ソニンのエロ小説書いてみて

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その女のことは彼女も知っていた。いや、知らない人はいないと言っても過言ではなかった。
彼の姉が所属する国民的アイドルグループ。
そしてつい先年そのグループを脱退したこと。
またその女が加入直後の彼女の姉の教育係を勤めたこと。
彼女はその女と面識はなかったが、その女のことを嫌っているわけではなかった。
いや、むしろ同じ世界に籍を置く先輩として尊敬の念を抱いていたといってもいいぐらいだった。
その女が脱退後もちょくちょく彼の実家に遊びに行っているという噂を聞いた。
もちろん、その目的は彼ではなく、彼の姉の方にあったのだが、それでも彼とその女とが親しくなるのには充分であったともいえた。
本来であれば、プライベートな時間に彼がどこで何をしようと彼女には関係のないことだった。
なぜなら、彼と彼女はあくまで仕事上でのパートナーのはずだったからだ。
だが、彼女にはそう単純に割り切れなかった。
彼とその女との親密さが増してゆくのと時を同じくするように、二人の絆が徐々にではあるが弱まっていくように感じられた。
根拠はない。
それはただ彼女の直感というか感覚というべきものだったからだ。
もちろん、それからも二人が身体を合わせることは幾度となくあった。
が、その最中ですら以前ほど彼との強い絆が感じられることはないように彼女には思えた。

ひょっとして・・・彼はもうあたしとの絆を求めていないのではないか・・・
そんな不安が彼女を襲う。
彼女は彼を問い詰めたい気持ちに何度もかられたが、その度にもう一人の彼女がブレーキをかける。

あたしたちはあくまで仕事の上でのパートナー。恋人じゃないんだ・・・
こんなこと彼に言ったら、まるで嫉妬してると思われてしまう・・・

彼女はそんな不安と葛藤を抱いたままそれからも彼との仕事を続けていたが、
次第にいたたまれなくなってある日とうとう彼と話をしようと思い立った。

コンコン・・・
「ねえ、あたし。ユウキ・・・いる?」
彼女が彼の部屋のドアをノックする。が、返事はなかった。
しばらくしてもう一度ノックしてみるが、やはり返事はない。
彼女は部屋に戻って彼の部屋をコールする。が、何度鳴っても誰も出なかった。

こんな時間・・・どうしたんだろう・・・本当は部屋にいなきゃいけないはずなのに・・・
さらなる不安が彼女を襲い、その夜彼女はほとんど眠ることができなかった。

・・・彼がホテルを脱走してその女のところへ行こうとして見つかったという事実を彼女が知ったのは、翌日のことだった。
面白くなってきたんじゃにゃいにょ〜!
ココまでしっかりした小説になってきたんだからエロが無くて
文句言う奴はいないと思うんだけど…そのへんどうにゃにょタムラ編集長!!
76ねぇ、名乗って:01/12/19 11:21 ID:9uh+Ka4z
エピローグ〜

脱走が見つかった彼は激しく叱責され、長い謹慎を食らった。
その間、彼女は一人で活動することを余儀なくされた。
これまでいつも隣にいた彼のいない現実。
それは彼女の中に大きな穴をあけるとともに、彼女に改めて彼の存在を認識させることになった。
あたし・・・こんなにユウキに頼ってたんだ・・・
だが、現実に彼女の隣に彼はいない。
彼女はマネージャーに頼みこみ、可能な限り仕事を入れてなるべく彼のことを考えないで済むようにしたが、
それでも一人になると彼のことを考えてしまう。
身体を重ね、二人の絆を確かめ合った日・・・またそんな日は来るんだろうか・・・・

あの女も念願かなって再びデビューした。
デビューに際し、彼とは別れさせられたような話も聞こえてくる。
そして彼も、謹慎とはいうものの実はこのまま戻ってこないのではないかという噂も彼女の耳に入ってきた。
だが彼女はそのいくつかの噂を確かめようとはしなかった。
彼女ならば、それらについての本当のことを確かめようと思えば簡単に確かめられるはずなのだが、
あえてそれをしようとはしなかった。
だって・・・この先どうであれ、あの時彼と確かめ合った絆は事実なのだから・・・
そして、彼がまた彼女の元へ帰ってきたとき、またその絆を確かめられたらいいな・・・
だから彼が帰ってきたとき、ちゃんと戻れる場所を彼女の中にだけは作っておこう・・・

彼女はそう思いながら、今日も歌いつづける。

(了)