小説『OLやぐたん 其の弐?』

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22L.O.D
「お邪魔しまっす!」
お店の方から遠慮なく家に上がらせてもらう。
お客さんも吉澤だと気付いたのか気付かないのか
走り抜けていった少女に見とれていた。
2階にかけ昇って
真希の部屋。
思い切ってドアノブを回す。
「ごっちん!」
いなかった。
・・・・・・。
気まずい。
物音に気付いた姉が顔を出す。
「真希なら風呂だよ」
「分かりましたっ!」
吉澤さん、もう告白する事しか頭にありません。
風呂場へ直行!
何度も止まりに来てるから
風呂場の位置も覚えてる。
すりガラスの向こうに見えるのは
スーパーアイドル後藤真希の裸体。
そんな事も構わず
開けていく。
「ごっちぃん!!」
「わ、わっ、わぁあああ!」
反射で投げ付けられた洗面器も見事に避けた。
そこまで来ると、後藤も相手が吉澤と分かり
落ち着きを払う。
「なんだよぉ、忘れ物でもしたの?」
「ちゃんと聞いて!」
「は、はい」
勢いに飲み込まれて
風呂場で正座する。
しかも、裸で。
「私、ごっちんの事好きなの!」
「はぁ?」
「女の子としてかわいいなって思うんだよっ」
「よっすぃ、そのケあったの?」
「ごっちんだって、市井さん好きじゃん!!」
「いちーちゃんは、、、」
押し黙る後藤。
吉澤はある意味言い切ったからか
張ってた意識が緩む。
見れば、裸の後藤真希が
目の前で正座。
胸が膝に置かれた腕で寄せられて
すごい事になっている。
「ブーッ!!」
「よ、よっすぃ!!?」
鼻から大流血しながら
倒れて行く吉澤の身体を抱きとめる後藤。
濡れた髪から落ちた雫が
吉澤の頬を濡らした。
「よっすぃ、、、、」
後藤は自分で気付いていた。
市井への思いはただ
自分の事を忘れられてしまうような気がして
寂しかっただけ。
23L.O.D:01/12/28 11:03 ID:Jj526+cg
目を覚ますと
目の前に後藤の顔がある。
「あ・・・・・・」
「だいじょぶ?」
「ん・・・・・・」
「あんまり身体強くないんだから、よっすぃは」
「うん・・・・・・」
もう一度、軽く目を閉じた。
ダメだ。
顔を見てると
ドキドキしてしまう。
後藤の手が吉澤のおでこに触れて
さらりと髪の毛を撫でる。
「あんね、いちーちゃんはね
 後藤にとっては大切な人なんだけど
 やっぱさ、ののにベタ惚れだから。
 それに、後藤もそろそろ恋愛したいかなーって。」
気配で分かる。
後藤の顔が近付いてくる。
「よっすぃ、、、ほんとはね、好きだったんだよ」
重ねられた唇。
湯上がりの後藤の唇は
少し冷たくなってた。
身体を離して、吉澤はつぶやく。
「ごっちん、身体冷たいよ」
「あー、、」
「私のせいでお風呂、途中になったからだね」
「そんな事っ」
「入ってきなよ、私も帰らなきゃいけないし」
顔を真っ赤にして立ち上がった吉澤の手を掴む後藤。
「どうせなら止まっていきなよ、、、」
「・・・・・・」
「なんか、よっすぃともっと一緒にいたいの」
「甘えん坊」
はにかむような笑みを浮かべる。
吉澤は後藤に覆い被さるように身体を重ね
再びキスをした。
戯れるような感触を楽しんだ後
ゆっくりと舌を絡ませ
2人の夜が始まった。
24L.O.D:01/12/28 11:03 ID:Jj526+cg
とある仕事場。
市井は携帯を見ると
保田から着信があった。
「なんだぁ?」
とりあえず一度かけてみる。
『はいっ』
「圭ちゃーん」
『ちょっと紗耶香、どうにかしてよ!』
「へ?」
かなり怒り心頭の御様子。
どうなされたのか。
『ごっちんとよっすぃがイチャついて
 私、いる場所ないのよ!!』
どうやら、プッチの仕事らしい。
「あー・・・・・・」
その発言から吉澤が告白に成功した事を知る。
「吉澤におめでとうって言っておいて」
『まったくおめでとうじゃないわよっ!!』
「怒るな怒るな、『シワ増えるぞぉー』」
『クレヨンしんちゃんのモノマネなんて
 古いわよ、、、、、』
「うっさぁいっ!」
『あぁ、仕事始まるわ。じゃ』
「はいはい、じゃぁね」
楽屋の様子が思い浮かぶ。
後藤の事だから所構わず
じゃれあうはずだ。
しかも、似た者の吉澤とだから
それはそれは濃厚な状態なのだろう。
圭ちゃん、御愁傷様などと思いながら
市井は雑誌撮影の続きのため
メイクさんに髪を直してもらっていた。
25L.O.D:01/12/28 11:07 ID:Jj526+cg
『御休憩』
新旧プッチモニをめぐる恋のバトルでした(笑)
圭ちゃん、可哀想・・・・・・
しかも、ミス発見『止まる』ってなんやねん。
ののちゃむ、エンディングまでの見通しが立ったので
こっからは、、、、速いですよ。。
26:01/12/28 12:12 ID:HfK50eOP
鬼更新ふたたび(w

「シスコムーンの誰かも持ちネタで、ちゃむと応酬しあった」
なんて様子がラジオから不意に聞こえてきたいつかの深夜

…「しんちゃん」でフラッシュバック、でした。
27L.O.D:01/12/28 15:37 ID:pT+1Y9vH
11月某日
市井紗耶香復活の数日前。
オフが一日だけあった。
その次の日も
仕事は昼からで
どこかに行こうと思えば
行けるかも知れない。
「んなわきゃないよねー」
そこで、市井の頭に思い浮かんだ構想は
辻にオフか確認

オフだったら、温泉予約

2人っきりで温泉
「完璧だね」
まぁ、辻がオフじゃなきゃ無理なのだが。
ひとまず電話
「ののー?」
『あいあい?』
「市井さぁ、今度の水曜休みなんだけど
 ののは空いてる?」
『えっとぉー』
電話も持ったまま、バタバタと歩く音と
口元からクッキーかなんかを噛み砕く音
それに、バカップル後藤、吉澤のいちゃつきや
加護が遊んでる声が聞こえてくる。
いつも通りうるさい楽屋。
ちょっと懐かしく思う。
『4時で終わりれすよ』
「4時!?」
『インタビューだけ』
「おぉーーっ!」
『さやりんはヒマなのれすか?』
「うち、オフッ!」
『おぉーーーっ!』
「ののっ、泊まりで温泉行こう!」
『温泉!?』
「次の日の朝早くに帰ってくれば大丈夫だから」
『行きたい!行きたい!!』
「よっしゃぁー、マネージャーを口説き落とせ!」
『あいっ』
28L.O.D:01/12/28 15:39 ID:pT+1Y9vH
さて、こちら、辻ちゃん。
マネージャーをどうやって説得するか思案中
(ここはやっぱ飴10個れすかね・・・・・・)
無理だと思います・・・・・・。
安倍がそんな辻を見つけて
声をかける。
「どしたの、辻ちゃん?」
「あのぉ、さやりんと温泉に行きたいんれすけどぉ
 どうやってマネージャーさんを落とそうかなぁーって」
「あー、なるほどねぇ。いいじゃん、秘密で」
「えっ!?」
矢口、乱入。
「何言ってんだよ、なっち!」
「ダメかなぁー、マネージャーにも秘密のアバンチュール・・・・
 素敵・・・・・・・・・・・・」
「アバンチュールって最近、聞かねーのれす、、、」
「アバンチュール、それは恋人達にだけ許された
 甘い甘い逃避行・・・・どうも、チャー(略)」
「うっさい、石川」
「あうっ!」
辻はそこから離れて
後藤と吉澤のところへ行く。
「ねぇねぇ」
「なんだい、アハーン」
「あはははは、よっすぃ、セクスィ」
「さやりんと温泉に行くのに
 マネージャーさん説得したいのれす」
「うーん、そうですねぇ」
「長嶋!長嶋だっ!」
吉澤がボケて、後藤が大爆笑。
まるで林家ペー・パー子夫妻みたいな2人にも見切りをつけて
保田と加護のところに行ってみる。
保田は大人だから、なんかいい案あるんじゃないだろうか
29L.O.D:01/12/28 15:39 ID:pT+1Y9vH
「で、マネージャーを説得したいわけね」
「まだなにも言ってないのに、、、」
「こんな楽屋だったら聞こえるわよ!」
「それもそうれすね」
「なぁーおばちゃーん、うちも温泉連れてってやー」
「保田さん、今度は石川、マッサージしてあげますよっ!」
石川、再び登場。
「えー、石川と一緒だとお湯が黒くなるし」
「なりませんよ!!」
「梨華ちゃんの皮膚から黒いのが
 ドローッと出てくるんやろなっ!!」
ふんだり蹴ったりだな、石川。
まぁ、ここでも話はまとまりそうもなかったので
最後の飯田の所に行ってみる。
リーダーになって、交信の回数も減った。
電波送信中でなければいいのだが。
「どうしたの、つーじー?」
物静かな笑顔。
まるで絵画の中に描かれた美女のような姿
(綺麗・・・・・・)
「あのですねぇ、、、さやりんと温泉に行きたいんれすけどぉ」
「いいよね、温泉」
(ビクッ!?)
「こう、雪が降っててさ、、、、」
(話、長くなるんれすか、、、?)
「で、いつなの?」
(あ、短かった)
「今度の水曜日・・・・・・」
「ふーん・・・・・・じゃぁさ
 圭織と行く事にしておこう」
「ほぇ?」
「それだったらきっと許してもらえるから、ね」
辻も満面の笑み。
マネージャーへの話も飯田がしてくれるそうで
辻はお礼にポケットに入ってた飴を1個
飯田に上げた。
おいしそうに食べてくれて
辻も嬉しかった。
30L.O.D:01/12/28 16:30 ID:pT+1Y9vH
「はくしょん!」
同時刻。
矢口真里は湯舟の中にいた。
「うぅー」
半身浴をがんばってみる。
辻、加護が太ってきたので
自分まで太らないようにしないと。
ただでなくても好物の焼肉を食べる事も多く
このままでは確実に太るであろう未来が見えるので
少なからず抵抗はしておこうかなと
思ったのである。
それはさておいて、ここは
矢口の実家ではない。
ガラスの向うに人陰が見えて
服を脱いでいる。
「ちょー、待ってよぉーー!
 なに、なに!一緒に入るの!?」
「なーに、言ってんのさぁー」
などと言いながら入ってきたのは、安倍。
飯田のようなまるで彫刻のような女性の身体ではないにしろ
安倍もそれなりに太って痩せて、女らしい体型になった。
湯舟に顔半分沈めた矢口は自分の身体と比べる。
(これは、、、ただの肉だもんなぁ)
「身体は洗ったんでしょ?」
「うん」
安倍は、まずは、頭を洗い出す。
少し俯いて、あげられた腕の脇から
胸などが露になる。
安倍の裸体は言うなればルノワールの裸婦像のような
暖かみのある母を思わせるような温もりのある身体。
証拠にと言っていいのかどうかは分からないが
「さ、矢口、どけて」
「・・・・・・うん」
31L.O.D:01/12/28 16:31 ID:pT+1Y9vH
湯舟につかる安倍。
「おいで」
「・・・・・・」
いっつもこうだ。
矢口は安倍に後ろから抱きかかえられるような形で
お風呂に入る。
また矢口にとって、それが一番落ち着くし
気持ち良かった。
「ふふー、矢口だぁ」
「なんだよぅ」
「ギュ」
ちょっと強く抱き締められる。
濡れた頬と頬がぶつかる。
「エッチな事しちゃやだよ」
「そうかいそうかい、矢口はそんなにして、、、」
「ダメだってばぁ!」
胸の前にある手を振払っても
無駄な抵抗に過ぎず
さっと脇の下に入った手は
思いっきりこちょばしてくる。
「いやぁああーーーー
 きゃははははははっつ!!」
「えーいいっ」
仲がよろしいようで。
手が止まって
矢口は湯舟の縁に掴まって
呼吸を整える。
「昔ねぇー、紗耶香とこんな風にして遊んだよ、そういえば。」
「紗耶香ねぇー」
安倍の目は天井のライトを見る。
そこへ、かざす手から零れ落ちてく水滴。
過去の思い出もそんな風に
手の中で生まれる記憶の中から
少しずつ零れていき
過去へとなっていくような気がする。
「辻、最近元気だよね」
「うん」
「なんかちょっと嬉しいんだよね」
「自分の事じゃないけど
 紗耶香が自分で選んだ人と
 幸せにしてるのは、嬉しいよね」
「ね」
そう言って、目を合わせると
どちらからともなく
手を伸ばし、近付き
濡れた唇を重ねる。
こんな事をし始めたのも
互いの紗耶香への思いを抑えるために
始めた児戯だったはず・・・・・・
32L.O.D:01/12/28 16:35 ID:pT+1Y9vH
ぐはぁ、あげまちがった・・・・・・
30、31の前に辻、加護の話来るのに・・・・・・
すまん、、、更新しなおし
33L.O.D:01/12/28 16:36 ID:pT+1Y9vH
その日の帰り
辻の家に加護が泊まっていく事になり
2人は途中までタクシーで行って
コンビニでお菓子を買う。
「えっとぉー」
お菓子の棚の間で
ミニモニ。の2トップが
うんこ座りで選びまくる姿は
なかなか壮絶である。
「なぁなぁ、これよくない?」
「おぉー、よさげー」
駄菓子のコーナーであれやこれやと・・・・・・
「うち、アイスも買おうかなー」
「食べたいねぇー」
「買っちゃお」
「買おう、買おう」
ダイエットなど毛頭から頭にないのか
それとも、もう無駄だと分かったのか
暴飲暴食としか考えれない量を
買っている。
買い物カゴ二つ(それぞれ一つ)が満杯になっている。
店員、2人がかりで処理。
加護が支払いしてる間、まだなにか欲しげに
ポッキーの辺りを物色する辻。
もういい加減にしなさい。
2人はその袋を抱えて、帰宅。
鍵を使って、侵入。
もう家族は寝てる時間。
荷物は辻の部屋に置いて
一息つくべく
ジュースを一杯。
「うぁー」
「うまいねぇ」
「お風呂湧いてるかなぁ
 見てくるね。」
34L.O.D:01/12/28 16:37 ID:pT+1Y9vH
加護を残して、辻はいなくなる。
取り残されても
しょっちゅう来てるところなので
どこになにがあるかも分かってるのだが
フと立ち上がって、机の上を見た。
お菓子のかすしかない。
「勉強しーや、、、」
床にばらまかれた教科書。
思わず一つにまとめて
机の上に上げておく。
写真立てが一つ。
市井と撮ったプリクラがいっぱい貼ってあった。
「いいなぁ」
小さな声でつぶやく。
「あいぼん、お風呂行こ」
くったくのない顔でタオル二つ持って
おいでおいでしてる辻。
「2人で入るん?」
「いいじゃん、たまには」
「のの、ちょっと来」
「あい・・・・・・」
加護が妙に真剣な顔してる。
辻は怒られるのかと思って、ビクビク。
「さすがになぁ、もうこの年やん
 2人でとかなぁー、恥ずかしいねん」
「恥ずかしいの?」
「恥ずかしくないの!?」
「・・・・・・」
反対に驚いた顔で加護を見てる辻に
ビビる加護。
「だって、ののには市井さんもおるやん」
「あー」
「市井さんとは別な子に裸見られるんやで」
「えーだってさぁー、あいぼんだよぉ」
「、、、市井さんが別な子とお風呂入ってたらいややろ!」
「ほぇ?」
35L.O.D:01/12/28 16:38 ID:pT+1Y9vH
「おばちゃんと2人っきりでお風呂!」
「い、いやなのれす!」
驚愕の顔でたじろぐ辻。
保田の裸というだけでなんか込み上げてくる。
一緒にお風呂に行った石川にその辺の事を
今度聞いてみようと心に誓うのであった。
「矢口さんとお風呂!」
しばし、辻の妄想タイム。

・・・・・・・・・・・・。

「、、、なんか楽しそうれすね」
「矢口ー、シャンプーキャップかぶらないと
 シャンプー目に入っちゃって
 痛い痛いから、つけよーなー」
「うんー!」
「ありえるな」
「とりあえず、あいぼんの市井さんの物まねが
 意外と上手なのにビックリしたのれす」
「あんな!Gacktさんでまたネタ作ったんや!」
「見たい!!」
「行くでぇー」
あのー説教はどうなったんですか?
その後、2人は爆笑物まね大会に華を咲かせたという。

「はくしょん!」
同時刻。
矢口真里は湯舟の中にいた。
「うぅー」
半身浴をがんばってみる。
辻、加護が太ってきたので
自分まで太らないようにしないと。
ただでなくても好物の焼肉を食べる事も多く
このままでは確実に太るであろう未来が見えるので
少なからず抵抗はしておこうかなと
思ったのである。
それはさておいて、ここは
矢口の実家ではない。
ガラスの向うに人陰が見えて
服を脱いでいる。
36L.O.D:01/12/28 16:39 ID:pT+1Y9vH
「ちょー、待ってよぉーー!
 なに、なに!一緒に入るの!?」
「なーに、言ってんのさぁー」
などと言いながら入ってきたのは、安倍。
飯田のようなまるで彫刻のような女性の身体ではないにしろ
安倍もそれなりに太って痩せて、女らしい体型になった。
湯舟に顔半分沈めた矢口は自分の身体と比べる。
(これは、、、ただの肉だもんなぁ)
「身体は洗ったんでしょ?」
「うん」
安倍は、まずは、頭を洗い出す。
少し俯いて、あげられた腕の脇から
胸などが露になる。
安倍の裸体は言うなればルノワールの裸婦像のような
暖かみのある母を思わせるような温もりのある身体。
証拠にと言っていいのかどうかは分からないが
「さ、矢口、どけて」
「・・・・・・うん」
湯舟につかる安倍。
「おいで」
「・・・・・・」
37L.O.D:01/12/28 16:40 ID:pT+1Y9vH
いっつもこうだ。
矢口は安倍に後ろから抱きかかえられるような形で
お風呂に入る。
また矢口にとって、それが一番落ち着くし
気持ち良かった。
「ふふー、矢口だぁ」
「なんだよぅ」
「ギュ」
ちょっと強く抱き締められる。
濡れた頬と頬がぶつかる。
「エッチな事しちゃやだよ」
「そうかいそうかい、矢口はそんなにして、、、」
「ダメだってばぁ!」
胸の前にある手を振払っても
無駄な抵抗に過ぎず
さっと脇の下に入った手は
思いっきりこちょばしてくる。
「いやぁああーーーー
 きゃははははははっつ!!」
「えーいいっ」
仲がよろしいようで。
手が止まって
矢口は湯舟の縁に掴まって
呼吸を整える。
「昔ねぇー、紗耶香とこんな風にして遊んだよ、そういえば。」
「紗耶香ねぇー」
安倍の目は天井のライトを見る。
そこへ、かざす手から零れ落ちてく水滴。
過去の思い出もそんな風に
手の中で生まれる記憶の中から
少しずつ零れていき
過去へとなっていくような気がする。
「辻、最近元気だよね」
「うん」
「なんかちょっと嬉しいんだよね」
「自分の事じゃないけど
 紗耶香が自分で選んだ人と
 幸せにしてるのは、嬉しいよね」
「ね」
そう言って、目を合わせると
どちらからともなく
手を伸ばし、近付き
濡れた唇を重ねる。
こんな事をし始めたのも
互いの紗耶香への思いを抑えるために
始めた児戯だったはず・・・・・・