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244第9章 彼女たちの結末

1

外では、兵士がバタバタとせわしなく走りまわる足音が響く中、
市井ちゃんは、のんきにコーヒーなんかを入れていた。
「はい、後藤」
あたしの前にマグカップが置かれる。
「ありがと〜」
あたしも素直にそれを受け取る。

っていうか、本当に夢じゃないよね?
さっきギュッてしたらあたたかかったし・・・

「・・・なに?」
市井ちゃんが、あたしの視線に気づく。

「市井ちゃん」
名前を呼んでみる。
「ん?」
市井ちゃんが、あたしを見つめる。

「市井ちゃん・・・」
もう一度、呼んでみる。
「・・・はい」
市井ちゃんは、微笑む。
懐かしい笑顔。

やっぱり本物だ・・・

「・・・バカッ!
 なんで、迎えに来るのがこんなに遅かったの?」
「・・・・・・ゴメン」
ふわっと市井ちゃんの手が、あたしの髪に優しく触れる。
それから市井ちゃんは、今までのことをゆっくり話してくれた。
245第9章 彼女たちの結末:02/01/30 09:01 ID:iymjop0+

記憶喪失・・・・・・
じゃぁ、仕方ないよね〜迎えに来るの遅くなっても・・・
んっ?
ってゆーか、つまり、市井ちゃん、あたしのこと忘れてたのっ!?
それは、許せないっ
あたしが、こんなにこんなにこんなに思ってたのにから

「な、なに?怖いって、後藤」
あたしは、無意識に市井ちゃんをにらみつけていたらしい。
市井ちゃんは、ちょっと困ったように言う。
「だってさ、市井ちゃん、あたしのこと忘れてたんでしょ?」
つい、いじけた口調になる。

「忘れてないよっ」
「だって、忘れてたじゃんっ!」
あたしは、ムキになる。
「忘れてないって」
「ウソばっかりー」
「ウソじゃないよっ!!」
市井ちゃんも、ムキになる。
すぐムキになるとこはお互い変わってないね〜
・・・ってケンカしてる場合じゃないのにな〜

「あたしの中には、いつも後藤がいたよ」

何回かおんなじことを言い合った後、いつのまにか市井ちゃんが、
あたしをふわっと抱き締めてくれた。
怒りが、急速にさめていく。

こ、これは、反則ですぞーっ
こんなことされたら、怒れないじゃん、も〜

246第9章 彼女たちの結末:02/01/30 09:02 ID:iymjop0+

「・・・一緒に帰ろ」

耳元で市井ちゃんが低く囁く。
「・・・・・・うん」
あたしは、うなづく。


あたしは、市井ちゃんを待っていた。
ANGELにいたら、他の部隊と違って、イヤでも報道機関にさらされるから
市井ちゃんが、どこにいてもあたしのこと迎えに来てくれると思ってた。
そして、市井ちゃんはあたしを迎えに来てくれた。
だから、もうココにいる意味はない。

あたしの前には、市井ちゃんの背中。
あたしは、それをずっと追いかけるからね