サウンドノベル4「ハッピーエンド」勇者の章

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828辻っ子のお豆さん
「OH!心が痛むというのかい?」
私は軽くステップを踏んで梨華ちゃんに寄り添った。
「う〜ん、BABY、それは恋・・恋煩いさ。」
梨華ちゃんはちょっと驚いた様子で顔を上げた。
「きっと僕と出会ったから・・君は恋をしたんだね。」
私は落ち込む梨華ちゃんの肩に、優しく腕を掛けた。
「さあ、もう大丈夫、僕はここにいるよ。」
「よっすぃー。」
「おいで、踊ろう!」
私は梨華ちゃんの手を引いてダンスホールへと走り出した。
音楽に合わせて、私は梨華ちゃんとクルクル舞った。
「ね、踊ればやなことなんて全部吹っ飛んじゃうよ。」
「うん、楽しい、ありがとう。よっすぃー。」
良かった、ひさしぶりに梨華ちゃんに笑顔が戻った。
彼女の笑顔を見ていると私まで嬉しくなってくる。
私達は疲れて動けなくなるまで、ずっとずっと踊り続けた。
お城のパーティーはこんな感じで、最高の夜だったんだ。
あの事件が起こるまでは・・
829辻っ子のお豆さん:01/12/11 23:34 ID:/gWIvrLF
夜も更けパーティーの終わりが近づいた頃、その事件は起きた。
バルコニーの外からホール目掛けて一本の矢が飛んできたんだ。
「何事だ!」
騎士団長の石黒さんが大慌てで皆を避難させる。
「待て、矢文だ。」
飯田さんが矢に結ばれていた紙に気付く。
その紙にはこう書かれていた。
『明晩、王の命貰い受ける。帝国将軍福田明日香。』
つんく王暗殺計画の予告状であった。
華やかなパーティー会場に一気に緊張が張り詰める。
「矢を放った刺客がまだ近くにいるやもしれん、探し出せ!」
石黒さんが兵士達を率いて、刺客の捜査を始める。
しかし、すでに外には敵の影の形も残ってはいなかった。
「よっすぃー、お父様が・・」
「大丈夫だよ、城には大勢の騎士達がいるんだから、心配ないって。」
私は梨華ちゃんを抱きしめて、彼女の頭をなでた。
この帝国将軍がどれだけすごい奴かしらないけど、暗殺なんてできるはずがない。
そう信じていた。
830辻っ子のお豆さん:01/12/11 23:34 ID:/gWIvrLF
翌日、早朝から城の中は慌ただしかった。
城の至る所、城下町の各所に警備がしかれた。
お城の会議室では、飯田さんと石黒さんを中心に対策の話し合いが続いていた。
お客さんである私と市井さんは、廊下でその様子を伺っていた。
「すごい厳重さですね。これなら絶対大丈夫ですよね。」
「そうだね、帝国がどんな作戦を練っているか知らないけど、暗殺は無理だ。」
市井さんの同意を得て、私はすごく安心した。
この城には、大魔導師飯田さん、騎士団長石黒さんという強力な二本柱がいる。
そしてりんねやあさみ等の優秀な近衛騎士団がついている。
さらに今はこの市井さんと、ついでに私もいるんだ。
これだけの壁を抜けて、つんく王を暗殺なんて不可能に近い事だ。
「とはいえ、油断はできないよ。」
真剣な面持ちで市井さんが窓の外を見下ろした。
「予告をするということは、敵にそれだけの自信があるということだ。」
そうなんだ。暗殺の予告なんて普通ありえない。
一体、福田という奴は何を企んでいるのだろうか?
「ウッス、油断はしないっすよ。」
つんく王を守る為、もちろん私も戦う気でいた。
831辻っ子のお豆さん:01/12/11 23:35 ID:/gWIvrLF
会議室から、いつもの黒いマントに身を包んだ飯田さんが出てくる。
市井さんの顔に気付き、こちらにやってきた。
「大変そうね。手を貸そうか、カオリ。」
市井さんは微笑んで軽口を叩く。
「貴様は、まだ怪我が、完治して、いないの、だろう。いらぬ、世話だ。」
相変わらずのカタコトで話す飯田さん。
「あのー、お二人はどういう関係なんですか。」
意外な組み合わせにちょっと興味が沸いて、私は聞いてみた。
「昔、パーティーを組んでたのよ、勇者なっち御一行ってね。」
「え、マジっすか!」
「フン、あれは、仕方なく、だ。」
「なつみと私とカオリとマリ、この4人で暗黒竜を退治したの。」
それは、もはや伝説となって世界に伝えられる逸話。
勇者なっち一行が、人々を襲う暗黒竜を見事退治し英雄となった話。
もっとも有名なのは勇者なっちだけで、その仲間についてはよく知らなかった。
まさか飯田さんが、その一人だったなんて驚きだ。
もう一人のマリが誰かは知らないが、きっと彼女もすごい人なんだろう。
私はあらためて、二人に尊敬の念を抱いた。
832辻っ子のお豆さん:01/12/11 23:38 ID:/gWIvrLF
「飯田さん、私にもお手伝いさせて下さい。」
あらためて、こんな英雄と肩を並べて戦いたいと思った。
「カオリ、彼女は私のお墨付きだ。少しは役に立つと思うよ。」
市井さんも口添えをしてくれた。
「まあ、いいだろう。」
飯田さんが、城の警備の簡単な説明をしてくれた。
どこを守るかは自由に決めていいと言ってくれた。

1. はやく戦いたい、城下町の警備に出よう。
2. 近衛騎士と共に城内の警備だ。
3.城の最深部、王の間の前で仁王立ち。