☆☆業務連絡☆☆

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145第4章 All for you

18

ピーンポェーン

店の裏口から間の抜けたチャイムの音が聞こえる。
−またか・・・
喫茶A・S・Aの店長である彩は苦笑した。
この店の裏口を訪ねてくる人はあいつしかいない。
彩は、ドアを開ける。
そこには、彩の予想通り、保田圭が立っていた。
146クロラ:02/01/12 13:17 ID:mYOudCLM
ageてしまった。
すみません
147第4章 All for you:02/01/12 13:19 ID:mYOudCLM

「今度は、なに拾ったの?」
私は、いつもの口調で話しかける。
圭ちゃんが、ココに来るときは決まってどこかで助けた子たちを連れてくるからだ。
金髪の小柄な子だったり、記憶喪失のちょっとボーイッシュな子だったり
いろいろ・・・まぁ、店の手伝いにもなるからいいんだけど。
「この子たち、面倒見てくれない?」
そう言って圭ちゃんが、少女たちを押し出す。
まだ幼い。
涙のあとが頬にうっすら残っている。

「−どうしたの?この子たち」
いつもならこんなこと聞かないけどなんだか様子がおかしい。
よく見ると、圭ちゃんの顔色も悪いような気がする。
圭ちゃんは、私の問いには答えず薄く笑ってその場を立ち去ろうとする。
「ちょっと、寄ってかないの??」
私の言葉に圭ちゃんは止まり
「矢口にさ、伝えといて。あの地図ニセモノだったって・・・敵は、銀色のビル
 にいるからって・・・」
と、背中を向けたままそれだけを言ってまた車の方へ歩き出す。

「・・・変な圭ちゃん」
私は、仕方なく少女たちを店の中に入れる。

「私は、石黒彩・・・2人は?」
「加護・・・亜依です。」 「辻希美・・・れす」
「これから、よろしくね」
私が、2人に笑いかけると亜依ちゃんの目から溢れるように
涙が流れ落ちる。それにつられるかのように希美ちゃんも泣き出す。
私は、その小さな体が泣きやむまでしっかりと抱き締めた。
148第4章 All for you:02/01/12 16:44 ID:3bdBP7E8

19

石黒に2人をあずけてから数十分後、海岸線が見えてくる。
保田は、車を停止させる。
以前、1回だけ矢口真里と来た海だった。
「−罰があたったのかな・・・」
そう呟く保田の声は小さい。


ねぇ、飯田・・・
あなたは、どうしてあんな風に死ねたの?
私には・・・きっとムリだよ・・・だって、飯田と私は違う・・・
飯田は、自分を犠牲にしてもあの子たちを助けようとした・・・

でも、私は−−矢口も自分も助けたかった・・・


矢口、ゴメンね。私、ウソついてたんだ。
矢口を失いたくなくて、でも、自分が死ぬのも怖くて
−矢口といられなくなるのが怖くて・・・だから・・・
だから、あの少女を身代わりにした。
でも−−間違ってたね。
おかげで罰が当たっちゃったみたいだよ
こんなことなら、私が終わらせればよかったわ・・・
そしたら、矢口の心に・・・少しでも・・・・・・残れたかもしれないのに・・・
−−バカだなー、私。


ヒューヒューと体から息が漏れる音がする。
149第4章 All for you:02/01/12 16:45 ID:3bdBP7E8


飯田もバカだよ・・・
こんなヤツにあの子たち託して・・・
私、亜依ちゃんって子のこと・・・少しは、救えたのかな・・・?


保田は、シートにもたれかかったまま目を閉じた。
わき腹を押さえている手に、シートの横に、温かな血が滲んでいる。


−−こんなことなら・・・あの時、最後まで・・・して・・たらよかった、わ・・・

「ねぇ・・・や・・ぐ・・・・・」

保田の声は、もう声にはならなかった。
150間奏:02/01/12 16:45 ID:3bdBP7E8

あなたのために生きて
あなたのために散ってしまっても
きっと、私は後悔しないことでしょう・・・