サウンドノベル4「ハッピーエンド」勇者の章

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655辻っ子のお豆さん
駄目だ、冷静になるんだ。まだ梨華は生きているかもしれない。
高ぶる鼓動を押さえつけ、私は彼女の元へ駆け寄った。
「ハァ・・ハァ・・」
息をしている死んでいない。
魔法のビキニが、保田の魔法の威力を弱めてくれたみたいだ。
とはいえ、危険な状態には変わりない。
私は梨華を抱え込み、道の脇まで運んだ。
「痛いよ、よっすぃー・・」
梨華が貫通した肩の傷口を抑え涙ぐむ。
「少しの間我慢して梨華ちゃん。」
私は自分の服の裾をちぎり、彼女の傷口に包帯代わりとして巻いた。
「圭、そこの雑魚の始末は貴方に任せるわ。」
松浦は、保田にそう言うと剣を振り上げた。
「かかっておいで勇者さん、私を楽しませてよ。」
「なつみ、私は大丈夫だからあいつを・・」
安倍を庇い100回のDEATHを受けた市井がささやく。
市井は得意の長槍を高速で回転させ盾代わりとし、直撃は避けていた。
しかしさすがに100発全てを防げた訳ではない。
数発の弾丸を受け、もう戦える体ではなかった。
656辻っ子のお豆さん:01/12/08 20:46 ID:LUa8kOQ2
そんな市井の目に映ったのは、あのときの娘の姿だった。
「小さな可能性が見えたんだ。あの子に・・」
「わかったべ、紗耶香がそう言うなら信用するべさ。」
勇者が立ち上がる。
するどい眼差しで相棒を傷つけた娘を見つめる。
「見せてあげるよ、本気の勇者の力を・・」
「フフ・・期待してますわ。」
ようやく殺り甲斐のある相手に巡り合えた嬉しさで、松浦は笑みを堪え切れずにいた。
「ここじゃ狭くてお互い本気を出し合えないでしょ。移動するべさ。」
「御自由に、死に場所くらい好きに選ばせてあげるわ。」
安倍は去り際、吉澤と目を合わせた。
「ここは頼んだよ。」
「は、はい。」
あこがれの勇者なっちに声を掛けられ、感激と緊張で吉澤の返事はぶれていた。
「勇者の名に掛けて私は絶対に勝つ。君も勝て。」
その言葉を最後に安倍と松浦は、町外れの見晴らしの良い丘まで移動を始めた。
デーモンすらも二人の気に気落とされ道を譲っている。
偉大なる英雄、勇者なっちの言葉が私の心で響いた。
657辻っ子のお豆さん:01/12/08 20:47 ID:LUa8kOQ2
「こうして会うのは、これで三度目かしら・・」
残された中央広場で、保田圭がふてぶてしく立ち尽くす。
「最初会った時はただのバカヅラした村娘だった。
 次に会ったのは牢獄か、まんまと罠にはまったマヌケ野郎ね。」
思い出話でもする様に、保田はゆっくりと語っていく。
「そして今は、身の程も知らず私に刃向かおうとしている無謀娘。」
「無謀じゃない、私は勝つんだ!」
すると、嘲り笑っていた保田の唇がキスマークを作り出す。
「チュッチュッチュチュチュ、サマ〜パーティー、ン〜チュッ!」
キスマークのビームがすごい早さで飛んできた。
私は間一髪でそれを避けることができた。
これが梨華を貫通した魔法の正体か、キショイ!
「今日は大サービスよ、ひとみちゃん。」
次に保田は色っぽくウインクしてみせた。
途端に激しい吹雪が巻き起こり、私の体を凍りつかせていく。
さらに保田はウインク攻撃を繰り出してくる。
今度は体が腐った緑色に変色していく。
「うええええええっ!!」
吐き気がする程気持ち悪い。
658辻っ子のお豆さん:01/12/08 20:47 ID:LUa8kOQ2
これが保田圭の恐るべき能力であった。
松浦の影に隠れ目立ってはいなかったが、その実力は超一流。
伊達にたった一人でハロプロ城に忍び込んだ訳ではなかったのだ。
「よっすぃー・・」
その圧倒的な強さに石川は恐れを抱く。
「ハハハハハ・・もうお終い?ひとみちゃん。」
所詮この程度、秒殺よ、相手にもならない。
高らかに保田圭の笑い声が響いた。
「う、う、う・・」
その時、うずくまり悶える吉澤が叫んだ。

1.「うらやますぃー!」
2.「ウワ〜ン、苦しいよ〜(泣)」
3.「う、う、命だけはお助け下さい、保田様!」