後藤真希の新曲 あれ、完全にぱくり

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420第三話

道のでこぼこが多くなった。
それに連れて民家の数も減っていき、畑なんかも目に映りだす。
「ふぅ」
手で汗をふいて息を吐き出す。バッグをもう一度肩にかけ直した。
まだ十時なんだよね。今日も朝から色々あったから、一日の終わりって言われても
おかしくないくらいなのに。
『でも悪くないんでしょ?』
うん。
始める前はかなり嫌だったけど、実際に歩いてみると流れる汗が気持ち良かったりして。
あたり前だけど、やってみるまではわかんないもんだな、なんて思う。
まるでピクニックみたいだしね。
『ぴくにっく?』
こういうのを言うの。わいわいみんなで話をしながら歩いたりしてさ。
あ、お弁当とかあれば良かったかも。そう思ったとき、なっちの右腕があがった。
『代わりにお菓子があるじゃない』
421第三話:02/02/27 21:48 ID:yErsAb2w

「ここまで来たらもうすぐやで」
やった。
亜依ちゃんが笑って指さしたその先はひときわ高い木が何本も立っていて、遠近感こそ
つかみづらいものの、ゴールが見えたせいで気力がわいた。
あっ。
疑問もわいた。ここまで何とも思わなかった自分が不思議に思える。
「そう言えば、どこに向かってるの?」
「ウチ」亜依ちゃんはきょとんとした顔。「言ってへんかったっけ?」
私はうなづく。
「こんな遠くに住んでるの? 学校とか大変じゃない?」
「慣れたわ」
…おや?
亜依ちゃんはそう答えて笑ったけど、その笑顔はそれまでと違って見えた。
なんかこう、ちょっと苦笑いって言うか、淋しそうって言うか。
『おぉ。なっちもわかったんだ』
うん、と真希にだけ聞こえるように返事したら、感心するような声が響いた。
その言葉は何気なく、なっちに刺さる。
『じゃあ自分だけは上手く隠せてる訳ないってのもわかりそうなものなのに』
422第三話:02/02/27 21:50 ID:yErsAb2w

近付いてびっくり。
お寺。
いくら京都とは言え、お寺に住んでるなんて。
「お寺の子だったの?」
「そうや」亜依ちゃんは笑顔で「言ってへんかったっけ?」だって。
聞いてないよっ。
年期の入った、まるで炭みたいな木でできたお寺。屋根が瓦で出来てるし障子も
ところどころ日の光りで色がくすんでいて、その年期の入りようが気にかかる。
ねぇ真希、もしかして見覚えある?
『ないと思う』
そっかぁ。
なっちの期待はあっさり裏切られた。見覚えがあるのは亜依ちゃんだけなのかな?
423第三話:02/02/27 21:51 ID:yErsAb2w

「ただいまっ」
大きな木の扉を開けて亜依ちゃんが土間にあがると、奥のほうの部屋から女の子が
顔を出した。にこにこしながらこちらに向かって走ってくる。
「のの、待っててくれてありがとな」
亜依ちゃんの問いかけにののと呼ばれた子はうなづいて答えた。
似た格好のこの子達。ふたりともパーカーを着てるし、髪型もおだんご頭だ。
違いと言えば亜依ちゃんがスカートで、こっちの子がキュロットなくらい。
妹なの?
そうなっちが聞く前に、亜依ちゃんの紹介が始まった。
「えっと。こっちが連れてくるって言っていたおばちゃん」
私が「あっ、こんにちは」と頭を下げると、その子もおじぎをしてくれた。
それにしてもそんな紹介ないと思うけど…。
そんな意味を込めて亜依ちゃんをにらんでも、別に訂正はしてもらえなかった。
「で、この子がうちの友達の希美。のの、って呼んでやってや」
『ふぅん』
その子がほほえむ。なぜか口をきかない女の子。
でも。
可愛いな、と思った。亜依ちゃんとは違った可愛さを感じた。