☆☆業務連絡☆☆

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25第一章 GIRL MEETS GIRLS
「ここが、2人の部屋だから」
安部さんが白いドアを開けて言う。
部屋は思ったよりも広く、2人の部屋といっても中には1人ずつの
個室も用意されている。正直、少しホッとした。
(後藤さんとずっと同じ空間にいたら、怖くて胃が荒れちゃうよ)
と、並んで歩いてきた後藤の方を見る。
後藤は、さっさと部屋に入り個室の中を確認している。
「ベッドの上に制服一式があるから、着替えたらまたホールまで
 戻ってきてね。早速、任務だから」
「はいっ」
そう言って、安部さんはもと来た廊下を歩いていく。
26第一章 GIRL MEETS GIRLS:01/12/28 01:20 ID:MNPbBcuC
安部さんの後ろ姿を見送っていると
「ねぇ、ヨッスィ〜」
と、後ろから突然、聞き慣れない声に呼びかけられる。
「え?」
あたしが振り向くと、さっきまでとうってかわった笑顔の
後藤さんが立っていた。
「部屋、どっちがい〜?なんかね〜こっちの部屋、畳なのに
 ベッドなんだよね。あたしは、どっちでもいいんだけど、ヨッスィー
 は細かいこと気にする??」
「えっ、そんなに気にしないけど」
「そっか〜、じゃぁ、ヨッスィ〜こっちの畳の部屋だね」
後藤は、右側の部屋を指さす。

(誰?このにこやかな人??)

顔は後藤さんだけど、後藤さんじゃない・・・
あたしは、朝と180度様子の違う後藤さんに戸惑う。

「なに?ヨッスィ〜」
そんなあたしに気づいたのかのんびりとしたくちょうで後藤さんが言う。
「いや・・・あのさ、後藤さん、朝と随分感じが違うな〜って」
「朝?・・・朝、会ったっけ?」
と、後藤さんは、本気で考え込む。

(こ、この子、もしかして・・・)
あたしの脳にある一つの単語が浮かぶ。

「あたし、低血圧なんだよね〜アハハ」

(やっぱりーっ!!)
あたしの予感は、的中した。
27第一章 GIRL MEETS GIRLS:01/12/28 01:21 ID:MNPbBcuC

「ってゆーか、後藤さんってヤだな〜。」
「へ?」
「ここで3択でーす。
 1.ごっちん 2.ゴッツァン 3.マキマキ
 さー、どれがいい??」
後藤さんは、なんだかすごくマイペースな子みたいだ・・・
あんなに怯えてたあたしって一体・・・
「じゃぁ、ごっちんで」
「ごっちん、ですねっ、ですねっ、ですね、ですね、ですね♪」
「う・・・うん」
(なんで変な節つけてるんだ〜??っていうか、この子変・・・)
「じゃ、あだ名も決まったことだし、着替えよっと」
そう言うと、後藤さ・・・ごっちんはさっさと部屋に入ってしまう。

(そういえば、早速任務があるんだっけ)
あたしも、とりあえず自分の部屋に入る。
部屋は、ごっちんが言ったとおり畳にベッドという一風変わった
組み合わせだった。
あたしは、ベッドに置かれた制服一式を手にとる。
赤いジャケット、黒のパンツにブーツとベルト・・・
(これが訓練生の憧れなんだよな〜)
それらを身につけると部屋に置いてある姿見で確認してみる。
自分ではないような気分だ。
制服の魔力ってヤツだろうか、知らないうちに背筋をピシッと
伸ばしている自分に気づく。

「ヨッスィ〜、まだ〜??」

部屋の外からごっちんが呼ぶ声がする。
「あっ、今行くよ」
あたしは、最後に後ろ姿をしっかり確認して部屋を出た。
28クロラ:01/12/28 01:23 ID:MNPbBcuC
もうすぐで第一章の1が終わる。
分け方間違えたんだよな〜、実は。
ってことで、一章はまだまだ続きます・・・
29第一章 GIRL MEETS GIRLS :01/12/28 02:24 ID:1xW9QvfT

ホールに向かいながら、あたしたち2人は長年の親友のように話し続けた。
こーゆーのをウマがあうっていうんだろうか。
どうやら、ごっちんは訓練校一のエリート学校を首席で卒業したという。
いわばエリート中のエリートだ。
(見る限りにはとてもそうは見えないが・・・)
にしても、不思議な話だ。
望めばもっと待遇のいい部隊で隊長になることもできたはずなのに
なんでANGELにとして入ったんだろう?

私が、そのことを尋ねると
「一番、競争率低かったから」
と、彼女はすごく投げやりに答えた。
「それにね」
ごっちんは、続ける。
「うん」
「安部さんも、飯田さんも、他の部隊長からココに配属願いだしたんだって。
 だから、どんなとこか気になったんだ〜」
「へぇ〜・・・ウソッ!!!!」
軽く聞き流そうとしたあたしは、その言葉の持つ意味に
気づいて大きな声を上げてしまう。

他の部隊長って・・・
つまり、あの2人はそれだけの実力者ってことで
っていうか、あの若さで部隊長だったわけで
それだけでもかなりすごいし
ごっちんと同じようにエリート中のエリートって話で
で、それを捨ててまでココに来たって

(なんかパニクってワケ分かんなくなってきたけど・・・)

簡単に言うと、最強の部隊じゃん、ココ・・・
総統が、自分の近くにおきたがるわけだ。

「・・・スィー、ヨッスィーってばっ」
「へ?」
私は、考えに夢中になっていてごっちんを無視していたらしい。
「ヨッスィーって、案外ボケーッとしてるんだね〜」
ごっちんは呆れ顔だ。
「そうかな〜、朝のごっちんほどじゃないでしょ」
「そ、それはいいの。体質なんだから不可抗力だもんっ!」
あたしの言葉に頬を膨らませながら反論する。
・・・って、低血圧は不可抗力なのか?

そんなことをしているうちに、あたしたちはホールに着く。
30クロラ:01/12/28 02:27 ID:1xW9QvfT
ここで1−1が終わりってことにします。
今決めた。
で、今度からは区切りを短めにする。
これも今決めた。
31ねぇ、名乗って:01/12/28 10:12 ID:tv25GpOy
sage-
32第一章 GIRL MEETS GIRLS :01/12/28 17:57 ID:CTaTZS0+



「おっそいでー、2人ともっ!!キビキビ動かなあかんって」
中澤さんの怒声が飛んでくる。
「まぁまぁ、道に迷ってたのかもしれないべ」
次に安部さんのフォロー。
「ピーガー。違ウヨ、ナッチ。2人ハオ喋リノシスギ・・・ピーガー」
最後に、飯田ロボ・・・もとい、飯田さんの正確な情報。
きっといつもこんな感じなんだろうなとあたしは思った。

「ほな、今日の任務の説明な。加護は資料、2人に渡してや。
 辻は、外の車用意しといて」
「はいっ」 「ヘイっ」
中澤さんの声に加護ちゃんがあたしたちに任務の要項の書かれた紙を渡す。
辻ちゃんは、ホールから出ていく。

「ざっと目、とおすだけでえーよ。今日は、初任務やから簡単やし」
「まぁ、油断はしないようにね」
「・・・ガー、ソロソロ出発時刻・・・ピー」
お決まりの順番で3人が喋り終わると、あたしたち5人は
一台のジープに乗り込んだ。
33第一章 GIRL MEETS GIRLS:01/12/28 17:58 ID:CTaTZS0+

そうして今、あたしは中澤さんの隣に座って後方へと流れ去っていく
景色を見ている。不思議な気分だった。
車というよりバイクに乗ってる感じに近い。
普通車の窓から見る景色は、外の世界が動いているように見えるけど
ジープの座席に座っていると、自分自身が前進しているような気がする。
街角には、銃を手にした兵士の姿が見られる。
まるで一昔前のアラブの都市みたいだ。
いつ、終わるとも言えない抗争を繰り返している民族。
(この国も他から見たら、そう見えるのだろうか・・・)

『軍は、いったん走り出すと止まらないものだ』

中学の時の教師が、そんなことを言ったことがあるーそして、
その数日後には学校から姿を消した。
こうして、ジープやトラックのような軍用車や兵士達の姿を毎日見ていると
感覚が慣れてしまって何も感じなくなってしまうんだろう。

「−今日は、どこに行くんですか?」
と、隣の中澤さんに訊いた。
さっきもらった任務の要項には、ただ任務を進める手順しか書かれておらず
どこに向かっているのかが分からない。
「出版社や」
「出版社?」
「・・・もう着くで」
ずいぶんこじんまりとした古いビルである。
看板には、聞いたこともないような出版者の名前。
ジープが止まると、みんな一斉にジープから飛び降りる。

「ほな、ヨッスィーと後藤は表で逃げ出してきたヤツつかまえてな
 よしっなっち、カオリ、行くでっ!!」
そう言うと、中澤さん他2名はビルの中へ入っていった。