1 :
愛の為のビックバンド:
新メンの中では一番かわいくて、光ってるとおもうのだが・・
どうよ?
川 ’ー’川<愛→I(アイ)→I(い)→いーたん だよ。みんな覚えてねいーたん。
3 :
ぼかあねえ:01/10/30 02:52 ID:xsEEOnwk
>>2 違う。
けど可愛いな。
でも>1さんよ、こういうこと今更立てても誰も食いつかないよ。
4 :
ぼかあねえ:01/10/30 02:53 ID:xsEEOnwk
駄スレあげちゃってごめん
5 :
モーニング狼:01/10/30 02:57 ID:F/CqcbcJ
うーん、可愛いんだけど、
この前の,もーたいの時のバッティング時の
あの恐がりかたは、やりすぎのような
6 :
高橋狂時代:01/10/30 03:22 ID:4eiCc9h1
ここは3ヶ月ほど時間が遅れて流れてるんですか?
7 :
@:01/10/30 03:27 ID:XIBBW99b
アバンテを知ってるか
8 :
◆AISIWAzE :01/10/30 03:29 ID:iRvwBo0y
しわしわしわー
いーたんはいーたんだよ。
10 :
ねぇ、名乗って:01/10/30 04:39 ID:X2eV3aAP
いーたんはあまり響きが可愛くないので流行らないと思われる
ぶっちゃけて言わしてもらうと新メン高橋しか使えないとおもわれ。
高橋・紺野以外の娘。に興味無し。
13 :
名無し娘。:01/10/31 00:46 ID:/fHxizD9
このスレを再利用しますね。
14 :
名無し娘。:01/10/31 00:48 ID:/fHxizD9
(1)
たぶん、そのころから、あたしは愛を意識し始めたのだと思う。気をつけてみると、愛は時々、あた
しを見ていた。目立たない場所で何気ない様子で。
愛の視線を感じると、あたしはとたんにすべての動作がぎこちなくなった。歩くのさえ右足を前に、
そのときには左手を前に、次に左足を前に、そのときには右手を前に、と確認しながら動いている感じ
になった。
いい迷惑だ、と今までのあたしなら思ったかもしれない。けれど、愛に見られていると意識するのは
不快ではなかった。
ばかみたいだ、とあたしは一人になったときには思った。あんたは、女の子に見られて、そんなにう
れしいの?
明日からは愛を気にしないでおこう、と決意して眠ったのに、翌朝、仕事場で愛を見ると、固いはず
の決意がもろくもくずれてしまう。
15 :
名無し娘。:01/10/31 00:48 ID:/fHxizD9
(2)
「なんか悩みでもあると違う、のの?」
メンバーの一人にいわれた。
「恋わずらいだったりして」
「そんなんじゃないよ」
と、言い返すけど、頬がほてるのが、自分でもわかった。メンバーたちに気づかれないためにわざと
あらっぽく顔をふり、走ろうよ、と声をかけて、意味もなく駆け出したりした。
愛の目が気になる、などと他のメンバーに正直に言ったりしたら、あたしはすぐに「レズ」のレッテ
ルを張られてしまう。一度、張られたレッテルをはがすには、数年はかかるだろう。
「レズ」は、あたしの頭の中では、「ヘンタイ」で「サイテー」を意味する言葉だった。他のメンバ
ーもそう思っているに違いない。「ヘンタイ」で「サイテー」な人になりたい、とあたしは思わなかっ
た。絶対に愛が気にかかることを他のメンバーに知られてはならなかった。
16 :
名無し娘。:01/10/31 21:22 ID:2pg4zqsG
(3)
新曲の準備をはじめる時期がやってきた。
モーニング娘。に新メンバーが加入してから、二曲目のシングルがリリースされる。前回の曲は、メ
インボーカルが三人で、他のメンバーにはパートはほとんど与えられなかった。あたしは、バックダン
サーじゃないんだ、とすねたこともあった。でも、今回の曲は、メンバー全員に歌のパートが与えられ
る。あたしはやる気を出した。
メンバーが13人もいると、パートを振り分けていくのは大変だ。だから、パートは、10人祭のときの
ように、二人一組のペアに振り分けられた。もちろん、ソロパートもあるし、三人で歌うパートもある
のだけど、基本はペアなのだ。
メンバー全員がスタジオに集められると、すぐにテープを聞かされ、担当のパートが決められる。プ
ロデューサーのつんくさんには腹案があるのだけれど、センターをつとめることになる人以外は、いち
おう最初は希望のパートを言うことが出来る。
17 :
名無し娘。:01/11/01 20:22 ID:a+JmJc+t
(4)
Aパート、というと、つんくさんの腹案通りなら、いいよ、と認められる。けれど腹案と違っていた
場合は、第二希望は? と聞かれる。つんくさんの腹案通りになるまで、ずっと希望を聞かされ続ける
のだ。
最初からつんくさんがパートを指定すれば、いいじゃないか、とも思うけれど、メンバーの希望を聞
いて、メンバー自身にも、どのパートがいいか考えてもらうのが、つんくさんの方針だった。
一つ一つのパートはバラバラにおいてあるのではない。すべてのパートは、全体とのつながりで生き
ている。だから、自分のパートだけではなく、他のパートのことも考えなくてはならない。メンバーた
ちに意見という意見を出させて、その上でずばりと自分の腹案通りに決めるのが、つんくさんのやり方
なのだ。こうすることで、メンバーたちは、曲全体を見る目を持てるのだ。
18 :
名無し娘。:01/11/01 20:24 ID:a+JmJc+t
タイトルをつけます。『紙の鍵盤』
sage
sage
21 :
名無し娘。:01/11/06 02:37 ID:bfRtl02J
(5)
あたしはCパートを希望した。中音のパートだ。前も、中音のパートが多かった。以前、高音と低音
の両方が入り混じるパートを担当したけど、これは不評だった。高音で声がかすれ、低音で声がにごっ
たのだ。あたしの声は、高くもなく、低くもないらしい。
希望はすぐに受け入れられた。
波乱が起こったのは、そのあとだった。
愛が希望するパートを聞かれて、Cパートと答えたのだ。
スタジオにいる人全員がはっと息をのんだ。Cパートの担当は二人。だから、愛が希望してもあたし
との争いになるわけではない。みんなが(つんくさんを含めて)驚いたのは、愛はAパートを担当する
と思われていたからだ。
22 :
名無し娘。:01/11/08 07:56 ID:DXNNet7U
(6)
愛は同期生たちの中で一番うまい。いちおうは、先輩ということになっているあたしよりも声が出る
のだ。彼女は幼い頃からピアノと合唱を習っていて、全国大会でいい賞をもらったこともあるらしい。
そして、きれいな顔立ちと、15歳とは思えないスタイルで人気を集めていた。だから、この曲でAパー
トを担当するのは、だれもが当然だと思っていた。人気者が、目立つパートを受け持つのは、モーニン
グ娘。だけの掟ではないだろう。
23 :
名無し娘。:01/11/08 07:57 ID:DXNNet7U
(7)
「どうして?」とつんくさんは愛に言った。「どうして、Cパートなんか……」
つんくさんはあたしをちらりと見た。あたしは、つんくさんの不用意な発言を聞きもらしたふりをし
た。
「Cパートは大切なパートだけど、でも、君はAパートをやれる力があるはずだろう」
「私、Cパートがいいんです」
いつになくきっぱりと愛は言った。
つんくさんは第二希望を彼女に聞こうとはしなかった。
「わかった」とつんくさんはため息をつくように言った。「あとで相談しよう」
パート割りは。ペンディングにされてしまった。
続き待っています
25 :
名無し娘。:01/11/09 18:19 ID:BBdRv3Eq
(8)
次に全員が集まる日まで空いたAパートの席をめぐって、メンバーの間では熾烈な闘争がくり広げら
れたようだ。Aパートは歌い出しのパートで、高音あり、低音ありで目立つパートだ。これをかっこよ
く決めれば、注目を集めるのは間違いない。
結局、愛はつんくさんの説得を聞き入れずに、Cパートの担当になり、Aパートは何度もセンターをつ
とめている先輩メンバーが担当することになった。
パート割がすべて決まったあとで、つんくさんは心なしか、気落ちした様子で仕事場を出ていった。
「辻さん、いっしょに練習しましょう」
愛が近づいてきて、言った。
しぶしぶ、と言った感じであたしはうなずいて見せた。
「仲がいいな、自分ら」
他のメンバーが冷やかしているように、あたしには聞こえた。
26 :
名無し娘。:01/11/09 18:20 ID:BBdRv3Eq
(9)
新曲のレコーディングを来週にひかえた土曜日の午後、あたしは仕事場で歌の練習をしていた。あた
しがすべきことははっきりしている。自分のパートをきっちりこなすこと。
愛は手をまえに組み、あたしの後ろの壁に背をもたせかけ、目を閉じてあたしの歌を聞いている。
「違います」と言葉づかいは丁寧だけれども、厳しい声で愛は言った。「そこ、半音ずれています」
またかよ、と思いながら、あたしは初めからやり直す。愛の指摘は正しい。それは、わかるのだけれ
ど、彼女が要求する水準は高すぎて、あたしの技量では追いつけなかった。
27 :
ねぇ、名乗って:01/11/10 01:44 ID:27Fh68xm
このスレは高橋×辻スレになったのか・・・。
作者さん、続きがんばってください。
28 :
名無し娘。:01/11/10 19:12 ID:NVHLhLtZ
(10)
「だめです」と愛は言った。「ぜんぜん、だめです。本当に練習しているんですか?」
「してる」
「本当ですか?」
あたしは歌うのをやめて、いすに座った。壁にかかった時計は、二時近くを指していた。愛が特訓を
言い出さなければ、今ごろは友達とボーリングをしていたのに、と思った。今日は学校もなくて、ひさ
びさのお休みだったはずだった。
すべては、愛のせいなのだ。つんくさんは愛の希望を受け入れたのと引きかえに、アレンジャーさん
を呼んで、あたしたちのパートがやたらと目立つように曲を変えてしまった。合唱と仕事で歌う歌は違
う、とあたしは思うのだけれど、愛は曲芸のように難しいフレーズを歌いこなし、つんくさんはにんま
りした。おかげで、あたしの負担は増大し、みじめな気分で練習をくり返さなければならなくなってい
た。
29 :
名無し娘。:01/11/11 21:44 ID:J/kwqOzR
(11)
「疲れました?」
愛が組んでいた手を解いて、聞いた。
「お腹、空いちゃった」
昼すぎに菓子パンを一つ食べただけだった。
「もう一度、やって、終わりにしましょうか?」
「もう一度?」
「本当なら、できるまで何度でもやるんですよ」
平気な顔をして愛は言った。
ピアノや合唱の鍛錬はそれほどまでにきびしいものなのか、とあたしはあきれながら、気を取り直し
て、歌を歌う準備をする。
私も、とつぶやいて、愛もスタンバイする。
続き期待sage
31 :
名無し娘。:01/11/13 01:03 ID:bf6tjRHT
(12)
目で合図を交わして、歌い始める。
愛はあたしに合わせて、少しゆっくりとしたテンポで歌っている。これくらいなら、だいじょうぶだ
とほっとしたとたんに、テンポが上がり始めた。声も高くなっている。あたしが追いつけるぎりぎりま
で愛はテンポを上げた。今度は低音だ。もう他のことを考えている余裕などなかった。空腹すら忘れて
しまった。あたしはただ曲を正確に歌おうとすることに集中した。
最後まで一度も間違えずに歌い終えた。
とても疲れた感じがした。体の中が空っぽになってしまったようだ。
愛が笑顔でパチパチと拍手をした。
笑い返そうとすると、お腹が鳴った。
「家でおやつ、食べませんか?」
愛が誘った。まばたきをすると、笑みが消えた。
いいよ、とあたしは言った。同時にお腹が鳴って、愛はくすくすと笑い出した。
楽しみにしてます
33 :
名無し娘。:01/11/14 00:04 ID:RK0URgrp
(13)
愛は福井県出身だ。モーニング娘。のオーディションに合格すると同時に、彼女は東京のおばさんの
家に引っ越した。愛のおばさんの家は、偶然にも、仕事場のスタジオから歩いていける場所にあった。
古い大きな家だった。門をくぐると、広い庭があり、玄関にたどり着くまでに数秒かかった。
引き戸を開けて、中に入ると、愛は大きな声で、ただいま、と言った。家の中は静かで、人の気配が
感じられない。
「上がってください」脱いだくつをそろえて、愛が言った。「おばさん、出かけてるみたいですから」
おじゃまします、といちおう、言って、あたしはスニーカーを脱いだ。いつもはいているものだから
泥汚れがしみになっているのが、少し恥ずかしかった。
34 :
名無し娘。:01/11/14 21:55 ID:oCj0191F
(14)
廊下を通って、愛の部屋に入る。家には誰もいないようだ。遊園地のお化け屋敷のような不気味な感
じもした。
「待っててください。おやつ、持ってきますから」
言い残して、愛は部屋を出ていった。
あたしはカバンを床に置き、勉強机のいすに座った。部屋で目立つのは、ベッドとアップライトのピ
アノだ。ベッドやピアノは福井から持ってきたのかな。そういえば、愛と同期生で、おしゃべりな子が
愛は引越しのときに大きなピアノとベッドを運んでもらった、とあたしに言っていたのを思い出した。
二段ベッドを持っている友達はいたけれど、一人用のベッドを自分専用の部屋に置いてあるのを見たの
は初めてだった。
35 :
名無し娘。:01/11/14 21:58 ID:oCj0191F
(15)
愛はなかなか戻ってこなかった。
あたしは落ち着かない気分で立ち上がり、部屋の中をのそのそと歩き回った。自分がここにいるのを
だれかに見られたら、こっぴどくしかられるのではないか、と思った。
あたしはピアノの前のいすに腰をかけ、鍵盤のふたを開けた。かすかに甘いにおいがただよってくる
ようだ。赤いビロードの布を取りはらうと、つややかな白と黒の鍵盤が現れた。
しばらくあたしは鍵盤を見ていた。うっすらと愛の指の形が鍵盤に残っているようにも見えた。
人差し指を伸ばして、「ド」の鍵盤にふれようとした時、背後に気配を感じた。
ドキドキ、わくわく
37 :
名無し娘。:01/11/15 18:32 ID:FJdd3VSw
(16)
「弾いていいですよ」
ふり返ると、お盆を持った愛が立っていた。ケーキが二つ、それから、紅茶カップが二つ。愛はお盆
を勉強机に置いて、本だなから楽譜本を取り出した。
「これ、使います?」
あたしは首をふった。
「高橋さんが弾いて」
いすから立ち上がり、愛のわきをすり抜けようとした。手が彼女の腕に触れた。愛は一瞬、体をこわ
ばらせた。
勉強机のいすにどんと腰をおろして、あたしは手づかみでケーキを食べ始めた。あらっぽくふるまう
のが、一番いいのだ、とその時は思った。
今日は早いですね
39 :
ネクロス:01/11/15 22:27 ID:chvRUd2S
うーむ。ののたか?小説は初めてだから新鮮ですね。
レズがあたりまえじゃないところも(・∀・)イイ!
辻が〜れすとか言ってないのも(・∀・)イイ!(w
期待してまっせ。
なんかカワイイ。
微妙な緊張感が(・∀・)イイ! ね。
41 :
名無し娘。:01/11/16 20:51 ID:2xEEMiOX
(17)
「全部、食べてかまいませんよ」
愛は小さな声で言うと、楽譜を開かないまま、譜面台に置き、両手の指を組み合わせて、背筋をのば
し、正面を見すえた。
あたしは紅茶カップを口に運ぶ途中で手を止めた。少しでも動けば、部屋を支配する微妙なバランス
がくずれてしまう気がした。
ゆっくりと深呼吸をして、愛は鍵盤に両手の指を置き、いきなりすごいスピードでピアノを弾き始め
た。
のちになって、愛が弾いたのがショパンだったとあたしは知ったのだけれど、この時はただ機関銃の
ようにたたき出される音の連なりに驚いただけだった。
愛は体にある力をすべてふりしぼるようにして、ピアノを弾いた。
たぶん、素晴らしい演奏だったのだと思う。
音楽といえば、ポップスくらいにしか興味がなくて、クラシックなど五分も聞けば、眠くなってしま
う中学二年生の女の子を、とにかく最後まであきさせなかったのだから。
キャラは違うよな・・・
でも、続きよろしくです
43 :
名無し娘。:01/11/17 19:53 ID:bMNdNSbc
(18)
静かに鍵盤から指を離すと、愛は弾き始めた時と同じように背筋をのばして正面を見つめた。
あたしは紅茶を一気に飲みほしてから、拍手をした。
けれど、愛はまったくうれしそうな顔をしなかった。ちょっと眉をしかめ、軽く首をふってから、ピ
アノから離れた。
「すごいよ、高橋さん」
もう一つのケーキを頬ばって言った。
「ずっとやってますから」
愛は言った。あたしと一つしか変わらないはずなのに、なんだかひどく大人びた感じがした。愛は紅
茶カップを手に取り、ベッドに腰をかけて飲み始めた。
44 :
ねぇ、名乗って:01/11/18 01:56 ID:u453KNKG
ところでさ、めちゃくちゃ性格ワルそーな顔してますよ。本人もお母さんにキツイって言われる
って言ってるし。田舎の中学校によくいる、不良に側近のいじめっ子って感じだと思わん?
福井って言うのがいかにもイジメ多そうだ市。絶対そうだ。
別に嫌いじゃないけど、なんとなく思ってたのでかいてみました。
失礼。
こんな良スレがあったとは。
続き期待してます。
46 :
名無し娘。:01/11/18 22:51 ID:fX0WKrI8
(19)
「ピアノ、弾きます?」
床に視線を向けたまま、愛が言った。
「弾けないよ、ピアノなんて」
「練習すれば、誰でも弾けますよ」
つぶやくように愛は言った。
日がかたむき、部屋は少し暗くなり始めていた。愛は一口ずつ、紅茶を飲み、飲み終わってから、顔
をあげた。
何か言いたそうに口を動かしかけたけれど、なにも言わなかった。
47 :
名無し娘。:01/11/19 22:24 ID:3HV5kZl7
(20)
「帰るね」とあたしは言って、立ち上がった。「ごちそうさま」
部屋を出るときに、本棚の横に携帯電話が置いてあって、プリクラが張ってあった。愛とあたしと、
愛と同期生のおしゃべりな子と三人で撮ったものだ。愛を意識しだしたのはその頃からだったかな。
「また遊びにきてください」
後ろから愛が言った。
玄関でくつをはき、じゃあと手を上げて、引き戸をあけたとき、奥のほうから電話が鳴る音がした。
愛は顔をこわばらせると、そのまま奥のほうへ足早に立ち去っていった。
引き戸を閉めて、歩きながら、口のまわりをなめると、クリームの甘い味がした。
うぅ・・・超大作になりそうですね
49 :
名無し娘。:01/11/20 20:55 ID:MrGKwEeY
(21)
あたしが愛の家に行ったのは、この時だけだった。愛とあたしが同じパートで歌った曲をいったんお
披露目してしまうと(その曲は大ヒットになった)、愛と親しく話す機会もなくなってしまった。
時折、愛の視線を感じることはあったけれど、彼女から話しかけてはこなかった。
愛は暗い顔をしていることが多くなった。福井にいる、彼女のお母さんが重い病気で入院した、とい
ううわさを聞いた。本当なのかどうか、愛に確かめることはできなかった。本当だった時に、彼女に何
をどう言えばいいのか、あたしにはわからなかったから。
終わりじゃないよね・・・
51 :
名無し娘。:01/11/21 21:02 ID:CWFTaNiH
(22)
あたしはひそかに紙の鍵盤で練習を始めていた。いつか、愛の部屋でピアノを弾く機会があるかもし
れない、と心のすみのほうで思っていた。
夜、学校の宿題を片付けている時に、ふと思いついて机の引き出しから紙の鍵盤を取り出し、指を動
かしてみたりした。
正しい指使いがわからないままに、練習曲集の一番最初に出ている曲を弾こうと努力していたのだ。
52 :
名無し娘。:01/11/22 19:32 ID:yGND2KRo
(23)
けれど、あたしの努力は実らなかった。
自己流で何とかなるほどピアノは甘くはない。
紙の鍵盤の上で指先を動かしているところをお姉ちゃんに見つかったのがきっかけで、あたしは練習
をやめた。
お姉ちゃんに見つかる前から、やめたいと心の中では思っていたのだ。やめるきっかけをあたしは探
していた。お姉ちゃんに見つけて欲しい、と思う気持ちがなければ、絶対に見つからない場所で練習を
しただろうから。
あんにゅい。
54 :
名無し娘。:01/11/23 20:03 ID:CnNwX+Za
(24)
紙の鍵盤を古い楽譜本にもどしたのは、季節はずれの雪が降った日の午後だった。
物置に使われている部屋に入りこみ、楽譜本を本だなにしまったあと、あたしはしばらく窓の外を眺
めていた。
灰色の空からちぎった綿のような雪が、次々に舞い落ちていた。
愛はなにをしているだろう、と思った。
ふっと窓ガラスに息を吹きかけ、指でマルを書いた。本当は『愛』と書きたかったけれど、あとで家
族に見つかった時に死ぬほど恥ずかしい思いをするに違いないから、やめておいた。
窓ガラスに書いたマルの中を指先で、とととと、とたたいた。練習曲集の一番最初に出ている曲の出
だしを弾いたつもりだった。けれども、指の動きはにぶくて、頭の中に聞こえてきた音は、調子はずれ
だった。
愛たんの名前が出るだけで嬉しい 今日この頃
シリアスなジーツーがフレッシュですな
57 :
名無し娘。:01/11/25 16:26 ID:iQBlD7gh
(25)
それ以来、あたしは紙の鍵盤のことは忘れてしまった。
高橋愛とは、仕事以外で会うことはなくなった。仕事も、あたしとは別スケジュールの事が多く、週
に一度か二度会えばいいくらいだ。同じモーニング娘。のメンバーだから、話くらいはするけれど、そ
れまでだ。休みの日に二人で一緒に遊ぶようなことはない。
愛の母親が重病かどうかはわからないけれど、桜が咲くころには、愛は暗い顔をしなくなっていた。
たぶん、病気だったとしてもそのころには回復していたのだろう。彼女の母親のうわさを聞くこともな
くなっていた。
58 :
名無し娘。:01/11/25 16:27 ID:iQBlD7gh
(26)
その年の夏、あたしは勉強に専念するために、モーニング娘。をやめさせられた。
辻希美卒業記念ツアーと名づけられた一連のコンサートの全日程が終わった日、あたしの送別会をか
ねて、打ち上げがおこなわれた。その席で、モーニング娘。のメンバーたちがあたしに花束と寄せ書き
を渡してくれた。色紙を見ると、だれかが書いたピアノのイラストがきわだっていた。けれども、寄せ
書きに、愛の名前を見つけることは、できなかった。
=fine=
59 :
名無し娘。:01/11/25 16:32 ID:iQBlD7gh
完結です。皆様、お付き合い下さいましてありがとうございました。
お疲れ様でした
とってもaメンタルな気分
レズシーンを期待してた僕を許してね
ののたん、あいたん
>>59 お疲れさま。初めて読むタイプで新鮮でした。
またどこかでお会いできれば..。
中学生でショパンを弾くなんてすごいですね・・・