その娘。は村の中央広場のあたりで立ち止まった
「ウソやー!んなワケあるかいボケー!あはははーーー!」
すると、次々と民家から村人が飛び出してきた。
「この、嘘つき娘。!」
「待てこら、加護ー!」
加護と呼ばれた娘。は全速力で逃げ出す。
「捕まってたまるかい、アホー。あはははーーー。」
この娘。の名前は加護亜依。いつも皆を騒がせるやんちゃ娘。だ。
その逃げ足は恐ろしいほどのスピードで、村人の誰も追いつけない。
「くそっ、見失ったか…。」
「本当に逃げ足の速い奴だなー。」
結局、村人達は加護を追いかけるのを諦め、それぞれの家へと帰っていった。
その様子を木に登っていた加護が見ていた。
「あははは、今日も騙されよって、ホンマ単純なヤツらやで…。」
そこへ、三人の少女が姿を現す。
「「「おはようございます!おやびん!」」」
右から、村田・大谷・斉藤という、この村の子供たちだ。
「なんや、お前らか…って柴田はどないした?」
加護が木から飛び降りながら聞いた。
村田が答える。
「あの子最近「みんなの十倍、眠い。」って言ってましたから、まだ寝てるんじゃ…。」
「…ホンマ、しゃーないやっちゃなー…。」
加護は少し呆れ気味。
すると、そこへ一人の少女が大声を上げながら走ってくる。
「大変でーす!海賊が来ましたー!」
「なんや、柴田。同じ事やってもウケへんで。」
加護が、そんなん、パクリやん、といった顔をする。
息を切らせて柴田が話す。
「本当なんです!この目で見たんです!あれは確かに海賊旗でした!」
「…ほな、ウチはこれで…。」
加護は帰ろうとする。
「「「「逃げるなっ!」」」」
村田が叫ぶ。
「おやびんは本物の海賊になりたいんでしょ?」
大谷が叫ぶ。
「海賊が海賊にビビってどうすんですか!」
斉藤が叫ぶ。
「おやびん交代ねっ!」
ゴンッ!
加護が斉藤を殴った。
柴田が叫ぶ。
「相手はたった三人なんですから…!」
加護の黒目がキランと光る。
「なんや、それを先に言わんかい。よし、“あいぼん海賊団”出動や!」
「「「「おーっ!」」」」