サウンドノベル4「ハッピーエンド」帝国の章

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774辻っ子のお豆さん
四国の県名と言えば九州?
薄れ行く意識の中で、一つの答えが導き出された。
「とどめだ!四国六県!」
矢口の荒技が再び吉澤に襲い掛かる。
その時、吉澤の最後の力が奇跡を起こした。
「九州!」
吉澤は攻撃する矢口の片腕を掴み、そのまま一本背負いの様に床に叩き付けた。
「うわああああああ!!!」
全体重のせたその技で、小さい矢口は激しい衝撃を受け、気を失った。
吉澤の起死回生の技(ボケ)が、矢口の技(ボケ)の上をいったのだ。
矢口会心のボケを上回ったのは、アホ帝王の吉澤だからこそ成せる業だった。
「へへっ、勝っちゃった。」
あの宿敵矢口を倒した。自分でも信じられなかった。
「早く皆と合流しないと・・」
吉澤は立ち上がろうとするが体が言う事を聞かず、そのまま前のめりに倒れた。
早く…行かないと…
だが矢口との死闘でもう吉澤に起き上がる力すら残されていなかったのだ。
その時、首に下げたあのペンダントが輝きだした。
775辻っ子のお豆さん:02/01/04 22:20 ID:wfzyDdta
「よっすぃーとののちゃん、今頃どうしてるやろ。」
城の最上階にある隔離された一室に、高橋愛はいた。
部屋に設けられた小さな窓から外の景色を眺め、ため息をつく。
彼女はもう一ヶ月以上もここに閉じ込められたままであった。
「なんで私だけこんな目に合わなきゃいけないんやって。もう嫌やよー。」
たった一人、涙で服の裾を濡らす。
この過酷な環境が彼女から笑顔を奪っていた。
「待っててね、愛。私必ず強くなって愛を助けに行くから。」
「ののもれす!ののも強くなるれす!」
思い出すのは、別れ際の二人の約束。
高橋はこの約束だけを唯一の希望と信じて待っていた。
ガチャガチャ!
ふいにドアのノブが激しい音を立てて動き出す。
「誰!?」
この部屋を訪れるのは将軍なのに食事係の紺野くらいであった。
でも彼女は必ず丁寧にノックしてから鍵を開ける。
この様な騒々しい開け方をしたりはしない。
高橋が困惑していると、扉の向こうから女の子の声が聞こえてきた。
776辻っ子のお豆さん:02/01/04 22:21 ID:wfzyDdta
「加護ちゃん、早くしないと追いつかれちゃうよ!」
「まあ慌てないで、この程度の鍵、盗賊のうちにかかればちょろいもんやで。」
言った通り、あっという間に加護は針金一本で器用に鍵を開けた。
扉を開くと、部屋の中にはびっくりした顔の娘がいた。
「あなたが愛ちゃんね!」
石川はその娘の顔を見て確信した。
ペンダントで、彼女が吉澤・辻といっしょにいた娘だと知っていたからだ。
「ど、どうして私の名前知ってるんですか?」
「うち等、ののとよっすぃーの仲間や。助けにきたで!」
「え!二人もいるの!?」
「うん、今ははぐれちゃったけど、この城のどこかにいるはずよ。」
よっすぃーとののちゃんが本当に来てくれた!
高橋は信じられない気持ちで胸がいっぱいになった。早く二人に会いたい。
「とにかく今は逃げるのが先やで。」
加護が高橋の手をとって、脱出を促す。
トクン・・
すると、つながれた愛と亜依の手の間で不思議な鼓動が起きた。
二人は驚いて手を離し、互いに顔を見合わせる。
777辻っ子のお豆さん:02/01/04 22:22 ID:wfzyDdta
「何やって今の?ピリって変な感じしたよ。」
「まさか、これがあのおばちゃんがゆうてた奴か?」
立ち止まる加護と高橋を見て、石川が急かす。
「どうしたの二人とも?急がないとあいつらが・・!」
「もう遅い。」
扉の前に邪悪な笑みを浮かべた中澤皇帝が立ち塞がっていた。
その横には無表情の福田明日香が控えている。
「ようやく究極魔法を我が物にする時が来たか。」
中澤がゆっくりと三人に近寄っていく。
敵は二人。バラバラに動けば誰か一人くらい逃げる事ができるかもしれない。
石川は加護と高橋に目配せで合図を送った。

1. 石川を逃がす
2. 加護を逃がす
3. 高橋を逃がす