じゃあ446の続き
「紗耶香はまだ…ごっちんの事…?」
保田は恐る恐る口にした。紗耶香がどう答えようと、結果は分かっていたが。
市井は自嘲気味に笑い、グラスの中の酒を一気にあおった。
「圭ちゃん、知ってたんだ。まあそうだよね、別に隠そうともしてなかったし。」
市井の脳裏に、新人として病院に入って来た後藤の教育係になった時の事が思い出される。
そして、つかの間の蜜月。
二人の関係の発端は、仕事中の後藤のミスからだった。
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ねえ:02/01/11 02:33 ID:DTX9T6Bn
当時、市井は保田や矢口といった同期の仲間と同じく、看護婦としての
仕事に追われる日々をおくっていた。
教育係とはいえ、実際の仕事は見て覚えてもらうしかない。
後藤は見た目の印象よりもずっと健気で、真面目な少女だった。
後ろを一生懸命についてくる後藤に、市井はいつしか姉、
いや、母のような気持ちを持って接するようになる。
そしてその気持ちが、無意識に後藤の気持ちをも引きつけていたのかもしれない。
ある日、後藤は患者のカルテを間違えて記入してしまった。
それが原因で、点滴の薬液が誤って投与されてしまいそうになったのを
間一髪で市井が気づいたのだ。
「馬鹿っ!あんた何やったのか分かってんの!」
仕事が終わってから、市井は後藤と並んで中澤から怒鳴られた。
自分がついていながら、こんなケアレスミスをさせてしまった。
完全な、管理不行き届き。
市井は後藤をかばい、後藤はそんな自分を責めた。