■ テスト その1

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185第二話 裏切り
この町の中心にある一番大きな建物の屋上。
そこに海賊の一団が陣取っていた。
豪華な椅子に腰かけた、金髪の娘。がなにやら駄々をこねている。
「あーもう、ム・カ・ツ・ク!なんで牛タン食べちゃいけないんだよー!」
周りの男たちが迷惑そうな顔をしている。この娘。かなり騒がしい。
しかし、一人の男の声が金髪の娘。をたしなめる。
『しょうがないじゃんよー。今、色々とヤバイんだからさー。
 脳みそ、スポンジになっちゃうかもよ。あっ、元からか…。』
「う・る・さー・い!お前はまだ黙ってろ!あー、つまんねー!
 オイ、あれぶっ放せ!」
「「ハ、ハイッ!」」
男たちがいそいそと大砲の用意をする。
金髪の娘。が、かけ声をかけた。
「いくぞー!“セクシーキャノン”、…発射―――!」
186第二話 裏切り:01/12/09 20:51 ID:CUkLiAKz
石川に案内されて、辻と後藤は一軒の家に連れられていた。
「ちょっと待っててねっ。すぐに得意の焼きそば作るからっ♪」
そう言うと、石川はキッチンへと姿を消した。
辻と後藤は食堂のテーブルに座っている。
「わーい、わーい、めしー!めしー!」
(じーつー、さっきからそればっかじゃん…。)
後藤は半分呆れながら、キッチンにいる石川に声をかける。
「ねー、梨華ちゃん。さっきの話だけど、この町に来た海賊ってそんなに強いのー?」
石川は姿を見せずに答える。
「そうですよー♪なんでも“悪魔の実”シリーズの何かを食べたとかって…。」
187第二話 裏切り:01/12/09 20:52 ID:CUkLiAKz
その時だった。
ドカボカグワッシャーーーーーーン!!!
「ひぃぃぃーーー!」
「キャアアアーーー!!!」
(ちっ、いったい何が…!)
三人のいた家が粉々に吹っ飛んだ。キッチンも跡形も無い。
いや、それだけじゃなかった。
町の中央から真っ直ぐに建物という建物がすべて破壊されていた。
後藤は石川の胸倉を掴む。
「まさか、梨華ちゃん!あんたの仕業?」
石川は首を左右にもの凄い速さで振る。
「(こ、怖いっ!)あ、あの海賊の仕業ですよ〜。」
188第二話 裏切り:01/12/09 20:53 ID:CUkLiAKz
ガラッ。
瓦礫の中から辻が出てきた。
「ゆるせねーれす…。」
辻は怒っていた。
「のののめしをじゃまして、りかちゃんのうちをこんなにしたやつはゆるせねーれす!」
後藤は石川から手を離す。
この慌てぶりは石川の仕業じゃないだろう。
すると今度は、辻が石川の手を取った。
「りかちゃん、いきましょう。ぶっとばしてやるのれす!」
(エエエーーー!ウソーーー!?)
石川は抵抗した。しかし、辻の力にはかなわない。
ズルズル……
(イヤッ!行きたくないっ!イヤッ、イヤーーー!)
189第二話 裏切り:01/12/09 20:56 ID:CUkLiAKz
「キャハハハハハハ、サ・イ・コー!」
金髪の娘。が上機嫌に笑う。
周りの男たちが拍手をする。
「さ、さすが矢口様の“セクシーキャノン”!いつ見てもすばらしい威力です!」
「キャハハハ、そーだよ!オイラはこの“セクシーキャノン”と“悪魔の実”の
 力で、この世のすべてを手に入れるのさ!キャハハハ!」
男たちにおだてられた娘。がますます上機嫌になって叫ぶ。
そう、この娘。の名は矢口真里。
この町を襲撃している海賊団のセンターを努めている。
「あー、ちょっとスッキリした!しょうがない、今日は豚しゃぶでガマンするか!
 オイ!豚しゃぶパーティーだっ!」
「「おおーーー!!」」
190第二話 裏切り:01/12/09 20:58 ID:CUkLiAKz
大騒ぎをする海賊団の建物の下に、辻、後藤、石川の三人がやって来た。
「ゆるせねーれす!でぶをなめるんじゃねーれす!」
辻が大きな声で叫んだ。
その声に矢口が気付く。
「なんだよー。お前いったい誰だよ。」
「へい、つじのぞみじゅうよんさいれす!」
「…知らねーよ!」
「ア、アタシは石川梨華…。」
「お前、ウザい!」
(ガーン!…で、でも、チャーミー負けないっ!)
と、矢口の隣にいた男が叫ぶ。
「あっ、矢口様!あそこにいる娘。後藤真希ですぜ、センター狩りの!」
矢口がピクン、と反応する。
「後藤真希…だと?」
191第二話 裏切り:01/12/09 20:59 ID:CUkLiAKz
後藤は何かを思い出しそうになっていた。
(矢口…、どっかで聞いたような…。)
矢口が屋上から飛び降りてきた。
そして、後藤の目の前に近づき、睨みつける。
その身長は後藤と同じぐらい。
「そーか、お前がサヤカがいつも言ってた後藤真希かよ。」
後藤は、はっきりと思い出した。
(そーだ、いちーちゃんの“青組”の仲間の矢口真里…。)
二人は初対面だった。
なぜなら後藤が入ってからの“あか組”は“青組”と直接戦っていなかった。
192第二話 裏切り:01/12/09 21:00 ID:CUkLiAKz
矢口が後藤に向かって大声で叫ぶ。
「そーだ、思い出したよ!サヤカはお前に会いに行くって出てったんだ!
 さては、お前がサヤカを騙したのかよ!サヤカを騙して殺しでもしたのかよ!?」
「なっ…!」
後藤は矢口のあまりにも意外な言葉にガク然とした。
「あ、あたし、そんな事しないっ!するはずがないっ!」
後藤は大声で切り返す。
そんな後藤を見て矢口は薄ら笑いを浮かべながら、
「そーか、じゃあサヤカは逃げたんだ!決戦が怖くなって逃げたんだ!
 あいつは裏切り者のヒキョー者だ!」
「………!」
後藤は背中の大剣を抜いた。
(いちーちゃんを侮辱する奴は許せない!)
バスッ!
後藤の剣が矢口の胴体を真っ二つにした。