サウンドノベル4「ハッピーエンド」勇者の章

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861辻っ子のお豆さん
城の最深部、王の間の前で仁王立ち。
ここが最重要ポイントのはず、ここは絶対通さない。
「なんだ、お前もここか。」
槍を携えた市井さんもやって来て、私の隣に座りこんだ。
「市井さんもここって事は、やっぱり正解ですね。」
「いやいや、私は動きたくないからここを選んだだけよ。」
「え?」
「あの騎士団を抜けて、ここまで敵が来るなんてないだろうからさ。」
「出番こないって事ですか?」
「王の間の前で出番来る様じゃ、やばいでしょ。」
確かに市井さんの言う通りの様な気もしてきた。
「ったく、なまけものめ。」
「いやいや、心強いで。よろしく頼むわほんま。」
王の間から飯田さんとつんく王が顔を見せた。
「王は、どうか、部屋から、お出に、ならぬ、様に・・」
「しゃーないな、今夜は部屋でおとなしゅうしとくわ。」
つんく王の様子は全然いつも通りであった。
絶対大丈夫だと皆を信じているのだろう。その期待は裏切れない。
862辻っ子のお豆さん:01/12/12 12:20 ID:2q3DKx1w
日が沈み、夜が訪れる。
予告の時が刻一刻と近づいてくる。
私は、市井さん、飯田さんと共に王の間の前を守る。
この扉以外に王の間に入る手段はない。
ワープ等で入れない様、飯田さん特製の封魔陣が敷かれてある。
つまり、ここを通らなければ暗殺を行なうこともできやしないんだ。
福田明日香、市井さんも飯田さんも知らないという未知の敵。
来るなら来やがれ、絶対に負けないからな。
私は外の様子を伺うため、廊下に付けられた小さな窓を覗きこんだ。
ここからは城下町が一望できる。
だが敵の軍勢が攻めてくるような気配は一向に感じ取れない。
「怖じ気づいたのかな。」
それは違った、次の瞬間、城全体に大きな衝撃が伝わった。
「何これ、地震?」
「いや違う、何か巨大な物がこの城にぶつかったみたいだ。」
その振動は城の右側から伝わって来ていた。
「飯田様、大変です!」
そして右側から、血相を変えた騎士が現われる。
863辻っ子のお豆さん:01/12/12 12:21 ID:2q3DKx1w
「何事だ、敵襲か?」
飯田さんが、報告に来た兵士に尋ねる。
「あ、あ、あ、暗黒竜が・・この城に!」
それは信じられない現実。
「嘘だ、あれは、私達が、征伐、したはず!」
「そうだよ、3年前確かになつみがとどめをさしたはずだって。」
あの飯田さんと市井さんでさえ、驚きを隠せない様子だ。
「しかし、こうして現実に!我々では歯が立ちません!」
勇者なっち達が、4にんがかりで倒したという伝説の暗黒竜がこの城に!?
「私が、行く、紗耶香、ここは、任せたぞ。」
飯田さんが騎士を連れて走り出す。
左側にいた騎士達も、城の全ての騎士達がその一点に集められた。
これは偶然か、それとも福田明日香の仕業なのだろうか。
そうだ。福田は?まだ姿を現わしていない。
もしこれがあいつの作戦だとすると、今頃あいつは・・
「左だ、市井さん、ここは任せます!」
「お、おい、ひとみちゃん!」
守りのいなくなった左側から攻めてくるに違いない、私は走り出した。
864辻っ子のお豆さん:01/12/12 12:21 ID:2q3DKx1w
その考えは正しかった。
城の左側、騎士が消えた隙間を突いて福田明日香が侵入していた。
こいつはあの暗黒竜をおとりに使ってきたのだ。
私達は互いに相手の存在に気付いた。
「お前が福田明日香か!」
「ふうん、結構頭の回る人もいるのね。」
この場には他に誰もいない。1対1だ。

1. 正々堂々、1対1、勝負!
2. 勝てそうにない、市井さんの助けを呼ぼう。
3. 逃げる。