サウンドノベル4「ハッピーエンド」帝国の章

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546辻っ子のお豆さん
「彼女達から奪うのはなんか可哀想だから、取るのは最後の宝箱だけにしよう。」
私の提案にあいぼんは首を傾けて反論した。
「ハァ?何言うとんねん。うちら勝ったんやで、総取りに決まっとるやろ。」
「でも加護ちゃん、それじゃまるで強盗みたいだよ。」
「ののもよっすぃーと梨華ちゃんに賛成れす。」
やれやれ、そーやった。こいつらはこういう馬鹿な奴等やったんや。
だから、うちも一緒に行こうと思ったんやったな。
「わかったよ、それでええよ。」
加護もため息をついて、皆に合意した。
嗚呼、うちもだんだん馬鹿になってきてもうたみたいやな。
「ポジティブポジティブ、きっと最後の宝が一番すごい物が入ってるよ。」
「ののがあけるのれす。」
私達は固唾を飲んで、最後の宝箱に手をかけるののを見守った。
「ちっちゃいつるぎがはいっているのれす。」
辻が最後の宝箱から取り出したのは、小さなつるぎであった。
「なんやなんや、しょぼいお宝やな。」
「これじゃあ、戦いには向いてなさそうだね。」
私は辻を慰めようと近づいた。だが、そのつるぎを握った辻の様子がおかしい。
547辻っ子のお豆さん:01/12/27 04:26 ID:1WHEgFtU
「のの、どうした?」
「へんなかんじらするのれす。なんかね、ピョーンってかんじ。」
すると、突然その小さな剣がピョーンと勢い良く伸びて長くなった。
あっというまに洞窟の天井に届くくらいの長さにまで伸びた。
「すげー、かっけー!」
「これはピョーンソードれすね。」
ピョーンという言葉に反応して、伸び縮みする幻の剣だった。
「やっぱりすごい宝だったんだね。」
辻は嬉しそうにピョーンソードを振り回して遊んでいる。
「おもしろそうやな、のの、うちにも貸してや。」
「いいれすよ。」
だが渡された途端、加護はその重さによろめいた。
当然だった、すでに10m近く伸びた剣は普通の人間が扱える重量ではなかった。
「お前、なんちゅうパワーしとんねん。こんなん使えるか!」
「つかえるれすよ。」
それを辻は片手で軽々と振り回している。勇者のののパワーは半端ではなかった。
「どうやら辻ちゃん専用の武器みたいだね。」
「アーイ!」
勇者ののはピョーンソードを手に入れた。
548辻っ子のお豆さん:01/12/27 04:27 ID:1WHEgFtU
「まあええわ、うちはこの鎖鎌手に入れたし・・」
「うん、私はなべのふたを手に入れたしね。」
「それじゃあ、そろそろ地上へ戻ろうか。」
目的を果たしその場を後にしようとすると、私達を呼び止める声が聞こえた。
「待って!あなた達、どうして私等から宝を奪っていかないの?」
それは、なんとか意識を取り戻したアヤカのセリフであった。
「う〜ん、ちょっと可哀想かなって思ったから。」
「武士に情けは無用よ、さあトドメを刺せ!」
アヤカが自分の日本刀を差し渡してくるので、私は困り果ててしまった。
「いいよ、私に任せて。」
すると、梨華ちゃんが日本刀を手にしアヤカに向かって振り上げる。
「り、梨華ちゃん!?」
彼女の意外な行動に、私は驚きの声をあげてしまった。
「本当にもう、この世に未練はないのね。」
「ああ・・敗北は死に値する。」
「わかったわ、死になさい。」
石川が刀を振り下ろす。
赤き返り血が、辺りに吹き散った。
549辻っ子のお豆さん:01/12/27 04:28 ID:1WHEgFtU
「お前、何を・・!?」
アヤカが信じられないといった表情で、石川を見上げる。
日本刀が切裂いたのは、梨華自身の腕であった。
深く切裂かれた傷口から、止めど無く血が溢れ出てくる。
「これでくだらない志を持ったあなたは死んだわ。」
目を覚ましたミカとレファも、その様子に気付いて驚き慌てている。
「死ぬのはこんなにつらくて痛い事なんだよ、だからもうそんな事思わないで。」
身を賭して説得する梨華の姿に、異国の武者三人は心を揺さ振られた。
「今からは新しいあなた達で生きて、ね。」
最後に梨華は優しく微笑んで気を失った。
私は梨華の元に駆け寄り、彼女を後ろで支えた。
「梨華ちゃん・・」
三人はずっと地に頭をつけたままで、その意志は固まっていた。
生き長らえたこの命を彼女に為に行使しようと。
ののとあいぼんに急いで傷口の応急手当てをさせる。
私達は梨華をおぶって、洞窟の外へと出た。
地上に出た所で、梨華も目を覚ました。
「うーん、いい天気だね。」
550辻っ子のお豆さん:01/12/27 04:31 ID:1WHEgFtU
「梨華様!我ら三人の命、貴方を守る為に使う事を誓います。」
目が覚めていきなり、あの三人が土下座してそんな事言うから梨華は驚いた。
「いいよそんな、恥ずかしい。」
「もう決めたことデース。」
「せっかくやから、何か命令したればいいやん。」
おもしろがる加護に促されて、梨華は渋々考えた。
「そ、それじゃあハロプロ騎士団を助けてあげて、私の国の兵士なの。」
梨華は騎士団が帝国との戦争中である事を説明した。
「この手紙を騎士団長の石黒さんに渡せば、わかってくれると思うから。」
「御意。」
直筆の文書を三人に手渡した。
「ていうか、帝国に行くなら私達も通るんじゃない。」
戦争は、トット山脈とこのピョーン山地に挟まれた大草原で行われている。
戦地を避けて、帝国に向かうのは不可能である。
「いややで〜戦争なんかに巻き込まれたないで。」
「それならば、我々の船をお使い下サーイ。」
ミカの言葉に私達は顔を見合わせた。
「船!」
551辻っ子のお豆さん:01/12/27 04:33 ID:1WHEgFtU
「海らみれるのれすか、ワーイ!」
「私、海って初めてなの。嬉しい、本当にいいの。」
「もちろんです。私達が使うことはもうないですし・・」
なんと船をもらう事ができた。身包みはがさないで良かった。
そして、私達はココナッツ国の三人と別れを告げ、海岸へと向かった。
「うみらみえたのれす。うーみー!」
「あそこに船があるで、結構ええ船やないか。」
広大な海を前にし、ののとあいぼんがはしゃぎ出した。
梨華ちゃんも楽しそう。私だって胸がドキドキしている。

1. さっそく船に乗りこもう。
2. ちょっと海で遊んでいこう。
3. 海は怖い、やっぱり歩いて行こう。