紺野のエロ小説書いて〜

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125遅すぎた吉澤のサンタ

「・・・!飯田さん…っ」

飯田は大きな目を少しだけ細めた。大人の女性のいいにおいがする。
「ほんとに紺野は可愛いなぁ〜えいっぶにゅう〜」
大きくて白くて冷たい手が紺野の顔にふれて、そのほっぺを押しつぶすような
格好になった。思いっきり唇を突き出させられている紺野は、頬に当たる
飯田の指輪が妙に冷たく感じられる。
「あはははは〜かあわいい〜」
ふっとその手が離れて、紺野も何だかうれしくて楽しくて少し笑顔になる。
飯田の綺麗に口紅が塗られたピンク色の唇が何だかとても羨ましくて
まぶしい。白くてきれいな肌にも憧れた。
(私ももっとちゃんとスキンケアしよう…)
すると飯田は長く続く廊下の入り口の方に目を向けた。
「おっ、お友達が来ましたね。おはよう〜!」
紺野の頭上で声がして、飯田が大きく手を振るその先には同期の新垣がいた。
デニムのプリーツスカートから細くて少し地黒の足がまっすぐのびていた。
はにかんだような笑顔で目尻を下げる新垣。
「おはようございます」
「おはよ〜。何だお前も可愛いなぁ。かおりはうらやましいよ〜」
飯田は新垣のトレードマークとも言える、2つ結びのアレンジヘアを両手で
遊んだ。またちょっとはにかむ新垣とぼぉっとして2人を見つめる紺野を
残して飯田はそのまま長い廊下を歩いて行ってしまった。
(あっ…飯田さん行っちゃった。)

「ねぇあさ美ちゃん。」
聞き慣れた新垣の声にはっとして我に返る。
「なに?」
新垣の目がさっきのはにかんでいた目とは違って、少し落ち込んだような
表情をしている。まだ産毛の残るまゆは下がり気味で、でもまっすぐ紺野を
見ていた。
「あさ美ちゃんて、安倍さんのこと好きなの?」
「え?」
半開きになった新垣のぽってりした唇からもれた言葉に、紺野はとにかく
ドキッとした。上目遣いになった新垣の目がますます紺野の視線をとらえる
ような格好になる。
「私が安倍さんのこと憧れてるの、あさ美ちゃん知ってるのに。」
まだ子供っぽい新垣の辻や加護とは違う舌足らずな声が紺野の中に残る。
「え、私そんなこと言ってないよ。安倍さんが好きだとか…」
『安倍さん』というところで声が少し小さくなってしまった。
知らず知らずのうちに安倍に聞かれたくない、という気持ちが働く。
(安倍さんのこと…嫌いじゃないけど…もちろん好きだけど…でも…なんだろ…)
安倍とのあの淫靡な悪戯っぽい時間をふと思い出して、紺野の股間が
きゅうぅぅっとなった。
「そっか、ならよかった」
新垣の目尻がさがって、小さな顔のふっくらした頬袋がきゅっとあがる。
(そっか、里沙ちゃん、安倍さんのこと好きだもんね…。)
126遅すぎた吉澤のサンタ:02/01/08 22:03 ID:ujwO4COf

「大丈夫だよ。心配しないで」
紺野はさっきの飯田を思い出しながら精一杯、お姉さんぽく笑って見せた。
新垣も笑った。
「ねぇスタジオまで一緒に行こう!」
何事もなかったかのように新垣が紺野と連れだって歩き出す。
新垣と他愛もないおしゃべりをしながら、スタジオの方へ進む。
何だか安倍のことが頭に浮かんで、スタジオに安倍がもう先にいるかも
知れないと思うと急にやたらとドキドキした。隣にいる新垣のことを思うと
何だか怖いような、緊張するような、とにかくお腹が痛くなるような、
そんなドキドキが紺野を襲った。

「おはようございまーす!」
新垣の元気な声に少し遅れるようにして、紺野も周囲のスタッフに聞こえるように
こもりがちの声をあげた。
今日はハロモニの収録だ。
「おはよう〜!」
白い照明がまぶしいセットの向こうから先輩、矢口の顔が見えた。
「おはようー」
保田の顔も隣に見える。
「おはー」
加護と辻。その隣に後藤。それからスタッフと打ち合わせをしている中澤。
(安倍さんは、まだ、みたい…?)
まだドキドキする胸を押さえて、辺りを恐る恐る注意深く見てしまう紺野。
どうやら安倍はまだのようだ。
少しホッとして、新垣と一緒に加護辻の輪に混ざる。
そこを逃げ場として紛れていればいい。そんな事をも考えながら3人に合わせて
くだらない冗談に笑った。
紺野は大抵この3人に高橋と小川が加わった5人といた。
6人は年が近いせいか、先輩の辻と加護もどちらかというと上下関係のない
友達のような感じで接してくれて、みんなで群れていると慣れない『ギョーカイ』
の世界で少し安心できた。
でもやっぱり辻が1番仲が良いのは加護で、高橋は小川。そんな風にいざとなると
2,2,2,の2人組に別れてしまう。
そんな時に必然的に一緒になるのが新垣だった。年下の新垣とは波長が合わない
時もある。だけれどなかなか積極的な新垣に結局のまれて、話を合わせるはめに
なることも多い。でもまぁ1人決まった相手がいるというのは心強かった。
「あ〜わたし、トイレ行きたい。」
「うちも〜じゃあトイレいこっか!すいませ〜ん」
辻の声に加護は近くにいたスタッフに収録の開始時間を確かめ、早めに戻る
ようにと言われるとは〜いと返事をしてドアの方へ歩き出した。
紺野と新垣も一緒になって歩き出す。おしゃべりをしている辻と加護の後ろを
歩きながら新垣も何か話し始めた。

「お〜連れションかい〜!いっトイレ〜」
「つまんなあ〜い」
「つまんなあ〜い」
ドアを出たところに現れた飯田のおやじギャグに辻と加護が声をそろえる。
飯田のベージュがかったオフタートルのニットを見た瞬間紺野はどきっとした。
でもその次の瞬間、びくんとして心臓が止まりそうになった。
無言で含み笑いをしながら飯田につっこみを入れている安倍を見たからだった。
127遅すぎた吉澤のサンタ:02/01/08 22:29 ID:ujwO4COf

「あっ紺野ぉ〜おはよう〜」
安倍は紺野に気が付いて限りなく優しくて暖かみのある語尾を残しながら
紺野に笑顔を向けた。
(…かわいい……)
思わずそう思ってぼぉっとなる紺野。胸がどきんとした。
「あれ、どうしたのこの子は。紺野ぉ〜」
すっかり固まっていた紺野の前に飯田の大きな手のひらが揺れていて、思わず
「はいぃ」
と返事をした。
「どうしたぁ〜紺野〜」
笑う安倍の顔が紺野に近づいた。ふわふわの頬がキレイだ。すると次の瞬間。
「えい、ごつ−ん」


安倍が自分の額を紺野の額に合わせてきた。
一瞬時間が止まったかと思った。安倍の顔が1番近くにあってさらさらの
しっかりした前髪が自分に1番近いところで音をたてた。
すべての事象に胸が高鳴り、体中の血液がさっと逆流したみたいになった。
少し自分が動いたら安倍とキスできそうだった。安倍の形のいいつやつやした唇も
きゅっとあがった目も、長いまつげもすぐそこにあった。
隣の新垣に妙な優越感と、鈍い罪悪感も感じた。でも世界一幸せな気分は
それも覆ってしまった。
「あれっ新垣〜かわいい頭してるねぇ〜」
ふと気付くと安倍は新垣の髪をさっきの飯田と同じように持ち上げて
遊んでいた。またはにかんだような顔をしている新垣を、かわいい〜と
言ってふざけるような仕草で抱きしめる安倍と浅黒い頬をピンクに染めている
新垣。安倍はずいぶんご機嫌のようだった。
「圭織もああいうのやってみようかなー」
飯田と安倍はスタジオに消えていき、ムリするなっ、という飯田に対する安倍の声が
紺野の耳に残った。
128遅すぎた吉澤のサンタ:02/01/08 22:45 ID:ujwO4COf

(だめだ…好きだ……でも………言えない………………)
「づおーんっ」
「ほらほら行きますよ〜」
いつの間にかトイレから出てきた辻と加護が後ろからやってきた。
濡れた手をそれぞれ髪と衣装になすりつける2人。
(……いいのかなぁ…)
優等生の紺野はとっさにそんな事を考えたが、頭の中には安倍がいた。
でも…隣には新垣がいた。
真っ直ぐスタジオに急いでいる新垣の目は紺野を見ていなかったが、年下の
新垣の目がなんだか強く感じられた。