■ テスト その1

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274第三話 嘘つき
「またその話ですか…。」
アヤカはため息をついて呆れる。
「彼女に関してあまりいい話は聞きませんよ。嘘つきだとか、下品だとか。
 亜弥お嬢様にまでそんなのがうつったら、先代に申し訳が立ちません。」
松浦は不満げだ。アヤカに向かってイーッ、とする。
「ケチ!」
「なんと言われてもダメなものはダメです。
 それに亜弥様。あまりおヘソを出してばかりいると、お腹こわしますよ。」
アヤカはそう言って部屋を出て行った。
松浦は枕を抱え込んだ。
(あーあ、つまんないの…)
コツン…。
松浦の部屋の窓に何かが当たる音がした。
275第三話 嘘つき:01/12/22 15:54 ID:VC9ChS4e
松浦が窓を開けると、そこには木に登った加護がいた。
「あっ、あいぼん!今日も来てくれたんだ!」
松浦は大喜び。
加護は少し照れくさそうに笑いながら、
「当たり前やないか、ウチはこうと決めたらヤル娘。やで。」
「…ごめんね、あいぼん。ちゃんとお部屋に通してあげたいんだけど…。」
松浦が申し訳なさそうにする。
しかし、加護はそんなことにはお構いなしだ。
「ええがな、ええがな。そや、今日はウチが前に見た、
 けったいな三人組の話したるわ…。」
276第三話 嘘つき:01/12/22 15:56 ID:VC9ChS4e
「先に誰かが予約してるんじゃしょうがないね。
 それにチャーミーたち、そんなお金持って無いし…。」
石川はガッカリしていた。
後藤は満腹になったのでお休み中。
辻は何かを思い出しそうで、なかなか思い出せない。
そこに、さっき逃げ出した四人の少女が現れた。
「「「「こらっ、海賊たち!おやびんをどこにやった!」」」」
石川が答える。
「あいぼんならさっき「大事な用事があったんや、ほな。」って、
 どっかいっちゃったよ〜。」
柴田が思い出す。
「あっ、そうか。いつも亜弥お嬢様のところに行ってる時間だ。」
277第三話 嘘つき:01/12/22 15:58 ID:VC9ChS4e
辻と石川は四人から話を聞いた。
つい数ヶ月前に松浦が両親を亡くした事。
それ以来、松浦が落ち込み、その上体調を崩して
屋敷から出てこなくなった事。
そんな松浦を元気付けようと、加護がいつも話し相手になっているという事。
「そうなんだ、あいぼんやさしいね…。」
石川が感動している。
ガタン。
辻が勢い良く立ち上がった。
「それじゃ、ののたちもげんきづけにいくのれす!
 おやしきにあんないしてくらさい!」
「「「「おーっ!」」」」
278第三話 嘘つき:01/12/22 16:00 ID:VC9ChS4e
辻と石川は、四人の少女に案内されて屋敷の前に来ていた。
門がしっかりと閉ざされている。
辻が大きな声で呼びかける。
「つじのぞみれーす!ちゃっきり、ちゃっきり、ちゃっきりなー!」
(((((なんじゃそりゃ…。)))))
全員、訳が分からない。
屋敷からは何の返事も無かった。
すると辻はぴょ〜んと塀を乗り越える。
「おじゃましまーす。」
「「「「「………。」」」」」
石川と四人は口がアングリ。
辻の暴走は誰にも止められない。
279第三話 嘘つき:01/12/22 16:02 ID:VC9ChS4e
「…それでな、その三人っちゅうたらピンクのヅラかぶって、
 見せパンしよんねんでー。ホンマ、アホかっちゅうねん。」
「アハハハ。…でもさー、あたしもそういうの一回やってみたいなー。
 ねえ、あいぼん。一緒にやろーよ。」
加護はギクッとする。
「ウ、ウチはええわ。あややみたいに細かったらええけど、
 ウチやったらお肉がはみ出てまうわ…。」
と、そこへ辻と石川、四人が姿を現す。
加護が石川を指差す。
「そーそー、そーいや、あーゆー感じの黒いのもおったわ、
 …って、なんでお前らここにおんねん!」
280第三話 嘘つき:01/12/22 16:04 ID:VC9ChS4e
「???」
石川は何がなんだか分からない。
辻は不思議な疎外感を味わっていた。
(ううっ、なんかはいりづらいのれす…。)
その時だった。
「そこで何してるっ!」
(しもたっ、見つかったっ!)
中庭に姿を現したのは執事のアヤカだった。
加護が木から飛び降りる。
「…アナタ、加護さんだったわね。こんなところで何してるの?」
「あ、あのな、ウチはこの屋敷に、
 黄色いハチがBOON BOON BOONって入ってくのを見て…。」