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−さてと、もうスパイは捕まえたかな〜
全く、警備もだらしないよね。
この区画まで潜入許しちゃうなんて。
だいたい、潜入した人探すんだったら、こういう外と繋がってる
空中庭園とかの方が怪しいじゃん・・・
「・・・って、まぁさすがにこんな中心部には来てない・・・よね?」
最後の語尾が疑問系になったのは、その空中庭園の
外側から奇妙な音がしたからだった。
(誰かいる!?)
その頃、保田はビルを登っていた
(なんか私、クモ女みたい・・・)
官邸の窓から見ていて気づいたのだが、ANGELのビルの中央部には
妙に出っ張った場所があり、直接中と繋がっているみたいだった。
そこで、私は壁を特製保田印の超ペッタペタ手袋と足袋セットを使って
外側からビルに潜入してみることにした。
途中、窓から私の姿を発見した警備兵たちはサイレンサーをつけた
銃でひっそりと撃ち殺していた。
・・・にしても、さすがにこんな高いビルを壁づたいに登ってくるとは
あまり思いつかないモノなのね〜。
次、来るときは上からさっそうと登場してみたいわね。
−その時は、やっぱり保田印のタケ○プターかしら・・・
そんなことを考えながら登っているとようやく出っ張りの頂上部分に手が届く。
ココからは、中に潜入しないと登れないわね・・・
「久しぶりに肉弾戦ね」
私は、片手で腰につけていた銃の用意をした。
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「誰っ!?」
私が壁の頂上に手をかけ内部に入ろうとした瞬間、内側から牽制するような声がする。
(ウソ、気づかれてた!?)
この中には、何人もの兵士が待ち伏せしているんだろうか?
・・・いや、それなら『誰?』なんて聞くはずがない。
つまり、相手は1人か2人・・・どっちにしても少人数のはず・・・
やれないことはないだろう・・・
でも、ココを飛び越えたとたんに撃たれるかもしれない
(・・・どうする?)
壁の外側にいるはずのスパイは動かない。
でも、カオリには分かる。
なにか感じるもの・・・外にいるのは敵!!
ココは、辻と加護の部屋の近くなんだ・・・だから、逃げられない
私は、じりじりと庭園を囲む壁に近寄った。
(やばいわね)
どうやら相手は近寄ってきているみたいだ
(・・・けど、足音は1つ)
1人だったら、最悪ちょっとはケガするかもしれないけど、殺れるはず!
私は、思い切って壁を乗り越え
銃を構えながら相手の姿を目の中にキャッチする。
しかし、相手が私を視界にとらえる方が早かった。
すでに、相手は私に照準を合わせている。
(・・・殺られる!!)
私は、必死で銃を相手に向けて発砲した。