☆☆業務連絡☆☆

このエントリーをはてなブックマークに追加
10第一章 GIRL MEETS GIRLS

 ハァ・・・ハァ・・・ハァ・・・
 朝焼けにキラキラと輝く街を、猛ダッシュで少女が走っている。
 中世的で端正な顔・・・吉澤ひとみだ。
 吉澤は、総統官邸と隣り合った直営の軍用ビルへと駆け込んでいく。
 「・・・ったく、なんでこんな朝っぱらから入隊式なんだよ〜」
 吉澤は、文句を口に出しながら螺旋状の階段を駆け下りる。最後の数段を
飛び降りると、目的のホールの入口が見えてくる。
 チラリと腕時計に目をやると、集合時間の1分前だった。
11第一章 GIRL MEETS GIRLS:01/12/26 03:02 ID:l8HQb0eK

 「すいませんっ遅くなりましたっ!!!」
 勢いよくドアを開け、敬礼をしながら大きな声で叫ぶ。
・・・が、予想していた返事は返ってこない。おそるおそる顔を上げると
広々とした空間にただ2つの椅子が並べてあるだけだった。
 「なんだ。まだ、誰も来てないのか〜」
 微かな安堵とともに、宿舎から一気に全力疾走してきた疲労を全身に感じる。
私は、ひとまず椅子に座って誰かが来るのを待つことにした。
 「・・・っ!!!」
 椅子のすぐそばまで来ると、そこには、2つの椅子を使って器用に寝ている少女の姿があった。
 「・・・うわぁ〜、熟睡してるよ・・・って、ココあたしの席じゃないの・・・?」
 ともかく眠っている少女を起こそうと、肩に手を触れようとした瞬間
ものすごい早さで少女が椅子から飛び起きる。
 「あっ!!・・・お、おはよ」
 我ながらアドリブのきかないやつだな〜、と内心苦笑していると
今しがたまで眠っていた少女は、ジロリと私の顔を一瞥した。
 (うっ・・・怖いんですけど・・・・・・)
 思わず腰を引いたあたしに構わず、少女はあたしから視線をそらすと椅子に座りなおす。
あたしは、少女が普通に座ったのでひとつ空いた(恐らくあたし用の)椅子に仕方なく
・・・というか、元々座りたかったので腰掛けた。
12クロラ:01/12/26 03:04 ID:l8HQb0eK
>8
えー、sageでひっそりするんでお許しください。
13 :01/12/26 09:44 ID:fE8m9+H5
 
14第一章 GIRL MEETS GIRLS:01/12/26 15:39 ID:ahq+tiT2
しっかし、よく見るとカワイイよな〜、この子
あたしはそんなことを思いながら、横目で隣の少女を盗み見る。
薄茶のサラサラした髪、少しタレ目がちだが意志の強そうな光を
持った瞳。年は一緒ぐらいだろうか?
あたしは、少し不思議な印象の少女に興味を覚える。
椅子が2つしかないことから、入隊するのはあたしとこの子だけなんだろう。
(早速、仲良くなっとこっと)
15第一章 GIRL MEETS GIRLS:01/12/26 15:40 ID:ahq+tiT2
「あたし、吉澤ひとみって言うんだ。16歳。キミは?」
ひとまず自己紹介をしながら声をかける。
が、少女はつまらなそうにあたしを一瞥しただけで返事もしてくれない。
「えっと・・・2人だけみたいだね、入隊するの。緊張しない?」
あたしは、なぜだかすごく焦っていろいろ話そうと試みる。
「そういえばさー、時間にルーズなのかな、ココって。あたし、
 走ってきて損しちゃったよ、アハハハ・・・」
「・・・さい」
「え?」
「うるさいんだけど」
あたしが喋り続けていると、はっきりした拒絶の言葉が投げられる。
ものすごく不機嫌丸出しって感じの声。
「ゴ・・・ゴメン」
あたしは、その声の鋭さに少し恐怖を感じて謝った。
なんかすごく不安になってきた。
ANGELの隊員達がみんなこの子みたいだったらどうしよう・・・
沈黙が広がる。
16第一章 GIRL MEETS GIRLS:01/12/26 15:42 ID:ahq+tiT2
その時、ホールの前方のドアから血のような真っ赤なジャケットに
黒いパンツ姿の2人組が入ってくる。ANGELの隊員達だ。
「おそうなってすまんかったなぁ」
先に入ってきた金髪の女の人が不思議なイントネーションで
あたしたちに声をかける。
「西部訓練校から来ました。吉澤ひとみです」
あたしは、軍事訓練校で習ったとおりに立ち上がって挨拶する。
「あー、ええって。そんな固い挨拶は。フレンチにいこうやないか」
(フ・・・フレンチ??)
なんだ?ごちそうしてくれるのかな・・・って、んなわけないか。
「裕ちゃん、それを言うならフランクだべ」
金髪の人の後に入ってきた少し背の低い、だけど、凛とした印象の
少女がさりげなくツッコミをいれる。
「わ、分かっとるがな。今のはな〜、ヨッスィ〜の緊張をとこうとしてやな〜」
金髪の人は、どもりながら言い訳をする
(違う、今のは絶対マジボケだ・・・・・・っていうか、ヨッスィ〜??)
あたしが、その妙なあだ名に気づき金髪の人のほうを見ると
彼女は、ニコッ・・・っというか、ニカッと笑った。
必死に笑い返そうとしたがどうしても頬を引きつらせてしまった。