サウンドノベル4「ハッピーエンド」帝国の章

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35辻っ子のお豆さん
「とりあえずはらへったのれす。」
「お前なぁ、吉澤がこんな時に何言うとんや、急いで探すで!」
「いやなのれす、はらへってうろけないのれす!」
辻はダダッコみたいに手足をジタバタさせた。
「(いや、めちゃめちゃ動いてるがな。)」
加護は心の中でつっこんでおいた。
「しゃーないな、近くの町か村探して飯にしよか。」
「アーイ、あいぼんらいすっき♪」
辻は加護を抱きしめて、ほっぺにチュッってした。
「やめい、何すんねんボケ!」
真赤な顔して加護は辻から逃げるように離れた。
なんでうちがこないドキドキせなならんのや。
「ほら、行くならとっとと行くで!」
照れを隠す為に、加護はわざと大声で呼びかけ歩き出した。
辻はポンとお腹を叩いて後に続いていった。
無理に探さなくても、よっすぃーとはきっとまた会える。
そんな不思議な確信が辻の中にはあった。
らって離れていても私達の目的は同じなんらからね。
36辻っ子のお豆さん:01/12/15 01:02 ID:RgGE7Vqo
三日後、帝国との国境近くの町ミラコーに二人の姿があった。
「も、もう駄目や・・」
「腹へって死にそうなのれす・・」
路地の壁にもたれかかり、瀕死の状態に陥っていた。
二人は所持金0である事をすっかり忘れていたのだ。
もう丸三日、何も食べていない。
「おなかとせなかがくっつきそうれす。」
勇者ののの物語に幕が下りようとしていた。
「あかんあかんで、うちらが死んでどないすんねん!」
加護は死力を尽くし立ち上がった。
「待ってろや、のの、うちがなんとかしたるわ!」
「あいぼん、たのむのれす。」
痩せ細った辻が地べたに伏せて、か細く答える。
加護はよろめきながら、表通りへと出ていった。
吉澤が地下牢獄で絶望に陥っていた頃、辻も絶望の中にいたのだ。
「待って、返してくださーい!」
表通りに出た加護は、一人のおかしな娘を見つけた。
それは、半泣きでノラネコを追いかける紺野だった。
37辻っ子のお豆さん:01/12/15 01:03 ID:RgGE7Vqo
谷で襲われた時は、加護は直接紺野の顔を見てはいなかったので、
まさかそれが帝国将軍とは夢にも思わなかった。
「笑ってないで、誰か捕まえて下さい。」
どうやら、魚を盗まれて困っている様だ。
こいつは使える!加護の頭が素早く回転を始めた。
「あいぼんの前でケチな盗みは許さへんで〜。」
加護は得意の盗み技で、ノラネコから魚を奪い取った。
「ほら、あんたの魚やで、今後は気ぃ付けろや。」
そして涙ぐむトロそうな娘に手渡して、天使の様に微笑んだ。
「お助け料1000モニや。」
「え?え?でも・・あの・・」
「まいどあり〜!」
紺野の財布から勝手に1000モニ奪い、加護は走り去った。
「やったで、のの、金やで、これで飯食えるで!」
路地裏に戻って来た加護は、大はしゃぎで辻に1000モニ札を見せびらかした。
「く、食えるんれすか・・!?」
朦朧とした意識の中で辻は飛びついた。
「コ、コラ!のの!お札を食うんやない!やめろー!」
38辻っ子のお豆さん:01/12/15 01:03 ID:RgGE7Vqo
なんとか一命を取り留めた二人は、食堂で今後の事について話し合った。
「やっぱ世の中ゼニやな。」
「れすね、身にしみて感じたのれす。」
また丸々とした体に戻った辻が、お腹をさすりながら応じる。
「しゃあない、仕事探そか。」
「へい。」
二人は仕事を求め冒険者のギルドへ向かった。
現在行なう事ができる仕事のリストを見上げる。
「のの、ええ仕事あるか?」
「これがいいのれす。」

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