後藤真希の新曲 あれ、完全にぱくり

このエントリーをはてなブックマークに追加
380第三話

「ふぅん」
亜依ちゃんの不思議そうな目に、また変なところを見せたかな、なんて思ってしまう。
「ん? どうしたのじっと見て?」
「おばちゃん、乗ってからここに座るまでに表情クルクル変わって楽しそうやった」
「真希がね、おっかしくって」私は笑顔のまま続ける。「バスに乗ると必ずおしりが
痛くなるって思ってたの。確かに京都には夜行バスで来たけどさぁ…あれ?」
何やそれ、なんて言って一緒に笑うと思ってた亜依ちゃんは真顔で、口を開いた。
「もしかしてその魔鬼と、会話、してたん?」
「してたけど?」
「仲、良いん?」
「良いよ?」
会話の切れた一瞬の隙に真希が割り込んでくる。
『あはは。変なの。ふたりとも疑問ばっかりで会話してるし』
381第三話:02/02/13 21:13 ID:rq6kAtJR

「そっか。仲良いんか」
そう言って亜依ちゃんは前を向き、前の座席の背もたれにあごを乗せる。その変な格好に
私はまた笑ってしまう。本当におもしろい子だなぁ。
「うん。真希は大事な友達」
そして思う。真希のことをこんなに普通に話せるのはきっと亜依ちゃんだけ。
今この瞬間の、この子の前でだけ真希は『私の中の真希』じゃなくて
なっちと別の『もうひとりの真希』になれる。
だから。
「ごめん、訂正。真希は大事な――」ちょっと照れ笑い。「親友、かな。なんて」
『ふぅん』
まぁ、このぐらい言ったって、良いよね。
382第三話:02/02/13 21:14 ID:rq6kAtJR

前の座席の背もたれにあごを乗せたままの亜依ちゃんからはなにも返事がなかった。
なんだか恥ずかしくなり、視線を窓の外に移す。
流れている景色は東京と変わらない。バスも意外と揺れている。ふいに。
「うち、眠るわ」
えっ?
振り向くともう、そのままの姿勢で亜依ちゃんは目を閉じていた。
「一時間くらいしたら起こしてな」とっても眠そうな声。
「えっ、ちょっと!」私はあせって亜依ちゃんの小さな身体を左右に揺さぶった。
「どこで降りるか教えてからにしてよ。そこで起こすから」
「早くからおばちゃんを迎えに行ったから、あんまり眠ってへんねん」
なっちの疑問にまったく答えず、言いたいことだけ言って眠ってしまったみたいだった。
またしても。
『なっちの負け、だね』
「うん」そう呟いて私達は苦笑する。
まったくかなわないなぁ。すぅすぅ言ってる寝息まで可愛い。
『じゃあさ、私達も眠ろっか』
…そしたら起こせないでしょ?