サウンドノベル4「ハッピーエンド」勇者の章

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774辻っ子のお豆さん
市井さんと話をしよう。
私は市井さんの病室に入り、彼女のベッドの横にある椅子に腰を下ろした。
何て声を掛けようか迷っていると、市井さんの方から声を掛けてくれた。
「そういえばあの子は、ひとみちゃんの勇者はどうしたの?」
つらい質問だった。でも言わない訳にはいかない。
「殺されました。」
「・・そう。」
市井さんはあまり驚いた風でもなく、平静を保っている。
「相棒だとか言って、結局私はののを守ることができなかった・・」
「その場にあなたはいたの?」
「いえ、でも殺した奴がそう言ってたから。」
「…」
少しの間沈黙が起き、やがて市井さんが口を開く。
「私はなつみを信じているよ。」
「えっ?」
「なつみは絶対に生きている。この目で見てないことは信じない。」
「市井さん・・」
「たった一人の相棒が、自分の勇者を信じないでどうすんだよ。」
市井さんは歯を見せて笑った。
775辻っ子のお豆さん:01/12/10 23:41 ID:NaylxTXz
「たった一人の相棒が、私がののを信じないでどうする・・?」
市井さんの言葉が、私の胸を熱く焦がす。
「そうだよ、なつみはこんな所で死ぬ奴じゃない。」
「うん、ののはあんな所で死ぬ奴じゃない!」
市井さんの言葉を真似して続ける。
それだけで私の悲しみが消え、希望と勇気が湧いてくる。
「勇者なっちは生きている。」
「勇者ののは生きている!」
そうだよ、ののは絶対に生きているんだ。
私がそう信じなきゃ、生きているものも死んじゃうよ。
『勇者は死なねーのれすよ。』
ののの最後の言葉を思い出す。
私は信じる。だってののは私に一度も嘘を付いた事がないんだから。
市井さんに相談して良かった。
鬱だった気分がすっきりと晴れてきた。
私は旅を続ける。そしてもう一度ののに会うんだ。
そしてののと一緒に愛を助け出して、また三人で村に帰るんだ。
もう迷わない。私の意志は固く締まった。
776辻っ子のお豆さん:01/12/10 23:42 ID:NaylxTXz
翌日、私達はハロプロ城への帰路についた。
街を救ってくれたお礼にと、運転手付きの馬車を貸してもらえた。
それで両手両足を縛り上げた保田圭を城まで運ぶ。
私達だけでは心配だと、市井さんも城まで同行してくれることになった。
そして三日程の道程でハロプロ城へと到着した。
出迎えた飯田さんやその他の兵に、梨華ちゃんが真相を語る。
飯田さんや、つんく王までが、すまなかったと私にお詫びをしてきた。
城の皆が王女梨華の無事を心から喜んでいた。
当然そこにあややの姿はなかった。
保田圭は地下牢の奥深くへと投獄されることになった。
私は助けてくれたりんねとあさみにお礼を言った。
こうしてペンダント王女誘拐事件は解決した。
でもこれは、これから起こる絶望の序章でしかなかったんだ。
お城に着いたその日の夜、私は事件を解決したお礼にとお城のパーティーに誘われた。
慣れないドレスを着せられて、私はどうにも落ち着かなかった。
「なかなか似合ってるやんけ。」
するとあのつんく王が、私に声を掛けてくれた。
私は緊張でカチコチになって変な挨拶をしてしまった。
777辻っ子のお豆さん:01/12/10 23:42 ID:NaylxTXz
「そう緊張せんでもええよ、楽にせい。」
「は、はい。」
「礼言うよ、梨華が世話になったみたいやな、あいつの事どう思ってん?」
「え、そりゃ、大事な・・仲間です。」
「そうか、あいつには友達おらへんかったから、これからも仲良うしたってや。」
「はい、もちろんです。」
「それから、亜弥の事やけども・・」
あややが保田と手を組み事件を起こしたことは、つんくの耳にも入っていた。
「ほんまに悪い子やあらへんのや。許したってくれ。」
それは王ではなく、一人の父親としての言葉だった。
「はい、あややも私が絶対助け出してみせます。」
「すまない・・吉澤君。」
そこで私は思い出した。つんく王に大事な話があったこと
「あの、お願いがあります、私の幼なじみが帝国に捕まったんです。」
「なんやて、中澤帝国にか!」
「はい、どうか助ける手助けをして下さい。お願いします。」
「任せとけ、帝国とはいずれケリつけなあかん思とったんや、いい機会や。」
「ありがとうございます。」
これで愛を助ける日が大きく近づいたと私は思った。
778辻っ子のお豆さん:01/12/10 23:44 ID:NaylxTXz
つんく王との会話を終え、辺りを見渡す。
市井さんは飯田さんとおしゃべりをしていた。知り合いなのだろうか?
ふとバルコニーの方を見ると梨華ちゃんが一人でうつむいていた。
梨華ちゃんは相変わらず落ち込んでいて、食事もいらないと言っている。
私はそっと彼女に近づき、声をかけた。

1.「ご馳走食べないの、おいしいよ。」
2.「勇者なっちの事考えてるの?」
3.「OH!心が痛むというのかい?」