☆☆業務連絡☆☆

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117第4章 All for you



「見回る前に、辻と加護に会わなきゃ」
私は、空中庭園と呼ばれる地上から10mぐらいの所にある
中庭の前の2人の部屋に向かう。
そこへ、前から物々しい装備の警備兵が3人走ってきた。

「どうしたの?」
カオリが、声をかけると1人が止まってくれた。
「い、い、い、飯田さんっどうも」
立ち止まった警備兵は、私の顔を見て固まる。

なんか他のANGELの子たちよりもカオリは怖れられているらしい。
この前、なっちにそれをグチったら
『いつも交信してるからだべ』 と、笑われた。
118第4章 All for you:02/01/09 01:24 ID:Et5jnYkx

「なんでそんなに急いでるの?」
それを思い出して、仕方なく笑顔を作り優しく聞いてみる。
だって、真顔だと怒ってるみたいとも言われたし・・
警備兵は、ちょっとホッとしたような顔をする。

「あっ、今このビルの監視カメラにスパイらしき人影が
 映っていたと報告がありまして−−」
「えっ?」

このビルに来てるの!!?
なにやってんのよ、下の警備はーっ!!

私は、思わず相手を睨む。
すると、警備兵は顔を真っ青にして
「も、申し訳ありませんっ」と、走って逃げてしまった。
「ちょ、ちょっと、ねえっ・・・!?」
私は、呆気にとられる。
そんなにカオリの顔が怖いの?
って、そんなことよりこのビルに敵がいるんだったら
この階に来てるかも・・・辻・加護が危ないじゃん

私は、2人の部屋をノックした。
119第4章 All for you:02/01/09 01:26 ID:Et5jnYkx



「誰ですか?」
中から加護が答える。
加護は、辻と私の前でしか関西弁を使わない。
「カオリだけど−」
「飯田さん!?のの、飯田さんやで」
中からドタバタと2人の足音が聞こえドアが開く。
「いいらさん、おひさしぶりれすー」
まず、辻が飛びついてくる。

−−久しぶりって、昨日も会ったのに・・・
まぁ、それは辻のお約束ってヤツなので今はムシ。

「のの、昨日も会うたやんか・・・っちゅーか、毎日会っとるって」
加護は、辻の毎度のことに毎度のことながらツッこむ。

「今日は、なにして遊びますか〜?」
辻が抱き付いたまま上目遣いで私を見る。
「んーそうだねー、加護はなにがいい??」

ん?
言った後になにか忘れていることに気づく。

「そうやな〜、昨日はぶりんこ○んこ大会やったし・・・」
加護は、前髪をいじくりながら考えている。

「って、ち、チガウじゃんっ!!」
「へ?なんれすか、いいらさん」
「どないしたんや、急に」
突然、叫んだ私に驚くこともなく2人は冷静だ。
どうせ、カオリが突然なにかするのって日常のことと思ってるんだ
・・・って、また話を忘れそうになってた。
もうカオリボケ始めてるよ。
120第4章 All for you:02/01/09 01:29 ID:Et5jnYkx

「あのね、2人ともよく聞いて」
「なんれす?」
「そんな怖い顔して・・・」
私の声のトーンに、2人とも真面目な顔になる。
「今ね、このビルに敵が侵入してるの。だから、絶対に
 カギしめてこの部屋から出ちゃダメだからね」
「−いいらさんは?」
辻は、泣きそうな顔をしている。
「カオリは、今から見回りに行くから、終わったらもう一回2人の所に来るね。
 それまで、誰が来ても開けちゃダメだからね」
「けど、それやったら飯田さん来てもわからんやんか」
「そうれす、声マネ星人がいたらどうするれすか?」

こ、声まね星人・・・
いるかもしんない

「じゃ、じゃぁ、暗号決めとこっか。
 カオリだったら、ノックを2回、1回、2回ってわけてする」
私は、ドアを2回、1回、2回と叩いてみせる。
「それ以外だったら、ドアは開けちゃダメ」
2人が頷く。
「よし、それじゃ、行ってくるね」
私は、2人の頭を撫でてから部屋を出る。
部屋を出ると私の言いつけ通りに、ガチャッとカギをかけた音が聞こえた。