紺野のエロ小説書いて〜

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138遅すぎた吉澤のサンタ
「ばいばあ〜い!」
モニターの中で思い思いの笑顔を振っているモーニング娘。と中澤裕子。
「はいOKです!」
その声が画面に割り込んで入り、彼女たちの表情はふっとゆるむ。
「だぁ〜っ!やめてよ裕ちゃん!」
「なんや、ええやろぉ〜なっ高橋」
矢口に抱きついた姿勢のまま、近くの高橋に話をふる中澤。
照れたような戸惑ったような愛想笑いで高橋が首をかしげながら
大きくうなずいていた。
「ほらっ!かわええなぁ〜高橋はー。ほら見てみい」
「高橋!」
矢口の甲高い声が響いて、せわしそうに動いている何人かのスタッフやメンバーが
くすくすと笑っている。スタジオではまだそんな風景も見られたが、ほとんどの
メンバーは個人個人のカット割があるというので違うスタジオに移動していた。
紺野もその1人だった。

紺野は収録が終わるとすぐに言われたとおりに移動した。
急ぐように言われたのでそのとおりに行動したまでだったのだが
実際移動した先に紺野は1番のりであった。
(……まぁいっか)
「はい紺野ちゃんそこ位置ついて」
待ち構えていたスタッフの指示に従いながら少し同期の仲間のことを考えて
ちらちらと入り口のドアのほうを見てしまう。
(里沙ちゃんまだなのかな。)
そう思ってドアのほうを見ていた紺野の頭の中にさっきの新垣の表情が浮かんだ。
(………。)
新垣は自分のことをどう思ったのだろうか、ばれてるのかな、でも…
自分は本当に安倍が好きなのか。
紺野の脳裏に安倍の明るくて少し淡い華やかな笑顔が浮かび上がる。
紺野、と呼ぶ優しい安倍の声が聞こえた気がする。
胸がきゅんとして頭がぼぅっとして一瞬頭の中がふっと一瞬真っ白になるような
そんな感覚を紺野は味わった。…あ、やっぱり好きだ。
「はい撮りまーす!」
怖いくらいに大きくスタッフの声が響いた。
139遅すぎた吉澤のサンタ:02/01/12 12:44 ID:DtKDxu53

紺野は1番に撮り終わったので1番に楽屋に戻ってきた。
楽屋には辻と矢口がいて今から向かうようであった。
「ほらっ紺野もいたー早くしな辻!」
「へいっ」
収録後のメイク直しに時間がかかった辻を促すように矢口がそう言った。
「あの、私もう終わりました」
「終わったぁ〜?!まじで?!」
鏡を見ている辻の手を引っ張りながら矢口が驚きのあまりと言った感じで
笑いながらそう言って、紺野は軽く笑いながらうなずいた。
「え〜っやっばい!ほら辻急ぐよ」
「へへへへ」
「へへへじゃないよ!ほら。もうなんでもう〜」
ばたばたと2人が廊下を走っていく音がして、紺野はまた1人になって何だかほっとした
…のもつかの間であった。
「あれっうーみーもう終わった?」
「はいっ」
入ってきたのは吉澤であった。
伏し目がちに吉澤が音楽を聞いてリズムをとるように大きくうなずきながら、
かばんをごそごそとやっている。
紺野はなんだか手持ち無沙汰で、自分も自分の荷物に手を伸ばそうとした。
「はい」
耳の後ろで吉澤の声がした。すると口があいたお菓子の袋がこちらを向いていて、
吉澤がその向こうでもぐもぐとやっている。
「ありがとうございます」
紺野が少し恐縮気味に手を伸ばすと吉澤がそれより先に袋に手を突っ込んで、
ほいっと紺野の口に入れた。吉澤の指が軽く唇に触れたように思われた。
口の中にイチゴの味が広がる。
「おいしくない?ごっちんにもらったんだけどはまった」
そう言いながら机の上に腰掛けて、また袋の中に手をつっこむ吉澤。
紺野はその手の中にある袋の文字を見ようと、少し体を吉澤に方へのばした。
「ん?キャラメルコーンの…イチゴミルク味。」
それに気づいた吉澤が袋の文字を確認するように1度眺めてから紺野にそう言って、
また袋を差し出した。
紺野はまたお菓子を口に含んだ。先輩と二人という緊張でかあんまり味がしない。
吉澤のペースに飲まれ気味の紺野は、いやじゃないけれどどうしていいか分からない
そんな感情を抱えていた。
(安倍さん…)
助けを求めるようにか、それともただ単にいとしい人の名前を心に浮かべたまで
なのか、紺野はとにかくそのなまえを心の中でつぶやいた
「…紺野、まつげなっがいねぇ〜」
突然、少なくとも紺野にとっては突然であった、吉澤が紺野の顔をしげしげと眺めて
そうつぶやいた。今までにないくらい近距離に吉澤の顔がある。
その顔は非常に整っていて、吉澤のほめた紺野のそれが申し訳ないくらい
長くて濃いまつげがあった。
「…ちょっとお姉さんとあそぼっか。」
「え?」
吉澤が紺野のほうを少しふざけるような目つきで見ながらそう言った。
「か」の口の形のまま、その口元に含み笑いを浮かべて、
長いまつげと一緒に目尻がさがっている。
紺野は言われたことの意味がよくわからなくて、目を大きく見開いて
吉澤を見つめたまま、黙ってしまった。
何か言いたいのだが言葉が出ないといった感じで。
140遅すぎた吉澤のサンタ:02/01/12 12:46 ID:DtKDxu53

「ほら」
いささか強引に吉澤が紺野の手を引っ張って自分のほうへ引き寄せた。
「んふふふ」
紺野はそれがなんとなく分かるような分からないような複雑な感情の中で
疑問を抱えながらも吉澤のなすがまま、吉澤のすぐそばに立ち尽くす結果となった。
吉澤の香水の香りがやっとその距離で鼻をついた。
何かを考えるような目で紺野を見つめていた吉澤が座っていた机から降りると
楽屋の隅の使われていない大きなロッカーの中を開けた。
あったかい大きい手は紺野の腕をしっかりつかんだままにして放さなかった。
がらんとしているそのロッカーの中をじーっと見つめている吉澤の横顔を
無心に紺野が見つめる。
「ここ。おいで」
いきなりそう言い放った吉澤は、紺野の腕をつかむその手の力をいっそう強くして
紺野を抱き寄せるようにひっぱった。紺野の体が少しバランスを崩す。
「…!」
「おっと」
体を抱きとめた吉澤が自然にロッカーの中に紺野の体を引き込んだ。
我に返ったように突然に紺野の心臓が激しく脈打ち始めた。