サウンドノベル4「ハッピーエンド」帝国の章

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598辻っ子のお豆さん
一度近くの町によって準備をすることにした。
うまい具合に、少し離れた所に街を見つけることができた。
帝国最大の商業都市インスピ
「はらがへっれはいくさはれきぬ!」
辻ちゃんの先導によって、私達はまず酒場で食事をとることにした。
ののとあいぼんは出てくる皿を次々と空にしていく。
「うまいのれす。」
「胃がでかなってもうた。」
「すごい食べっぷりだねー。」
「二人とも、そんなに食べたらまた太るぞ。」
「やせようと思ったらやせないから、太ろうと思ったら太りました。」
「あいぼんがいいこといったのれす。」
いいことか?と私は思ったがとりあえず頷いておいた。
二人はまだメニューを覗いている。どうやらデザートを探している様だ。
「8段アイスはないのれすね。」
「そりゃそうだよ、あれは月光亭のオリジナルだからね。」
「ねえねえ、その8段アイスってなあに?」
「うまいんか?」
梨華ちゃんと加護が興味深々に尋ねてきた。
599辻っ子のお豆さん:01/12/29 03:56 ID:sd97BVVF
「私達の村だけで食べれる特製のアイスなんだ。すっげーうまいの。」
「ののがはつめいしたのれすよ。」
「へー、おいしそう。」
「うちも食べたなってきたで〜」
「そうだ!愛を助け出したら二人ともピース村に遊びに来なよ!」
「そうれすよ、みんなれいっしょに8段アイスたべるのれす!」
「行く行く、絶対行くで!」
「私も!それに二人の生まれ育った村見てみたかったんだ。」
「よーし、約束だぞ!」
私達はテーブルの中央に手を伸ばし、指切りをした。
端から見たらくだらない約束に見えるんだろうけどさ、
私達にとっては本当に大切な約束だったんだ。
絶対に生きて戻るんだ。この4人と、そして助け出した愛の5人で!
この時の私はそうできると信じていたよ。
またあの楽しい毎日が戻ってくると頑なに信じていたんだ。
愛と、ののと、あいぼんと、梨華ちゃんと、皆で一緒に8段アイス食べるんだって。
だから思ってもいなかった。
あんな事になるなんて、この時は少しも思ってもいなかったんだ。
600辻っ子のお豆さん:01/12/29 03:56 ID:sd97BVVF
ハロプロ王国でも、中澤帝国でもない場所。
闇に包まれた空間に彼女の姿があった。
帝国三将軍の一人、福田明日香。
そしてその前に一つの影が浮かび上がる。
「ここまでは計画通りという訳だな、明日香。」
静かに、それでいて力強い口調が、闇の中から聞こえてくる。
闇に包まれている為、福田の方からその姿を見ることはできない。
「はい、つんくは死んだ。後は・・」
「中澤か。」
「ええ、ですがあいつは私が手を下すまでもないでしょう。」
「・・それは、どういう意味だ?」
「私がやらずとも、勇者なっち辺りが勝手に片付けてくれるはずです。」
「フフフ・・勇者なっちか、それもそうだな。」
帝国将軍、その肩書きは偽りの物であった。
この闇に浮かぶ者こそ、福田明日香の真の主にして全ての元凶、魔族の王である。
「つんく、中澤、二人の王が死ねば世界は統べて我が物となる。」
王国と帝国の争い、つんくの死、全ては筋書き通りの物語だったのだ。
全ては闇の思うが侭に・・
601辻っ子のお豆さん:01/12/29 03:57 ID:sd97BVVF
「そう言えば、もう一人勇者を名乗る者が現れた様だが…」
「ああ、あのガキのことですか。城で一度拳を交えましたよ。」
「どうであった?」
「我らの計画には何の障害にもなりません。ただの雑魚でした。」
「そうか、ならば良い。」
「では私はそろそろ帝国に戻りますよ、一応将軍ですので・・」
そう言い残し、福田明日香は闇を後にした。
福田は知らなかった。あの時の辻は空腹であったことを。
福田は知らなかった。辻希美の本当の実力を。
ただの雑魚と罵ったその娘が、後に完璧な筋書きを乱す存在となる事を。
闇に閉ざされたムードを、一変させ得る力を持った少女であるという事を!
福田は知らなかった。
そして、帝国の長い一日は幕を開けた。

1. 勇者のの一行は帝国皇城を正面から突撃した。
2. 裏口からこっそり忍び込んだ。
3. 二手に分かれて侵入した。