■ テスト その1

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320第三話 嘘つき
「サア、ミンナ!オモウゾンブン、アバレルノヨ!」
「「おおーっ!」」
ミカ率いる海賊団、通称ココナッツ海賊団が上陸してきた。
場所は辻達のいた反対側の海岸。その地形はまったく同じだ。
かなりの大人数なので、少しもたついているようだ。
ゆっくりと坂を上る者が出始める。
そこに辻と加護が姿を現した。二人とも、もの凄いスピードだ。
「ここは絶対、通さへんで!」
「とおさへんれす!」
辻の姿を見てミカが驚く。
「ア、アナタ、ナンデイキテルノ…!」
「ののはぷににんげんれすから。」
「???」
ミカは訳が分からない。
321第三話 嘘つき:01/12/27 22:42 ID:oy+RH1E0
「…ナンデモイイワ、ジャマスルモノハ、シマツスルダケ。ヤッテオシマイ!」
「「おおーっ!」」
ミカの掛け声で手下たちが、各々武器を手に取り坂を駆け上ってくる。
「来よった!やったるで、のの!」
「へい!あいぼん!」
加護がバッグからパチンコを取り出す。
その玉は牛のフンを丹念に練って固めたもの。硬さは鉛の硬度だ。
加護がパチンコを弾く。
「うわっ!」
手下が顔を押さえて倒れる。命中率は百発百中。
顔に当たれば目に火花が飛び散る。まさに、うんこが輝いて見える。
加護はまたバッグから何かを取り出す。それは“まきびし”だった。
大量のまきびしを坂にばら撒いた。踏んだ手下がもんどりうって倒れる。
(…絶対に、絶対にこの村は守る!)
322第三話 嘘つき:01/12/27 22:44 ID:oy+RH1E0
ズルーーー。
後藤はまたしても坂を滑り落ちた。いったい、もう何回目だろう。
「ハア、ハア…。…早く行かないと…!」
後藤は二人が心配だった。
辻は能力者だ。大抵の相手なら何とかできるはず。
しかし、それはあくまで一対一での話。
戦闘経験の明らかに無さそうな辻では、大人数の相手は難しいだろう。
そして加護の力は正直知らない。
(あたしが行かなきゃ…、くそっ!)
その時、石川が油の上にうつ伏せに寝そべった。
「梨華ちゃん、何やってんの?」
「アタシを踏み台にして向こう側にジャンプしてっ!
 ごっちんが行かなきゃ…。あの二人を守ってあげて!」
「梨華ちゃん…、分かった!」
後藤は石川の頭を踏み台にして大きくジャンプ。油の向こう側に着地した。
「後はまかせて。あの二人はあたしが絶対守るから!」
後藤は一気に坂を駆け上る。石川の顔は油まみれ。
(ウウッ…、何も頭を踏まなくても…。)
323第三話 嘘つき:01/12/27 22:46 ID:oy+RH1E0
辻と加護は健闘していた。
加護は的確にパチンコを命中させ、運良く加護の的にならずに
上ってきた手下を、辻が体当たりで吹っ飛ばす。
見事なコンビネーションだ。
しかし、多勢に無勢。そして戦闘経験の足りなさから疲れが見えてきた。
徐々に押され始める。
疲れのせいで手元が狂い、加護が的を外した。
「しもた…、ぐわっ!」
加護が棍棒で殴られ倒れた。
「あいぼん!」
辻が加護に気を取られたその隙に、手下が近付き辻の肩を切りつける。
「ひんっ…!」
辻が肩を押さえて倒れこんだ。
324第三話 嘘つき:01/12/27 22:48 ID:oy+RH1E0
「ハハハッ、ナカナカ、ガンバッタジャナイ!デモ、モウオシマイネ。
 サア!ミンナ、イクワヨ!」
一番後ろにいたミカが笑った。
手下たちが辻と加護の横を通って坂を上る。
加護がその一人にしがみつく。
「…頼む!お願いや…、お願いやからこの村だけは…、うがっ!」
加護は腹を蹴飛ばされた。しかし、それでも離さない。
棍棒で何度も何度も殴られた。頭、体、腕…
(ウチが守るんや、絶対に守るんや…!)
その時だった。
ズドン!
坂の上まで来ていた手下たちが吹っ飛び、坂の下に転がり落ちる。