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286最終章 砂上の城



「やけど・・・そう簡単にはこの城、崩れさせられへん」
「え?」
つんくは、にやりと唇の端を持ち上げる。
「しめしがつかへんし・・・」
さっとサングラスをはずす。
その眼孔は、鋭いものだった。

「オレも権力っちゅうもんがおもろなってきた」

そして、ゆっくりと内ポケットから銃を抜く。

「なぁ、吉澤、どうや?オレと一緒にやっていかへんか?」
「・・・なにっ?」
「オレと一緒なら、どんなこともできるで。富も名声も思いのままや。
 今ならこんなことしたお前を許してやってもええ」
「・・・・・・」
「オレは、けっこうお前のこと評価しとるんやで。
 悪いこと言わへん・・・・・・オレにつけ」

つんくがその鋭い眼差しをあたしに向けた。
287最終章 砂上の城:02/02/08 00:06 ID:nSkczkhv



――時が来た。

その言葉を聞いて、あたしのすべきことは決まった。

やはり、こいつはただの独裁者だ・・・
あたしは、梨華ちゃんのこと、ごっちんのこと、死んでいった
ANGELの仲間のこと・・・そして、この国の人々のことを考えていた。

つんくは、今、目の前にいる。

ホルスターにしまってある銃に手をかける。
けど、これにもう弾は入っていない。

・・・それでいい。
兵士たちが騙されてあたしを射殺してくれれば――
あとは、この体の中に埋め込まれた爆弾が、全て終わらせてくれるだろう・・・
288最終章 砂上の城:02/02/08 00:13 ID:nSkczkhv

あたしは、もうすぐ死ぬ

だけど

――少しも、怖くない

「もう一回、言うで。吉澤、オレと一緒に――」

つんくが、そう繰り返そうとした瞬間、あたしはおもむろに銃を抜いた。
それよりも早く兵士たちが動いたような気がする。

そして、耳を劈くような銃声。

体の中を閃光が駆け抜けるような気がした・・・・・・