5
「やけど・・・そう簡単にはこの城、崩れさせられへん」
「え?」
つんくは、にやりと唇の端を持ち上げる。
「しめしがつかへんし・・・」
さっとサングラスをはずす。
その眼孔は、鋭いものだった。
「オレも権力っちゅうもんがおもろなってきた」
そして、ゆっくりと内ポケットから銃を抜く。
「なぁ、吉澤、どうや?オレと一緒にやっていかへんか?」
「・・・なにっ?」
「オレと一緒なら、どんなこともできるで。富も名声も思いのままや。
今ならこんなことしたお前を許してやってもええ」
「・・・・・・」
「オレは、けっこうお前のこと評価しとるんやで。
悪いこと言わへん・・・・・・オレにつけ」
つんくがその鋭い眼差しをあたしに向けた。
6
――時が来た。
その言葉を聞いて、あたしのすべきことは決まった。
やはり、こいつはただの独裁者だ・・・
あたしは、梨華ちゃんのこと、ごっちんのこと、死んでいった
ANGELの仲間のこと・・・そして、この国の人々のことを考えていた。
つんくは、今、目の前にいる。
ホルスターにしまってある銃に手をかける。
けど、これにもう弾は入っていない。
・・・それでいい。
兵士たちが騙されてあたしを射殺してくれれば――
あとは、この体の中に埋め込まれた爆弾が、全て終わらせてくれるだろう・・・
あたしは、もうすぐ死ぬ
だけど
――少しも、怖くない
「もう一回、言うで。吉澤、オレと一緒に――」
つんくが、そう繰り返そうとした瞬間、あたしはおもむろに銃を抜いた。
それよりも早く兵士たちが動いたような気がする。
そして、耳を劈くような銃声。
体の中を閃光が駆け抜けるような気がした・・・・・・