サウンドノベル4「ハッピーエンド」帝国の章

このエントリーをはてなブックマークに追加
252辻っ子のお豆さん
後藤真希は一人、荒野を走っていた。
ようやく奴の居所を掴んだ。この機会を逃す訳にはいかない。
あいつは普段その気配を完全に消し去っているので、探すこともできない。
戦闘体勢に入るわずかな時間にだけ、あの邪悪な気を発するのだ。
光の末裔である私だけがそれを知ることができる。
闇を打ち滅ぼす事のできる唯一の武器、聖剣ハマミエだけが私の味方。
たった一人の孤独な戦い、それも今日までだ。
今度こそ、全てを終らせてやる!
真希は目をつぶり、戦いに向け精神を統一させた。
ゴッチ〜ン!
「きゃ!」
「痛ったーい!」
目をつぶったまま走っていたので、誰かとぶつかってしまった。
「んあ〜ごめんなさい、ボーっとしてて・・」
「このマリーにぶつかっといて、ごめんで済むと思うの!?」
真希がぶつかった相手、それは帝国将軍矢口真里であった。
「あの、急いでるんで通してくれませんか。」
「やーだね、フン!」
この人なんか怒ってるよ、相手してる暇ないのに、困ったなぁ。
253辻っ子のお豆さん:01/12/20 01:07 ID:MplXctSS
矢口はいつまでたっても加護を見つけることができず、イライラしていた。
「マリーは今機嫌が悪いの、あんたでストレス発散しよーかなー。」
「な、何でですか、嫌ですよ。」
「ずいぶん立派な刀持ってるじゃない、いーなーマリーも欲しいなー!」
「これは駄目です。触らないで!」
真希は刀に近づく矢口の手を払った。
「フーン、そういう態度ななんだ。それならマリーにも考えがあるピョーン。」
矢口が例の構えをとる。セクシービームの構えだ。
「辞めて下さい、私は貴方と戦う気はないです。」
「そんな立派な物持っててよく言うよ、抜きな。」
矢口が真希を挑発する。しかし真希に刀を抜く気はなかった。
「これは人を斬るために使う物ではないです。」
「キャハハ、何よ御料理にでも使うっての、冗談は辞めてよね。」
「私は冗談は言わない、本気です。」
真剣な表情の真希に、矢口のイライラは頂点に達した。
「ああそう、じゃあいいよ、勝手に死ね!」
セクシービームが真希に向かって一直線に放たれる。
真希は静かに目を閉じた。
254辻っ子のお豆さん:01/12/20 01:07 ID:MplXctSS
高速の抜刀術によってセクシービームが真っ二つに裂かれる。
真希の後ろで大きな二つの爆発音が響いた。
カチン
光を帯びた日本刀が再び鞘に戻る。
「名刀ハマミエに斬れないものはないよ。」
その一振りで、矢口はこの娘がただ者でないことに気付いた。
「お前何者だ、帝国の者じゃないね、ハロプロ王国の手先か!」
ようやく目を開けた真希が、静かにそして強く答える。
「帝国とかハロプロ王国とか、そんなの関係ない。」
「は?何よそれ?」
「本当の敵は別にいる、誰も気が付いていないだけ・・」
「キャハハおもしろい話ね、どこのどいつよ紹介して欲しいわ。」
「案外あなたの近くにいるかもね。」
「え?」
その言葉を最後に後藤真希は再び走り出し、あっという間に姿を消した。
「矢口さーん、遅れてごめんなさい、またおかずを盗られ・・うわ!」
反対側から走り依ってきた紺野が石ころに引っかかって転ぶ。
地面にうずくまる紺野を見下ろして矢口は思う。
「(まさかこいつ?・・な訳ないよなぁ。)」
255辻っ子のお豆さん:01/12/20 01:08 ID:MplXctSS
結局この時後藤は、矢口に邪魔されたおかげで間に合うことができなかった。
後藤真希、その孤独な戦いの終焉はまだ見えない。
だがこの誰にも心を開かない少女にも、後に運命を共にする仲間ができる。
すれ違うもう一つの光、吉澤ひとみ。
彼女にも一つの転機が訪れようとしていた。
舞台は再び、ハロプロ城へと戻る。
つんく暗殺のその翌日・・
早朝、目が覚めてすぐに吉澤は市井の元へと向かった。
「市井さん、ちょっといいですか。」
「ああひとみちゃんか、おはよう、どうした?」

1.「私を弟子にして下さい!もっと強くなりたいんです。」弟子入り
2.「私を勇者なっちのパーティーに入れて下さい。」辻を捨てる
3.「一緒に犯人を探しましょう。」推理編スタート