サウンドノベル4「ハッピーエンド」帝国の章

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2辻っ子のお豆さん
(プロローグ)
彼女との出会いで、平凡だった私の人生が大きく変わったんだ。
本当は臆病で怖がりで泣き虫のくせに、皆の前ではいつも強がって、
自分の身を犠牲にしてでも、誰かを助けようとする思い。
そんな彼女の覚悟に、私は少しずつ変えさせられていった。
私は彼女に勇気という名の決意を教わった。
だから、私は彼女を助ける。
たとえ世界中の全てがそれを認めようとしなくても、私は止まらない。
もう一度彼女に会うんだ。
もう一度彼女の笑顔を見るんだ。
だって、約束しただろ・・
一緒に8段アイス食べに行こうってさ。
3辻っ子のお豆さん:01/12/14 14:00 ID:XjCYTG6t
自分でもわからない。
どうしてあんな事をしたのだろう。
気が付いたら、体が勝手に動いていたんだもん。
「いまのうちににげるのれす、あいぼん!」
「重〜い、てめえ離れろ!」
「はやくいくのれす、あいぼん!」
「お前を置いて行ける訳ないやろ、のの!」
「どけーコノヤロー!」
「あいぼんをたのむのれす、よっすぃー。」
「のの・・やだよ、私。」
「勇者は死なねーのれすよ。」
「はなせ、はなすんや、よしこ、ののを見殺しにするんか!」
「のの〜!」
よっすぃーがあいぼんを抱えて逃げていく。
これでいいんだよね、私はよっすぃーもあいぼんも死なせたくないから。
私一人が犠牲になって二人が助かるんだから、これでいいんだよね。
これで私、少しは勇者に近づけたかなぁ・・
ねえ、よっすぃー?
4辻っ子のお豆さん:01/12/14 14:00 ID:XjCYTG6t
将軍矢口は体を振り回し、しがみ付く辻を振りほどいた。
「このデブ、重いんだよてめえ!」
「デブって言わないでくらはい。」
「うるせえ、おいらにこんな真似してただで済むと思うなよ!」
あお向けに地面に転がる辻に向かって、あの構えをとる。
「セクシービーム!」
避ける暇もない程の近距離でのセクシービーム、当然直撃だ。
辻は死んだ。
そう矢口は判断していた。
だから死体を確かめることもせず、急いで吉澤と加護の後を追っていった。
だが辻は生きていた。
セクシービームが直撃したのは、辻の腹だった。
バイ〜ン!
セクシービームは辻の腹に衝撃を吸収され、遥か上空へと跳ね返ったのだった。
吉澤達を追うためすぐに振り返った矢口はそれに気付かなかった。
こうして辻は一命を取り留めたのだ。
だが、のんびりはしていられない。二人に危機が迫っている。
そして勇者ののは再び立ち上がったのだ。
5辻っ子のお豆さん:01/12/14 14:01 ID:XjCYTG6t
「よっすぃーーーー!」
加護の悲鳴が風の吹きすさぶ荒野に響く。
「これで邪魔者はいなくなったね、キャハハ!」
矢口の笑い声がその悲鳴を掻き消す。
辻が殺され、吉澤までもが断崖絶壁に叩き落とされた。
加護亜依は一人きりになってしまった。
「さてさてアイちゃん、一緒に来てもらえるね。」
「うっさいボケ!誰がお前なんかと一緒に行くか!」
生まれた時から孤児として育ち、幼くして盗賊に身を落とす。
盗賊団のリーダーになっても、心から信頼できる相手等いなかった。
誰もが自分の保身だけを考え平気で周りを蹴落とす様な奴等ばかりだった。
いつしかうちも、それが当たり前だと思う様になっていた。
あいつ等に出会うまでは・・
ののとよっすぃーは、自分の身を犠牲にしてうちのために戦ってくれた。
初めてできた、心から信頼できる仲間だった。
「初めての仲間やったんや!それをお前は!許さん!絶対許さへんで!」
気丈な加護が、誰にも見せた事のない涙を流した。
ダガーを手に反抗の意志を剥き出しにする。
6辻っ子のお豆さん:01/12/14 14:01 ID:XjCYTG6t
「しょうがないね、力ずくで来てもらうよ。」
腕の一本でも奪えばおとなしくなるだろう、と矢口はあの構えをとる。
狙いを定め腕だけに当るように焦点を絞りこんで、セクシービームを放つ。
その時、小さな影が矢口と加護の間に入りこんだ。
バイ〜ン!
なんと、セクシービームが矢口目掛けて跳ね返ってきた。
間一髪で避け、矢口は前方を見上げる。
殺したはずの辻が、威風堂々と立ち尽くしていた。
「のの!」
加護は生きて舞い戻ったライバルの姿に狂喜の声をあげる。
「嘘だろ、どうして生きてんだよ!」
信じられない事態が矢口に混乱を招いた。
何より信じ難い事が、自分の決め技が跳ね返されたことだ。
あらゆる魔法の中でも最大の威力を誇るこの魔法に、矢口は絶対の自信を持っていた。
あの勇者なっちや大魔導師飯田すらも一目おいていた魔法だ。
それが、このトロそうなガキには効かない。
初めての遭遇する未知の相手に、矢口は不覚にも恐れを抱いた。
一度引いて体勢を立て直した方がいい、そして矢口はそう判断した。
7辻っ子のお豆さん:01/12/14 14:08 ID:XjCYTG6t
「覚えてろ、次はこうはいかないからな!」
捨てぜりふを残し、矢口は姿を消した。
助かった。辻と加護はその場にへたり込んだ。
だが、すぐに大事な事を思い出し顔を見合わせた。
「よっすぃーは!?」
「崖の下や!」
辻と加護は大慌ててで崖を降りる道を見つけ、吉澤を探すため駆け下りた。
しかし、吉澤の死体はどこにも見当たらなかった。
「ろういうことれすか、よっすぃーは死んらんれすか?」
「いや死体が一人で歩くはずないで、いないゆうことは・・」
「生きてるんれすね。よっすぃーも無事なんれすね。」
辻はまるでお願いする様に、加護に迫った。
「そうゆうことや。」
そうだよね、あのよっすぃーが死ぬ訳ないよね。

1.まだ近くにいるはず、この辺りを徹底的に捜そう。
2.当初の予定通りハロプロ城を目指そう。
3.とりあえずはらへったのれす。