこい女子高生に
ロングスカートの田舎くさい女の子。
「ギュー」
「はいはい、今日はなにで勝負する?」
「やぐたんねぇー」
「なんでそんなお子様っぽいんだよ」
「きゃはははははは」
「・・・・・・」
手をつないで、先に行ってしまうちっこいのと、市井。
明日香は田舎っぽい女の子と見つめ合う。
というか、見つめ合いたくはないのだが
めちゃめちゃ熱い視線が送られてるのは気のせいですか?
「なん、、、、ですか?」
「何歳かなーって?」
「貴方は?」
「なっち?なっちは、19」
(19になって、なっちってどうなんだよ)
「私、16っす」
「高校1年生?」
「はい」
「ふーん」
ニマニマァと笑う。
(なんなんだ、この女)
明日香の顔は引きつっていた・・・・・・

其の三 終わり