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13ねぇ、名乗って:01/11/16 04:48 ID:GFKESwxg
更新は未定。
14ねぇ、名乗って:01/11/17 04:06 ID:kbtqroqu
一応保全
15ねぇ、名乗って:01/11/20 03:24 ID:OaxVsvB3
保全
16第1章:01/11/20 18:11 ID:OaxVsvB3


第1日目 不穏



簡単に言えばストーカーを処理してくれ。クドクドと
30分余りを費やして中年男が私に語った話の内容は、
その一言に尽きた。

偏執的な手紙に始まり、付き纏い、尾行、監視、更に
は盗聴。参考の資料として提出された様々な証拠品の
数々は、私に不快な思いしか、させてくれなかった。
17第1章:01/11/20 18:14 ID:OaxVsvB3

「しかしまぁ…。気持ち悪いもんですねぇ。こうやって改めて
見せられますと・・・」
「これはホンの一部ですよ。今日は梨華の手前もありますので」

「分かってます。それは後で見させてもらいます。今の所は、
これで結構ですよ」
「まぁタレントですから程度の問題はありますし、こうした事は
多々あるんですが、今回はちょっと質が違うと…」

「ナルホドねぇ。こういう事は日常茶飯事ですか。ただ・・・」
「ただ何でしょう?」

空になったティーカップをスプーンで撹拌させながら、私
は懸命に言葉を選んでいた。

状況は分かった。

しかしそれが引き受ける事とはイコールにならないのは
理屈では認識しているつもりだ。しかし眼の前に広がる
現実が、そうした感覚をどこかに消し去ろうとしている。
そういう自分の曖昧さがつくづく嫌になる。とりあえず
話を続ける他にない。

「どこまで具体的に、脅迫というか・・・、その話は来て
いるんですか?あなたの言う差し迫っている状況というのは、
どういう事なんでしょう?」
「来るところまでです。今、目の前まで来ています」

そういうと中年男は胸ポケットから一枚の紙切れを差し出
した。可愛らしいキャラクターが薄く刷り込まれている便
箋には、それと対照的な汚らしい字で、薄汚い言葉が書き
連ねられてた。

「つまり・・・その・・・、この男と別れないと、彼女を殺すと?」
「ハイ。そういう事です」
「相手の男でなく、彼女をね・・・」
「実際、一昨日梨華が不審者に尾行された節がありまして・・・
ウチの会社のものが気付いて事無きを得たのですが・・・」

「その話は砂島さんから聞いています。それで私らに・・・でしょう?」
「まぁ、そういう事で」
「ナルホド。・・・それで、その実在するんですか、この手紙で
名指しされている男というのは?」
「ええ。ウチのではないんですが、あるタレントスクールにいる
学生らしいです」

「ほう・・・実際にいるのか・・・。それでは、つかぬ事をお伺いしますが、
実際には・・・どうなんでしょう、お付き合いはされているんですか?」

私が投げかけた問いは、予想もしない方向から、瞬間に
して跳ね返ってきた。私の前方にいる美しい少女の口か
らだった。

「いません!そんな人いません!」

彼女の意思が強い口調で放たれる。思わず彼女の顔を見
直すと鋭い眼差しで私を見つめ返している。私は眼でそ
の旨を了解した意向を示すと、汚い言葉で埋め尽くされ
たその手紙を男に返した。男は黙って頷くと、珍しく俯
いて、言葉を飲み込んでいるようだった。微かながら気
まずい空気がテーブルの上を支配し始めていた。

彼女の強い口調が逆に事の深刻さを感じさせる。私は先
程揺らいだ自分自身の気持ちを悔やみ始めていた。やは
りこの仕事は、引き受けるべきではない。私の本能がそ
う叫んでいた。
18第1章:01/11/20 18:14 ID:OaxVsvB3


次回更新未定
19ねぇ、名乗って:01/11/22 04:30 ID:3R2tJXUa
Preservation
20作者ぢゃないよ:01/11/24 09:48 ID:m75D7DIf
偶然見ちゃったので保全
21作者:01/11/26 00:11 ID:oi2JwtpH
諸事情を考慮して更新放棄します。招かざる客は帰ろ、
という事で・・・。読んでくれた人、ゴメンナサイ。
22ねぇ、名乗って:01/11/27 12:45 ID:Up/zSb3l
 
23ねぇ、名乗って:01/11/29 09:21 ID:g8Saw7A4
復活キボウ保全
24名無し募集中。。。:01/12/01 15:57 ID:SPZu1Kkg
とりあえずキープ
25名無し募集中。。。:01/12/05 03:15 ID:i1DY2PZM
>>21
無理に続けろとはいわんが、意味わかんない。
26作者:01/12/05 05:23 ID:ZKGViTBv
>>25
説明不足で申し訳ないです。実は他スレにて荒らしに
合い(その前にはdat逝きを食らい)萎えてしまいまし
た。スマナイです。

どうも以前の羊時代と違い、他のスレ等を見ていて
も板全体の雰囲気が変わった感じがして、小説なん
か書いていてもいいのかなと思ったりして…、

また例え続けても多少でもエロが入ると再び粘着的
な荒らしに合う様な気がしてどうも困りました。

特に他スレの作品はそれが主題だったので、こうい
う少数でも不特定の方に読まれる可能性がある場で
の続行は、正直不可能だと思っています。またあそ
こから続く描写が更にエグくなるので(R−18指
定食らいそうな位)尚の事、荒らし君が寄って来そ
うで・・・。

まぁその作品は不完全ではありますが、一応完結し
ているので、これ以上無理に続けて不快な思いをす
る人を増やさなくても・・・と今の所、思っています。

ただこの「壊れた時計」に関しては、エロは少しだ
け入る予定だったので、ただいまその辺を考慮して
組み立て直している最中です。

一応、一度でも続きを書くと言った手前、この作品
だけは最後まで仕上げたいと思っています。
近々、多少訂正を加えたいところもあるので装いも
新たに、最初から掲載をし直したいと思います。

大した作品じゃありませんが再開した時には、どう
ぞ宜しくお願いします。
27ねぇ、名乗って:01/12/09 02:31 ID:k7YRPmK9
期待していますよ。
28ねぇ、名乗って:01/12/09 04:42 ID:Lf2eNqB+
28
2929:01/12/09 11:57 ID:XNW6bb4F
29
30JM:01/12/10 03:16 ID:hECPO4eY

某スレにて中途で中断した小説の続きを掲載します。中断前は性的描写
が激しい為に、かなり修正を加えて更新しましたが、それでも抵抗があ
ったらしく、荒らしにあい頓挫しました。

今回は面倒くさいので(w そのまま修正を加えずにほぼ原文のまま掲
載を続ける予定です。何かあればレスして下さい。取り敢えず今回は原
則として最後まで更新しつづけるので、宜しくお願いします。
31第1章:01/12/10 03:17 ID:hECPO4eY

アンダー・ザ・ライン/(凍える太陽・推敲版)



 1 Let’s Get Lost



どんな人間でも、生まれて最初に見た夢を覚えていない。それが死んで
いった彼の母の口癖だった。夢なんて幻に過ぎず、例えそれがどんなに
美しく喜びに満ち溢れていようとも、所詮それは影に過ぎないからかも
しれない。

その昔、夢を希望に置き換えてそれを道連れに死んでいった、そんな寂
しげな母のあの口癖は、未だに彼の心に深く刻まれていた。

まだ太陽は低く、夜の気配が空の片隅に残っているというのに、まるで
蒸し風呂の中の様な纏わり付く熱気に蝕まれたアパートの一室で、彼は
部屋の中央に敷かれた古びた布団の上で真一文字に口を結び、まんじり
とただ天井を見つめていた。

しかし彼の瞳孔には赤と黒のツートンカラーで彩られたカーテンのよう
な景色しか入っていない。懸命に焦点を合わせようとはしていたが、そ
れも無駄な努力だと知るのにそう時間は掛からなかった。

彼は今、自分の手の指さえも動かす事がままならない位、その意識の所
在を無くしかけていた。

やんわりとじんわりと、まるで自分自身がどこかに消えそうな感覚だけ
が全身に刻まれている。彼は懸命に全ての神経を集中させながら、どう
にかして首を動かしてみた。

なかなか言う事を聞かない自分の体と精神に苛つきながらも、どうにか
してやっと自分の首を横に傾けた。

するとそこには少し長めの髪の毛を振り乱しながら、全裸の少女が自身
の両腕を何度も何度も上下に振りかざしているのが目に入ってきた。ま
るで微動だにしない大きな物体目掛けて、彼女の両腕が振り下ろされる
とその度に赤と黒に彩られたカーテンが眼の前を揺らめく様に棚引いた。

その瞬間、彼は一瞬だけ感覚が戻った背中の一角に生暖かい液体めいた
感触を得た。その感触は次第に全身を覆い尽くし、まるで全身をその液
体に浸からせているかのような錯覚が襲う。今まさに彼の意識は、夢と
現実を交差している様だった。

覚めない夢などない筈なのに、彼が今感じるこの感触は、現実とは思え
ず、そして夢とも思えなかった。いつの間にか彼の眼には少女の姿はな
く、その視点さえもままならなくなってきた。彼は心地よい真綿の中に
身を沈めているかの様に全身が軽くなっていく感覚を感じ始めていた。

すると今までアクセスを拒否していた筈の両方の耳が何かを感じ始める。
音にならない声が、文字にならない言葉が、洪水のように襲ってくるの
は分かったが、それが何を伝えているのかは理解できそうもない。

すると彼の乾ききった唇に少しひんやりとした感触が伝わる。と、同時
に鼻腔の奥に優しげなフレグランスが充満する。その瞬間だった。懐か
しいその香りが彼の眠りきっていた感覚を一瞬にして呼び覚まさせた。

「真希ちゃん…早く逃げろ…」
「イヤ!イヤ!イヤ!イヤ!イヤ!…」

そういえば最近、飛ぶ夢を暫く見ないな、と彼は思った。もしかしたら
彼が生まれて最初に見た夢は、空を飛ぶ夢だったのかもしれない。そう
彼は今、空を飛ぼうとしていたのだから。


<第1章 了>
32第2章:01/12/10 03:36 ID:hECPO4eY

2  Killing me softly


狂おしい程に真っ赤に燃え上がる夕陽が辺り一面の暮れなずむ空
を塗り上げる。ざわめく街を深紅に染め抜き、無機質なコンクリ
ートに覆われた高層の建物がその中に溶けていく。

車と人が激しく行き交う大通りを抜けると、街並みに似つかわな
い程、たくさんの木々が生い茂る緑地を右手に眺めながら、その
細長い道は不規則に繋がっていた。

その街道はしっかりと舗装はされているものの、ここが都会の芯
だとは思えない位、左右に大きく曲がり、その先の見通しがまま
ならないほどだった。

道は無表情に居並ぶ高層ビルの谷間を潜り抜け、いつの間にか喧
騒が遠くに消えていく。人も車も誰もいない静かなその道を薄茶
色の長めの髪の毛を棚引かせた少女が、沈む太陽を背にして、懸
命に自転車を漕いでいた。

ペダルを踏み込む度に華奢な体が左右に揺れる。大きな大木があ
る屋敷を左手に眺めると、その道は傾斜の厳しい坂道に差し掛か
った。この通りはその昔、武家屋敷が数多くあったというだけあ
って、今も大きく荘厳な家屋が道路の両脇に建ち並んでいる。

少女は、「車坂」と名付けられたその細く急な坂道を力強く登り
出した。少し登っただけでも息が切れる位容赦ない傾斜が立ちは
だかる。いつもの様に挫けそうな気持ちが彼女の心に襲い掛かる。

しかし下唇を噛み締めながら、サドルから腰を少しだけ上げて、
力一杯ペダルを踏み込む。やや短めのチェックのスカートが左右
に大きく揺れるとその隙間を縫って、やや浅黒いながらも引き締
まった太腿が見え隠れしていた。

少女は渾身の力を込めながら漸く坂の頂点まで登り切ると、ペダ
ルから足を離し、その自転車を止めた。そしてサドルに静かに腰
をおろすと、何気なく後ろを振り返った。

眼前に広がる空は、真っ赤なペンキを振り撒いた様に赤く染め抜
かれ、眼下に見える街並みは、行交う人や車の影が切れ間なく続
き、夕暮れの喧騒さを醸し出していた。

籠の中に入っていたヘッドフォンステレオが「カチッ」という音
を立てて、静かに止まる。少女は籠から伸びていたヘッドフォン
を外すと、その長いコードを丁寧に丸めて、再び籠の中にしまっ
た。
33第2章:01/12/10 03:37 ID:hECPO4eY

静寂に包まれた坂の上、静かに目を閉じてみる。普段より甲高く
ドクドクと胸を打つ鼓動が少女の内なる耳に聞こえてくる。彼女
は息を整える様にふと小さな溜息をつくと、その小さな可愛らし
い掌を胸の上に乗せた。

か細く伸びるしなやかな指先が、カッターシャツの上からでも膨
らみを感じさせる胸に置かれる。その掌の下では変わらずに彼女
自身の鼓動が静かに息づいている。

少女は静かにふっと目を開けると、その掌に目を落とした。しな
やかに伸びる手の先、しかしその手の甲に刻まれた生々しい傷痕
を消させる事は出来ない。

少女の美しい瞳が哀しげな色彩を帯び、霞んで行く。彼女はその
胸に置かれた手を顔先に近づけると徐にその傷痕に唇を重ねる。
彼女の口からは悲しげな嗚咽が坂上のこの場所に漏れていた。彼
女の霞んだ美しい瞳から、大粒の雫がこぼれる。少女は、消えな
い過去と戻せない時計の針の存在を、改めて噛み締めていた。

少女はこぼれる雫を拭おうともせず、再びペダルを踏みしめる。
カタカタという音を立てながら、その自転車は静かに進み出した、
柔らかな暖かさを感じさせる風が坂の上を静かに吹きぬける。立
ち竦む少女を包み、いつの間にか空の色は淡い闇に変わっていた。

容赦なく、それでいて凍えるような夏の季節が、今始まろうとし
ている。彼女の声を聞き終えるまで。
34第2章:01/12/10 03:38 ID:hECPO4eY

「キャー、ヤメテ!!!」
「叫んでも無駄だよ。この階には俺しか住んでいないんだ・・・。もっと
もっと叫んでもいいよ」
「イヤ、絶対にイヤ!!」
「アハハ。り〜か〜ちゃん。嘘つくなよぉ〜」


梨華は叫びながら部屋中を走り回っていた。どうにかして玄関先
まで辿り着くと、震える手つきでチェーンを外し鍵を開く。しか
しドアノブを必死に回しては見たが、一向にそのドアは開かない。
梨華は華奢な身体で荘厳な造りの玄関ドアに体当たりをして、懸
命にもがいていた。

「どうしたの、開かないの?ほら梨華ちゃん、そのキーパット見える?
番号を押さないとこのドアは開かないんだよ」
「えっ?番号?」

梨華は男に言われたキーパットを即座に見つけると闇雲にその番
号を押し続けては、ドアに体当たりを繰り返していた。何の反応
を示さない大きなドアを睨みつけては、何度も何度もドアに体当
たりする。

そうした事を繰り返すうちに、梨華が着ている白のカッターシャ
ツの右肩部分が赤く滲んで来る。鈍い痛みが梨華を貫く。それで
も梨華は構わずにドアに体当たりを繰り返していた。

「梨華ちゃん、諦めが悪いなぁ。もういい加減にしなさい」

男は梨華の背後に立つとその両肩を掴んだ。その瞬間、梨華は身
体を回転させるとその男の頬を目掛けて目一杯の力を込めて張り
手をした。ピシッという鈍い音が玄関先に響く。今までニヤつい
ていた男の顔色が一変した。

「やるな。面白いじゃないか」
「私、帰ります!開けてください、早く!!」

男は梨華の言葉を無視するといきなり両手で乱暴に梨華の着てい
るカッターシャツを引きちぎった。パラパラと縫い付けられてい
たボタンが落ちる。梨華の身に付けていた薄いピンク色のブラジ
ャーが露になる。

梨華は慌てて両腕で胸を隠したが、男はその腕を掴み上げるとい
とも容易くドアに押し付けた。その衝撃で梨華の可愛らしくそれ
でいて豊かな乳房がプルンと揺れた。

「イヤ…ヤメテ…下さい…」
「どうした?ん?そんなもんか」

男は梨華を挑発するような口調で語り掛けると、徐に唇を重ねて
無遠慮に梨華の咥内に舌をいれようとする。梨華は歯を食いしば
り必死の抵抗を試みるが、男は梨華の髪の毛を少し後ろに引っ張
り上げ、強引に口を開かせて舌先を絡めた。

ピチャピチャという唾液の絡まる音が室内に響き渡る。梨華の瞳
からは、枯れ果てることのない涙が延々と流れ落ち始める。男は
そうした梨華の感情などには一切興味を示さずに、ただ自分の欲
望を満たす為だけに、更に乱暴な手つきで未だ少し纏わりついて
いた梨華のシャツを完全に引き千切り捨てると、両手を掴んで部
屋の奥に連れ戻した。

「イヤです、やめて下さい。私帰りたいんです…」
「うるさい女だな。少しは言うことを聞かんか!」

男は梨華を大きな外国製のソファーに叩き付けた。そしてカウン
ターに置いてあった果物ナイフを手に取ると、梨華の露になった
上半身に密着させた。

「何をするんですか!!」
「別に。何もしないさ・・・」

男はそう言うと冷たくとがったその刃を梨華の首筋に当てた。梨
華は恐怖に震え、全身を硬直させている。男はそうした梨華の態
度に満足そうな笑顔を見せると、刃を次第に下へとずらす。

ブラジャーに覆われた乳房の付近でその動きが止まる。ナイフの
先がブラジャーの中央で小刻みに動く。その刹那、「ピンッ」と
いう音と共に、梨華のブラジャーが弾け飛んだ。
35第2章:01/12/10 03:40 ID:hECPO4eY

「イヤ…、ヤメテ…」
「おや、ナカナカいい胸してるじゃない。この間はジックリ見る暇も
なかったからな」

男の纏わり付くような湿った声が梨華の耳に届く。男はナイフを
遠くに投げると、服を着たままいきなり梨華の乳房に食らい付い
た。

「イヤダ!やめて下さい!!イヤッ!!!」
「ウルサイナ、いいから」

梨華の悲しい叫び声が虚しく室内にこだまする。手足をじたばた
させながら必死の抵抗を見せていたが、男の豪腕の前に次第にな
す術を無くし掛けていた。

「ハァハァ…」
「イヤ…、イヤ…、イヤ…」

男の獰猛な唇が梨華の全身を舐め尽す。強引に脱がされたパンツ
がソファーの横に置き去りにされる。梨華は脚をバタつかせ男の
行動を邪魔するが、いとも簡単にあっけなくその行為は覆された。

男の手が梨華のパンティ-に伸びる。嫌がる梨華の動きを無視す
るかのように、男はそのパンティーを一気に破り捨てた。露にな
った秘部を眺めては独りニヤツク男の顔が梨華の眼に入る。

思わず梨華は顔を背けると、思い切り両足で男の身体を蹴り続け
た。しかし男は意に介さない表情でばたついている脚を強引に腕
力で捻じ伏せると、いきなり梨華の可愛らしい陰部に顔を埋めた。

「イヤ!!!ヤメテ!!!」
「いいぞ、アウッ・・・」

梨華の絶叫が室内に空しく響く。男は自身の欲望を剥き出しにし
て、身体ごと梨華に乗りかかる。そして自らの衣服を乱暴に脱ぎ
捨てると、あっという間に白のブリーフ1枚の姿になった。

男は厭らしい笑みを浮かべながら、顔を背け嫌がる梨華の手を力
付くで自身のブリーフの上に誘導すると、自分の手を梨華の手に
重ねた。

そして早くも屹立している肉棒の上で上下に擦る。梨華の掌は嫌
悪しか感じられない感触に蝕まられ始めていた・・・。

「ハァハァ…。ホラ、もっと速く動かして、もっとだ、もっと…」
「…」

梨華の掌にねっとりとした感触が伝わる。堪らず手を退け様と思
うも男の腕力がそれを拒む。興奮の度合いを更に増してきた男は、
いきなり自分でブリーフをズリ下ろすと、そのもの直接に梨華の
手を宛がった。

「ホラ、もっとだ!ちゃんと掴んで!上下に扱け!」
「…」

梨華の涙だらけの顔が歪む。男は苦痛に歪む梨華の顔をそそり立
つ自らの肉棒の前に強引に寄せる。そして声を荒げながら、梨華
に更なる服従を迫った。

「咥えろ!早く!いいから、咥えろ、しゃぶれよ!!」
「イヤです。絶対にイヤ…」
「ホラ、ここまで来て何言うんだ!」
「イヤ・・・、イヤ・・・、イヤ・・・」

男は嫌がる梨華の口に指を突っ込みこじ開けると、その勢いのま
まにキラついたペニスを梨華の咥内に差し込んだ。そして茶色に
美しく染まっている梨華の髪の毛を掴み、激しく顔ごと前後に動
かす。梨華の咥内には、脂ぎったその醜い塊が小躍りしていた。

「ホラ、舌を動かすんだ!音を立てて吸って!!」
「ウウウッ…」

梨華の悲しげな嗚咽が漏れる。仁王立ちの男の股間を自身の意思
とは関係なく咥え扱く。嫌がり拒絶し、顔を離す度に、男の平手
が梨華の頬に飛ぶ。梨華は薄れ良く意識の中で、この男に屈服せ
ざるを得ない事実を感じていた。

「イイゾ、もっとだ、」
「ウッウッウッ・・・」

男は梨華の頭を抑えながら一人快楽の境地へと向かう。呆けた顔
を晒しながら、早くも頂点を迎えようとしていた。

「アアッ・・・出ちまうよ、よし今度は俺の番だな」

男はそういうと梨華の両肩をポンと押して、床上に倒した。そし
ていきなり梨華の露になっている陰部に顔を埋めるとイヤらしい
音を立てながら貪り始めた。梨華の全身には嫌悪のみが貫かれ、
果てることない男の欲望の捌け口に成らざるを得ない現実に押し
込まれていた。
36第2章:01/12/10 03:41 ID:hECPO4eY

「もっと広げて。そうじゃない、もっとだ…」
「・・・」
「もっとだよ、梨華ちゃん。もっとだ…」
「…」

20畳はあろうかというダークブラウンに統一されたフローリン
グを施されたリビングの中央、薄明かりの 間接照明に照らさ
れ一糸纏わぬ姿の梨華が、全裸で自身の肉棒を扱いている男の前
で、すらりと伸びた両足を広げていた。

ギラツイタ男は露になった梨華の陰部を見届けると、狂喜の表情
を浮かべながら一層の早さで自身の肉棒を扱いていた。

「よし、いいぞ!梨華!ハァハァ・・・アウ・・・」
「…」

男の間抜けな喘ぎ声が梨華の耳にこびりつく。諦めの表情を浮か
べた梨華の瞳には、最早流れ出る涙すら枯れ果ててしまっていた。

男はブツブツとなにやら小言を吐き出しつつ、肉棒を扱きながら、
梨華の曝け出された陰部に食らいつく。既に梨華は、無抵抗に男
の愛撫を受け入れていた。その顔からは表情は消え、まるでマネ
キン人形の様な顔付きで男の唇に犯されていた。

「梨華、梨華、梨華…」
「…」

男はまるで呪文を唱えるように、梨華の名前を呟きながら、股間
を弄り続けている。梨華は丸太の様に男の衝動には無関心を決め
ていた。

梨華の生気を失った眼は、頭高く天井にぶら下がる高級そうなシ
ャンデリアを焦点なく捕らえていた。いつの間にか男は梨華の陰
部にペニスを差しこみ、一人悦に入りながら、腰を振り続けてい
る。欲望の欲するまま、梨華の身体をくまなく貪り続ける。

男は梨華の気持ちなど微塵も感じ取らずに、ただただ肉欲の塊を
いち早く放出せんがためにペニスを差しこみ、そして激しく突い
ていた。

「アッ…、イクゾ!アウアウアウ…、今日は顔で許してやるよ!!」
「…」

男は四つん這いになって犯されている梨華に向けて叫ぶ。梨華は
力なく両手をだらりと床の上に投げ出し、男の果てしない性欲の
捌け口に、その身を委ねていた。喘ぎ声もなく、拒絶する言葉も
なく、終始無言で男の陰茎を受け入れる。男は勝手に自ら果てる
と、梨華の膣から肉棒を差し抜き、梨華の顔付近にその醜い棒を
近づける。

そしていともた易く片手で梨華の髪の毛を引っ張るとその生気の
ない顔を自身のほうへ向けさせた。

「ホラホラ咥えろよ!、扱けよ!」
「…」

梨華は眼前にそそり立つペニスがあるというのに全く無反応に座
り尽している。男はそうした梨華の態度に業を煮やすと、無理矢
理に梨華の口を手で開けるとその肉棒を差し込む。そして自分自
身で激しく腰を振りながら、梨華の咥内で肉棒が極限まで膨張す
るのを感じていた。感極まった男は、梨華の頭を押さえ込み、激
しくその頭を前後に動かし始めた。
37第2章:01/12/10 03:43 ID:qxFYYJbK

しかし梨華の舌は、男のペニスに絡みつく事を頑なに拒絶してい
た。それながら男は耐え切れない欲望の果て、梨華の咥内からペ
ニスを引き抜くと、梨華の顔目掛けて、一気にスペルマを放出し
た。

「アアアアッ!出る!出るぞ!」
「…」

ドロドロとした白濁色の塊が梨華の顔に流れ出る。男は早くも萎
びた陰茎をダラシナクぶら下げながら呆けたようにその場にしゃ
がみ込んだ。

そして未だニョロニョロと亀頭の先から出てくるスペルマを見て、
座り込む梨華の胸に押し当て、その乳房で扱くように命じた。

「梨華、最後まで出させろ。ホラ、手で胸を集めろよ…」
「…」

相変わらず梨華は男の要求に対して、全く反応をしなかった。男
は呆れたように一度天井を見上げると、肉棒を無理矢理梨華の口
に入れて、処理を済ませ様としていた。

「どうだ、おいしいだろ。飲み込んじゃえよ」
「…」

梨華はイキナリ、男の足元を目掛けスペルマ塗れの唾を吐き捨て
た。その様子を見た男は、冷たい笑いを浮かべながら、しゃがみ
込むと獰猛に梨華の口を貪るようなキスをした。梨華は渾身の力
を込めて男の両肩を押し返してそのキスを拒絶した。

「イヤだって言ってるのに!」
「やっぱり気が強くて、いいね。君は、アハハ…」
「…」

男は立ち上がると、一人キッチンのほうへ歩き出す。梨華はただ
ぼんやりと前面に広がる大きな窓越しに見える熱気で蒸しかえる
夜の東京の街並みを眺めていた。

すると暗闇の中から連続した無機質な機械音が梨華の耳に届いて
きた。

「今日の記念に写真撮ろうや…ホラ、笑えよ」
「…」

梨華は男に向け冷徹な眼差しをおくる。スペルマ塗れにされた梨
華の顔を笑いながらポラロイドカメラで写している男の眼に、梨
華の突き刺す眼差しが飛び込んできた。

男は一瞬、やや鬼気迫る気配に押されかけたが、息を整えると何
かにとりつかれたかのようにシャッターを押し続けた。

うだる様に暑苦しい都会の夜。外気の熱気に逆らうように、凍え
た眼をした一人の少女が佇んでいる。少女は瞬間的に光り続ける
閃光の波の中、静かにその美しい瞳を閉じた。



<第2章 了>
38第3章:01/12/10 05:09 ID:hECPO4eY

3 In A Silent Way


その列車は左手前に大きくカーブを切ると、車体を大きく傾かせ
た。車両を繋ぐ連結の軋む音が車内一杯に響き渡る。車窓の外は
漆黒の闇に包まれて、その列車はいくらかスピードを上げながら、
前へ前へと突き進んでいた。

夜のしじまの中を進むその列車は人影もまばらで、寂しさと空し
さを乗せ走り続けているようだった。その寂寥感漂う客車の中で
は、漫然と焦点なく前方を眺めているだけの少女の姿が一際目立
っていた。

薄いブラウンの髪の毛をたなびかせ、やや派手な濃紺のパンツを
巧みに着こなし、緑と赤に彩られたボーダーのシャツが鮮やかに
目に映える。重く沈んだ空気に彩られた車内の中で、一際異彩を
放つ彼女のイデタチは、この時間の電車の中ではかなり浮き上が
っていた。

彼女のボンヤリと焦点なく、やや呆けながら座り尽くしているよ
うに見えるその様は、そうした「存在の軽さ」を一層際立たせて
いる。

彼女は、手提げポーチの中から取り出した可愛らしげなイラスト
が彩られた便箋を漫然と眺めながら、ただ時が経つのをやり過ご
していた。

客車は漸くキキキッという音を立てて、スピードを落としながら
誰もいないプラットホームに滑り込んだ。少女はやや乱雑にその
便箋をポーチの中に突っ込むと、気だるそうに立ち上がり降車し
た。

彼女が降りた列車は、そのまま静かに闇の彼方へ消えていく。彼
女と同時に降りた数人の影もいつの間にか消えていた。

彼女は無人のホームで下を俯いきながら、後ろ手にくんで、トボ
トボと歩く。そして少し錆び付いたベンチの前まで歩を進めると、
ピョコンとそこに腰をかけた。

ふと見上げると異様なまでに澄みきった空に、鮮やかな満天の星
が一面に輝く。まるで彼女の気持ちと重なるかの様に、そこに流
れる空気は乾き切り、そして冷たかった。

ここ数日続いていた雨模様が嘘みたいに、肌を突き刺す様な乾い
た風がホームに吹き抜ける。未だ春の残像を見せる周囲の景色と
は正反対な夜の空気が彼女を包んでいた。

心の奥底に滞る虚しげな思いが深く沈殿していく。目的なく惰性
の如く繰り返される日常の積み重ねが彼女の気持ちを更に押し込
める。

寂しさを消すために一度だけ許したその事が、更に深い寂しさと
虚しさを増させ、更に彼女の気持ちを沈ませていた。彼女は、一
人きりのプラットホームでやるせない気持ちを漂わせながら、佇
んでいた。
39第3章:01/12/10 05:11 ID:hECPO4eY

日本最大のターミナルを始点にする、似たような風景が居並ぶ私
鉄沿線。どこも駅も外観が殆ど変わらない、こじんまりとした駅
舎が続くのがこの沿線の大きな特徴だ。この駅前もご多分に漏れ
ず、他駅と変わらず小さな駅舎と申し訳なさそうな小さなロータ
リーが駅前に広がっていた。

夜も深く、人通りもまばらなそのロータリーの片隅にある誰もい
ないタクシー乗り場の横を少し長めの明るめな茶色の髪の毛を靡
かせた少年が少し急ぎ足で改札口に姿を消していった。

間もなく駅舎から出てきた少年の後ろを追うようにして先ほどの
少女も姿を見せた。急かすように早足の少年に比して、彼女の気
持ちを現しているかのように彼女の足取りは重く、そして弱弱し
かった。

少年は、駅前なのにやや寂れた感じの漂うコンビニエンスストア
の前に止めておいた自分の250CC程度の大きさのバイクに跨
がると小さなヘルメットを首にかけた。そして遅れてやってきた
彼女にピンク色をした小さなヘルメットを唐突に投げ渡した。

彼女は、突然の少年の行為に驚き、そのヘルメットを落としてし
まった。コンクリートの上に転がるヘルメットの音がカラカラカ
ラと大きな音を立ててロータリー中に響き渡る。彼女は転がるヘ
ルメットをケダルそうに追いかけながら、漸くと拾い上げた。

その時彼女の中で少しだけ、ホンの瞬間だけ自分自身への嫌悪感
がよぎった。しかしそうした悔恨を振り切るかのように急ぎ足で
バイクに駆け寄るとヘルメットを目深に被り、ぴょこんと後部席
に座り、既にシートに腰を下ろしている少年の体に華奢な細長い
手を回した。

少年は彼女が乗った事を背中で確認するともう一度ヘルメットを
被り直し、徐にキーをやや乱暴に回した。

勢い良くスロットルを全開にした彼女と少年を乗せたそのバイク
はケタタマシイ音を発しその場をあっという間に過ぎ去っていっ
た。
40第3章:01/12/10 05:12 ID:hECPO4eY

「ンンン・・・」

彼女は、少年に胸を揉みしだかれながら、虚ろな眼で天井を見や
った。もはや、どうにも興奮を押さえ切れない少年は、乱暴な手
付きで彼女の衣服を引き千切ろうとした。

「破んないでよ、この服気に入ってるんだから!」
「ああ。うん・・・」

少年は、声にならない返事をして、彼女の衣服を脱がすことに集
中していた。とにかく一刻も早く彼女の全てを見たがっている。
彼女の静止は、全く耳に入らなかったらずに少年は赤いワンピー
スのボタンを無造作に引き千切ると、露になったその豊かなバス
トに早速むしゃぶりついた。

ブラジャーのフックも外さずにそのまま剥がしにかかる。ナカナ
カ思い通りにならない自分自身に苛立ち、その手付きはさらに乱
れた。

「やめて、て言ってるじゃない、聞こえてんの、ねぇ?」
「あぁ、チクショウ。どうなってんだよ!」

彼女は的を得ない返事の応酬に、どうでもよくなっていた。

(もう、いいや)

虚ろな気分はさらに増していた。

「ヒュー!やっぱデカイネ!真希の胸は!」

力づくでブラジャーを剥ぎ取る事に成功した少年の眼には、薄
赤く色づいた乳首、そして大きすぎず、小さすぎず、それでい
て弾力性のある真希の乳房が飛び込んできた。漸くと目標を達
せられ、いよいよ少年の興奮はレベルを上げた。

「ハァハァ・・・、どうだいいだろ?」
「・・・」

少年は、乱暴に乳房をもみし抱きながら、両方の乳首に交互に
吸い付いた。真希にとって、快感というよりもむしろ苦痛を伴
うような愛撫が続く。暫くすると少年の乳房への興味は薄れ始
め、いよいよ真希の股間を弄り始めた。これまた乱暴にパンテ
ィーを剥ぎ取ると、いきなり陰部に食らいついていた。
41第3章:01/12/10 05:13 ID:hECPO4eY

「ア、ンンン・・・」

真希は声を上げたが、それは、義務感を伴う、儀礼めいたもの
であった。それでも、真希の下半身を舐め回し続ける少年の感
情を揺さぶるには十分だった。

「何だよ、もう感じてんのかよ、やっぱおまえ厭らしいな」

真希の演技に疑うことを知らない少年は、更に激しく陰部をな
め続ける。漸く陰部の中に埋もれていた柔らかいひだを自身の
舌で探し当てると、今度はそこばかりを集中して責め続けた。
そしていきなり秘部に2本ばかり指を挿入してきては、激しく
その指を上下させ始めた。

「うぉー、おまんこの中、もうびしょびしょジャン。もう一本入れるぜ」
「…」

少年はその指使い同様、言葉使いも荒さを増してきた。

(やっぱ、コイツも同じなんだ・・・)

真希の心は、いつもと同じ虚無感に包まれていた。確かにそこ
は濡れ始めていた。でも真希にとってそれは、あくまでも条件
反射の一種のようなもので、歓喜の表現ではなかった。

「ン、あぁ、んんん・・・」
「おぉ、お前ホントエッチだな、ほらこの音、聞こえんだろ、お前の汁だぜ」

真希の愛液と少年の唾液の絡み合う音がジュルジュルと響き渡る。
卑猥な言葉を連発する少年の興奮はピークを迎えていた。もはや
極限まで膨張したそのペニスは、既に短パンの脇からその先を覗
かせている。

当然ながら真希の眼にも入ってきたその陰茎はその少年の容姿に
は似つかわしくない程グロテスクで、肉棒自身も意外なほどの大
きさを備えていた。

(ふ〜ん、デカいじゃん)

真希は、その客観的事実に感心したが、かといって、それ以上の
興味が湧いた訳でもなかった。

「今度は、俺のを舐めろよ」
「…」

興奮の度合いを高めている少年は、命令口調で真希に命ずると、
自分でパンツを脱ぎ捨て両手で肩を押さえつけその場に膝まづ
かせた。こうした一連の少年の行動に真希は少し躊躇の表情を
見せた。

いやそれは躊躇というよりも、何もかも、あなたの言う通りに
はならない、という意思の表明でもあった。 真希は押し黙っ
たまま、顔を横に背けその場に座り込んでいた。

「・・・」
「おい、舐めてよ。ホラ・・・」
「・・・」
「なぁ、いいじゃん。咥えろよ、ホラさぁ」
「・・・」
「頼むよ、真希ちゃん。ねぇ、お願いだよ」

チッポケな真希の抵抗だったが、効果は覿面だった。いきなりに
彼の口調を優しくさせ、そして彼女に同調を求めてきた。この男
は、もう私に逆らえない、真希はそう結論付けると、言われるが
まま、少年のペニスに食らいついた。そしてジュルジュルと厭ら
しい音を立てながらグロテスクな物体を扱き始めた。

「アウアウ・・・」
「サンキュ!・・・うぉー、いいぞ」

少年は少し興奮気味に叫んだ。真希は舌を巧みに操り、肉棒に絡
ませる。彼女は一口加えた瞬間に、少年が仮性包茎である事を見
抜いたが、その気配は悟られずに行為を続けた。

赤づいたカリ頭にただ唾液を絡ませるだけで、少年のペニスは激
しく真希の口の中で上下する。少しの刺激でも、十分すぎるほど
の反応が返ってくる。割れ目に舌を這わせて、厭らしい音をわざ
と立てながら、口を上下させる。もう少年の肉棒が頂点を迎えそ
うなのは明白だった。
42第3章:01/12/10 05:15 ID:hECPO4eY

「ウンウン・・・」
「あぁ、もう駄目だ・・・」

瞬間、少年のペニスが真希の口の中で激しく屹立する。真希はペ
ニスから口を離すと、傍においてあったティッシュボックスに手
を伸ばした。すばやく右手でティッシュを数枚取ると、彼の亀頭
に軽く押し付けた。

すると亀頭の先から白い上バミ液が出たかと思うと、一気に大量
の白濁色の液が放出された。真希は冷静に少年のスペルマを拭き
取ると、サービスだと言わんばかりに、早くもうなだれた少年の
ペニスを咥えた。そして、まだ肉棒の中に残る残液を吸い取った。

この行為が彼にとっては至福の喜びを与えたようだ。ペニスから
真希が口を離すと、少年はその場にペシャンと座り込み、一人で
感慨に浸っていた。

「やべーよな、モー娘のゴマキにフェラしてもらったなんてバレタラ。
お前のファンに殺されちゃうよ」

少年は満足そうに微笑みながらその場にうつ伏した。その全身か
ら達成感と征服感がみなぎっている様だった。そうした態度に真
希は、何の関心も示さなかった。暫くすると真希はイキナリ彼の
上にまたがり、耳元で囁いた。

「どうする?いれなくてもいいの?」
「えっもう?マジで・・・。ちょっと待ってよ、少しタイム、タイム」

少年は、よろめきながら立ち上がると、次なる体勢を整えるため
に台所へと向かった。真希は、静かに立ち上がり、身体にまとわ
りついていた衣装をその場に脱ぎ捨て全裸でベッドに横たわった。
そして虚ろな目で天井を見つめていた。

「私・・・なにやってるんだろう?」

彼女が久しく忘却していた自分自身への問い掛けが頭を擡げる。
真希は今、少年の欲望の捌け口としてだけしか存在しない自分
の耐えられない存在の軽さにただ笑うしかなかった。

「フフフ…」
「どうした?何かおかしいか」
「ウウン、別に」
「そうか、よ〜し、やろうぜ!」

真希の心を置き去りにするかの様に、漸く体勢を整えてきた少
年が徐に全裸の真希の上に乗りかかってきた。少年は、真希の
返事も聞かぬまま部屋の電気を消すと、その薄暗闇の中で真希
の全身を貪り始めた。

真希の顔、唇、肩、乳房、下腹部、そして秘部、脚先の指の間
まで、不作法なまでの稚拙な愛撫は、止め処なく続いた。

「いいだろ!真希!」
「ン・・・アン・・・」

条件反射的に真希は喘ぎ声を出した。その声に反応し、更に愛
撫は激しくなった。そして真希の陰部を執拗に舐め続ける。割
れ目を探し、懸命に舌を入れてくる。「俺がいかせてやるぜ」
と、いう少年の自己満足感だけは、真希にも伝わった。真希は
最低限度の義務を果たすべく少年の舌の動きに合わせる様に、
わざと喘ぎ声を重ねて見せた。

「アッ・・・ウン・・・」

少年には、そうした真希の反応が心地よかった。頼んでもいない
のに、肛門の穴まで舌を入れようとする。さすがの真希もそれは
拒否し、腰をあげ両手で少年を少しだけ突き上げその意思を示し
た。
43第3章:01/12/10 05:17 ID:R4RERYmv

「ちょっと待って。ゴム、用意するわ」
「何だよ、ゴムかよ。生でヤラセテよ」
「駄目だよ、絶対」

真希は頑なに拒んだ。しかし少年は早くも極限まで屹立したペニ
スを立たせながら、頑強なまでに自己主張を繰り返していた。

「いいじゃん、大丈夫だよ、外に出すからさぁ、信じてよ」
「駄目、ゴムつけないんじゃ、今日はここまでだよ!」
「いいじゃん、大丈夫だよ、じゃぁさ、取りあえず、生で入れさせて
くれるだけでいいから」

少年はとにかく真希の中にそのままの形でペニスを入れる事に拘
った。しかし真希は、断固拒否した。そしていきり立つペニスを
振り払うかのように、パンと起き上がると窓際に駆け寄り、少し
大きめな声で少年に言った。

「駄目!もし、いれるんならやめるよ。帰るから」
「そんな・・・」
「どうする?私マジだよ」
「・・・分かったよ。じゃあさぁ、今度は口に出させてよ。それ位ならいいだろ?」
「・・・まぁ、いいよ・・・」

少年は余程、先程のティッシュへの放出が不本意のようだったら
しい。真希はやや馬鹿にしたような笑みを浮かべると少年の申し
入れを許諾し、洗面所の一番上の棚奥からゴムを取り出してきた。
そしてベッド上で呆けていた少年を寝かせてると、二、三回、肉
棒を口で扱いて唾液でペニスを湿らせると徐にそのペニスにゴム
を装着させた。

「ぴったりだね」
「ウッ。そうでもねえよ。チョット痛て〜な」

真希は、少年の上にまたがり自分で少年の陰茎を陰部に導いた。
そして動物的にあわてて腰を動かそうとする少年を嗜めた。

「ゆっくり!だから、そんなに急がないで」
「分かってるよ!・・・どうだ?」
「ウン。いいけど・・・、もう少し優しくしてよ」

明らかに少年のテクニックは稚拙であった。きっとこういう男に
ヤラレル事のみを生きる糧にしているような、取り巻きの女の子
相手への自己中のセックスしか経験がないのだろう。
彼女たちは、この少年のペニスを受け入れただけでオルガズムを
迎えるような単純思考の人間なのかしら・・・。

でも真希は違う。

いや、逆にいえば、いまベッドの上で必死の形相で真希の胸にむ
しゃぶりつき、乳首を摘み、乳房を揉みしだき、絶叫を上げてい
るこの男こそが、モー娘の後藤真希とやれる、というだけで頂点
に達している単純思考の人間に他ならなかった。

「すげ〜よ、真希、すげーよ」

もはや少年には、同じ言葉を何度も繰り返すしか術はなかった。
少年は、何度も挿入しなおしながら、騎乗位からバックに回り、
真希を激しく突き上げた。なまじ陰茎が大きいだけに、真希の
奥まで、ペニスが到達する。さすがに喘ぎ声がもれてしまった。

「アン・・・ウウン…」
「真希、真希!中に出して〜よ!」

少年のその声に我を取り戻した真希は、すかさず体勢を入れ替え、
正常位になった。そして自ら腰を動かし、少年が絶頂を迎えるの
を早める。
そして両手で少年の上半身を愛撫し、上胸のあたりを軽く舐めた
後、乳首に軽いキスをした。少年の顔から判断するに、その時を
迎えるのは時間の問題であった。

「駄目だ・・・、もうイクよ!」
「・・・約束だもんね。口でして上げる」

少年は言うがままにピストン運動を止め、限界までに勃起したペ
ニスを真希の目前に差し出た。すると真希は、ゴムの上から肉棒
をさすり続け、裏筋にキスを重ねた。そして、その下の袋にもそ
のキスを移すと、優しく袋を揉み出した。

「真希!いくよ!!もうダメだっ!!真希!」

少年は絶叫に近い叫び声で真希の名前を呼び続けた。そのまます
れば精子が出るのはわかっていたが、真希はさっきの約束を果た
すべくゴムを剥いだ。そして亀頭の先の割れ目をチロチロと数回
舐めた。更に陰茎を激しく扱き上げペニスの赤みを増長させつつ、
いよいよ口に含もうかと構えた瞬間、割れ目から液が数滴垂れた
かと思うと、勢いよく白濁色のスペルマが真希の身体にシャワー
された。

「ちょっと!、顔に出していいなんていってないよぉ〜」
「ハァハァ、ハァハァ・・・」

少年は荒々しいうめき声を発し、その場に倒れこんだ。そしてペ
ニスの先からは、まだ残るスペルマがニョロニョロと噴出してい
た。
44第3章:01/12/10 05:18 ID:R4RERYmv

「ハァハァ・・・。よかっただろう?真希」
「・・・」

真希はその問いには答えず、顔にかかったスペルマを落としに洗
面所に向かった。石鹸、そして洗顔液で、入念に何度も何度も洗
った。それでも少年の精液の匂いが消えなかった。

「シャワー浴びるから」

真希はベッドの上に座り込んだままの少年に声をかけ、そのまま
バスルームに入った。ボディシャンプーで何度も身体を洗い流し、
髪の毛にもシャンプーを施す。その様は、スペルマの匂いだけで
なく、肉欲の塊だった少年自体の匂いを消すかの如く、執拗であ
った。

真希はバスルームに備え付けられている鏡に、そうした自分の姿
を見つけた時、先ほど消し去った物凄い自分への嫌悪感が再び心
の中に棲み付き始めたのを感じた。静かに鏡の中の自分を見つめ
た。

(わたしって、キタナイ)

心の中で真希は呟く。浴槽につかりながら呆然としている。湯気
にくもり、鏡の中の自分が消えていく。何故か無性に悲しくなっ
た。

(もう・・・ダメかな?)

ふいに真希の眼から涙が零れた。それは家族にも、事務所の人間
にも、仕事の仲間にも見せた事のない「心の叫びの涙」であった。

(もう、疲れたよ・・・)

寂しげなバスルームの中、そして彼女は、静かに目を閉じた。 静
かに囁く悪魔の声に魅入られながら。


<第3章 了>
45INDEX:01/12/10 05:23 ID:mTl9MGoy
<アンダー・ザ・ライン>

第1章…>>30-31
第2章…>>32-37
第3章…>>38-44
46JM:01/12/10 05:25 ID:mTl9MGoy

次回更新、今週末予定。


今週は日本武道館と横浜アリーナに個人的な用があるので
更新が遅れるかもしれません。申し訳ございません。
47ねぇ、名乗って:01/12/11 04:28 ID:Kqhqh8da
保全
48ねぇ、名乗って:01/12/12 01:38 ID:dg//jQu6
hozen
49第4章:01/12/13 01:51 ID:rFF7nirt

4 BIRD IS FREE


「そういう事だ、な、来てくれるだろう?」

その台詞は断言だった。俯いている彼に言葉を投げ込むとその男は返事を
聞かずに去っていった。選択は、1つしかない。もちろん、従う以外には
ない。まだ冷たさが幾分と残る雨が降りしきる午後、壊れかけたビニール
傘をさし、人並みに紛れながら、彼は一人、街並みを彷徨っていた。

「・・・・・・」

まだ冷たい雨の残る早朝、この町の全てを威圧するかの様に聳え立つ真新
しい高層マンションの前に立ちすくむ彼がいた。

「おう、やっぱりきていたな。ちょっとそこで待っていてくれ」
「…」

男は、シルバー色の大きなワゴン車から軽やかな足取りで出てきた。先に
出ていた大学生風の容姿をした男女2人を引き連れ、その要塞に消えてい
く。

マンション前のやや細い道は、人の影がまばらに増え始め、そして引いて
いく。さすがに雨の冷たさは幾分和らいだが、それに反し雨粒は次第に大
きくなっていくようであった。
50第4章:01/12/13 01:52 ID:rFF7nirt

時が滞る。

雨音が町中に静かに伝わる。苛立ちが彼の心に芽生え始めたその時、その
要塞の門から漸くあの男が一人スゴスゴと出てきた。

「待たせたな。おまえも来るか?」
「いや、遠慮しておく。雑談は苦手だ。ここで構わない。用件を聞かせてくれ」
「・・・これ見てくれるか」

男はそう言うと胸ポケットから一枚の写真を取り出した。望遠レンズで撮
られたらしく少しピントのずれたその被写体は、少し白髪混じりで年の頃
は30代後半、身嗜みも整った一見紳士風の男性に見えた。

「こいつは?」
「・・・ダウトだ」
「ダウト?」
「そう。そいつがダウト」

雨脚が少し強まる。男は彼を即して、ワゴン車の中に引き入れた。車の天
井を叩く雨音が静かに車内へ広がっていく。男は彼に正対しながら、静か
に話し始めた。

「やって貰いたいんだ」
「…」
「頼むよ。…それからついでにそいつのコバンザメも一緒にな」
「…いつまでに?」

「別に期限は無いけど…なるべく早く頼むよ、なっ?」
「…そんな単純な話なのか?」
「何がさ」
「おまえの言うダウトが、一枚だとは限らないだろ?」

彼は訝しげに男へ問い掛けた。少しの沈黙が車内に流れる。雨音が車を打
つ音のみが響いている。男は小さく咳払いをするとやや伏目がちに返事を
した。
51第4章:01/12/13 01:53 ID:rFF7nirt

「…だろうね。いや…多分そうだろう。」
「そうなら『ジョーカー』の処理はどうする気なんだ?それこそ簡単に済む話
じゃないだろう?」
「ジョーカー?勿論、切るさ。そうしなきゃ、ゲームは終らないからな」
「当然そうなったら、返り血を浴びるぞ。俺も…お前も」

「…覚悟は出来ている。だからこそお前に頼むんだ。いや…お前にしか頼めないんだ。
こんな事、お前の他の誰に頼める?」
「…」
「その写真の男だけだったら他の奴に頼むさ。…正直に言えば、お前の言う『ジョーカー』
がまだ誰かがわからないんだ。だから泳がせている訳でね」
「なら、どうして今?」
「もう奴も泳ぎ疲れただろ、ヤツもね。休ませてあげようと思ってね。
まぁこれからの詳しい話は、後でいつもの様に連絡するよ」

男は笑いながら彼の肩をポンと叩くと、勢い良くワゴン車を降りると
200m程度前にある大通りへと小走りに向かった。走りながら、せ
わしなく携帯電話に向かい大声で叫んでいる その野太い男の声が静か
な街並みに反響していた。そしてそこの通りの脇に停めてある大きめ
な黒塗りの外車に乗り込み、そしてまだ静かな街の中に消えて行った。

一人車内に残された彼は、暫しの間物思いに耽っていたが、何がをフッ
切ったように一回手を叩くと、幾分雨脚が強まった表に出た。すると男
に連れられて来ていた先程の若い男女2人が少女を連れて、いや引っ張
りながらマンションのゲートから出てきた。

両手を引っ張られたその少女の態度を見れば、中で何かがあったのは一
目瞭然だった。 大粒の雨の中、彼はワゴン車の前でイラつく「相手」に、
慰めだとは知りながらも、自分の傘を差し出した。しかし彼女は彼に一瞥
もくれず、纏わりつく男女の腕を振り払うとそのままワゴン車の中に消え
ていく。

少女に腕を払われた2人は、苛立ちながら少女に、乱暴な言葉を投げかけ
続けていた。男の方は声を荒げながら運転席に向かう。そんな中、彼は面
識のある女性に軽く会釈をした。女性は彼の様子に気付くと申し訳なさそ
うに深々と会釈を返した。
52第4章:01/12/13 01:54 ID:rFF7nirt

「スイマセン、失礼をして…。それより朝倉さんは?」
「もう帰りましたよ。通りに停めてあった車で」
「そうですか…。参ったな…どうしよう。それよりあなたは?」
「私は、歩いて帰りますよ」
「でも雨が…こんな雨の中、あなたの事を歩いて帰らせたら朝倉さんに怒られてしまいます」
「いいですよ、お気になさらないでも。それより、その娘は?」

彼はワゴン車の中に消えて行った少女へ向けて顔を差し出した。女性は少
しぶっきらぼうに言葉を返した。

「今、身辺管理を頼まれているんですけど…手が焼けて困ってるんです。
若いアイドルってホント大変で…」
「アイドル?彼女が?」
「えっ?…知らないんですか?…まぁ、あなたらしいですね」

女性は先ほどまで見せていた苛立った表情が幾分和らぎ頬が緩んだ。

「おかしいですか?その娘の事を知らないのは?」
「いいえ。じゃあ覚えておいて下さいね。あの娘は真希て言うんですよ」
「真希さん?で、苗字は?」
「ヒントはここまで。後は雑誌とかテレビとか見ていればわかりますから」
「あっそう…。真希さんね。…で、幾つなの」
「17歳かな、今年で」
「17ね…。あなたも大変だね」

彼は少し笑いながら彼女の顔を見つめた。少し憂いのある瞳は昔のまま変
わらない。長く伸びた髪の毛が雨と共にこの場を吹き抜ける風に靡いて、
ふわりとバラけた。暫くぶりに会う彼女の容姿は、流れた月日の長さを感
じさせない。

彼女は彼の視線に気付いたのかやや顔を傾けて、ややぶっきらぼうに返事
をしてみせた。

「まぁね。タレントのマネジメントなんて柄にも無い事しているし。そりゃあ、
大変ですよ…」
「それにしてもあんたらは、いつからこういう芸能関係の仕事もするようになったんだい?」
「そうね。3年前くらい前かしら…。あなたがいなくなるちょっと後ね。」
「それって、朝倉の趣味かい?」

「まさか…。彼女らの会社、松涛の郁雄さんとこと繋がったみたいなの。それで…」
「なるほど、そういう事か。で、今何してたんだ。こんな朝早くから?」
「えっ?う〜ん…」

珍しく彼女が言葉に詰まる所を見ると、何か問題が起きたのは間違いない
んだろう。それもかなりプライベートな事を含んでいる。芸能関係に疎い
彼でもそれ位の事情は直ぐに分かった。
53第4章:01/12/13 01:56 ID:Fo73XMU9

「…男か?」
「!」
「やっぱり。まぁいいよ、言わなくても。別段興味も無いしね」
「…ホントに大変なんですよ、ナンだかね…」
「まさかその相手もガキかい?同業者?」
「…もう何も言わないで下さい」

彼は了解の意思を示すように右手を小さく上げると、自分が来た道の方向
にゆっくりと歩き出した。壊れかけのビニール傘が強めに吹く風に押され
て傾く。強まる雨に両肩をぬらしながら、静かに歩を進めた。そんな彼の
背後から彼女の声が追いかけて来た。

「本当にいいんですか?乗っていかなくても…」

彼は振り向きもせず何も言わずにただ右手を高々と上げて、気持ちを伝え
た。強まる雨がワゴン車を叩く。冷たさは消えたが、中途半端に生暖かさ
を帯びた風が吹き抜ける。彼は歩きながら前方に聳える高層ビルの屋上が
眼に入った。

都会とは思えないようにその淵には、大小様々な小鳥が囀っている。強ま
る雨音に驚いたのか、吹き抜ける風の強さから身を守る為か、一羽の小鳥
が飛び立つと一斉に他の小鳥も空高くに飛び立って行く。

朝靄に包まれた街並みの中、彼は歩を静かに止めた。空飛ぶ小鳥たちを何
かに重ねる様に、彼は降りしきる雨の中で一人、沈む想いに耽っていた。
54第4章  :01/12/13 01:58 ID:Fo73XMU9

<第4章 了>
55INDEX:01/12/13 01:59 ID:Fo73XMU9
<アンダー・ザ・ライン>

第1章…>>30-31
第2章…>>32-37
第3章…>>38-44
第4章…>>49-53
56JM:01/12/13 02:51 ID:rFF7nirt
次回更新 今週末予定
57ねぇ、名乗って:01/12/14 03:07 ID:KmPHig2Q
hozen
58ねぇ、名乗って:01/12/15 03:10 ID:4mv07+uS
hozen
59第5章:01/12/16 03:50 ID:VR11L+U6


 5 STARLESS



「もう来ないで下さい・・・、お願い、止めて・・・」

梨華は一人頭を抱え、まるで雨に打たれる子猫のように部屋の
片隅で小さく蹲っていた。鳴り止まぬドアチャイムの音が鼓膜
を突き抜ける。梨華の心は今にも狂い出しそうだった。

けだるい午後、まだ蒸し暑さが残る夕暮れ、部屋中にはクーラ
ーから放たれ冷気が充満しているというのに、梨華の体には、
厭な汗が全身に纏わりついていた。

「ピンポーン、ピンポーン、ピンポーン・・・」
「分かりました。だから、もう鳴らさないで・・・」

意を決した梨華は、小走りに玄関まで走ると、ドアノブの鍵を
解除しドアを開放した。漸く鳴り響いていたチャイムは止み、
静寂が訪れる。

「早くそうすればいいんだよ。梨華ちゃん・・・あれ・・・なんだよ、
チェーンが外れてないよ。」
「お話があるなら、ここで聞きます。何ですか?」

しかし梨華は完全に降伏したわけではなかった。男は中途まで
しか開かないそのドアの動きにに少々驚いていた。ドアの隙間
から男の呆けた顔が見えている。梨華はドアの部を握り締め、
チェーンロックが外れないように左手で止め具の部分を押さえ
つけていた。

扉の向こうに息衝く男の気配を感じながら、梨華は必死に自分
の身を盾にして抵抗を続けていた。
60第5章:01/12/16 03:51 ID:VR11L+U6

「梨華ちゃん。ふざけちゃ困るなぁ。コレを外してくれないと話せないよ」
「お部屋の中、汚いんです。だから今日は帰ってください・・・」
「いいじゃない。そういう所も見たいな」

梨華にしたら、思わず吐き気を催すほど、その中年男の笑顔は
見苦しい事、この上がなかった。次第に男のガチャガチャとド
アノブを回す音が大きくなる。

明らかに苛立ちを隠せないその男は、乱暴な手付きでドアノブ
を回し続ける。そしてその手付き同様、声の調子もだんだんと
荒くなってきた。

「おい、いい加減にしないか。早くそのチェーンを外しなさい」
「お話があるなら、早く、ここで、話してください・・・」
「・・・ホントにいいのかい?じゃあ、そうするよ・・・」

男はドアノブから手を離すと、冷笑を浮かべ、そして大声でその
ドアに向かい、叫びだした。

「おい、やらせろよ。梨華!この間みたいにさぁ、恥ずかしげもなく
足を一杯に広げてさぁ、俺にやられてみろよ!」
「やめて!お願い、やめて!!」

梨華は、泣き叫びながらチェーンを外して、その男の手を取ると、
急いで自分の部屋の中に招き入れた。

「なんだよ、やっぱり梨華ちゃんもやりたかったのかなぁ?」
「やめて、もう・・・やめて・・・」

梨華の哀しげな顔が部屋の中に吸い込まれていく。バタンと閉ま
るドアの音は、梨華にとって悪夢が再び始まる事を知らせるチャ
イムだった。
61第5章:01/12/16 03:54 ID:VR11L+U6

「今日は、梨華から見せてくれるかな・・・」
「・・・」
「いろんな人に頼まれているんだよ、娘の事よろしくってね。さぁ、
俺に見せてくれるかな。見なきゃ、わからないんだから」
「・・・」

梨華は、胸の奥底で泣き叫んでいた。今日も、そして明日も・・・。
これから延々と続くかもしれない、悪夢の日々の始まりに梨華の
心は崩れ去ろうとしていた。

その光景はまるで、逃げ場のない小鳥が羽を?がれ、飢えた野獣
を目の前にして朽ち果てていく様であった。

「ホラ、まずブラウスを脱いで・・・」
「・・・」

脂ぎった男の要求は、直情的にエスカレートさを増す。男は、
先程梨華が差し出したグラスに入っている麦茶を一気に飲み
干すと、乱暴にテーブルの上に置いた。そして、だらしなく
脚を崩すと、早くも自らの手でネクタイの結び目を緩め、ワ
イシャツのボタンを外しに掛かった。

(もう・・・イヤ。こんな事・・・)

梨華の眼から一筋の雫が流れ落ちた。怒りと悲しみ、そして
恐怖に彩られたその悲しい雫は、梨華の頬を伝い、ぽとりと
床に落ちた。

(お願い、助けて・・・)

押さえ切れない欲望をあからさまに露呈しているその男は、小刻
みに全身を震わせ泣き出す梨華の様子をみて、逆に興奮を増して
いた。

「り・か・ちゃん。ホラ。俺はもう脱いだよ。今度は梨華ちゃんの番だよ。
早く・・・」

猫なで声で梨華を急かすその男の声に、ずっとずっと心の奥の、
そのまた後ろに隠し続けていた、悪魔の衝動が少しだけ、突き
動かされた。

(今日が終わっても・・・。明日も・・・。そうだっら、・・・この人を・・・
そして・・・私も・・・)
62第5章

梨華は悪魔の囁きを心にしまい込み、勇気を振り絞って、男に
言葉を投げた。

「・・・約束してください」
「何をだい、梨華ちゃん?何か欲しいものがあれば、買って
上げるよ。マンションでもなんでも・・・。お偉いさんにも言わ
れているからね。ここより広いところに住みたい?」

「違います・・・。今日は・・・何でも言う事を聞きますから・・・だから、
もうこういう事は今日で止めてください。お願いします。」
「そうだなぁ。どうしようかなぁ?それは梨華ちゃん次第だなぁ」

男は二ヤついた笑顔を更に深め、梨華の体を舐め回す様に見やった。
梨華は思わず眼をそむけたが、口を真一文字に結び、その視線に耐え
ていた。

「何でもします・・・だから今日だけで、今日で終わりにしてください」
「そう?じゃあ分かったより・か・ちゃん。じゃあ、こう言う事は、今
日でお終いにしようね。約束するよ。」

彼は即座に同意した。梨華にだってこれがどうせ嘘かもしれない
事位は分かっている。でもこれで最後、という僅かな望みがある
のなら、今はそれに縋りたかった。

「それじゃ今日は、なんでもしてくれるのかな?」
「・・・ハイ。わたし頑張りますから。」
「そう。それじゃ、頑張って貰おうかな・・・」

男は、グラスに残る氷の欠片を口に含んで、厭らしく笑った。
その様子を見て梨華は背筋が寒くなるのを感じる。渡っていけ
ない橋を今自分が歩いているのを実感していた。

そして、もう後戻りが出来ない事も悟っていた。梨華は震える手で
自らブラウスのボタンに手をかける。段々と遠のいてゆく意識の中
で、戻れない道を歩み始めていた。



<続・次回更新 来週中頃>