元気爆発メロン記念日

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1マングース西浦
地方イベントで忙しいメロン記念日を歌にしたいと思っています
http://choco.2ch.net/test/read.cgi?bbs=ainotane&key=1000938099
2マングース西浦:01/10/18 15:14 ID:t4j8J33R
第1話 『誘拐』
鉄の腕は萎え、鉄の足は力を失い、埋もれた砲は二度と火を吹くことは無い。
鉄の戦士は死んだのだ…
狼は死んだ、獅子も死んだ。
心に牙を持つものはすべて逝ってしまった…

しかし、鉄の戦士は信じていた。
若者は今日も生き、今日も走っていると…

――某日、都内某所
「今日は東京でイベント、明日は中国でイベント、その三日後にはインドでイベントだよ。つかれるよね」
「疲れるなんて言ってる暇は無い…けど、デビューイベントって言ってもこの忙しさは半端じゃないね」

彼女達はデビューを間近に控えた『メロン記念日』という4人組のアイドルグループである。
4ヶ月の秘密特訓を終えた4人の行く末には輝かしい芸能界での活躍の場が用意されているはずだった。
デビューイベントの忙しさを乗り越えればその後は楽しく暮らせる…
自分達を待つ途方も無い運命を知らない4人はこの時そう思っていた。
3マングース西浦:01/10/19 12:00 ID:sF+qOdGA
4人がイベントの打ちあわせをしていたそんな時
モーニング娘。以下ハロープロジェクトのメンバー達の基地、UFA本部から指令が届く。
「ん…あ、指令が来たよ」
そう言ったのはグループの一員でありリーダー格でもある村田めぐみである。
彼女は体の半分近くが金属で出来ており、電波を受信することができる。
携帯いらずだった。
村田は受信するなり声を張り上げた。

「う…うそでしょ!?平家さんが誘拐!?」

他のメンバーが聞き耳を立てるまでも無く
他の3人の耳にも緊急事態が巻き起こったということが伝えられた。
『平家さん』とは、4人の先輩であり司令官格でもあった平家みちよのことである。

「あ…ありがとう、りんねちゃん」
そう言って村田は通信を切った。
りんねとは平家みちよの補佐官のような立場のメロン記念日と似たような
カントリー娘。という新進アイドルグループの一員である。

「どどど…どうしよう…平家さんが…」
「落ち着いて、めぐちゃん」
露骨に動揺する村田をなだめたのは斉藤瞳だった。
4人の中では2番目に年長で、体の99%が金属で出来ており4人の中では一番落ち着いている。

「平家さんを誘拐するなんて…犯人はどんな物好…どんな悪党なの!?」
大谷雅恵である。
体の半分近くが金属で出来ており口から火を吐くことができる。

「迷ってる暇なんて無いよ!早くUFA本部に急がないと」
柴田あゆみだった。
4人の中では最も生身に近く、一度聞いた音楽ならば自分でアレンジして演奏することができる。
3人はこの最年少メンバーの提案に肯くとUFA本部へと向かった。
4あみヲタ赤星(盗塁王):01/10/19 12:06 ID:CHJCYEzt
太陽の牙?
5名無し募集中。。。:01/10/19 12:15 ID:CJ65l1Be
いつの日かと想っていた いつの日かと夢みていた
心目覚め 翼広げて 旅立つ日 ダグラ〜ム

うろ覚えスマソ。
6あみヲタ赤星(盗塁王):01/10/19 12:29 ID:igZZO+iZ
真実は見えるのか!!!
復活の日?
7名無し募集中。。。:01/10/19 12:41 ID:CJ65l1Be
Not even justice, I want to get truth.
8あみヲタ赤星(盗塁王):01/10/19 12:57 ID:CHJCYEzt
大谷→ビックフット
斉藤→アイアンフット
柴田→ソルティドック
村田→クラブガンナー
9名無しさん@お腹いっぱい。:01/10/19 12:59 ID:QHroiWhg
ガンバルガーじゃないのか・・・。
10あみヲタ赤星(盗塁王):01/10/19 13:12 ID:2gTYw6X/
颯のように〜ザブングル〜♪
11名無しさん:01/10/19 13:18 ID:igZZO+iZ
りんね→ブロクックヘッド
12マングース西浦:01/10/20 10:16 ID:LLNxYsIM
地方イベントで忙しいメロン記念日は今日も名古屋でインストアイベントです
13マングース西浦:01/10/20 10:17 ID:LLNxYsIM
ほどなくしてUFA本部に到着する4人。
いつもと変わらない無機質な鉄筋コンクリートのビルだった。
「何か嫌な予感がする…」
入り口をくぐろうという時柴田が表情を歪めた。

「…とにかく、つんくさんに聞いてみようよ。何がどうなっているのか」
4人はつんく大将執務室に向かった。

その途中のエレベーターの中で、4人は知った顔と出会った。
元モーニング娘。の市井紗耶香である。
「この誘拐には解せないことが多すぎる…」
市井は何かを知っているような様子だった。

「何か知ってるんですか?」
斉藤の問いに市井はかっこつけ気味に微笑むと、静かに語り始めた。

「私は、真実を知りたかったの。だからモーニング娘。もやめた。
 …もう虚飾と虚構にまみれたモーニング娘。なんかには興味が無い…
 世の中にはどうして売れない人と売れる人がいるのか…私はハロープロジェクトに
 無限の真実と可能性を感じる。ハロプロには真実と可能性がある…
 私はハロープロジェクトを信じているんだーーー!! ……って、あれ!?」

市井の演説が終わる頃既に目的の階に着いた4人はエレベーターの中にはいなかった。
「ま…待って!」
4人は既につんくの部屋の前に着いていた。
14マングース西浦:01/10/20 10:19 ID:LLNxYsIM
コンコン…

メロン記念日の4人がドアを叩く。
「誰や!?」
「私達です」
「メロン記念日かいな…入れや」
入室した4人は室内に珍しい光景を見た。
モーニング娘。が部屋に全員集合しているのだ。
しかしそのことよりまず気になることがあった。
手錠を掛けられた平家がつんくの側にいるのである。
「へ…平家さん!?誘拐されたんじゃ…」
なぜか誘拐されたはずの平家がつんくの側にいる。
これは一体…4人が呆気に取られているうちにつんくが口を開いた。
「平家が悪い子やからちょっと謹慎してもらおうと思ってな」
平家はうつむいたまま黙っている。

「そ…そんな、平家さんほどのいい子はいないのに…」
「…要するに、お前らの知ったことや無いっちゅうことや。
 仕事の時は呼び出すからわざわざこんなとこまで来んでもええがな」
つんくの様子がいつもと違っている。
いつもの10倍は冷たく感じられた。

「帰って下さい」

モーニング娘。後藤真希が冷たく言った。
「で…でも」
食い下がろうとする4人を、
「でももストもあるか!つんくさんは忙しいねん帰れ言うたら帰れ!」
中澤裕子が一喝する。
4人は帰るしかなかった。
15名無しさん:01/10/20 10:42 ID:L5+bZ7cu
ダグラムsage
16名無しさん:01/10/20 20:02 ID:eC10rC8h
相変わらず好き勝手やってますな。保全。
17マングース西浦:01/10/21 17:09 ID:KAy5SLhW
どこが好き勝手なのか分からない
18マングース西浦:01/10/21 17:11 ID:KAy5SLhW
しかしその時不意に部屋の外が騒がしくなりつんく大将の部屋のドアが開いた。
「後藤、ちょっと冷たいんじゃない?」
警備員の制止を振り切って強引に入室してきたのは市井紗耶香だった。
「い…市井ちゃん」
後藤の表情があからさまに変わる。
後藤と市井はかつて師弟関係にあった。

「全部聞かせてもらったけど、本当に何がどうなったか説明する時間も無いの!?」

「市井、モーニング娘。に戻ってくる気は無いんか!?」
「今はそんな話じゃない。それに、今はそんなつもりは全く無いです」
話を変えようとしたつんくを軽くかわす市井。

「…ええから、早く出て行ってほしいんやけど」
「祐ちゃん、私に言ってるの!?少し前まで同じモーニング娘。だった私に!?」
「そうや、紗耶香と、メロン記念日全員に言ってんねん」
「…分かった」

5人は退室した。
部屋を出るなり市井は
「何か嫌なことが起こりそう…」
そう言うと早足にどこかへ行ってしまった。

「何がどうなってるの?何がなんだか…」
ここへ来れば少しは事態を理解出来ると思っていた4人が与えられたものは
更なる混乱以外のなにものでもなかった。
「平家さん…どうなっちゃうの?」
「分からないよそんなの…でも、まずは目の前にあるイベントを成功させないと」
「そうだね…そうしないと戻ってきた時平家さんから怒られる」
しかし、事態は既にそれどころでは無くなってしまっていたのである…
19マングース西浦:01/10/21 17:12 ID:KAy5SLhW
つんく大将の部屋では恐るべき陰謀が動き始めていた。
「平家、ありがたく思いや…かつてのグランプリのよしみでお前だけは助けてやるんやからな」
手錠の戒めを解かれた平家は椅子に座らされていた。
しかし未だに口から何の言葉も発していない。
「平家さん…どうして何も言ってくれないの!?」
そう言って肩に置かれようとした後藤の手をはらう平家。

「みっちゃん!?」

平家は突然立ち上がると、つんくに向き直った。
「つんくさん…世間のみんなは確かにつんくさんのすることに注目してくれてます。
 そしてつんくさんもそれに答えてるっていうのも分かりますよ…
 でも、今回はやりすぎ…モーニング娘。で世界を征服しようなんてどう見てもやり過ぎですよ!」
「それはどうかな…!?」
不敵に笑うつんく。

世界征服の手始めとしてモーニング娘。以外のハロープロジェクトを植民地支配する。
ハロープロジェクトはメンバーの総数がモーニング娘。のメンバーの数に迫り
その勢力はモーニング娘。にとっても無視出来ないものになろうとしていた。
だが、俺にとってはそんなことは赤子の手をひねるのと同じくらい容易なこと…
そうつんくは考えていた。

「平家、そんな文句今更言うんやったらなんでさっきメロン記念日が来た時ずっと黙っててん?」
「そ…それは…」

無意識に自分の身を大事にしてしまっていた平家は応えられなかった。

「既にメロン記念日が向かってる中国にはルナセア隊を送り込んでるんだよね」
ルナセア隊は悪名高い傭兵部隊である。
「ああ、メロン記念日ごときにモー娘。本体を煩わすことも無いやろからな」

(酷い…メロンのみんな…ごめんな…)
平家がそう無事を願っていることを知らないメロン記念日は
東京でのイベントを成功させ、翌日早朝のフライトに向けてミーティングも早めに済ませ、
それぞれの時を過ごしていた。
20マングース西浦:01/10/21 17:15 ID:KAy5SLhW
登場人物

柴田あゆみ
メロン記念日。しっかり者。リズム感がいい。音痴。
大谷雅恵
メロン記念日。火を吹くことができる。体の半分が鉄で出来ている。腹が出ている。
斉藤瞳
メロン記念日。力強い。体がほとんど鉄で出来ている。まとめ役。
村田めぐみ
メロン記念日。体がだいぶ鉄で出来ている。電波を司る神。かわいい。
平家みちよ
元ハロープロジェクト評議会ソロの会代表。誘拐された。賢い。いい子。
りんね
カントリー娘。ただし今は一人しかいない。元平家みちよの補佐官。怖がり。

中澤裕子
ハロープロジェクト評議会主席議員。モーニング娘。偉そう。年寄り。
後藤真希
ハロープロジェクト評議会議員。モーニング娘。若い。かわいい。市井のことが少し好き。

市井紗耶香
元モーニング娘。謎の人物。探偵みたいな感じ。

つんく
UFA大将。大阪弁。偉い。目が丸い。金髪。
21マングース西浦:01/10/22 06:43 ID:yyEFj/Y0
第2話 『砂漠』
「♪にっしだ♪ひがっしだ♪み〜なみ〜だき〜た〜だ〜♪と〜な〜んしゃ〜あ〜ぺ〜い
 み〜ぎ♪ひ〜だ〜り〜♪いぬ〜がにっしむきゃおはひ〜がし〜♪
 ま〜わ〜り〜ぜ〜んぶ〜がて〜きば〜か〜り〜」
メロン記念日の中国進軍は続いていた。
「まだ会場につかないの?」
大谷がうんざりしたような顔を回りに向けるが誰も応えようとしない。
中国は多分日本の10倍以上広く、そのため移動時間も10倍以上かかってしまう。
そうでなくても前日に東京でイベントを終えたばかりなのである。
理解していたつもりだった4人も我慢の限界に近づいていた。

「あ〜も〜喉かわいた〜!」
「駄目だよ雅恵ちゃん!砂漠では水は貴重なんだから!さっき飲んだばっかでしょ!」
「だって〜…歌手は喉が命なのに〜!」

4ヶ月の秘密特訓にも耐えてきた4人ではあったがさすがに砂漠の暑さは始めての体験だった。
この様な状態で満足にイベントを成功させられるのだろうか…4人の心の中に不安が広がっていた。

――一方UFA本部
「あれ?よっすぃーいなくない?」
飯田圭織が1人メンバーが足りていないことに気付いた。
「そう言えば…私も今朝から見てないよ」
普段からメンバーの中でも吉澤と一緒にいることが多い後藤真希が答える。
メンバーの中でも吉澤はよく分からないところがある。
「吉澤になんか変わったこととか無かった?」
「そう言えば…ずっとルナセア隊かっけーとか中国うらやましいとか言ってたような…」

「…それだ…」
22名無しさん:01/10/22 07:38 ID:dpOschhB
クリンカシム ほぜむ
23名無しさん:01/10/22 07:50 ID:Rp//PjVT
川σ_σ||< に、二四部隊 !!
24マングース西浦:01/10/22 20:35 ID:jgzsP8Lr
書いた直後に保全はいらない
25マングース西浦:01/10/22 20:37 ID:jgzsP8Lr
――再び、中国
「おやじ、これ一個いくらだ!?なんだと!?1元?円しか持ってねえよ!!」
荒々しい声と屋台が崩れる音が同時に砂漠のオアシスに出来た小さい村に響く。
「ひ…ひぃぃ!どうぞ好きなだけお持ち下さい!!」
「ふん、タダなら最初からタダって言えば…おい!彩!全部タダだとよ!」

「……」

荒々しく名前を呼ばれたのは石黒彩、元モーニング娘。のメンバーであり
現在は悪名高い傭兵隊ルナセア隊の副隊長である。
「おい、呼んだら答えろよ」
無理矢理店の商品を強奪してきたこの荒々しい男は真矢と言い、ルナセア隊の隊長であり
石黒彩の夫でもある。背中に長い棒を二本下げている。
かつてルナシーというロックバンドに所属していたスターだったが解散後
限界を感じたと言い残し引退、今では傭兵として各国の戦場にその身を投じている。
「早く戻らないと標的が来るよ」
「ん?おお、そうだな」
2人はメロン記念日が通る道を先回りし通り道に陣営を開き、
メロン記念日が来るまでのあいだの暇を潰しに来ていたのだ。

ピィィ…ン
運転する真矢の隣で石黒が親指でコインをはじき、それを手の甲で受け止めた。
「またコイン占いか!?」
「よく当たるんだよ、これが」
しかしその結果を見た石黒の表情が見る間に変わった。
真矢がそれに気付く。
「どうした?」

「…最悪」
石黒が舌打ちと共に言った。
26名無し娘。 :01/10/22 22:15 ID:qNYq6Z2s
>マングース西浦
いつもの戦い物になんの?
27マングース西浦:01/10/23 07:26 ID:Z71MUAz0
戦いというよりイベントが中心になります
28マングース西浦:01/10/23 07:28 ID:Z71MUAz0
陣営は村から20分ほどジープを走らせれば着く場所にあった。
陣営について見廻っていた石黒が見知らぬ顔が1人部下に混ざっていることに気付く。
石黒は珍しい物を見るような顔で陣営をうろつくその少女に声を掛けた。
「あんた誰?」
「吉澤ひとみです。よっすぃーって呼んで下さい」
石黒はすぐにそれがモーニング娘。のメンバーの1人ということに気付いた。
「あ、あんた、こんなとこまでどうやって…」
「飛んできました」
吉澤は体の半分以上が軽量な硬質セラミックで出来ており、
『かっけー』が口癖だけに鳥の『カッコウ』の10倍くらいのスピードで空を飛ぶことができる。

「ちょ…いいからちょっとこっち来て」
何かに気付いたのか石黒が慌てながら吉澤の手を引く。
物陰に隠れて人目を確認し、吉澤に静かに言葉をかける。
「…あんた、絶対に真矢に見つかったら駄目だよ。あいつは変態なんだから…
 モーニング娘。と見たら手当たりしだいなんだ。私だってあいつから無理矢理…」
「え!?」
石黒は一瞬つまらないことを言ってしまった、という表情を見せたが
すぐに表情を戻すと、吉澤に視線を戻した。
「まあ来ちゃったものはしょうがない…終わったらちゃんと日本に送ってあげるからさ」
「私日本から飛んできたんですよ」
「はいはい」
石黒はまさか吉澤が本当に空を飛んできたとは思わない。

「奴等が来ます!」

見張り役の声が陣営に響いた。
「じゃあ分かったね!?ちゃんとここに隠れてるんだよ」
「はい」
石黒は言い残すと、戦闘配置に着くためにその場を離れた。
29名無しさん:01/10/23 07:55 ID:1m84aatY
( `.∀´)< デ デザートガンナー!
30名無し募集中。。。:01/10/23 16:54 ID:42d92gN8
まこと&たいせー「犯そうか、村田と大谷を。」
31マングース西浦:01/10/23 22:06 ID:ttkM0Ofo
――一方、車内のメロン記念日
「なんだ?あれ!?」
最初にリーダー村田が前方300メートルにある敵陣営に気付いた。
「何か嫌な歓迎ムードなんだけど」
続いて、斉藤が自分達に向けて狙いを定めているバズーカ砲に気付く。
「や…やばい!」
ブォォーー!!
大谷が炎を吐いて移動用のバスの側面に大穴を開け
そこから次々と脱出した。

砲弾が無人のバスを直撃したのはその直後だった。

「やるな…この俺様のバズーカ砲をかわしやがるとは」
隊長真矢が姿を現す。

「一体何の真似ですか!?」
もしあの厳しい4ヶ月の特訓が無ければ今の砲撃で死んでいたかもしれない。
斉藤が憤りを露わにする。
「仕事なんでな…悪く思うな。お前ら全員始末するように言われてるんだ」

「な…一体どういう…!しまった!」
気付いた時は既に遅かった。
全身の99%が金属で出来た斉藤の体は既に膝のあたりまで砂漠の砂に沈んでしまっていた。
「な…なんでーー!?」
体の半分程度が金属で出来ている大谷も、村田も砂に足を取られている。

「はははは!!見たか!」
真矢は背中に下げていた二本の長い棒を手に取るとそれで砂漠の地面を叩き始めた。

「そ…そんな…」
真矢が地面を叩くことによって砂漠に地震が起こり、それによってさらに
斉藤らの体が砂に沈んでいくのだ。斉藤は腰のあたりまで沈んでしまっている。
このままでは窒息死は必至である…その時、
「えーい!」
「うおっ!」
地震が止まった。
真矢の手を止めたのは柴田の飛び蹴りだった。
柴田は唯一生身なので砂漠に足を取られずに済んだのだ。
「小癪な小娘め!」
横薙ぎに払われた棒を素早く避ける柴田。

その時、柴田の口からとんでもない言葉が!
「もう止めて下さい。イベントに遅れちゃいます」
32マングース西浦:01/10/23 22:07 ID:ttkM0Ofo
(な…なんだって?)
真矢の戦いを眺めていた石黒が感嘆の息を吐いた。
(こんな時にもイベントのことを考えてるなんて…所詮ただの地方回りのイベントなのに)

「黙りやがれ!!俺達は傭兵部隊だ!!信用を失ったら飯の食い上げなんだよ!」
なりふりかまわず長い棒を振りまわす真矢。
しかし柴田はリズム感よくそれをかわしてく。
真矢の棒はかすりもしなかった。
「ハァ…ハァ…」
流石の真矢も次第にスタミナが切れてくる。
「く…くそぉ…」
真矢が力を振り絞り棒を振り上げようとしたその時だった。

「あんた!もうやめなよ!」

石黒の声が砂漠に響いた。
「もういい…真矢、あんたの負けだよ」
「う…うるせえ…俺は負けてねえ…いや、負けるわけにはいかねえんだ…」
真矢の目に宿った闘志はまだ消えていない。
「傭兵は信用が大事なんて言ったって失った信用はまた取り戻せばいい…
 …大の男が面子なんか気にしてるんじゃないよ」
「め…面子のためなんかじゃねぇ…この仕事の報酬がパアになったらお前の
 腹の中にいる子供はどうす…はっ!」
真矢がはっとしたように口を閉じた。

根が優しい真矢は乱暴者を演じることでその優しさを隠していた。
優しい男など軟弱者だと常に馬鹿にしていたからだ。
音楽の道を断念し傭兵になったのも実は仕事が無かったからでも、
才能に限界を感じたからでも無かった。
傭兵が一番手っ取り早く家族の為に大金を稼げる仕事だったからだった。
しかし真矢は常に
『俺は暴れるのが好きだから傭兵になった』
そう言っていた。
そんな真矢が極限状態でつい石黒への愛情、つまり本音を人前で口に出してしまったのだ…

「あんた…私のことをそんな風に…」

石黒の両目に涙が浮かんでいる。
「彩…素直になれなくてごめんよ…」
真矢も同様だった。
「いいの。いいのよ…」
人目をはばからず抱き合う2人。

「夫婦愛かっけー…」
その一部始終を吉澤は物陰から見ていた。
「おなかすいたしもう帰ろうっと」
吉澤はそのまま日本に帰っていった。

「あの…私達車が無くなっちゃったんですけど…」
取り残された柴田が遠慮がちに2人に声を掛ける。
「私達の車勝手に乗っていっていいよ」

石黒に言われた通り車に乗りイベント会場へと向かう4人。
この日のイベントも大成功に終わった。
33マングース西浦:01/10/23 22:08 ID:ttkM0Ofo
登場人物

飯田圭織
モーニング娘。ハロープロジェクト評議会議員。背が高い。チタン製。仲間思い。老けている。
吉澤ひとみ
モーニング娘。背が高い。半分くらいセラミック製。空を飛べる。強い。馬鹿。

真矢
ルナセア隊隊長。太鼓が得意。太っている。
石黒彩
ルナセア隊副隊長。なぜか真矢と結婚している。妊娠している。
34マングース西浦:01/10/24 08:32 ID:Xl/tqo/M
第3話 『救出』

メロン記念日は3日後にインドでのイベントを控え、
一度雑誌の取材のために東京に帰ることになっていた。
そして日本に帰ったメロン記念日のメンバーは日本の余りの変化に愕然とさせられることになったのである。
まず初めは空港に到着するなり機内放送でモーニング娘。の曲がかかった。
空港内でもモーニング娘。の曲しかかからない。
空港内での人々の会話には端々に『ごっちん』『なっち』などといった単語が必ず混ざっている。

モーニング娘。が軍事クーデターによって日本政府を転覆させ政権を強奪しまったのだ。

「い…一体どうなっているの?…たった1日日本にいなかっただけなのに…」
まるで便を間違えて違う国に来てしまったような気分だった。
「とにかく、UFA本部に行って聞いてみようよ」
UFA本部に到着した4人は再び度肝を抜かれることになる。
無機質な鉄筋コンクリートのビルだったUFA本部がまるで戦国時代の
天守閣のような姿に様変わりしているのである。

「嘘でしょ…」

「貴様ら、メロン記念日だな!?」
4人に気付いた警備員が声を掛ける。
「そ…そうですけど」
2日前までこんな厳重な警備は無かったはずなのに…
そう思いながらも返答した4人は思わぬ言葉を聞くことになった。
「貴様ら全員逮捕する!」
「な…なんで…!?」
全速力で逃げる4人に警備員はおいつけるはずも無かった。

しかし、何がどうなっているのか…公園に逃げ込んだ4人は途方に暮れていた。
数日前までは味方だったUFA本部が敵にでもなってしまったというのか…
そんな時、知った顔が4人の前に姿を現した。
「また会ったね」
「市井さん…」
市井紗耶香である。4人にとって敵では無いはずだった。
「一体何がどうなってるんですか?」
身を乗り出した斉藤が市井に訊ねる。
35マングース西浦:01/10/24 20:34 ID:DaAS7Q30
市井から一部始終を聞かされた4人はまるで夢の世界にでも送り込まれたような気分だった。
モーニング娘。が軍事クーデターで日本政府を乗っ取り、つんくがモーニング娘。評議会議長、
山崎直樹という男がモーニング娘。統一国家の初代大王に就任し世界の軍事支配を開始したという。
安倍なつみと新メンバーから1人がロシア方面、飯田圭織と新メンバー1人はアフリカ方面、
保田圭と新メンバー2人はヨーロッパ方面を、辻希美、加護亜依の2人は中東方面、
石川梨華、吉澤ひとみの2人は南米方面をそれぞれ侵攻しているという。
矢口真里は日本最大の総合商社T&M。カンパニー(タンポポアンドミニモニ。カンパニー)
の経営を任され、中澤は日本軍代表となり、後藤はつんくの補佐官となった。
つんくは
『地球上に全人類が待ち望んだモーニング娘。統一国家を樹立する』
そう言っているという。
そして、その際にモーニング娘。を除くハロープロジェクトの植民地支配も合わせて発表された。

「モーニング娘。統一国家…って…」
絶望的な状況だが、市井の表情に暗いものは無かった。
市井は続ける。
「でも、つんくさんは最初に一つ大きな失敗をしたね…」
「何ですか!?」
「世界に進出する前にハロプロを完全に屈服させられなかったってこと」
はっとする4人。
「へ…平家さんは無事なんですか!?」
ここで始めて市井の表情が暗くなる。
36マングース西浦:01/10/25 07:52 ID:nV4Uc1QI
「無事は無事だけど…ある意味死んでるのと同じだね」
「どういうこと?」
市井は新聞を差し出すことで答えた。
「『私、平家みちよはモーニング娘。統一国家を支持します…』…って何これ!?」
「へ、平家さんがこんなことを言うはずが無いよ!!」

「かつてのグランプリ受賞者が利用されてるんだよ…全く酷いことを…」
市井の表情が更に曇る。
つんくら首脳部はかつての勝者に公開の場でモーニング娘。を称える内容の
発言をさせることで国家の正当性を強調しようとしているのだ。
絶句する4人。

「助けようよ…平家さんを…今の私達には私達をまとめてくれる人が必要だよ」
柴田が沈黙を破った。
「でも…どうやって!?」
「私達には力がある」
「そうか…この力で」
「…じゃ、じゃあまずハロプロのみんなに連絡を取ってみるよ」
村田が電波を発信したが、連絡が取れたのはカントリー娘。になったばかりという
あさみという名の少女ただ1人だった。
仲間だったりんねは突然始まった侵攻に脅えて逃げ出し、行方知れずになってしまったという。
りんねは体の4分の3が馬で出来ており臆病な動物だった。
そしてこのあさみは体の3分の2が犬で出来ており仲間意識が強い。
心強い新戦力となった。
稲葉貴子やシェキドル、三佳千夏などは既に各国に飛んでいるらしい。
37マングース西浦
「戦力は5人か…」
「私も出来るだけ支援させてもらうよ」
市井の情報支援も受け、平家救出作戦が始まった。

それからしばらくして市井がUFA本部の見取り図を持って来た。
なぜこんなものを…メロン記念日とあさみの5人は怪訝に思ったが市井は答えなかった。
それだけは教えられないという。
市井はモーニング娘。との間に特別なルートを持っているらしい。

村田と斉藤の2人が比較的警備が緩い東側の崖を登って地上から内部に侵入、
あとの3人が下水道を通って内部に侵入し、直接平家のいる謹慎室に潜入することとなった。

救出作戦は肩透かしを覚えるほど簡単に成功した。
地上から潜入した2人が電撃攻撃と全身の99%が金属で出来ている体から繰り出す無双のパワーファイトで
警備員の気を引いている隙に大谷、柴田ら3人は下水道から体の3分の2が犬で出来ているあさみの
鼻を利かせて平家の部屋の真下の位置まで移動し、
「ここだワン!」
とあさみに促された大谷が火炎で床を溶かし直接平家の部屋に潜入、まんまと救出に成功したのである。