サウンドノベル4「ハッピーエンド」帝国の章

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743辻っ子のお豆さん
石川は加護の手を引いて、その場を逃げ出した。
「待て!追うぞ福田!逃がすな!」
皇帝中澤が将軍福田を引き連れて、逃げる二人を追いかける。
「どいたどいた!はいからさんのお通りやで〜!」
二人は驚く帝国兵を尻目に廊下を駆け抜ける。
最初は加護を引っ張っていた石川だったが、今は加護に引っ張られていた。
「ねえ、道分かってるの?加護ちゃん。」
「適当や、適当。考えてる場合やないやろ。」
しかし追う中澤は気付いていた、加護があの部屋の方へと走っていることを。
「偶然か、それとも運命が二人を引き寄せているのか。」
加護と石川は、真っ直ぐに高橋愛の居る部屋へと向かっていた。
トクン・・
城の最上階へと通じる階段の前で加護は不思議な鼓動を感じた。
「なんやろ、この感覚は?」
「どうしたの加護ちゃん、急に止まって?」
「ええい、こっちや姫さん!」
「えっ!」
加護は石川の手を引いて、階段を上り出した。
744辻っ子のお豆さん:02/01/04 00:36 ID:S1JiJ660
中庭に暗雲が渦巻く。
もう誰にも彼女を止めることはできない、暴走格闘王紺野。
存在そのものが奇跡、可能性∞、お腹いっぱい無敵の勇者辻。
人知を無視したその闘いが始まった。
先手必勝!辻が長く伸びたピョーンソードを振り下ろす。
だがなんと、紺野はそれを手刀で薙ぎ払う。そしてすぐさま辻の懐へと飛び込んだ。
ドーン!
一撃必殺!紺野の正拳突きが完全に辻の腹をとらえた。
そのあまりの破壊力に辻は体ごと吹き飛ばされた。
ばい〜ん!
だが、あらゆる攻撃をはね返す辻の腹によって、同じ衝撃が紺野にも伝わった。
そして紺野も同様に後方へと吹き飛ばされた。
相打ち。だが二人ともすぐに跳ね起きてまたぶつかる。
ドーン!ばい〜ん!
ドーン!ばい〜ん!
ドーン!ばい〜ん!
ドーン!ばい〜ん!
どうやら長期戦になりそうである。
745辻っ子のお豆さん:02/01/04 00:36 ID:S1JiJ660
もう一つの闘い、吉澤vs矢口は動きが止まっていた。
互いの最大奥義が外れ、そこで市井紗耶香の名があがっていたのだ。
「どうしてお前が師匠の名前知ってんだよ!」
「紗耶香とは昔ちょっとつるんでた事があってね。」
そこで吉澤は、市井と飯田の昔話を思い出した。
勇者なっちと師匠と飯田さんとマリって人の4人で暗黒竜を倒した話。
「まさか、お前がマリマリマリー?」
「そうよー、伝説の英雄矢口真里様よ。恐れ入った?」
「そんな人がどうして帝国なんかにいるのさ?」
「別に関係ないでしょ、マリーは元々帝国の人間だったし。」
「一緒に旅したんだろ、仲間じゃないのかよ?」
「あの頃はまだ戦争は始まってなかったしね、でも今は違う。」
「おかしいよ、そんなのって!」
「大人には大人の事情があるのよ。さぁ、おしゃべりはここまで・・」
矢口が再び戦闘の構えをとる。
吉澤は単純だから大人の事情とか、そんなややこしいことよくわからなかった。
だから難しい事考えるのは辞める事にした。わかることをする!
「愛を助ける為にお前をぶっ倒す!」
746辻っ子のお豆さん:02/01/04 00:37 ID:S1JiJ660
「パッパラパーのアチャー!」
矢口のもう一つの必殺技で第2ラウンドが始まった。
以前はこの技に手も足も出なかったが今は違う。
成長した吉澤は、これに耐えるだけの体力とスタミナを持ち合わせていた。
そのあまりの成長に矢口は驚いた。
最初にピース村で見た時は唯の平凡なガキだった。
それがこんな短期間でここまでの実力者になろうとは想像もできなかった。
だがまだ負ける訳にはいかない。矢口のプライドに火が点く。
「こいつはどうだ!」
矢口の拳が吉澤の体に6連弾で打ち込まれた。
「秘技・四国六県!」
あまりのダメージに吉澤の意識は遠のいていく。
やっぱり勝てないの、嫌だそんなの。負ける訳にはいかないんだ。
薄れゆく意識の中で、吉澤の脳裏にある言葉が浮かび上がった。
四国の県名といえば・・

1. 愛媛、香川、徳島、高知
2. 九州
3. クリントン