今年も押し迫った12月
徐々に慌ただしさを増す世の中
自然と浮き足立つ気持ち
「この時期って、そういうもんなんだ」
そう思ってた
今年、この時期をむかえるまでは。
「はーい、そこまで」
そういうと先生は
目の前にあった紙切れを
指でつまみ上げると
椅子代わりのベッドに
腰を預け
赤ペンをはしらせる。
今月になって
繰り返されるこの光景
「どう?先生…」
赤ペンのフタがしまる音を合図に
膝元の紙切れから顔をあげ、
こちらを見つめる瞳。
緩む口もと。
「がんばってんじゃん」
先ほどから一転して
笑顔になった先生
その表情にうながされ
安堵のため息がもれる。