528 :
辻っ子のお豆さん:
お魚くわえたノラネコ追っかけて裸足で駆けてくゆかいな紺野さん。
お昼のおかずを巡って、今ここにし烈な戦いが始まった。
紺野vsノラネコ
巨大な力がぶつかり合っているという吉澤の感は、まったくの気のせいであった。
「待って、返してくださーい!」
商店街、半泣きでノラネコを追いかけるコンコン。
道行く人々もその可笑しな光景を見て笑っています。
「笑ってないで、誰か捕まえて下さい。」
当然誰も手を貸してはくれない。
まるでノラネコにまで馬鹿にされているみたいだ。
「どうせ私なんて落ちこぼれだから・・」
コンコンがあきらめてへたり込もうとしたその時。
「あいぼんの前でケチな盗みは許さへんで〜。」
なんと、一人の少女が逃げさるノラネコを捕まえてくれました。
「ほら、あんたの魚やで、今後は気ぃ付けろや。」
嗚呼、世の中にはこんないい人がいるんだ。涙で前も見えない。
「お助け料1000モニや、まいどあり〜。」
嗚呼、前言撤回、涙が止まらない。
529 :
辻っ子のお豆さん:01/12/05 23:05 ID:g/2jZMes
その少女は私の財布から勝手に1000モニ奪い走り去った。
地面にはノラネコの歯形がついた魚が転がっている。
「こんなの食べられません。」
私は魚をノラネコさんに返し、来た道をトボトボと戻った。
「お〜い、紺野。」
矢口さんが向こうからやってきた。
「加護亜依は見つけたか?」
「いえ、それどころではないです。お昼のおかずがなくなってしまって・・」
「お前は何しに来てんだバカヤロー!」
「ヒーごめんなさい。」
「もういい、とっとと次の町に行くぞ!」
「はい。」
あの少女が、目的の加護亜依だと気付かなかったコンコン。
せっかくのチャンスを逃してしまいました。
どうやら落ちこぼれの汚名を返上するのは当分先になりそうです。
そして、とばっちりでいつまで経っても加護を見つけられないやぐっつぁん。
紺野作の泥沼に足を踏み入れているのに、まだ気付いてない様子。
二人の受難の旅はまだ続きそうです。
530 :
辻っ子のお豆さん:01/12/05 23:05 ID:g/2jZMes
場所は変わって、オアシスの町ダンサイ。
薄暗い倉庫に美しい娘が入って来た。
「相変わらず、小汚い所ね。」
奥から、胸に青いペンダントを掛けた娘が出てくる。
「おや、貴方ですか姫殿。今日は何の御用で?」
「吉澤ひとみが脱走したの、お姉様と。もうすぐここに来ると思うわ。」
保田の表情が一瞬険しくなる。だがすぐに冷静を取り戻した。
「そうですか、やはり止めを刺しておくべでしたかな。」
「でもまだ城の人間は吉澤を犯人と思い込んでいるわ、大丈夫よ。」
「もう用済みって訳ですね。これで気兼ねなく殺せる。」
「まあ、圭の好きにしていいわよ。」
「一緒にいるという貴方の姉が邪魔立てをした場合、どのように?」
松浦は表情を変えることなく答えた。
「圭の好きにしていいわ。」
「殺しても?」
「ノープロブレム。」
この人にとっては自分の身内すら、コマの一つに過ぎないのだ。
保田は少し、背筋に寒気を感じた。
531 :
辻っ子のお豆さん:01/12/05 23:06 ID:g/2jZMes
「そんなことより、もっと大きな問題があるのですよ姫殿。」
保田は頭を切り替え、目の前にある巨大な障害について語り出した。
「あの勇者なっちとその仲間がこの町に来ているのです。私を追って。」
無表情だった松浦の瞳に光が走った。
「それは初耳ね。詳しく話して。」
保田は頷き、倉庫の奥から一降りの剣を運んできた。
「以前、私が奴の隙をついて盗み出した物です。勇者なっちの剣。
きっと奴等はこれを奪い返しに来たはず・・どうすればいいでしょう?」
「おもしろい話ね。勇者なっち、いつか殺りたいと思っていた相手だわ。」
松浦は舌なめずりをし、その剣を獲った。
すると体に力がみなぎり、あふれ出てくる。
「それがこの剣の恐ろしい能力です、奴等が必死になるのもわかるでしょう。」
「圭、この剣しばらく借りるよ。」
勇者なっちの剣を握り、松浦は微笑んだ。
ただでさえ恐ろしい能力を持つ松浦の手に、最強の武器が渡ってしまった。
「勇者なっちさん、自分の武器で殺してあげるわ。」
松浦と保田が、勇者なっちの物語に終止符を打つため動き出した。
安倍と市井に絶対的な危機が迫る。
532 :
辻っ子のお豆さん:01/12/05 23:07 ID:g/2jZMes
一方その頃、吉澤と石川もダンサイの町へと到着していた。
「ここに、私の王子様もいるのね。」
心なしか石川は浮かれ気味だ。
「それに保田もいるはずだ。」
吉澤はさっそく町を見渡す。
1. 商店街の方を探そう
2. 倉庫街の方を探そう
3. 見晴らしの良い丘へ行こう